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竹林軒出張所

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タグ:批評 ( 2167 ) タグの人気記事

『虫めづる姫君 堤中納言物語』(本)

虫めづる姫君 堤中納言物語
蜂飼耳著
光文社古典新訳文庫

『堤中納言』に触れるにはもってこい
ただ少々サービス過剰……


b0189364_19204921.jpg 鎌倉時代あたりに書かれたという『堤中納言物語』を現代語訳した本。訳したのは蜂飼耳って人。小説やエッセイなどを書いている人らしい。
 日本の古典だからといって必ずしも原文で読む必要はなく、こなれた現代語で読むのもまたよし。高校の教育のせいか、古文は原文で読まなければならぬという思い込みが強いのは日本人の悪い癖である。むろん原文で読めたらそっちの方がそりゃ良いわけだが、原文で読むのは一般的には難しい。無理して読むにはちょっと……ということで結局古典作品をまったく読まないことになる。むしろ外国人であれば(ネイティブ言語の)現代語で接することもできるわけで、外国人で日本の古典が好きという人が、日本人より(日本語に触れる人という割合から考えると)多いということすら起こっている。これは、日本人にとってははなはだもったいないことである。
 そこで選択肢として出てくるのが、こういった現代日本語訳版である。『いつか読んでみたかった日本の名著シリーズ』(竹林軒出張所『石田梅岩「都鄙問答」(本)』など参照)も同じ発想だが、内容を楽しむという目的であればこれで十分。この『堤中納言物語』は、10本の短編で構成されている短編集で、その中でも「虫めづる姫君」が有名な作品である。これは、世の中では蝶よ花よと蝶を愛でたりするが、物事の本質を知りたいのであれば、蝶の姿を見るだけでなく蝶に変わる毛虫こそ大事だなどと主張する(正論を吐く)姫君の話で、この話に限ってはなかなか凝った設定で面白い。
 ただし他の短編については、大したオチもなく、情景描写に終始するような話ばかりで、現代的な感覚の短編小説とはちょっと違う。そのため、そういうものを期待するとガッカリするかも知れない。「虫めづる姫君」についても、話はなかなか面白い過程を辿って推移するが、結末がないと来ている(「続きは第二巻」などと書いているが第二巻は存在しない)。中世の物語らしく和歌も多数出てきて、『伊勢物語』や『大和物語』などの歌物語みたいに思える話もある。実際『伊勢物語』と『大和物語』に出てくる話とよく似た「ザ・定番」というような話もある(ある男が妻と関係を切ろうとするが、その妻がふと詠んだ和歌に感動して、そのまま居着くという話)。そのあたりがこの『堤中納言物語』の限界なのかと思う。
 訳はまずまずこなれていて非常に詠みやすい。この文庫本シリーズのキャッチフレーズが「いま、息をしている言葉で、もういちど古典を」というものであることを考えると、目的には十分適っている。また、一般的にあまり知られていない事物については詳細な注や写真、図版で解説されており、和歌についても、その都度ちゃんと解説されている。それぞれの話は、訳者が現代的なタイトルを付けており、またそれぞれの話に続けて解説風の文章も付いている。もっともこの解説風の文章(「〜を読むために」というタイトルが付いている〈〜にはその前の話のタイトルが入る〉)は、ほとんどが内容のストーリーの要約で、なくても(あるいはもっと短くても)良いと思う。最後の最後には訳者による「解説」も付いていることだし、本音を言うと何のために存在するのかわからないという気さえする。巻末には「堤中納言物語関係年譜」などという年表まであるが、これもほとんど何の役にも立たないと思う。もちろん本自体は、非常に丁寧に作られているという印象で好感が持てるが、少々サービス過剰かな(あるいはページ稼ぎか)という感は否めない。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『歎異抄 (現代語訳版)(本)』
竹林軒出張所『風姿花伝 (現代語訳版)(本)』
竹林軒出張所『石田梅岩「都鄙問答」(本)』
竹林軒出張所『現代語訳 南総里見八犬伝 (上)(本)』

by chikurinken | 2019-05-20 07:20 |

『罠師 片桐邦雄・ジビエの極意』(ドキュメンタリー)

