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竹林軒出張所

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こんにちは(牛の)赤ちゃん

 昔たまたま耳にした音楽がいつまでも忘れられないというようなことが、果たして誰にでもあるのか知らないが、僕にはある。
 35年ほど前(1982年前後)、何気なく聴いていたNHK-FMの夕方の番組。当時夕方4時から6時くらいの間に日替わりで洋楽を垂れ流す番組があった。今ネットで調べてみたら『軽音楽をあなたに』というタイトルであることがわかった(ネットって便利)。この『軽音楽をあなたに』で、ある日たまたま耳にしたのが「こんにちは赤ちゃん」! 「こんにちは赤ちゃん」の何が珍しいのかといぶかる向きもあるだろうが、この番組が洋楽を紹介する番組であることにご注意。つまり「こんにちは赤ちゃん」と言っても、梓みちよが歌っている「普通の」バージョンではなく、何とタンゴ・バージョン(と僕は思い込んでしまったのだが)で、「コン・ッニチワッ、アカチャン、ジャカジャッジャッジャジャジャ」という感じのメロディラインなのである(歌詞はない)。最初聴いたときは日本のバンドがお遊びでカバーしているようなものかと感じたが(当時はそういう類のカバー曲が結構あった)、どうも違うようで、もしかして本場のタンゴ・バンドがやっているのかと感じるようになった。本場のタンゴ・バンドであるならばなぜ「こんにちは赤ちゃん」なのか、どういういきさつがあったのか、そのあたりが気になってしようがない。ただ、その場では、何の情報もなく単にこの楽曲を聴いただけであり、何もわからずじまいのまま、心の中に疑問とインパクトだけが残って月日が過ぎたのだった。
 その後インターネット時代になり、さまざまな情報に簡単にアクセスできるようになって、今まで謎だったことがかなり明らかになったり、入手困難だったブツが手に入ったりしてきたりしたわけだが、この「タンゴ版こんにちは赤ちゃん」については、ネットで検索してもまったく見当たらない。どこかに出ていそうなものだがといぶかしく思っていたが、先日ふと、これが「タンゴ」ではないのではないかと思い当たった。そう言えばかつては「ラテン」などという分野の音楽があったなぁなどと突然気が付いて、今度は「ラテン こんにちは赤ちゃん」で検索したところ、まさにビンゴ! とうとう真相解明に至った。
 この検索の結果出会ったホームページというのは、『高橋芳朗 エドムンド・ロス楽曲特集』というサイト(ラジオの放送を再録したものらしい)で、ラテン版の「こんにちは赤ちゃん」を演奏したバンドは「エドムンド・ロス楽団」である、ということが判明した(おそらく間違いあるまい)。
b0189364_23194558.jpg ちなみに「こんにちは赤ちゃん」が収録されているアルバムは、このサイトによると『Ros In Japan』という作品で、このアルバムを探してみたところ、現在CD版が出ていることがわかった。ただしすでに品切れ状態で、Amazonの中古CDには5000円の値が付いている。当然こんな不当な価格のものに飛びつくわけもなく、他のサイトを巡ったところ、タワーレコードで新品が販売されていることになっているが、どうもこちらはサイト上にデータが残っているだけでブツはなさそうである。注文してみたがいつまでも届かないので、結局キャンセルした(タワーレコードではよくあるパターン)。その後、Amazonで1500円程度で中古盤が出てきたので、すぐに買った。アメリカからの発送ということで多少不安はあったが、結局無事に届き、ついに「ラテン版こんにちは赤ちゃん」を聴くことができたのだった。
 なおこの「ラテン版こんにちは赤ちゃん」は、やはりタンゴではなく「Paso Doble(パソドブレ)」風に編曲したもので、パソドブレってのは、よく知らなかったが闘牛をイメージしたダンス音楽ということで、たしかに冒頭は闘牛を思わせるようなイントロになっている(ジャッジャカジャーン、ジャジャジャジャッジャカジャーンというような勇ましいメロディ)。それが途中から転調して「こんにちは赤ちゃん」のメロディラインが始まる。なかなか楽しい趣向の音楽で、当時の僕を魅了したのも納得がいく。なおこのCDには、『Ros In Japan』の他に、70年の大阪万博を多分に意識した『世界の国からこんにちは』というアルバムも収録されている(つまり2 in 1のCDである)。
b0189364_23195022.jpg 先ほどのサイトによると、エドムンド・ロス自体が親日家だったということで、その他にも日本の軍歌をアレンジしたアルバムもあるが、こちらは未CD化である(これも先ほどのサイトの情報)。内容を考えるとおそらくCD化されることはないだろうが、幸いなことにYouTubeに全曲アップされているため、そちらで聴くことができる。軍歌らしく大変勇ましいが、ラテン風の味付けが楽しく、こちらもかなり面白い(軍歌ったって、そもそも詞がなけりゃただの行進曲に過ぎない)。僕は今まで知らなかったが、かつて甲子園の応援でよく使われていたメロディが入っていたり(「敵は幾万」)、僕が通っていた小学校の運動会の応援歌が実は軍歌(「歩兵の本領」)だったりと、いろいろと新しい発見があった。僕が子どもの頃は、親が戦中世代であり、時代的にまだ軍歌が生活の中に残っていて(戦中世代にとって軍歌は懐メロの類だったようだ)、それでこういった教育現場にも普通に入っていたんだろうと推測される。こういうことに過剰に反応する今の時代だと考えられないが、音楽についてはもう少し大らかに接しても良いのではないかと思う。ちなみに僕は、このオリジナルの楽曲を聴いてみたくて、図書館で軍歌関連のCDをいろいろと借りてみたが,いつもは優しい図書館員の方の顔が、これを借りるとき少々険しい顔になったような印象を受けたが、思い過ごしか。「僕は決して右翼な人間ではないのですよ」と心の中で呟いたが、当然届かないのである。
 軍歌のCDで聴いてみた軍歌自体は、あらためて聴いてみると、ことごとく七五調で単純な四拍子、詞の内容もやたら大言壮語で、ほとんど見るべき部分はない。ただ「敵は幾万」と「歩兵の本領」は、かつてよく耳にしていたこともあり懐かしさを感じるのである。こういう(軍歌に対する)懐かしさというのは、おそらく僕の子ども時代の大人たちと同じ感覚なんではないかと思ったりする。

