ブログトップ | ログイン

竹林軒出張所

chikrinken.exblog.jp

タグ:日常 ( 128 ) タグの人気記事

「反復練習が上達を生む」の実証 - 『ひたすら一万回』

 テレビの正月特番がことごとくつまらないものばかりになって久しいが、毎年1つや2つは見るべきものはあるもので、今回も1つあったのでそれをご紹介。
b0189364_15394330.jpg テレビ東京系列の『ひたすら一万回』という番組がそれで、元日の深夜(厳密には1月2日)に放送された1時間半のバラエティ番組である。テレビ東京系列の新しいバラエティ番組は、とりあえず夜中に放送してみて、好評だったら継続、それからゴールデンに……というパターンが多いが、この番組などはまさにそのパターンに収まりそうな素材である。
 番組の冒頭にブルース・リーの言葉「私は1万種類の蹴りを1回ずつ練習した人は恐れないが、1種類の蹴りを1万回練習した人は恐れる」が引用され、1万回を実行したときに見えてくる景色はどういうものになるのか……というテーマがこれに続く。これを検証するために、ある民家を「1万回ハウス」という名前でしつらえ、このハウスで、さまざまなことについて1万回の試行をやってみるというというのがこの番組の主旨になる。
 最初に登場したのは書道で1万回練習するとどの程度上達するかという検証で、「永遠」という字を延々と書いていくというもの。トライするのは字が下手な自称キャスターの女性で、途中2回だけ先生が手本を示したが、後はひたすら書いていくだけ。ただし何枚も続けて書いていると、当然手首などに障害が出てくるんで、こうやって連続でやるというのは方法論としては理想的ではないが、しかしそれでも1万枚目が相当な上達を示しているのは明らか……という結果になった。なお「永遠」という字だが、書道で必要なさまざまなテクニックが凝縮されているらしく、練習素材としてピッタリということであった。
b0189364_15394738.jpg もう一つ興味深かったのが、野球経験のないド素人(芸人)がバットの素振りを1万回やるとどうなるかという検証。これもさすがに1万回やると身体のあちこちに障害が出てくるが、一方でスウィングの形はそれなりにさまになってくる。そして最後に元阪神タイガースの井川投手のストレートを打ってみるというトライアルを実施するわけだ。なんとなくかつての『探偵!ナイトスクープ』風の構成ではあるが、何でも反復すると上達する、反復が上達の第一歩という基本事項を例証してみせるこの2つの実験は非常に興味深かった。
 他にもおっぱい1万回揉み(これでバストアップするか)、ギャンブル一点買い1万回(これで最終的にプラスになるか)、餅を1万回つくとどうなるか、コーラを1万回振るとどうなるかなど、いかにもバラエティ番組向きのくだらない検証も行われた。それぞれそれなりに面白く、結果も面白いものにはなったが、内容や結果に興味を引かれるというものではなかった。
 マルコム・グラッドウェルの著書『天才! 成功する人々の法則』に「どんな分野でも一流になるには10,000時間の修養が必要」という記述があったが、この番組は、それを実証してみせる結果になっており、そういう意味で実に面白い企画だったと言える。番組作りもこなれていて、決して飽きさせない工夫が随所に施されている。おそらくゴールデンに進出してもそれなりに人気を集めるのではないかと思うが、いかんせん、1万回の実験材料を集めるのがかなり難しいのではないかと予測できる。今回の放送も、ギャンブルとか餅とかは結構「無理から」企画で、面白くはあるがナンセンスである。これを週単位でやるとなるとかなり厳しくなるのではないか、結局ネタ切れになってきて、早々に今の『ナイトスクープ』状態になってしまうのではないかということが簡単に予想できる。年に1回ぐらいだったら何とかなるかなーという印象。是非、また来年もやってくれ。

