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竹林軒出張所

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タグ:山田太一 ( 82 ) タグの人気記事

『男たちの旅路 第1部「猟銃」』(ドラマ)

男たちの旅路 第1部「第三話 猟銃」
(1976年・NHK)
脚本:山田太一
演出:中村克史
音楽:ミッキー吉野
出演:鶴田浩二、水谷豊、森田健作、桃井かおり、前田吟、五十嵐淳子、久我美子、石田信之、丹古母鬼馬二、頭師佳孝

現実主義か理想主義か、どっち?

b0189364_19392202.jpg 山田太一の代表作『男たちの旅路』の第3回目。
 柴田(森田健作)、杉本(水谷豊)、悦子(桃井かおり)は前回の意見の対立が基になってガードマンを辞めてしまう。ただ、柴田の母(久我美子)と吉岡(鶴田浩二)の間に以前恋愛関係があったことがわかり、それを口実のようにして3人は吉岡に近づく。そんな折に起こった連続猟銃発砲事件、それに続く猟銃強盗事件に彼ら4人が巻き込まれていく。ストーリーには取って付けたような部分もあるが、しかしここでも強烈な問いかけがある。
 猟銃強盗の犯人(石田信之)たちが、猟銃を発砲し、警備員室を襲う。その際、3人のガードマンとそこに居合わせた柴田、杉本、悦子、吉岡が人質に取られる。犯人の警備員に対する要求は、この建物に入っている宝石店の防犯設備を教えろということで、防犯装置が鳴らないまま宝石を奪うというハラである。教えてくれれば命まで奪う気はない、と言う。その際、ガードマンたちに対して「あんたらは仕事で警備してるだけなんだから命を張って我々に対抗する必要はない、我々に協力して防犯設備の位置を教えてくれさえすれば命を取るようなことはしない」と説得する。若いガードマンはそれに応じようとするが、吉岡が「そんなもんじゃない、高をくくるな」と反発する。つまり仕事について、しょせん金のためにやっている業務だと割り切るか、それとも職務を全力で遂行しようとするか、あなたはどっち派だという問いかけがあるわけだ。現実主義か理想主義かという問いが投げかけられるのである。これはなかなか答えが出せない難問であり、ここに登場する一部の若者は現実主義に傾くわけだが、吉岡は理想主義を貫くというように話が展開する。
 この回もサスペンスの要素が強く、まったく目が離せなくなる。しかも明確なテーマも提示され、同時にストーリー的な面白さ、キャラクターの面白さも群を抜いており、非常に質が高いドラマだと感じる。もちろん先ほども書いたように作り過ぎの感は否めない(と言うより、ちょっと度が過ぎていてリアリティを欠いているような気もする)。
 事件は一悶着あるが一応解決する。その後、杉本と悦子はガードマンに復帰し、柴田は転職する。第2部以降は、第1部の主役の1人であった森田健作は出演せず、主人公たちに絡む新しいガードマンとして柴俊夫が出演する。
第14回ギャラクシー賞選奨受賞
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『男たちの旅路 第1部「非常階段」(ドラマ)』
竹林軒出張所『男たちの旅路 第1部「路面電車」(ドラマ)』
竹林軒出張所『男たちの旅路 第3部「シルバー・シート」(ドラマ)』
竹林軒『100年インタビュー 脚本家 山田太一(ドキュメンタリー)』

by chikurinken | 2019-07-15 07:38 | ドラマ

『男たちの旅路 第1部「路面電車」』(ドラマ)

男たちの旅路 第1部「第二話 路面電車」
(1976年・NHK)
脚本:山田太一
演出:高野喜世志
音楽:ミッキー吉野
出演:鶴田浩二、水谷豊、森田健作、桃井かおり、前田吟、五十嵐淳子、結城美枝子、久我美子