参考:
『高橋芳朗 エドムンド・ロス楽曲特集』
竹林軒『少年画報からサライへ --空想的懐古主義--』

by chikurinken | 2018-06-10 07:19 | 音楽

朝倉理恵ファンがいるかは知らんがやっぱり『ひとさし指』が出た

注:あらかじめ、竹林軒出張所『朝倉理恵について私が知っている二、三の事柄』竹林軒出張所『朝倉理恵ファンに朗報! 『誰のために愛するか』が出た』竹林軒出張所『朝倉理恵ファンに重ねて朗報! 「あの場所から」が出た』を読んでおくと、この記事の内容がわかりやすくなります。

b0189364_6552547.jpg やっぱり出ました、『ひとさし指』! 前に『朝倉理恵ファンに重ねて朗報! 「あの場所から」が出た』のところで「残りのサード・アルバム『ひとさし指』もいずれ発売のはこびになるんじゃないかという気がする。」と書いたが、あれから約4カ月でやはり「発売のはこび」になった。何の話かというと、興味のない人にはまったくどうでも良い話だろうが、70年代のアイドル歌手、朝倉理恵のサードアルバムが復刻発売になったという話である。例によって、ソニーのオーダーメイドファクトリーから。このアルバム、他の2枚と違ってかつて一度CD化されたことがあったが、現在はとうに絶版。Amazonの中古売り場では、あほくさいことだが1万円以上の値がついている。朝倉理恵は現役時代アルバムを3枚発表していたため、これで完結ということになる。
 2010年にオーダーメイドファクトリーから『朝倉理恵 GOLDEN☆BEST limited』が出されてから5年かかったが、今回の発売で朝倉理恵名義の歌はほとんど網羅されたことになる。思えばあの『朝倉理恵 GOLDEN☆BEST』はなかなか選曲が多岐に渡っていて良かった。オリジナル・アルバムもそれぞれ良いが、最初の導入としてはやはりあのくらいまとまっていなければと思う。おかげで僕自身もアルバムを全部集めるまでになったが、それだけの価値はあると今となっても思う。特にカバー曲と坂田晃一の曲は出色であった。その点では2枚目のアルバム『誰のために愛するか』が一番完成度が高いのではないかと思う。
 この『ひとさし指』の曲については、ほとんどすべて聞いたことがあり内容も買う前の段階で概ね推測できるが、若干寄せ集め感がなきにしもあらず。
 1枚目はファースト・アルバムということで顔見せ的でありこちらも少々寄せ集め風。『誰のために愛するか』はコンセプト・アルバム風で、まとまりがあって坂田晃一の魅力も表現されている。とは言ってもそれぞれの楽曲、特にカバー曲はなかなかよくできているので、どのアルバムも悪くはない。それにオーダーメイドファクトリー版の『あの場所から』には、ボーナス曲として、聴くチャンスは皆無であろうという2曲(「草原の輝き」と「白いギター」)が収録されていてお買い得感があった。「草原の輝き」は軽めで独特だったが「白いギター」は良い雰囲気があった。ただこの曲が加わったんで、このアルバムはチェリッシュの曲が3曲になった。他はガロの曲が3曲、オリジナル6曲、その他2曲という構成である。ちょっと意図がわからないが結果オーライだ。
 オーダーメイドファクトリーは最近、商品化率(企画が実現する割合)が高いような気がするが、それだけ世間様に認知されてきたということなんだろうか。過去商品化に失敗した(企画が実現しなかった)アルバムももう一度出してみたら商品化できるんじゃないかと思う(『あの場所から』もその一例)。僕自身は、CD化(または再CD化)してほしいアルバムというのもあまりなくなってきた。それくらいここのところ過去のアルバムのCD化が増えているということで、タワーレコードなんかも、ローカル・ブランドとしてオリジナル再発みたいなことをやっている。こういうゲリラ販売的な流れは歓迎するところである。

参考:
竹林軒出張所『朝倉理恵について私が知っている二、三の事柄』
竹林軒出張所『朝倉理恵ファンに朗報! 『誰のために愛するか』が出た』
竹林軒出張所『朝倉理恵ファンに重ねて朗報! 「あの場所から」が出た』
竹林軒出張所『讃岐裕子、キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!』
竹林軒出張所『ゆけゆけ裕子、どんとゆけ!』
竹林軒出張所『復刻終結宣言 またはメリー、メリー・ゴー・ラウンド』
竹林軒出張所『母をたずねて三千里 完結版(ドラマ)』

by chikurinken | 2015-10-10 06:56 | 音楽

ジュリはアイドル

浜田朱里『GOLDEN J-POP/THE BEST 浜田朱里』
1. さよなら好き
b0189364_8355569.jpg2. あなたに熱中
3. 青い花火
4. 青い嫉妬
5. 黒い瞳
6. 18カラットの涙
7. 夏の指定席
8. 芽ばえ
9. 想い出のセレナーデ
10. みずいろの手紙
11. 魔法の鏡
12. 何故に二人はここに
13. 夏を忘れた海
14. 時には母のない子のように
15. 旅立ち
16. 悲しみは駈け足でやってくる