参考:
竹林軒出張所『天才! 成功する人々の法則(本)』
竹林軒出張所『アドリブの相乗効果 - 「YOUは何しに日本へ?」が面白い』
竹林軒出張所『日本世間噺体系テレビ版』

by chikurinken | 2019-01-03 15:40 | 放送

2019年お年賀

あけましておめでとうございます
b0189364_15084558.jpg

 おかげ様で十周年!!
              竹林軒
by chikurinken | 2019-01-01 07:08 | 日常雑記

ちょっとひとこと

 かつてある知り合いから、このブログで紹介している本について、本当に全部読んでいるのかと訊ねられたことがある。確かに数日間に渡って何冊も立て続けに紹介するので、こういった疑問も当然だとは思うが、声(文字)を大にして言いたい。
全部読んでいます!
映画やドキュメンタリーも、ここで扱うものについては全部隅から隅まで見ている。ただし注をつけるならば、ここに紹介している記事は、概ね随時書き溜めたものであるため、ここに出てくるタイミングで読んだり見たりしているわけではない。このことはお断りしておかねばなるまい。
b0189364_18521724.jpg たとえばこの数日間で、ドナルド・キーン著の『明治天皇』を〈1〉〜〈3〉まで3日続けて紹介したが、実はそれぞれの冊を読み終わるのにそれなりに時間がかかっている(そもそも僕は本を読むのが速い方ではない)。〈1〉を読み終わったのが7月の初め頃で〈2〉は7月の終わり頃、〈3〉が8月上旬である。〈4〉は現在読んでいる最中で、おそらく8月末ぐらいには読み終わるんじゃないかと思う。このような具合で、このブログに挙げるに当たって、ある程度の原稿を書き溜め、その上で映画→ドキュメンタリー→本→ドラマの順番に2〜4本ずつ連続で、2日に1回程度のペースでアップするというのが目下のスケジュールである。ある程度関連性のあるものをまとめていることから(たとえばこの『明治天皇』の前はエッセイ3点、そしてドナルド・キーン繋がりで『明治天皇』に繋がっている。このあたり気付いていただけるともっと楽しめます)、中には先延ばしになってしまうものもある。書き溜めた量がある程度増えたら、掲載するペースもアップして数日間連続で……ということもある。僕自身このブログもなるべく継続したいと思っているため、間があまり空かないようにしたいと思ってはいる(間が空くとそれが普通になってしまってだんだんやらなくなってしまうのが常)が、あまりに溜まってしまっても、アップする頃にはこちらが内容を忘れてしまうなどということもあり得るわけで、個人的に新鮮さが失われてしまうということになる。そういうわけで、どういうペースでアップするかは、随時考えているわけだ。特に私生活で暇が続くと、DVDレコーダーに撮り溜めしている映画やドキュメンタリーをなるべく多く見て消費してしまおうと考えていて、それで見る映画やドキュメンタリーの数が多めになり、結果的に原稿が増えてしまう。そういうことがあると、その後しばらく毎日投稿が続くということにもなる。
 最近は、以前と比べてアップロードする間隔がやや空く(ほぼ1日おき)ようになったせいか、あるいはあまり一般受けしない素材が多くなったせいか、はたまた文章のレベルが落ちてしまったせいか知らんが、アクセス数が以前より大分減ってきており、それはそれで別に構わないんだが、そのこともあって必ずしも(読んでいる人を意識してサービス精神で)立て続けに連続で投稿することに必要性を感じていない。結局は自分が後で振り返るという目的が主になるのであるから、あくまで自分のペースを守りたいと思っている。ここを頻繁に訪れてくださっている皆さんには申し訳ないが、無理しても続かないのは目に見えているので、ご了承いただきたいところです。