テーマが強烈
あなたならどうすると訊かれているようだ


b0189364_16375781.jpg 山田太一の代表作『男たちの旅路』の第2回目。第1回目で自殺騒ぎを起こした悦子が、吉岡らが勤める警備会社にガードマンとして入社する。このように第一話からストーリーがそのまま進展し、柴田(森田健作)の背景や、吉岡(鶴田浩二)と柴田の母(久我美子)との関係などが少しずつ明らかになるが、同時にこの回では、前回と異なる新しい事件(警備しているスーパーの万引事件)があり、それに対して吉岡と若い社員、杉本(水谷豊)、柴田、悦子(桃井かおり)との意見の対立が起こるという具合に話が進む。
 悦子が万引常習犯の主婦(結城美枝子)を捕まえるが、彼女の話を聞いて同情し、意図的に逃がしてしまう。杉本、柴田もその話を聞いてこの主婦に同情的になるが、それに対し吉岡が憤り、警察に通報して逮捕させるのである。吉岡は、同情して自分たちは善行をやったと思っているかも知れないが、それは自ら判断を下さない態度に過ぎないというのだ。結局、犯罪者は誰かが捕まえなければならないのに、自分はその役割を放棄し、他人に委ねながら、その他人が冷酷になって捕まえたら、それに対して人情がないなどと非難する。だがそれは、結局のところ甘えであって逃げに過ぎないなどと言い、若い社員たちと対立するのである。この万引常習犯の主婦、どこか依存症風で、生活にも少々闇を抱えているような部分があって、かなり同情を誘うため、見ている側の多くはおそらく若い社員たちと同様、この犯人に感情移入してしまうが、吉岡の冷酷な判断によって冷や水を浴びせられてしまう。若い社員たちは吉岡に一様に反発して辞めてやると息巻くが、視聴者の側には大きな葛藤が残るという、大変よくできたストーリーである。どこかディスカッションのネタ映像風でもある。
 脚本の山田太一、この『男たちの旅路』について、「一つのワンテーマを作って、そのテーマにどういうふうに鶴田(浩二)さんは考えるか、若い人はどう考えるかっていうふうにして、ワンテーマずつ書いていこうと思った」と語っている(竹林軒『100年インタビュー 脚本家 山田太一(ドキュメンタリー)』参照)が、こういうアプローチがまさに明確に発揮されている作品で、テーマの深さに感心してしまった。また登場人物一人一人のセリフやキャラクター設定も相変わらず素晴らしく、ドラマとしての質が非常に高い。
 このドラマ、前に一度見ているはずだが、まったく憶えていなかった。『男たちの旅路』自体、この後第4部まであるんだが、第3部辺りからメインストリームが変な方向に行ってしまい(吉岡と悦子の恋愛関係)、それが強烈な(悪い)印象として残っているため、もう一度見たいと思っていなかったが、何度も見る価値はあると今回の再放送を見て思ったのだった。
第14回ギャラクシー賞選奨受賞
★★★★

参考:
竹林軒出張所『男たちの旅路 第1部「非常階段」(ドラマ)』
竹林軒出張所『男たちの旅路 第1部「猟銃」(ドラマ)』
竹林軒出張所『男たちの旅路 第3部「シルバー・シート」(ドラマ)』
竹林軒『100年インタビュー 脚本家 山田太一(ドキュメンタリー)』

by chikurinken | 2019-07-14 07:37 | ドラマ

『男たちの旅路 第1部「非常階段」』(ドラマ)

男たちの旅路 第1部「第一話 非常階段」
(1976年・NHK)
脚本:山田太一
演出:中村克史
音楽:ミッキー吉野
出演:鶴田浩二、水谷豊、森田健作、桃井かおり、前田吟、五十嵐淳子