罠師 〜片桐邦雄・ジビエの極意〜(2018年・静岡放送)
監督:柏木秀晃
撮影:三島乾児
ナレーション:鉄崎幹人

生き物を食らうということに思いを馳せる

b0189364_17435465.jpg 「ジビエの極意」というタイトルのせいで(グルメのドキュメンタリーかと思っていたため)あまり食指が動かなかったが、「日本民間放送連盟賞グランプリ受賞」という謳い文句に惹かれて見てみたところ、非常に濃密なドキュメンタリーで、結果的に嬉しい驚きになった。ちょっとお目にかかれない映像も満載で、「グランプリ受賞」にふさわしい傑作だと感じる。
 静岡県浜松市在住の片桐邦雄という人は、ジビエ料理の割烹を経営する料理人だが、実はここで供される野生動物の肉はこの人自身が獲ってきた獲物のものである。しかも銃ではなく罠を使って動物(猪や鹿)を生け捕りし、丁寧に捌いて、あらゆる部位を活用し、それを料理にして提供するという徹底ぶりである。この片桐氏、獲物は自然からの贈り物であってその命に対しても敬意を表す……というスタンスであり、さながら狩猟採集先住民族の哲学のようである。生け捕りにするのは、処理するまでに時間をかけないようにするという目的のためで、こうすることでジビエ料理につきものの血なまぐささをなくすことができるらしい。
 実際の狩の様子も撮影されており、これがまた緊迫感に溢れたすばらしい映像である。罠はすべて自作で、動物が足を踏み入れるとその足を拘束するという仕掛けである。獲物がかかると発振器でそれが知らされることになる。その後、その動物の元に駆けつけ、まず鼻、それから足を拘束してから、動物に目隠しを施した上でそのまま(無傷で)車に積み込むという算段になっている。だがこういった一連の作業はすべて一人で行われるのである。つまり1対1で獲物に対峙するため、獲物を獲る方もかなりの危険が伴うわけである。映像には、片桐氏の息づかいや動物のうなり声が収められており、生き物対生き物のせめぎ合いをそこに見てとることができる。こういう映像を見せつけられると、最大限の労力を費やして獲物を捉えた片桐氏が、その獲物に対して敬意を払うようになるというのもよく理解できるというものだ。食肉の状態で売られているものを見てもそこに生命を感じることはあまりないが、直接こうして生命と格闘すれば、それを食うとしても、少し前まで食う側と同じ生命を持っていた生き物であることが意識される。生命というのはそれくらい重いものであるはずで、これこそがこのドキュメンタリーのテーマであると思う。それが、現代の、生命をないがしろにしたかのような食に対する、意義深い問いかけになっているのである。
 この片桐氏、他にも川魚漁をやったり、ニホンミツバチの養蜂までやっているらしい。このあたりも大変興味深いところで、この辺も紹介してほしかったが、本作がグランプリを受賞したことでもあるし、もしかしたらこの辺にスポットを当てた続編が作られる可能性もある。瞑目して待とう。
平成30年日本民間放送連盟賞グランプリ受賞
★★★★

参考:
竹林軒出張所『Love MEATender(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『イヌイットの怒り(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『いのちの食べかた(映画)』
竹林軒出張所『フード・インク(映画)』
竹林軒出張所『ありあまるごちそう(映画)』
竹林軒出張所『タイマグラばあちゃん(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『食について思いを馳せる本』

by chikurinken | 2019-05-18 07:43 | ドキュメンタリー

『"脱プラスチック"への挑戦』(ドキュメンタリー)