by chikurinken | 2018-08-18 07:51 |

2018年お年賀

あけましておめでとうございます
b0189364_13260594.jpg

 やめようと 思いながらも 年賀状
                  竹林軒
by chikurinken | 2018-01-01 07:25 | 歳時記

プライベート・ビエラ -- ユニークな製品だが使い方を選ぶ

 ビデオ周りにいろいろと問題が起こったため、プライベート・ビエラという製品を買った。非常にユニークな製品で、一見ただのDVDレコーダーとモニターのセットでありながら、その実、レコーダーからモニターに映像を無線で送ることができるというスゴ技がある。レコーダー自体は普通のDVDレコーダー同様普通のテレビにつなぐことができるため、普通のレコーダーとしても使えるが、電波を飛ばして子機(モニター)でも内容物を見ることができるというところがミソである。
b0189364_8315471.jpg
 コンセプトとしてはかなり面白く、これが額面通り機能すれば言うことはないんだが、問題が一つあった。つまり送信される電波が少々弱めということで、隣の部屋であれば普通に見ることができるが、少し離れた部屋となると、電波が途切れがちで、テレビ放送を見た日にゃ、たびたび放送が途切れて、画面が停止してしまうという想定外のことが起こってしまう。メーカー(つまりパナソニックだが)のホームページやカタログを見ると、かなり広い家でもコンテンツを普通に見ることができるように書かれているが、間に2部屋入るとかなり厳しいというのが現実。間に1部屋空いていてもたまに途切れる。うちの場合、レコーダーを置いているリビングから少し離れたところで見る予定だったため、これにはかなり参った。
 ただ間に無線中継器を入れることで電波の到達範囲を延ばすという手段もあり、パナソニックからも無線LAN中継機が販売されている。だがこれも結構なお値段で、追加の出費としてはちょっと痛い。そこで別のメーカーの無線LAN中継機を買うことにした。値段は半分以下であるが、これが使えるのかどうかは微妙なところ。ともあれ、アマゾンのレビューにこの製品を同じような用途で使用したという書き込みがあり、それを信用することにして結局これを買った。使えなければ文字通り余分で無駄な出費になるが、得をしたければ多少のリスクは仕方がない。
b0189364_8323974.jpg ところが実際使ってみようとしたところ、親機のDVDレコーダーがこれを認識せず、これはゴミを買ってしまったかと泣きそうな気持ちになっていたが、執念深くあれやこれや試してみたら、意外にあっさり接続できた。「WPSボタンを押す」というごく基本的な方法で、最初にこれを試したときはウンともスンとも言わなかったが、時間をおいてやってみたらきっちり接続できたわけ。原因はわからないが、ともかく使えるようになった。
 で、めでたく機能するようになったかというと、電波は、前よりは強力になったがそれでも弱めで、テレビ放送を見ていると途切れることが多い。録画したビデオについては、ほぼ途切れずに何とか見終わることができる。コンセプトが非常に面白い製品なので、せめて通常の家の中であれば電波が届くくらいの仕様にしてほしいところだが、まだまだ発展途上の製品ということなのか。また、リモコンもテレビ接続用のケーブルも付いていないため、必要であればこれも別途購入しなければならない。おかげで当初の目論見よりも大分予算がオーバーした。
 使う環境次第では非常に良い製品なんだろうと思う。それに防水になっているということなんでお風呂でも使えるらしい。風呂でテレビを見る必然性があるのか疑問ではあるが。ただ、ウチのような環境、使用目的では微妙な製品と言わざるを得ない。この製品を検討している方は、使用目的を十分考慮した方がよろしいでしょう。

参考:
竹林軒出張所『DVDレコーダー、動作を停止す』
竹林軒出張所『ポータブルWiFiルーターの設定……難儀した……』
by chikurinken | 2017-02-25 08:33 | モノ

2017年お年賀

あけましておめでとうございます
b0189364_18485121.jpg
分け入っても 分け入っても 泥の沼
                     竹林軒
by chikurinken | 2017-01-01 07:45 | 歳時記