 かつて浜田朱里という女性歌手がいて、僕も同時代なんで存在は知っていたが、歌はほとんど知らず。山口百恵が出演して人気が出ていたTBS金曜9時の大映ドラマ「赤い」シリーズ(『赤い魂』)に出ていたことは知っている。とにかく地味だったという印象しかない。顔も地味目だし何となく翳りを感じさせるしで、アイドルらしい華やかさはあまり感じない。何でも「ポスト百恵」として将来を嘱望されていたらしいが、この地位は結局、松田聖子がかっさらっていった。
 今回、カバー好きの僕の目に止まったのは、その浜田朱里の4枚目のアルバム『想い出のセレナーデ』で、例によってソニーのオーダーメイドファクトリーで目にしたのが最初である(オーダーメイドファクトリー『想い出のセレナーデ』参照)。このアルバム、10曲中8曲がカバーという、アイドルのアルバムとしてはかなり思い切った構成になっている。この頃発表された浜田朱里の7枚目のシングルが、カバー曲である「想い出のセレナーデ」だったため、こういう企画が出たんではないかと想像するが、それにしても……と思う。所属プロダクションおよびレコード会社は彼女にあまり期待しなくなっていたのだろうか。
 曲のラインアップは、

1. 想い出のセレナーデ(天地真理のカバー)
2. みずいろの手紙(あべ静江のカバー)
3. 魔法の鏡(荒井由実のカバー)
4. 何故に二人はここに(Kとブルンネンのカバー)
5. 夏を忘れた海(天地真理のカバー)
6. 時には母のない子のように(カルメン・マキのカバー)
7. 芽ばえ(麻丘めぐみのカバー)
8. 哀・私小説(8枚目のシングル『悲しみは駈け足でやってくる』のB面曲)
9. 旅立ち(松山千春のカバー)
10. さよなら好き(浜田朱里のデビュー・シングルA面曲)

b0189364_8364614.jpgというもの。実は8枚目のシングル曲『悲しみは駈け足でやってくる』もアン真理子が1969年に発表した曲のカバーである(この曲はこのアルバムには未収録)。カバーで通すんなら、いっそのことこのアルバムにも「悲しみは駈け足でやってくる」が入っていてしかるべきではないかと思うが入っていない(B面の曲は入っている)。デビュー曲が入っていたりもしているし、コンセプトが見えてこないアルバム、言い換えると製作者側の力が伝わってこないアルバムである。そういったことを考え合わせると駄作かと思うのが筋だが、実際聞いてみると1つ1つのカバー曲がどれもこれも素晴らしい出来映えなのである。
 まず「想い出のセレナーデ」で驚かされる。この歌は天地真理が歌ってヒットしたので、当時子どもだった僕でさえよく知っている歌なんだが、歌詞の内容についてはまったく意味がわからずにいた。今回浜田朱里の歌を聞いて別れた人を思う歌だったことがわかったのだった。振り返ってみると天地真理は朗々と歌うタイプであるため、内容がストレートに伝わってこなかったんだろうと思う。一方の浜田朱里の場合は、語るように歌うというか情感を込めて歌うので、しみじみと伝わってくる。2曲目の「みずいろの手紙」も同様で、あべ静江も「朗々型」であるため、雰囲気がまったく伝わってこなかったが、「情感型」の浜田版は心に染みてくる。
 「何故に二人はここに」と「旅立ち」については、元歌は個人的に少々気持ち悪さを感じていたのが、浜田朱里の歌の場合、せつなさが伝わってきて良い。3曲目の「魔法の鏡」は、ユーミンのオリジナルとほとんど同じような編曲でありながら、ユーミン版と違って「女の子っぽさ」が伝わってきてこれも魅力的。「時には母のない子のように」の編曲もオリジナル版に近い。全体的に編曲が非常に優れているのもこのアルバムのポイントである(カバー曲の編曲はすべて若草恵という編曲家が担当)。例外は「芽ばえ」で、ややアップテンポで妙に明るい編曲になっているのがマイナスである。元歌の情感が欠如していて、浜田朱里の歌唱がまったく活かされていないのが残念。
 ともかく、浜田朱里がどの歌も自家薬籠中のものにしているという印象があって、まさに古い曲の再発見になっている点を大いに評価したい。といってもこのアルバム自体1982年発表のもので古いアルバムであるのは間違いない。ま、僕にとっては意外な発見だったわけだ。もっとカバー曲を出してくれていたら良かったのにと今さらながら思うのである。
 なお、今回僕が買ったのは『想い出のセレナーデ』ではなく、冒頭に紹介した『GOLDEN J-POP/THE BEST 浜田朱里』である。『GOLDEN J-POP』には、『想い出のセレナーデ』のほとんどの曲が収録されており(「哀・私小説」以外すべて)、しかも『GOLDEN J-POP』には「悲しみは駈け足でやってくる」まで入っているのでお買い得感が高い(他にシングル曲も6曲付属)。ただこのベスト・アルバム自体もなんだかやっつけ仕事みたいでコンセプトが見えてこない。普通ベスト盤だったら、シングル盤のA面曲を集めるとかしそうなもんだが、ほとんどが『想い出のセレナーデ』からの抜粋になっている。このベスト盤を企画した人が、この『想い出のセレナーデ』が最高傑作だと信じてこういうラインアップにしたというのであれば、その先見の明を称賛したいところではある。で、『GOLDEN J-POP』であるが、Amazonでは現在中古品がアホみたいに高価な値段で売られているので、興味のある方は『GOLDEN J-POP』の方ではなく、オーダーメイド・ファクトリーで復刻版をお求めになる方が良いのではと個人的には思う。こちらも少々高価ではあるが定価であるため、ぼられた感は少ないと思う。