"脱プラスチック"への挑戦 〜持続可能な地球をめざして〜
(2019年・NHK)
NHK-BS1 BS1スペシャル

「脱プラスチック」は喫緊の課題のようだ

b0189364_20161523.jpg 先進国で進展している「脱プラスチック」へのアプローチを紹介する100分のドキュメンタリー。
 マイクロプラスチックの海洋汚染については、過去、別のフランス製のドキュメンタリー(竹林軒出張所『海に消えたプラスチック(ドキュメンタリー)』を参照)でも取り上げられていたが、このドキュメンタリーは、あれの日本版という趣である。
 前後編の2部構成になっており、前半は、17歳の少年が始めたオランダのNPO、オーシャンクリーンアップの海洋プラスチック回収の試み、後半は、海外の行政組織によるプラスチック容器禁止の流れを紹介する。言い換えると、前半が既存のプラスチック・ゴミの除去、後半がゴミ・プラスチックの発生の遮断がテーマということになる。
 現代社会でプラスチック製品が溢れているのは、今さら言うまでもない事実である。流行りのカフェに行っても飲料がプラスチック容器で出されるし、店に行っても何でもかんでもプラスチック袋に入れられてしまう。こういったプラスチック製品のかなりのものが、一度しか使用されない、廃棄されるのが目的であるかのような製品と言える。このような容器や袋は、言ってみればゴミを生産していると言っても過言ではなく、それを考えればプラスチック・ゴミが増えるのは当然である。日本ではこういったプラスチックの多く(80%以上)がリサイクルされていると喧伝されているが、実態は、その多くが焼却処分されている。これを日本では「エネルギー・リサイクル」などと呼んでリサイクル対象として扱われているらしいが、世界の(というより一般的な)常識ではこれは「リサイクル」ではない。「リサイクルされる」という文句が、消費者にとって免罪符のような働きをし、プラスチックを使うことに抵抗がなくなるため、こういう呼び替えはある意味犯罪的と言える。このように日本では、真の意味でプラスチックのリサイクルは進んでいない。そもそもプラスチックのリサイクル自体、手間も費用もかかるため、あまり現実的ではないのである。そのため一番良いのは端から使わないということになる。我々が子どもの時分は、これほどプラスチックが周りに溢れていなかった(ペットボトルだって存在していなかった)わけで、それを考えると、使い捨てプラスチックを無くしたところで、それほど不便になるわけではないのである。それでも、今の過剰に「便利」なシステムを捨てるのは、文明に逆行しているように思われるのか知らんが、消費者にとって抵抗が大きく、実現はなかなか難しいようである。
 京都の亀岡市が最近、レジ袋を禁止する条例を制定したが、この話を聞いたとき、僕自身、素晴らしいことだとは思いつつ、ちょっと拙速ではないかと感じてしまった。しかし世界のスタンダードはもっと先に進んでいるのだということが、このドキュメンタリーからわかる。フランスやニューヨーク市では、すでに同様の使い捨てプラスチック禁止を打ち出していて、施行に向けて動いているらしいのである(近日施行予定)。このことを考えあわせると、亀岡のケースでさえまだ保守的に感じられるほどである。当然、保守主義の代表みたいな日本政府がこういった取り組みをすぐに行うことはおそらくないだろうが、民間レベルで言うと、ある日本の企業がプラスチックを完全にリサイクルする技術をすでに開発しているという。そしてその企業が海外の企業や自治体から注目を集めている様子もこのドキュメンタリーで紹介される。さらに言えば、このようなプラスチック禁止の動きは、経済的にも新しいビジネス・チャンスに繋がるのだという話もあわせて紹介されている。
 プラスチック・ゴミが「第二の温暖化」とされるほど重大な問題であることは徐々に明らかになっており、この作品は、そのことを認識させるドキュメンタリーで、プラスチック・ゴミの現在の立ち位置をよく伝える番組である。ただし前半のオーシャンクリーンアップの取り組みについては、確かに若者がムーブメントを起こしたという点で素晴らしいことではあるが、彼らの取り組みが海洋のプラスチック汚染に実際にどの程度対応できるかは未知数(というより実際には大海の一滴みたいなレベル)で、それを考えると「象徴」としての意味合いしかないんじゃないかと思う(もちろんそれは大切ではあるが)。そういう点でオーシャンクリーンアップの取り上げ方が少々大げさすぎるような気がして、前半と後半にアンバランスさを感じた。この作品の製作者に対して、現実を見よと言いたくなってくる。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『海に消えたプラスチック(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『廃棄家電の悲しき行く末(ドキュメンタリー)』

by chikurinken | 2019-05-16 07:15 | ドキュメンタリー

『カラーでよみがえるパリ』(ドキュメンタリー)

カラーでよみがえるパリ 〜ベルエポック 1900〜
(2018年・仏Compagnie des Phares et Balises)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー

近代パリという切り口に無理があったか

b0189364_19564685.jpg モノクロ映像にカラー化を施すという企画は世界中で進行しているようで、相当なモノクロ映像がカラー化されてきている。モノクロ映像をカラー化すると多くの場合臨場感が各段に向上するもので、色が付くだけでこんなに違うのかと思わせられることも多い。今回は、20世紀初頭のパリ、つまり華やかなベルエポックの時代の映像をカラー化したというもので、「ベルエポックのカラー化」という話を聞くと、思わず大きな期待を抱いてしまう。
 ただ映像自体は、竹林軒出張所『映像の世紀 第1集〜第4集(ドキュメンタリー)』などのドキュメンタリーですでに紹介されているものが多く、あまり目新しさはない。1900年のパリ万博やリュミエール兄弟の映画などは、本来は珍しい映像かも知れないが、個人的にはすでに何度も目にしているもので、カラー化されたと言ってもそれほど感慨は湧かない。むしろパリの街中の日常の様子の方に目を引かれて、そちらの方に興味を持った。ただし全体的な見せ方に工夫があまりないせいか、途中でかなり眠くなってしまった。
 対象がベルエポックの平和な時代であるためか、あるいは僕にあまり当時の知識がないためかはわからないが、先ほども言ったように、当時の風俗以外は、映像自体にあまり面白さを感じられなかった。もしかしたら「近代のパリ」という切り口に無理があったのかも知れないが、街の風俗のカラー化映像が非常に魅力的だっただけに(こういった風俗を中心に押しまくるとか)もう少し見せ方を工夫すると、もっと面白い作品になったのではないかという気もする。少々残念。
★★★