『快刀乱麻』を聴く

b0189364_928133.jpg 竹林軒出張所『内田喜郎と快刀乱麻』のところでも書いたように、かつて『新十郎捕物帖・快刀乱麻』というドラマがあった。1973年から74年に全26話が放送されたもので、前にも書いたようにスタッフもキャストもユニーク、演出も非常にユニークなドラマだったが、残念ながら最終回以外映像が残っていない。最終回は以前その一部が『テレビ探偵団』というバラエティ番組で放送されたが、めったにお目にかかれない。もしかしたら視聴者が個人的に録画したものが残っていて、それが出てくる可能性もないことはない(『同棲時代』のように)が、あまり期待できそうにない。しかし音声ならば一部残っていた。ASKDFHJOEIHという人がYouTubeに現時点で2話分アップロードしてくれていて、それを聴くことができる。2話分といってもどちらも一部であるが、そんな贅沢は言っていられない。何しろまったく残っていないんだから。
 そのうち第21話「鳥と鳥とをとりちがえ」(YouTube:快刀乱麻 第21話「鳥と鳥とをとりちがえ」)は36分間分収録されていて、これがあのドラマの味をよく伝えてくれる。花紀京の泉山虎之介と植木等の花逎家因果、河原崎長一郎の古田巡査が非常に良い味を醸し出している。若林豪の結城新十郎は原作と大分イメージが違うが、池部良の勝海舟はドンピシャリ。愛人のお馬さん役をやっていたりするのも良いし、虎之介との掛け合いも抜群に面白い。難を言えば、冒頭部分がないため、ドラマで起こった事件の概要がわかりにくいという問題はあるが、やはり致し方ない。聞けるだけありがたいってもんだ。
 もう一方の第23話「唐獅子牡丹に血汐がボタン」(YouTube:快刀乱麻 第23話「唐獅子牡丹に血汐がボタン 」新十郎の謎解き)の方は最後の5分だけで、ストーリーはなんだかよくわからないが、ドラマの雰囲気はよく伝わってくる。泉山虎之介と花逎家因果の掛け合い、虎之介と勝海舟の掛け合いが楽しく、このドラマの魅力の一端がわかる。
 なお、唯一残っている最終回については、『テレビ探偵団』で紹介された部分のみ、YouTubeで見ることができる(YouTube:快刀乱麻最終回)。これは放送当時見た記憶があるが、歌を担当していた内田喜郎の奥さんのリクエスト投稿に基づいて紹介されたものである。適当に編集しているので全体像は見えてこないが、結城新十郞が原作のイメージとまったく違う任侠の人になっているのが少々気恥ずかしい。だが映像はこれだけしかないんだからやむを得ない。ただ最終回は他の回と雰囲気が違っていたような印象があるので、これがドラマ『快刀乱麻』だと言うと少し違うような気がする。何しろ残っていないんだからしようがないが。
 この70年代前半というのは、ともかくカラービデオテープの使い回しが多かったせいで、当時作られたドラマはその多くが失われている(竹林軒出張所『同棲時代(ドラマ)』を参照)。だから結局は、映像や音源が残っているかどうかは視聴者頼りということになる。今回『快刀乱麻』の音源だけでも聴けたのは大変ラッキーだったと言えるわけで、今後もこのような資料が出てくることを期待しつつも、一方であまり期待できないなーとも思う。とりあえずこのドラマの音声を投稿してくれたASKDFHJOEIH氏には感謝である。

参考:
竹林軒出張所『内田喜郎と快刀乱麻』
竹林軒出張所『新十郎捕物帖 快刀乱麻 (25)(ドラマ:音声)』
竹林軒出張所『明治開化 安吾捕物帖(本)』
竹林軒出張所『同棲時代(ドラマ)』
Wikipedia:「新十郎捕物帖・快刀乱麻」
竹林軒出張所『さらば国分寺書店のオババ(ラジオドラマ)』
竹林軒出張所『日本の異様な結婚式について(ラジオドラマ)』

by chikurinken | 2016-10-25 07:39 | ドラマ

2016年お年賀

あけましておめでとうございます
b0189364_19123988.jpg
 歩いても 歩いてもなほ 霧の中
                    竹林軒
by chikurinken | 2016-01-01 08:16 | 歳時記