参考:
竹林軒出張所『カバー曲にまつわるあれこれ』
竹林軒出張所『讃岐裕子の「ハロー・グッバイ」』
竹林軒出張所『山崎ハコ「十八番」(CD)』
竹林軒出張所『遊佐未森「スヰート檸檬」(CD)』
竹林軒出張所『朝倉理恵ファンに重ねて朗報! 「あの場所から」が出た』
by chikurinken | 2015-09-20 08:38 | 音楽

『京都人の密かな愉しみ 夏』(ドキュメンタリー)

京都人の密かな愉しみ 夏(2015年・NHK)
NHK-BSプレミアム ザ・プレミアム

よそ者には知り得ないディープな京都

b0189364_8401499.jpg 今年の正月に放送された『京都人の密かな愉しみ』の第二弾が登場した。その名も『京都人の密かな愉しみ 夏』。
 番組の構成は前回と同様、「洛志社大学」のヒースロー教授(団時朗)と老舗和菓子屋の若女将(常盤貴子)を中心に据えたドラマ仕立ての部分がメインで、それに20分程度の別のショートドラマが織り込まれる。また前回同様、京都の料理研究家による京都料理のコーナーもある。こういうふうに語るとなんだか実にとりとめのない番組のように思われるかも知れないが、実際はうまくまとめられていて、ショートドラマの部分も、メインドラマとうまいことつなげられている(多少とってつけた感じはあるが)。ここではドキュメンタリーに分類したが、ほとんどの部分はドラマであり、演出と脚本は映画監督の源孝志が担当している。
 今回は、京都の市中を流れる地下水がテーマになっていて、そのために鉄輪の井戸や冷泉家の井戸、地下水を利用している錦市場などが紹介される。当然ドラマにも井戸が絡んでいて、テーマに統一感があり、良くまとめ上げられているという印象である。
 ショートドラマ部分のキャストは、1本目が柄本佑、中越典子、川島海荷、2本目が柄本明、眞島秀和、中村倫也ら。柄本親子が別々に登場していて好演している他、1本目の川島海荷という女優が非常に良い味を出していた。中越典子も十分怖さを発揮していて○(ちなみに1本目は少し怪談が入っています)。
 この番組で紹介されるのはかなりディープな京都で、普通に京都に住んでいても知らないようなことばかりである。そうとはわかっていても、この番組を見ていると京都に行ってみたいと感じてしまう。これはひとえに、製作者側の見事な手腕のせいと言って良く、実際に京都を訪れても、この番組で紹介されているような部分まで踏み込むことはできないと思う。観光客は概ね表層だけを辿ることになるが、それは致し方ないことである。
b0189364_8403667.jpg エンドロールでは前回同様、武田カオリが歌う「京都慕情」が流れるが、相変わらずこの曲のCD化の予定はないようだ(おそらくいずれ出てくるとは思う)。なお現在武田カオリのアルバム(TICA名義)は2枚出ていて、1枚目のアルバム『Magalog -Kaori Takeda CM Song Book-』にカバー曲が何曲か収録されている(2枚目のCD『東京のシンフォニー』は、カバー曲は「Mr. サマータイム」のみで後はオリジナル)。コマーシャルソングをたくさん歌っている歌手のようで、『Magalog』はその類の曲が収録されたものだが、カバーをうまく歌える歌手が実力者であるのは言うまでもない。全曲聴いてみたが、カバーの中で一番良かったのは「Mr. サマータイム」だと個人的には思っている。この番組で使われた「京都慕情」はプチブレークのきっかけになるかもしれない。
b0189364_8492460.jpg それから「京都慕情」についてだが、この曲は元々ベンチャーズが作って発表したもので、その後、1970年に渚ゆう子が歌ったものがヒットした。ヒット曲であるためカバーは結構出ていて、オリジナルに近いものだとO'sというデュオのもの(『COVER’s』に収録)、スローテンポでしっとりしたものだとおおたか静流のもの(『恋文』に収録)、パンチの効いたものだと小山ルミのもの(『ベンチャーズ・ヒットを歌う!』に収録)と、僕が知っているだけでもいろいろなバージョンがある。変わったところではダイヤオ・リウジエ・チャンチェンが歌う「北京慕情」(メロディと一部歌詞は「京都慕情」と同じだが、伴奏部分に胡弓が使われていてそれらしい雰囲気になっている)なんてものもあって(『ベンチャーズ歌謡大全』に収録)多彩で面白い。武田カオリのものはスローテンポで、オリジナルとも雰囲気が違い、ちょっと独特な感じがする。
 なお、この『京都人の密かな愉しみ 夏』だが、最後、ヒースロー教授の前に謎の女性(シャーロット・ケイト・フォックス)が登場したところで終わっていたので、間違いなく続編(正確には続々編)が作られるだろう。次は『冬』かな。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『京都人の密かな愉しみ(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『京都人の密かな愉しみ 冬(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『京都人の密かな愉しみ 月夜の告白(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『京都人の密かな愉しみ 桜散る(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『京都人の密かな愉しみ blue 修行中(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『漱石悶々(ドラマ)』
竹林軒出張所『京都 冷泉家の八百年(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『いねむり先生(ドラマ)』
by chikurinken | 2015-08-22 08:41 | ドキュメンタリー