参考:
竹林軒出張所『映像の世紀 第1集〜第4集(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『カラーでよみがえる第一次世界大戦(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『ヒトラー 権力掌握への道(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『カラーでよみがえる東京(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『カラーでみる太平洋戦争(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『カラーでよみがえるアメリカ 1、2(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『カラーでよみがえるアメリカ 3、4、5(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『カラーで見る 独裁者スターリン(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『よみがえる“ワルシャワ蜂起”(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『色づくQ』
竹林軒出張所『地獄門 デジタル・リマスター版(映画)』

by chikurinken | 2019-05-14 07:26 | ドキュメンタリー

『お母さん、いい加減あなたの顔は忘れてしまいました』(映画)

お母さん、いい加減あなたの顔は忘れてしまいました
(2015年・シマフィルム)
監督:遠藤ミチロウ
撮影:高木風太
出演:遠藤ミチロウ、竹原ピストル(ドキュメンタリー)

ツアー・ミュージシャンの生き様の記録

b0189364_19050892.jpg 2011年遠藤ミチロウが全国で展開したライブ活動を追いかけるドキュメンタリー。
 遠藤ミチロウと言えば、ザ・スターリンというパンク・バンドのボーカルをやっていたロッカーである。このザ・スターリン、動物の贓物をまき散らしたりという、かなり過激で暴力的なライブ・パフォーマンスで有名で(僕はザ・スターリンのことを学生の頃知った)、しかも遠藤自身、おどろおどろしいメイクを付けていることから、彼もちょっとアブないタイプの人かと長年思っていたんだが、この映画に出てくる素の遠藤ミチロウは、穏やかかつ知的な人物(当時60歳)で、この映画での一番の驚きはその点だったのだった。
 それはともかく、映画は純粋にライブの模様と、そこに赴いてライブの開催者などと対話する模様を追った密着ドキュメンタリーで、面白いかと言われれば、遠藤ミチロウ・ファン以外にとってはあまり面白さを感じるものではない。事件といえば、この撮影の途中に東日本大震災が起こったことで、しかも遠藤の出身地が福島県二本松で、原発に割合近かったことぐらいである。これを受けてか遠藤自身が反原発の歌をライブで歌っている様子が流されるし、放射能汚染されている実家に戻るシーンなどもあるが、それでもこういった事象は、この映画では背景に過ぎない。あくまでもライブと旅回りの様子がメインで(たぶん)、遠藤ミチロウというツアー・ミュージシャンの生活や生き様を紹介するドキュメンタリーなんである。そのためもあって、遠藤ミチロウに対しては非常に親近感が湧く。まあ、そういった類の作品である。
 なおタイトルは、遠藤ミチロウの歌のタイトルから取ったものである。遠藤ミチロウは子どもがいないため、家族という概念の中ではいつまでも子どもの立場だと語っていたのが印象的だった。この歌自体もその辺の背景と関係があるのかも知れない。
 この遠藤ミチロウだが、先頃亡くなってしまった(2019年4月25日没)。だがこういった映像を介して本人に接すると、実際に生きているかどうかはあまり関係ないという感覚になる(そもそも直接的な面識があるわけではないし)。こういうドキュメンタリーという形で、素の遠藤ミチロウが映像によって後世にいつまでも残されることになったのは、結果的に不幸中の幸いだったのかも知れないなどと考えるのだ。
★★★

参考:
竹林軒出張所『ツール・ド・奥の細道(ドキュメンタリー)』

 以下、以前のブログで紹介した、ミュージシャン、忌野清志郎のツアーを追った映画の評の再録。この作品とよく似た地味な内容で、案の定あまり書くべきことが見つからなかったようだ。

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(2006年9月4日の記事より)
不確かなメロディー
(2001年・アースライズ)
監督:杉山太郎
ナレーション:三浦友和
出演:忌野清志郎、藤井裕、武田真治、上原裕、ジョニー・フィンガーズ

忌野清志郎率いるラフィータフィーのツアーを追ったドキュメント。
清志郎やロックのツアーに関心のある人向き。
★★★

by chikurinken | 2019-05-12 07:04 | 映画

『華氏119』(映画)

華氏119(2018年・米)
監督:マイケル・ムーア
脚本:マイケル・ムーア
出演:マイケル・ムーア(ドキュメンタリー)