わたしの「京都慕情」

 秋の京都で、琳派の美術作品などを見てみようと思い立ち、京都まで赴いた。そのため一番のお目当ては、京都国立博物館で開かれている『琳派 京を彩る』展である。その他にも、楽美術館で本阿弥光悦の楽茶碗が展示されているらしいし、近代美術館でも『琳派イメージ展』などという展覧会をやっていて、京都は琳派一色……というのは大げさだが、ともかく琳派で盛り上がっているらしい(まあごく一部でだろうが)。他にもフェルメールとレンブラントの油絵を展示した展覧会も市立美術館でやっているらしいし、美術好きにはいろいろ見所満載の秋の京都である。
b0189364_8395466.jpg
 で、朝から京都に赴き、京都駅から京都国立博物館までてくてく歩いて行った。博物館に着いたのは午前10時(開館は9:30)で、10時からだったらゆっくり見られるだろうと思っていたんだが、あに図らんや、なんと朝10時の時点であるにもかかわらず、「180分待ち」という驚きのプラカードが出ていた。美術を見るために3時間も待つみたいなバカバカしい企画にはまったく参加する意志はないので、これが一番の目的であったにもかかわらず、速攻パスした。たとえ3時間並んで入ったところで、場内は人でごった返していて「立ち止まらずに進んでください」などという絶叫が聞こえること請け合い。今回の展示品にこんなラッシュアワーみたいな環境で、人を押しのけて見るほどの価値が果たしてあるのかもはなはだ疑問である。もっとも疑問といえば、そもそもなんでこんなに人が集まっているのかそれ自体がわからない。もちろん国宝も展示されているんだが、100年に一度しか見られないとかいう代物ではないわけで、正直呆れてしまった。ちょっと見た感じ、年配の方々が多かったので、時間が余ってしようがない人々が見に来ているんだろうが、この方々にどれほどこの展示品の価値がわかるのかも皆目見当がつかない(まあ僕もわかりゃしないんだがね)。
 思えばこの京都国立博物館、ここのところ、行くたんびに中が人でごった返している。以前も雪舟の展覧会が人だらけでろくろく見ずに出て来たことがある(このときは30分ほど並んだ)。その前も何の展覧会だったか忘れたが、美術館の前まで行ったにもかかわらず、あまりに人が多すぎて入らなかったことがある。
 こういうことを考え合わせると、京都国立博物館自体の企画に人が集まりすぎているのではないかと感じるのである。はっきり言うと広報のやり過ぎということで、特にこの京都および東京国立博物館の企画は、最近メディアとタイアップしたものが多いため、テレビに踊らされた観客が必要以上に集まっているのではないかと思える。結局時間に余裕のある年寄りがたくさん集まることになって、ゆっくり見たいと思っている若者は行かなくなっていくわけで、そうすると長い目で見ると、長期的な美術ファンが減っていって博物館にとってマイナスになるんじゃないかなどという危惧が老婆心ながら出てきてしまう。博物館側が観客を集めたい気持ちはわかるが、あまりにも度が過ぎている。できる限り観客動員数を上げたいというのならば、たとえば開館時間を21時までにするとか、そういった工夫をする義務があるんじゃないのか。少なくとも今の状態は美術品を見せるという環境ではない。僕が京都に住んでいた頃は、この博物館、こういうことはまったくなかったんで、こういうような状況はここ10年くらいのことだと思う。だがこういう状態が改善されないのであれば、二度とあの博物館には行きたくないと思う。マジで。