朝倉理恵ファンに重ねて朗報! 『あの場所から』が出た

注:あらかじめ、竹林軒出張所『朝倉理恵について私が知っている二、三の事柄』竹林軒出張所『朝倉理恵ファンに朗報! 『誰のために愛するか』が出た』を読んでおくと、この記事の内容がわかりやすくなります。

b0189364_8415244.jpg またまた、ソニーのオーダーメイドファクトリーおよび朝倉理恵の話で恐縮です。
 以前、竹林軒出張所『朝倉理恵ファンに朗報! 「誰のために愛するか」が出た』の項で
規定数に達しないで復刻できなかったファースト・アルバム『あの場所から』やサード・アルバム『ひとさし指』も出たらすぐに予約が殺到するんじゃないかという気がする。
と書いたんだが、案の定、『あの場所から』がオーダーメイドファクトリーに登場し、商品化が決定していた。「決定していた」と書いたのは、今回も製品化されるまで気が付かなくて、1週間ぶりくらいにオーダーメイドファクトリーの「商品化決定」ページを覗いたら、すでに決定アルバムとして入っていたため。前の『誰のために愛するか』と同じパターンである。あやうく見過ごすところだった。
 今回もおそらく「予約」がすぐに規定数に達したんじゃないかと思われる。なにしろ、オーダーメイドファクトリーをちょくちょく覗いている僕でさえ気が付かなかったわけだから。『あの場所から』については、以前もここに商品化候補として挙がって、結局規定の予約数に達しなかったといういきさつがあったんで、今回のあまりの速さには驚きである。もちろん今回も即購入である。このCDであるが、しばらくは「購入可能」のようだ。ちなみに前に出た『誰のために愛するか』もまだまだ購入可能である。Amazonで同じ中古CDが高値で売られているが、オーダーメイドファクトリーは定価販売だし、当然だがこちらで買う方がリーゾナブルである。ここで定価で仕入れたCDをあちらで高値で売る商売ってどうよと思うが。商売人としての矜持なんてものはないのかね。
 なお『あの場所から』は朝倉理恵のデビュー・アルバムで、アイドル・デビューした年に発表された。デビューしてまもなくというタイミングだったから、当時のアイドル歌手の慣例どおりというか、カバー曲をたくさん集めてお茶を濁すというような売り方だった。だがカバー曲とはいっても、朝倉理恵の場合はかなりの歌唱力があるため、なかなか聴かせる(このアルバムの何曲かはYouTubeなどで聴くことができる)。オリジナル12曲中3曲がガロの歌ってのは、歌手自身の好みか。今回は「草原の輝き」と「白いギター」がボーナストラックで追加されるというんで、こちらも楽しみ。この感じだと、残りのサード・アルバム『ひとさし指』もいずれ発売のはこびになるんじゃないかという気がする。『ひとさし指』も現在中古CDが不当なほどの高値で売られているが、あんなの絶対に買わないからねー。いずれオーダーメイドファクトリーで出てきて売値が下がってきたら「ザマミロ」くらいのことは思ってやりたいと思っている。

参考:
竹林軒出張所『朝倉理恵ファンに朗報! 「誰のために愛するか」が出た』
竹林軒出張所『朝倉理恵について私が知っている二、三の事柄』
竹林軒出張所『讃岐裕子、キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!』
by chikurinken | 2015-06-12 08:49 | 音楽

森田つぐみ『愛のスケッチブック+3』(CD)

森田つぐみ『愛のスケッチブック+3』
b0189364_854917.jpg1. 少女期
2. 心の似顔絵
3. おろしたての放課後
4. お嬢さんお手をどうぞ
5. ウィークエンド
6. さよならは似合わない
7. もうひとつの時間割り
8. 恋の伝言板
9. 風の匂い
10. シャボン玉
<ボーナストラック>
11. めざめる頃
12. 恋して海岸通り
13. 冬の哲学