アメリカの行く末についてきわめて悲観的
全編に渡って暗さが漂う


b0189364_19021127.jpg 『ボウリング・フォー・コロンバイン』、『華氏911』のマイケル・ムーアが、トランプをぶった切る。
 扱われているのはトランプ政権だが、通奏低音のように流れて主張されるテーマはアメリカ民主主義の危機で、現在の、多数派の意見がないがしろにされている状況を告発する。
 マイケル・ムーアと言えば、リベラル派の代表みたいな存在で、一部では「左翼」などと言う人間もいるようだが、マイケル・ムーアによるとアメリカの多数派はリベラルであるという。この作品でもいくつかの統計が紹介されているが、それによると、多数派は銃規制に賛成で、同性結婚を認めることに賛成で、国民皆保険に賛成だそうだ。ところが、本来あるべき民主主義制度が機能しなくなっており、そのせいで多数派の意見が政治に反映しなくなっているのだとする。
 実際、先の大統領選挙についても得票数は民主党のヒラリー・クリントンの方が多かったにもかかわらず、誰もが予想しなかったトランプの勝利という結果に終わった。原因の一つは選挙人選挙という古い制度が残存しているせいで、もう一つは民主党内の大統領候補予備選挙で、支持率の高かったバーニー・サンダースが巧妙に消し去られたという事実のせいであるという。返す刀で、民主党内の腐敗についても切り捨てられる。同時に、アメリカ人の間に蔓延する無力感のために投票率が低くなっているという事実に触れ、大統領選挙でも両候補の得票数より無投票の票がはるかに上回っているという現実が示される。
 こういったことが複合的に作用しているのが今のアメリカの現状で、アメリカの伝統とされている民主主義が今まさに危機を迎えており、そこに現れたのがドナルド・トランプだというのがこのドキュメンタリーの主張である。またドナルド・トランプの出現をヒトラーの出現になぞらえた表現もあり、ムーア自身がかなりの危機感を抱いていることが憶測される。そのためか、このドキュメンタリー全体を流れる空気が非常に暗く、これまでのムーア作品みたいな乾いた笑いはほとんどない。
 ミシガン州フリントの水道汚染の実態も告発されており、ミシガン州知事の利益追求のために多くの市民の生命が犠牲になっている状況も紹介されている(『ガスランド』の状況を彷彿させる惨事である)。こういう不正が蔓延している状況を目にすると絶望的な気分になるが、一方でティーンエイジャーたちが銃規制の声を上げて大きな流れを作っている様子や、草の根の政治活動も紹介され、まだ可能性が残されていることも示唆される。アメリカの民主主義が戻ってくる日が果たしてやって来るのかわからないが、民主主義は守るための相応の努力を払わなければ、いつでも消えてしまうものであるという主張が大きな説得力を持つ。この作品に登場するある学者によると、アメリカの本当の民主主義が始まったのは1970年代に過ぎないという。この流れを途絶えさせずに継続できるのか、今市民の力が試されているというところに落ち着く。
 アメリカの状況は悲惨であるが、日本でもかなり似たような状況が進んでいるのも事実で、決して対岸の火事で終わらせず、この映画を自ら考えるための素材として活用したいというようなことを考えたのだった。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『シッコ(映画)』
竹林軒出張所『“強欲時代”のスーパースター(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『ドナルド・トランプのおかしな世界(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『“黒幕”バノンの戦い(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『ガスランド(ドキュメンタリー)』

 以下、以前のブログで紹介したマイケル・ムーア作品の評の再録。
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(2004年6月20日の記事より)
アホでマヌケなアメリカ白人
マイケル・ムーア著、松田和也訳 柏書房

日本政府が目指しているアメリカってこんな国なんです

b0189364_19021103.jpg アメリカが理想の国だとか自由の国だとか、そんな幻想を持っているほどウブじゃないつもりだが、ここに書かれている内容は想像を遙かに超えるものだった。
 これじゃあ南米やアフリカの軍事国家と同じだ。選挙は不正だらけ、冤罪で死刑にされる人々(「最近の研究によれば、23年間(1973-95)の4578件の(死刑の)事例を調査したところ、死刑判決の7割近くに重大な誤りが見出され、再審理が行われている。また、上訴によって死刑判決が覆る率は3分の2。全体的な誤審の率は68パーセントに及んでいた。」)、大企業に支配される学校、虐げられる被差別民(黒人のこと、いまだに黒人差別はなくなってないらしい。「平均的な黒人の年収は、平均的な白人よりも61パーセントも低いのだ。この差は、1880年当時の格差と全く同じなのである!」)……。すべてが一部の金持ちを潤わせるために成り立っているというわけだ。
 つまりは、金持ちの金持ちによる金持ちのための国、それがアメリカ。
 この本のおかげで、今まで少しずつ見聞きしてきたアメリカの実態が、体系的にまとめられた。アメリカに幻想を持っているすべての人、必読!
 ついでだが、翻訳も秀逸だ。装丁とタイトルはいただけないが。
★★★★
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(2004年9月17日の記事より)
b0189364_19021198.jpg華氏911 (2004年・米)
監督:マイケル・ムーア
出演:マイケル・ムーア
出演:マイケル・ムーア(ドキュメンタリー)