 で、この博物館は、憤慨しながら後にしたんだが、その後は東山を歩き回り、京都三年坂美術館、京都市美術館、細見美術館(琳派の焼物 乾山」展)と辿っていった。
b0189364_8442672.jpg 京都市美術館では『フェルメールとレンブラント:17世紀オランダ黄金時代の巨匠たち』という展覧会が開催中で、フェルメール作品が来てるんで、こちらもさぞかし人人なんじゃないかと思ったら、意外や意外、常設展並みの人の入りで、少しばかり肩すかしを食った。フェルメール作品1点の他、レンブラント作品2点、ハルス作品2点が展示されていたが、会場内も人でごった返すということはなく、逆に展示作品がもしかしたらイミテーションなのかと感じるほどだった(もちろん実際は本物)。なんせフェルメール作品なんて世界で37点しかなくて、そのうちの1点がこの王城の地に来ているというのに、京都の皆さんはあまり洋画に関心がないのか、むしろこっちに3時間の行列ができていてもおかしくないのになどと感じる。ただし他の作品群については、なんとなく寄せ集めというか水増しみたいな印象があったが、これについてはまあ致し方あるまい。
 午後は楽美術館、京都文化博物館と美術館をめぐっていった。楽美術館については本阿弥光悦の楽茶碗は数点で、なんだかちょっとはめられたような気分になった。「琳派」ばかり前面に押し出して集客を目論む京都美術界の姿勢に少し疑問を感じたりもする。
 その後行った京都文化博物館では、ダ・ヴィンチが描いたという「アンギアーリの戦い」の下絵の展覧会が開催されていたが、こちらも全体的に水増し展覧会で、あまり見る価値はなかったかなという代物。「ダ・ヴィンチ」ブランドで押しまくろうとしたが、展示物がどうしても足りないという雰囲気が漂っている。中にはダ・ヴィンチの手書き原稿の「FAX原稿」なんてものまで展示されていて「無理から」感が大変強い展覧会であった。この京都文化博物館という建物は僕が住んでいた頃はなかったが、正直言ってあまり存在価値のある建物には見えない。ハコモノ作りが日本全国で流行っていた頃に作られたのではないかと思うが、今回の展覧会と言い、中の常設展示物と言い、どうも役所仕事みたいな印象がぬぐえなかった。
b0189364_846325.jpg その後、近くにある「三条境町のイノダっていうコーヒー屋」に行ってみた。実は今回の京都で一番満足度が高かったのはこのイノダであった。僕は京都に数年間住んでいながらこの名物コーヒー屋に行ったことがなかったので、一度はと思い、今回行ってみたわけ。実はここも最初人でごった返していて、席が空くのを待っている人が随分行列を作っていて「イノダよお前もか」と思ったんだが、先に文化博物館の方に行くことにして、その後行ってみたら、すんなりと入れたという次第(人が多かったら寄らずに帰ろうと思っていたんだが)。イノダについては中の雰囲気が非常に良く、それまで感じていたあれやこれやの不満が一挙に融けていった。イノダに救われた恰好になった。
 それにしても、今回あらためて思ったが、京都には人が多すぎる。東大路通り(七条から五条の間)なんか歩道がわずかな幅しかなく、向かいから来る人とすれ違うことすら簡単にできない。しかもときどき自転車までやってくる。ただ自転車乗りに車道を走れと言うこともためらわれるくらい、ここの車道は危険で、狭い上に大型バスがキワキワまで寄せてくる。以前僕自身このあたりをよく自転車でウロウロしていたはずなんだが、どうやってたんだろと今になって思う。
 清水寺への参道も非常に狭い路であるにもかかわらず巨大な観光バスがばんばん通っていて、危ないったらありゃしない。京都も観光でやっていこうという気があるんなら、人が歩きやすい環境を作るか、交通網をしっかり発展させるか、あるいは自動車の乗り入れ制限するとかしないと、いずれ客から見放されるぞと心底思った。こういうのはあそこに住んでいるとなかなか気付かないことで、離れてから初めてわかることなのかも知れない。

参考:
竹林軒出張所『京都のゴッホ展 ……あんこも欲しいじゃないか』
竹林軒出張所『特別展覧会「狩野山楽・山雪」』
竹林軒出張所『京都人の密かな愉しみ 夏(ドキュメンタリー)』
by chikurinken | 2015-11-09 08:50 | 日常雑記