 永らくお待ちしておりました。
 森田つぐみのアルバム『愛のスケッチブック』が3日前に発売になり、とうとう入手することができた。思えばこのアルバムの復刻を望み、ソニーのオーダーメイドファクトリーにリクエストしたりして、しかもそのたびに無視され続け、結局待つこと5年。アルバムの発売が判明したのが数カ月前。やっと!という思いで8月に予約を入れ、2日前に手にしたという次第。
 あらためて言うのも何だが、森田つぐみは1976年にデビューしたアイドル歌手である。このブログでも以前書いたので、詳しくはそちらを見ていただくとして(竹林軒出張所『おとこごころをくすぐる歌』竹林軒出張所『森田つぐみ登場!』)、彼女の歌手としての活動期間は実質1年で、その後はバラエティ番組のアシスタント司会をやったり、NHKで歌のお姉さんみたいなこともやったりしたらしい。そのため、歌手としての活動で残っているものは76年に発表されたシングル・レコード3枚とアルバム1枚のみで、残された楽曲は全部で13曲ということになる。このあたり、同時期にデビューして消えていった三木聖子とまったく同じ境遇である(詳細については竹林軒『あるアイドル歌手の全記録「ベスト/三木聖子」』)。
 三木聖子もこの森田つぐみも、今聞くととても可能性を感じさせる歌手なんだが、時代との相性に難があったのか、二人とも1年で歌手活動を辞めている。なんとももったいない話である。そう言えば三木聖子だが、上記の記事を書いたときは消息を知らなかったが、その後判明したところによると、なんでも引退のきっかけは結婚だったそうで、言ってみれば寿退社ということになる。相手は音楽プロデューサーだかなんだかで、ステージの企画をやる人だったと思うが、三木聖子も引退後、彼の仕事を手伝っていたということで、そうすると「事務員になっていた」という噂もまんざらデタラメではなかったわけだ。YouTubeにも以前、三木聖子が出演したバラエティ番組(「あの人は今」みたいな企画)がアップロードされていて、その時点で仙台在住で夫の仕事の手伝いをしているというところまではわかっていた。で、先週『爆報! THEフライデー』とかいうTBSの番組に、現在の三木聖子の消息が出ていて、それによると現在も仙台在住で、スナックの経営までやっているということがわかった。しかも、その番組では、店で「まちぶせ」を歌っている映像まで流されていた。これはもちろんテレビ用の企画だろうが、普段は歌わない……というか歌えないんだそうだ。もう声が出ないという話だ(もっともこの番組で放送された「まちぶせ」はある程度しっかり声が出ていたが)。それからこの番組では、三木聖子の体験をユーミンが歌にしたものが「まちぶせ」だというエピソードも披露されていた。道理で三木聖子版の「まちぶせ」に鬼気迫る迫力があるわけだ……と妙に納得したのだった。
 それはさておき、森田つぐみだ。森田つぐみも随分消息がわからなかったんだが、今はWikipediaに「森田つぐみ」という項目があって、それによると、西宮のカフェバーで店長を務めていて、ときどきピアノも弾いているらしい。お元気そうで何よりである。(このCDのライナーによると)元々ピアノで音大を志していたこともあるらしいんで、今は楽しみながら仕事なさっているんではないかと推測される。
b0189364_861370.jpg このCDには、オリジナルの『愛のスケッチブック』全曲プラス3曲が収録されているが、特にボーナストラックの「冬の哲学」と「恋して海岸通り」がお奨めである。「冬の哲学」は、TBS系列で放送されていた『笑って!笑って!!60分』の番組内コーナー「続・哀愁学園」の主題歌だそうだ(まったく記憶にない)が、シナリオライターの佐々木守が詞を書いており、「死んだ赤とんぼを見つけたわ今朝も」で始まる詞がなかなか深い。服部克久の曲も詞によく合っている。もう1つの「恋して海岸通り」は、アップテンポでノリがとても良い曲である。メロディラインも面白いが、どこかで聞いたことがあるような……と考えていたところ、山内賢と和泉雅子が歌ってヒットした「二人の銀座」に前半部がよく似ている。そのためか、どこかベンチャーズ歌謡風のノリの良さがある。あ、「二人の銀座」の作曲はベンチャーズなのね。「恋して海岸通り」には、それに加えアイドル歌謡風の味も含まれていて、それがまた良い。
 このCDがどれだけ売れるかはわからないが、たとえあまり売れなくても、販売元はこれに懲りて同じような企画から手を引いたりしないでもらいたいと思う。こういう企画は、たとえ売れないにしてもアーカイブ、資料という観点から見てとっても大切なのだ。ちなみにこのCDを販売するという大英断を下したのはウルトラ・ヴァイヴという会社である。感謝感謝。

参考:
竹林軒出張所『おとこごころをくすぐる歌』
竹林軒出張所『森田つぐみ登場!』
竹林軒『あるアイドル歌手の全記録「ベスト/三木聖子」』
by chikurinken | 2014-09-20 08:07 | 音楽

朝倉理恵ファンに朗報! 『誰のために愛するか』が出た

注:あらかじめ、竹林軒出張所『朝倉理恵について私が知っている二、三の事柄』を読んでおくと、この記事の内容がわかりやすくなります。

b0189364_1981878.jpg いやぁ、ビックリした。
 ソニーのオーダーメイドファクトリーを久しぶり(といっても1週間ぶりぐらい)に覗いたら、朝倉理恵のアルバム『誰のために愛するか』が復刻候補に上がっていた。しかもすでに100%の予約を獲得して「製品化決定」ということになっている(オーダーメイドファクトリーの詳細については(竹林軒出張所『讃岐裕子、キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!』を参照されたい)。ということは、このサイトを覗いていなければ、知らないうちに発売決定になっていて、知らないうちに販売が終わっていたということになっていたわけだ。あやうく見逃すところだった。もちろん、ソッコーで予約しました。しかもこの『誰のために愛するか』というアルバム、ほぼ全曲、坂田晃一作曲(「あなた」は編曲のみ)と来ている(坂田晃一については竹林軒出張所『さよならの夏 〜それはルフラン 頭の中で響くの〜』参照)。いやが上にも期待を持たせる。とは言っても、このアルバムに入っている曲の半分以上はすでにうちのiTunesに入っていて、それほど目新しさはないんだ、実のところ。
 しかしさすがに今回は規定数に達するのが早すぎる。おそらく2、3日で100%達成ということになったんだろうが、やはり以前『朝倉理恵 GOLDEN☆BEST limited』というアルバムが復刻されたために、朝倉理恵のアルバムを待ち望む層がこのサイトに頻繁に立ち寄っているせいなんだろうな……などと勝手に推測したりする。この感じだと、以前、規定数に達しないで復刻できなかったファースト・アルバム『あの場所から』やサード・アルバム『ひとさし指』も出たらすぐに予約が殺到するんじゃないかという気がする。オーダーメイドファクトリーよ、2匹目のドジョウを狙って、是非こういったアルバムも出してくれ。もっともあんまり立て続けに出してもらっても、買い続けられるかはわからないところだが。

参考:
竹林軒出張所『朝倉理恵について私が知っている二、三の事柄』
竹林軒出張所『朝倉理恵ファンに重ねて朗報! 「あの場所から」が出た』
竹林軒出張所『讃岐裕子、キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!』
竹林軒出張所『さよならの夏 〜それはルフラン 頭の中で響くの〜』
by chikurinken | 2014-09-09 07:34 | 音楽

『ピアノの詩人ショパンのミステリー』(ドキュメンタリー)