 上記の本、『アホでマヌケなアメリカ白人』の映画化と考えてよかろう。内容はほぼ一緒。同書が主張するところの証拠映像を示しているため、そういう意味で興味深い。
 「この作品はドキュメンタリーじゃない」とかいう議論があるが、そもそもドキュメンタリーなんてのは必ず作り手側の考え方が反映されているもので、多少主張が「偏って」いようが、だから「ドキュメンタリーじゃない」などと言うのは「アホでマヌケ」に聞こえる。
 見せ方が相変わらずうまく、まったく飽きない。
★★★☆
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(2004年6月24日の記事より)
ボウリング・フォー・コロンバイン(02年・米、加)
監督:マイケル・ムーア
出演:マイケル・ムーア、チャールトン・ヘストン、マリリン・マンソン(ドキュメンタリー)

b0189364_19020248.jpg アメリカ、コロラド州コロンバイン高校の銃乱射事件を取り上げ、銃規制について問題提起する映画。
 中でも興味深かったのは、米国での銃による死者数が1万人を超え、隣のカナダで数百人という事実(ちなみにカナダでも銃規制はされていない)だ。その理由は、だんだんと明らかになるのだが、つまるところ、米国ではマスコミや政治家により常に恐怖心があおられていることと、カナダでは福祉が進んでいるというところに落ち着く。つまり、米国の銃社会は、何者か(おそらくは武器関連企業)に意図的に作り出されているということだ。
 マイケル・ムーア監督の切り口も非常に鋭く、皮肉が効いた演出も良い。120分間、まったく飽きることがない。
 ムーアの著書、『アホでマヌケなアメリカ白人』をあわせて読むとさらに愉しめる。
★★★★
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(2004年6月25日の記事より)
ザ・ビッグ・ワン(97年、米英)
監督:マイケル・ムーア
出演:マイケル・ムーア、フィル・ナイト(ドキュメンタリー)

b0189364_19021078.jpg 米国社会を浮き彫りにするマイケル・ムーアの長編ドキュメンタリー第2作。
 DownSizing(リストラ)という名目で無情に切り捨てられる弱者たち。一部の人間だけが肥えふくれる病的なアメリカの不平等社会を描く。
 アメリカ人が、こちらの予想と違って、ちゃんと社会生活しているのが意外。フレンドリーだし、秩序をよく守っている。もっと緊張感のある社会(ちょっと油断していると銃で襲われるかのような)だと誤解していたが、画面からはまったくそんなことは感じられない(一部アブない奴は出てくるが)。恐怖を煽る多くの映像によって、こちらも大きな偏見を持っていたことを痛感させられる(これがこの映画の1つのテーマでもあるんだが)。
 マイケル・ムーアのバイタリティには感心させられっぱなしだ。
★★★★
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(2004年6月21日の記事より)
ロジャー&ミー(89年、米国)
監督:マイケル・ムーア
出演:マイケル・ムーア、ロジャー・スミス(ドキュメンタリー)

 ミシガン州フリント。GMの工場閉鎖で失業者が多数発生し、町が壊滅していく様子を追ったドキュメンタリー。
 GMの会長、ロジャー・スミスを追跡する。
★★★

by chikurinken | 2019-05-10 07:01 | 映画

『毎日がアルツハイマー ザ・ファイナル』(映画)

毎日がアルツハイマー ザ・ファイナル 最期に死ぬ時。
(2018年・NY GALS FILMS)
監督:関口祐加
撮影:関口祐加
出演:関口宏子、関口祐加(ドキュメンタリー)

前々作と状況がほとんど違わない

b0189364_20184544.jpg 『毎日がアルツハイマー』の第3弾。
 監督で当事者の関口祐加が大きな手術のために入院したり、アルツハイマーの母が施設で外泊したりというのが新しく加わったエピソードであるが、基本線は第1作と変わりない。したがって映像としての目新しさはほとんどない。
 今回は、まもなく母が迎えるであろう死について考えるというのがテーマになっていて、自死幇助が世界で唯一認められているスイスの医師に取材したり、英国の末期医療の医師に取材したりしているのが新しいポイントである。ただしそれについてもNHKスペシャルみたいなレベルであり、あらためて映像化し、それを公開するということに必然性が感じられない。それは前々作から状況があまり変わっていないためである。前作を見ていればこの作品をわざわざ見る必要はないと感じてしまうのだ。もちろん当事者にとっては重要なことなんだろうが、ドキュメンタリーとしての完成度は低いと言わざるを得ない。
 また前作にも共通するが、関口祐加(監督)のナレーションに変な抑揚があって大変気になる。NHKみたいにプロのナレーターに任せた方が良いんじゃないかと感じる。
★★★

参考:
竹林軒出張所『毎日がアルツハイマー(映画)』
竹林軒出張所『徘徊 ママリン87歳の夏(映画)』

by chikurinken | 2019-05-08 07:18 | 映画

『徘徊 ママリン87歳の夏』(映画)

徘徊 ママリン87歳の夏(2015年・風楽創作事務所)
監督:田中幸夫
撮影:田中幸夫
出演:酒井アサヨ、酒井章子(ドキュメンタリー)