ヒジからチューチュー

 たまにこのブログの過去の記事なんか読み直したりするんだが、あんまり病気の記事がない。前に貧血で苦しんだのが2012年1月だからかれこれ3年近く健康体だったということになる。そう言えばたまに背中と腰が痛くなって整体院に行って直してもらうのも3年に1回程度で、割合元気な方だよなーと思う。同年代の知人たちがあちこちに不調があるみたいな話をしているのを聞くにつけ、ありがたい話だと思う。考えてみると人間の健康状態なんていうのも綱渡りみたいなもんで、健康に生きていられるのも奇跡と言って良いかも知れない。もっともこれからの世の中、大病しようもんなら生活破綻してしまうというアメリカ的な状況にもなりかねないので、注意が必要である。
 そういう健康体な僕ではあるが、先日自分のことで病院に行ったので、その話を少し。
b0189364_8121635.jpg 少し前から、左肘が妙にブヨブヨしだして、違和感を感じるようになった。大して痛みはないんだが、気持ち悪いったらない。よく膝に水が溜まるなどという話を聞くが、おそらくあれに近い感じではないかと思う。何かが肘に溜まっているというのはわかる。ほっといて治るもんならほっときたいが、ネットで調べると「水ぬかなきゃなんねー」みたいなことも書いてある。
 原因をいろいろ考えてみたんだが、肘を強打したりとかいうことはまったくないし、ピッチャーじゃないんで投げ込みすぎなどということもまったくない。確かに数週間前から肘の汚れが気になって風呂でごしごししていたが、ただあんなことだけで、肘が腫れたりするのか疑問である。そうやってつらつら考えているうちに、自転車に乗っているときに左肘に痛みを感じたことが過去たびたびあったことを思い出した。この自転車ってのは、2012年に買ったモノだが、長時間乗ると左肘だけに妙に違和感が出る。しようがないのでグリップを握りしめなかったりして工夫していたんだが、あれが原因ではないかと思いはじめた。おそらく風呂のゴシゴシとの相乗効果でこういう症状が出たのではと自分で勝手に結論を出した。
 とりあえずまず治療を受けようということで以前「ひょうそ」のときにお世話になったクリニックに行った(竹林軒出張所『ひょうそ譚』参照)。例によってあのユニークな医師が対応してくれて、相変わらずわかったようなわからないような受け答えをして癒やしてくれる。とりあえず水だけ抜いとくかという話になって、注射器を使ってチューチューやってもらった。「血が混ざってるやろ」みたいなことを言って見せてくれるのもなかなか楽しい。
 「あんまり治らんようだったら血袋を切らんといけん」みたいなことを言われるが、重大という感覚でもなさそうである。そもそも血袋というのもピンと来ない。
 「ほっといて治るようなものではないのですか」と僕の方から聞いたところ、「治ることもあるし治らんこともある」とこちらもわかったようなわからないような回答であった。
 今回も「ひょうそ」のときと同様「ひどおなったらまたおいで」と言われてクリニックを後にすることになったが、今回も病院に来てから帰るまでわずか30分で、相変わらず手際の良い病院である。ただしチューチューの度合いがやや遠慮がちだったため、晴れは小さくなったが、その後もある程度の大きさのブヨブヨが残ってしまった。
b0189364_8155059.jpg 一方で自転車の方だが、ブレーキレバーの位置が左右で違うということに気が付いた。ハンドルに変速コントローラがついている自転車では一般的なんだが、右側は変速機があるせいでブレーキレバーがやや右に寄っているため、左右対称の位置になっていない。少なくとも右肘に痛みは感じないので、これが原因と断定して、左側のブレーキレバーを内寄りにした。つまりグリップとブレーキレバーの間に2〜3cmの隙間を設け、左右対称の位置にブレーキレバーを配置したわけ。
 で、結論から言うと、これが功を奏したようで、治療後も残っていた肘の腫れが少しずつ小さくなり、自転車に乗っていても以前のような肘の痛みを感じることが一切なくなったのだ。つまりビンゴだったということになる。そもそも肘に痛みを感じた時点で対策を講じるべきだったんだろうが、ひどくならないとやらないという、ものぐさな性分のために少々遠回りをしてしまったわけである。
 なお自転車は、すでに走行距離が8500kmを超えるほどフル稼動しており、タイヤも先日前後とも交換した。この肘問題以外、まったく問題がないよくできた自転車であることを付記しておく。

参考:
竹林軒出張所『ひょうそ譚』
竹林軒出張所『自転車を買う(その1)』
竹林軒出張所『自転車を買う(その2)』
竹林軒出張所『年頭の所感2014 〜五十にして老先を知る〜』
竹林軒出張所『整体院に行った話』
竹林軒出張所『貧血記』
by chikurinken | 2015-09-18 08:16 | 日常雑記