ピアノの詩人ショパンのミステリー(2007年・NHK)
NHK-BSプレミアム ハイビジョン特集

演奏者ならではの「ショパンのミステリー」

b0189364_214117.jpg ピアニスト、仲道郁代が、ショパンの楽曲に迫るドキュメンタリー。
 ショパンの楽譜には、ペダリングの指示や指使いの指示が細かく書かれているが、その指定位置に違和感を感じていたという仲道郁代。このドキュメンタリーでは、そんな彼女が、ショパンの故国、ポーランドやフランスを訪れ、その違和感の源泉を探る。
 ポーランドでは、生まれ育った町、ワルシャワとショパンの生家を訪れ、ショパンの足跡に触れる。このあたりは「いかにも」な紀行番組風である。
 ショパンは、21歳でパリに赴き、その後死ぬまで二度と故国に戻ることはなかった。そこで、次に訪れたのはフランス。ジョルジュ・サンドと過ごしたノアンという町を訪れ、そこで、ショパンが生きた時代に作られたというピアノに触れる。
 ちなみにピアノという楽器は、古典派の時代からたびたび改良が加えられ、現代のピアノとベートーヴェンの時代、あるいはショパンの時代のピアノでは大きく異なる。音の大きさも違えば響きも違う。この古いピアノで、ショパンの曲をいくつか実際に弾いてみて、仲道さん、感じるところがあった。つまり、ショパンのペダリングや指使いの指示に、現代ピアノで感じていたような違和感をまったく覚えないというのである。音の鳴り方が違うというのだ。要するに、ショパンの指示は、彼が生きた時代のピアノの音響を活かすためのものであり、現代のピアノの演奏だと、結果的にそれが活かされない。つまりショパンのピアノ曲は、ショパンの時代のピアノで弾いてこそ、本当の味がわかるという結論に達したのであった。こうしてショパンのミステリーが一つ解決されることになった……という、そういう番組である。
 この仲道郁代さんであるが、デビューしたての頃はアイドル歌手のような風貌で、ヴィジュアル系クラシック奏者の走りみたいな人だ。実際当時、追っかけなんかもいたらしい(僕も若い頃一度、ライブで彼女の「皇帝」を聴いたことがある)。そのため、どうしてもそういうイメージが伴うんだが、この番組でショパンのミステリーを追求する姿は、研究者のようでもあり、探究の意欲がひしひしと伝わってきた。
b0189364_224747.jpg 今回の例に限らず、古楽器での演奏というのは、ここ40年ほど活発に行われていて、今や古楽器演奏は珍しいものではなくなっている。ただ、それでも古いピアノ(ピアノフォルテ)で演奏した例は比較的少ないんじゃないかと思う。かつて、古楽器演奏の大家、クリストファー・ホグウッドが、ベートーヴェンの時代のピアノフォルテを使ってピアノ協奏曲全集を出したことがある。しかも、ベートーヴェンの5曲のピアノ協奏曲が作られた時代にピアノが大きく進化(変貌)していたことを反映して、楽曲ごとに使用するピアノを、制作年にあわせて変えるという念の入れようであった。僕はベートーヴェンのピアノ協奏曲と言えば、ホグウッドのこの盤を聴くんだが、世間ではあまり評判が高くなかったようで、永らく絶版中である(輸入盤はある。『Piano Concertos & Sonatas』参照)。それはともかく、ピアノ独奏についても、是非、作曲家と同時代のピアノで演奏するという企画を増やしてほしいと思う。このドキュメンタリーでこういう結論が出たわけだから、それなりの必然性はあると思うんだな。是非、仲道郁代さんにそういうアルバムを出してほしいものだ。そういうことを感じたドキュメンタリーだった。
★★★☆

追記:「仲道郁代さんにそういうアルバムを出してほしいものだ」と書いたが、調べてみたらすでに出てました。協奏曲だが。『ショパン:ピアノ協奏曲第1番、第2番』というアルバムがそれ。ピアノだけでなく、オーケストラの方も古楽器なんだと。いずれ近いうちに聴いてみたいと思う。

参考:
竹林軒出張所『チョピンとは俺のことかとショパン言い』
竹林軒出張所『ホグウッドのモーツァルト』
竹林軒出張所『ショパン 愛と哀しみの旋律(映画)』
竹林軒出張所『別れの曲(映画)』
by chikurinken | 2013-03-27 08:50 | ドキュメンタリー

そうだっ、別れの歌を聴こう!

 卒業の季節ですな。卒業といえば思い出す歌がいろいろあるもので、それぞれの世代で思い出す歌は違うんでしょうが、僕なんかは世代的に沢田聖子とか斉藤由貴とかになるわけです。
b0189364_826417.jpg 卒業式で歌う歌なんかも世代ごとに違っているみたいで、僕の時代は小学校では「別れの歌」、中学校では「巣立ちの歌」を歌いました。在校生として卒業式に出たときは、どちらもかっこいい歌だなと思いながら聞いていたものですが、あの「呼びかけ」ってやつは子ども心に一体何なんだと思ったものです。気恥ずかしいったらありゃしない。なんでもいまだにやっているようで、ああ言うのが好きな人が多いんでしょうか、僕にはもう一つ理解できないところです。卒業式ももう少しさらりとやってのけたら良さそうなものなのにと思うんですがね。それに、バカバカしいとは思いつつも「呼びかけ」の内容を40年近く経った今でも結構憶えているってんだから始末に悪いじゃありませんか。ちなみに僕の小学校ではこんな感じでした。

ある生徒:そうだっ、六カ年の思い出と感謝を胸に別れの歌を歌おう!
(「別れの歌」のピアノのイントロが入る)
全員の合唱:「たぁ〜のぉ〜しく、すぅ〜ぎぃ〜た、ろぉくね〜んのぉ〜……」