徘徊の現実とその対処法

b0189364_17245002.jpg 認知症の母親(87歳)とその世話をする娘(55歳)のドキュメンタリー。
 この母親、のべつ徘徊する(なんと4年間で家出回数1338回! 徘徊距離1844kmだそうだ)上、認知症の人にありがちだが、突然怒り出したり夜中に荒れたりすることもあって(それも映像に出てくるが)、まったく手が付けられない状態になる。こういう親の介護が必要になれば、ほとんどの人々が絶望するんであろうが、この娘、アッコさんは、それをそのまま受け入れることで、今は以前ほどの苦しみを感じなくなったという。また、近所の人々の善意にもそのまま甘えているようで(いろいろな人が助けてくれるらしい)、介護のコツはこのあたりにあるんだろうかなどと考える。
 それにしてもこのドキュメンタリー映画、認知症老人の徘徊の現実がきわめてよく映し出されており、現代の大きな社会問題をミクロ的な視点で描ききっている点は立派である。ともすれば辛く絶望的な映像になりそうな素材ではあるが、このアッコさんみたいに現状をポジティブに捉えられている人が出てくると、見ている側にとっても救いになる。アッコさんと母親(ママリン)の、笑いを誘う大阪風の会話も良い味を醸し出している。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『毎日がアルツハイマー(映画)』
竹林軒出張所『いま助けてほしい(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『老人漂流社会(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『恍惚の人(映画)』

by chikurinken | 2019-05-06 07:24 | 映画

『わが青春のとき』(2)〜(8)(ドラマ)

わが青春のとき (2)〜(8)(1970年・国際放映、日本テレビ)
原作:A・J・クローニン
脚本:倉本聰
演出:高橋繁男、今井雄五郎
音楽:宇野誠一郎
出演:石坂浩二、樫山文枝、塚本信夫、小栗一也、笠智衆、岩本多代、大滝秀治、左時枝、下元勉

窮屈な世界にもがきながらも
自分を通していく姿が魅力的


b0189364_18494145.jpg 1970年に日本テレビで放送されたドラマで、原作はクローニンというスコットランドの作家の作品(『青春の生きかた』)。脚本は倉本聰。
 第1回目を見た段階で大学の医局の閉鎖性をテーマにしたドラマだと思っていたが、それは序盤で終わった。風土病である首木病の研究に没頭していた若い研究者(石坂浩二)は、それが原因で医局の教授と対立し大学をクビになるわけだが、その後は診療所を渡り歩きながらも、自分の研究に邁進する。同時に、研究のせいで診療所の仕事をクビになったり、好きな女性(樫山文枝)とも別れたりして(彼女を取るか研究を取るかみたいに二者択一を迫られたりする)、いろいろなものを失う。まさに青春、まさに若気の至りで、タイトルがそのテーマを物語っている。背景にあるのは医学界の閉鎖性であるが、「すべてを犠牲にしても自己実現に突き進む若者」という構図がテーマになっている。主人公には厳しい現実が次々に襲いかかってきて、ストーリーとしても意外性のある展開になる。よくできたストーリーだと思う。
 また映像がかなり大胆で、いろいろと実験的なショットが出てくる。フォーカスを近景、遠景で交互に変えていくというような映像は当時一般的だったのかあまり憶えていないが、今見ると斬新にも思える。イメージ映像も多彩で、撮影監督がかなりがんばっているという印象である。
 キャストは前にも書いたようにかなり地味で、顔は見たことがあるが名前を知らないというバイプレーヤー俳優が多く出演している。有名なのは主役の2人と、あとは笠智衆と左時枝ぐらいか。大滝秀治が1回だけゲスト的に出て来るが、この頃の大滝秀治はそれほど名前のある役者ではなかったはずで(彼の名前が売れるようになったのは『前略おふくろ様』以降だと思う)それを思うと地味度も一層増す。もっとも、どの役者も皆うまく、派手さがないとしてもまったくドラマの上では構わないわけだ。とは言うものの、主演の2人は直前の大河ドラマ『天と地と』で主人公とその相手役を演じていたらしく、キャスティングの話題性は当時それなりにあったのかも知れない。
b0189364_18494595.jpg どの登場人物も医学用語を駆使し、本物の医学関係者のように見えるのも、演出の妙なのではないかと思う。特に笠智衆は、主人公の恩師の研究者(少し現実離れした変わった研究者)を好演していて実にお見事。奥村チヨが好きなどという遊びの設定も面白い。奥村チヨをはじめとして、当時の流行歌があちこちで流れるのも懐かしさを感じさせる。
 時代のせいか、全体的に展開が遅めで、今の観点から見ると少々いらだたしい部分もあるが、後半は一気に話が流れていき、映像の斬新さもあって、なかなか見せるドラマになっている。若者が窮屈な世界の中でもがきながらも自分を通していく姿は魅力的に映る。題材も目新しいものだし、予想できないストーリー展開も素晴らしい。一見地味で、最初は見続けるのに少々骨が折れる気もするが、見始めたら止められなくなる。あまり有名な作品ではないが、相当な快作と言える。なお、後の倉本聰作品に見られるような「倉本色」はまったくない。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『わが青春のとき (1)(ドラマ)』
竹林軒出張所『ライスカレー (1)〜(13)(ドラマ)』
竹林軒出張所『君は海を見たか (1)〜(11)(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 ああ!新世界(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 ひとり(ドラマ)』
竹林軒出張所『聞き書き 倉本聰 ドラマ人生(本)』

by chikurinken | 2019-05-04 07:49 | ドラマ

『まんが道』(1)、(2)(ドラマ)

まんが道 (1)、(2)(1986年・NHK)
原作:藤子不二雄
脚本:大久保昌一良
演出:安江進、森平人
出演:竹本孝之、長江健次、冨士眞奈美、天地総子、磯崎洋介、蟹江敬三、小倉一郎、木原光知子、イッセー尾形、久米明、玉川良一、会沢朋子

熱い青春が心地良い

b0189364_16554675.jpg安孫子素雄(藤子不二雄A)が、マンガ家になるまでの青春記を描いたのが『まんが道』という作品で、元々はマンガ作品である(『まんが道』の最初はマンガ作品ではなくエッセイ風だったと記憶している)。青春記、しかもその後大成功した人の青春記であることもあり、かなり人気が高いマンガであったため、1986年にドラマ化され、NHKの『銀河テレビ小説』枠で放送された。
 このドラマ、過去数回見ているにもかかわらず、もう一回見たいもんであることよと思っていたんだが、あいにくレンタルしているところがなく、結局そのまま……という状態だった。そんな折、このたびBSトゥエルビとかいう何だか存在意義すらよくわからない放送局(テレビショッピングと韓国ドラマばかりやっているような局だ)で再放送されることになった。今回はそれを見ることができたというわけ。なおこのBSトゥエルビ、最近、これまでの活動を反省したのか知らないが、『早春スケッチブック』や『傷だらけの天使』まで放送することにしているらしい。
 ドラマ版の『まんが道』であるが、『銀河テレビ小説』枠ということで、朝のテレビ小説枠と同様、演出が明朗単純で、誰が見ても楽しめるようなタイプのややオーバーアクトな作品である。僕はこういう演出はまったく好きではないが、しかしストーリー自体が結構しっかりできていて、86年の初回放送時に見たときも内容に随分感心したという記憶がある。また、マンガ家になるという夢を追う主人公の二人の情熱が熱くて、いかにも青春記という感じの一途さが心地良く、見ていてものすごく気持ちが良い。それに今見るとキャストが超豪華で、15分の連続ドラマとは思えないほどである。久米明や玉川良一などの渋い役者に加えて、天地総子、木原光知子、イッセー尾形あたりもかなり異色の配役である。しかもこの1年後に作られた続編(『青春編』)では、森高千里、鈴木保奈美、水前寺清子まで登場すると来ている。
 『まんが道』は、先ほども述べたように安孫子素雄の自伝的作品で、この作品では安孫子素雄が「満賀道雄」(竹本孝之)、相棒の藤本弘が「才野茂」(長江健次)という名前で描かれている。キャラクターは、原作では満賀道雄がメガネでチビの少年、才野茂がのっぽの少年として描かれているが、このドラマではキャラクターが入れ替わっている。つまり長江健次が演じる才野茂の方が、メガネの少年なんである。これまで何度もこのドラマを見ていた(しかも原作も読んでいた)にもかかわらず、このことに今までまったく気付かなかった。今まで何を見ていたのかと突っ込まれてもしようがない。
 現時点では第1回と第2回が放送されたところだが、この後、東京に出ていって手塚治虫(江守徹)に会い、マンガ家としての人生が開けていくというふうに話が進んでいく。先ほども言ったように、ストーリー以外にキャスティングも非常に面白くて見所が多いドラマだが、何と言っても夢を追う主人公2人の熱さが最大の見所である。次の回も早く見たいところだが、なんと次の放送は2週間だか3週間後だそうな。初回放送時は全15話が3週間で完結したんだがね。つまらん番組ばっかりやってないで、こういう作品をちゃんとした形式で放送してほしいもんだ(初回放送時と同じように1日15分を3週間で放送するというのが理想である)。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『トキワ荘青春日記―いつも隣に仲間がいた…(本)』
竹林軒出張所『夢追い漫画家60年 (100年インタビュー)(本)』
竹林軒出張所『トキワ荘の青春(映画)』
竹林軒出張所『まんが トキワ荘物語(本)』
竹林軒出張所『トキワ荘の時代―寺田ヒロオのまんが道(本)』
竹林軒出張所『烏城物語(本)』

by chikurinken | 2019-05-02 07:55 | ドラマ