 「そうだっ」なんて白々しすぎるぞっ。
 まあ「呼びかけ」はともかく「別れの歌」の方は懐かしくて、ちょっと聞いてみたいものであることよなあと思っていたんですが、CDなんかも当然のように出ていなくて残念至極な日々を送っていたわけですね。ところがそこはネット社会、よくしたもので、案の定見つかりました、YouTubeに。しかも初音ミクが歌ってる!(というより「歌わせてる」……)
YouTube『【別れの歌】〜(昔の)卒業式の歌を〜 【初音ミク】』

 それから、中学の卒業式で歌った「巣立ちの歌」もありました。
YouTube『巣立ちの歌』

 「巣立ちの歌」の歌詞はこんな感じ。

巣立ちの歌

作詞:村野四郎
作曲:岩河三郎

b0189364_8262435.jpg花の色 雲の影
懐かしい あの想い出
過ぎし日の 窓に残して
巣立ちゆく 今日の別れ
いざさらば さらば先生
いざさらば さらば友よ
美しい 明日の日のため

風の日も 雨の日も
励みきし 学びの庭
かの教え 胸に抱きて
巣立ちゆく 今日の別れ
いざさらば さらば先生
いざさらば さらば友よ
輝かしい 明日の日のため

 初めて気が付いたけど五七調だったんですね。お見事。
 なおこちらの歌はCDで聞くこともできます。『あの日教室で歌った 思い出の合唱曲』ってのがそれで、このCD、他にも懐かしい合唱曲が満載です。文化祭で歌った「モルダウの流れ」と「気球にのってどこまでも」が個人的には懐かしさ充填100%ですね。一番うれしいのはシューマンの「流浪の民」が日本語版で入っていたことで、この日本語版「流浪の民」、意外なことにクラシックのCDにもあまり見つからないんですね。そういうわけで僕としては久々のヒットCDでした(「巣立ちの歌」については他のCDもあります)。
by chikurinken | 2013-03-12 08:28 | 音楽

チョピンとは俺のことかとショパン言い

 前にベートーヴェン全集のところ(竹林軒出張所『ベートーヴェンの使い回し』)で書いたが、ショパン全集が手元にある。いよいよこれを全部聴いてみたという話である。
b0189364_811787.jpg 別のところで書いたが、20年以上前にルービンシュタインのショパン全集(10枚組、全集と名うっているが室内楽や歌曲が入っておらず全集とは言えない)を買っているので、ショパンのCDについては手持ちのものが結構ある。ルービンシュタインをはじめさまざまな演奏家のものをすでにiTunesに登録しているため、今回はそれ以外の楽曲を取り込んで聴いてみた。
 今回のショパン全集は、ドイツの名門音楽レーベル、グラモフォンによるもの(『Chopin Complete Edition』)であるため、演奏家もポリーニ、アルヘリッチなど錚々たる顔ぶれで、その点ではまったく不満はない。しかも英国の名門音楽レーベル、デッカから出ているアシュケナージの名盤も数枚収録されていて、この辺、グラモフォンとデッカとの間で何らかの交渉があったんだろうが、非常に贅沢である。おそらくグラモフォンの意向で、グラモフォンに足りない楽曲をデッカからレンタルして補ったんだろうと思う。なお前に書いたように、僕は3800円で売られていたときに輸入盤を買った。今は5000円くらいだが、17枚組であることを考えると、この値段でも十分お買い得であると言える。この企画は、ショパン生誕200年記念として2010年に発売されたアルバムで、日本版も出ている……ようだ(中身が同じかどうかは未確認)。
 内容はと言うと、ルービンシュタインのコレクションを持っていることもあり、楽曲の目新しさはあまりなかったが、それでも声楽曲や室内楽曲は珍しい。ショパンと言ったらピアノ曲しか知らなかったもので、それ以外のものは非常に新鮮である。といってもこういった曲にもピアノ・パートは入っているわけで、ピアノ抜きの曲は実は存在しないのだ、おそらく。さすがピアノの詩人! 演奏はどれも良く、今のところ物足りなさは感じていない。
 今回全集に触れてわかったのは、一般的に「第●番」という番号付きで呼ばれている曲(ワルツ、マズルカ、ポロネーズなど)は、元々その多くが2、3曲のセットで発表されているということである(前奏曲、練習曲は例外)。たとえばポロネーズ第1番と第2番は『2つのポロネーズ』として発表されている。この「第●番」というのはやはり後の人が付けたんだろうが、すべてが出版順というわけでもなく、これ自体にあまり意味がないんではないかということに気が付いた。ショパン自身は出版した作品に作品番号を付けているが、この作品番号にしても、ショパン死後、関係者が勝手に付けたものもある(作品66以降)らしく、少々ややこしい。ちなみにショパン自身は、(作品66以降を含む)未発表の作をすべて破棄してほしいと遺言したらしい。実際にはショパンの意向は尊重されなかったが、しかし作品番号の付いていない作品にも秀作があることを考えれば、結果的には良かったのかとも思う。
 それからもう一つわかったのはマズルカが異常に多いということで、全部で60曲近くある。ショパン自身、マズルカに思い入れがあったということなんだろうか。全集を聴いたといっても、実際のところはそういうことをつらつら考える程度なんだが、それでもやはり「全集は良い」と思う。ある作曲家の生涯の作品すべてに当たることができるわけで、贅沢きわまりない体験と言える。まあしかし、全集を聴いて、この程度の感想しか出てこないというのも少しみっともない気もする。

参考:
竹林軒出張所『ベートーヴェンの使い回し』
竹林軒出張所『輸入CDはウラシマ状態』

by chikurinken | 2012-07-31 08:04 | 音楽