日本のテレビドラマの画期になった作品

b0189364_20185666.jpg 山田太一の代表作『男たちの旅路』の第1回。
 ある警備会社を舞台にした話。主人公は、この会社の中途入社新入社員、杉本(水谷豊)と柴田(森田健作)である。その彼らの前に現れたのが、その警備会社の司令補、吉岡晋太郎(鶴田浩二)。この吉岡だが、新入社員6人を相手にいきなり立ち回りを演じてケガをさせたり(結果的にそのうちの3人は入社を辞退)、若い奴が嫌いだと語ったり、若者たちにとってはなかなか面倒な存在である。特に杉本は、楽をしながら人生を軽く流していくというようなタイプで、仕事にも真面目に取り組もうとしない。そのため吉岡ともことごとくぶつかる。
 こういう3人が、飛び降り自殺が多発するあるビルの警備を担当することになって、これ以上自殺者が出ないよう監視するという仕事に就く。そこに現れたのが飛び降り自殺を試みようとする悦子(桃井かおり)で、この悦子と3人の警備員の間でいろいろともめ事が起こるのである。そして、この一連の事件を通じて吉岡の生き様が明らかになっていくというふうに話が進む。
 この吉岡だが、実は特攻隊の生き残りで、無益に死ぬ同僚をたくさん見てきたという設定(実際の鶴田浩二の人生の投影でもある)であるため、生死について深く考えず真剣に生きるということをしない若い世代に強い嫌悪感を持っている。それが「若い奴が嫌いだ」という発言に繋がるわけだが、結果的にこのドラマ(つまり『男たちの旅路』第1部第一話)では「真剣に生きる」ということを考えさせる内容になる。
b0189364_20190369.jpg 脚本家のインタビューによると、この『男たちの旅路』は、各回テーマを設定してそれについて登場人物たちが考えるというドラマにしているらしいが、このこと自体テレビドラマとしてはかなり斬新で、それがために山田太一にとっても日本のテレビドラマにとっても画期と言える作品になった。また脚本家の名前が冠に付いたのもこのドラマが日本初である(竹林軒『100年インタビュー 脚本家 山田太一(ドキュメンタリー)』参照)。
 そういう強いテーマ性に加えて、捕り物めいたシーンが長く続きスリルとサスペンスの要素もあるため、テーマ性が強烈であるにもかかわらず、見ていてまったく飽きることがない。しかも、吉岡司令補だけでなく、水谷豊演じる杉本のキャラクターもいかにも当世の若者風で、はじけていて印象的である。このように、キャラクターがしっかり描き分けられてそれぞれが魅力的であるのも、山田ドラマの特徴である。このシリーズ、この後、登場人物を変えながら第4部(各3話)まで続く。すべてDVD化されていることからわかるように、当時の評価・人気ぶりも窺われる。実際今見ても大きなインパクトが残る佳作である。
第14回ギャラクシー賞選奨受賞
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『男たちの旅路 第1部「路面電車」(ドラマ)』
竹林軒出張所『男たちの旅路 第1部「猟銃」(ドラマ)』
竹林軒出張所『男たちの旅路 第3部「シルバー・シート」(ドラマ)』
竹林軒『100年インタビュー 脚本家 山田太一(ドキュメンタリー)』

by chikurinken | 2019-07-13 07:18 | ドラマ

『早春スケッチブック』(9)〜(12)(ドラマ)

早春スケッチブック (9)〜(12)(1983年・フジテレビ)
脚本:山田太一
演出:富永卓二、河村雄太郎
出演:鶴見辰吾、岩下志麻、山崎努、河原崎長一郎、樋口可南子、二階堂千寿、荒井玉青

そして大団円で終息に向かう

b0189364_19273015.jpg 望月家に騒動をもたらしている元カメラマン、沢田(山崎努)の病状が悪化していく。望月家の人々と沢田の恋人(樋口可南子)は、それに同情を示して沢田の元を訪れるが、さらには望月家の子ども達にしきりに絡んでいた不良少女(荒井玉青)までが毎日沢田の家を訪問するようになる。沢田は、当初見せていた攻撃的な側面を見せなくなり、何だかしおらしくなって、ちょっとばかり拍子抜けである。そしてやがて収束に向かっていくという展開になる。例によって最後は大団円で終息するという結果になる。
 沢田が死の恐怖で弱みを見せるあたりはなかなか良い描写だが、最後に物わかりが良くなってしまうのは少々腑に落ちない。とは言うものの、破綻はなく整合性はとれている。
 このドラマはなにしろ、それぞれの登場人物が非常にリアルで、性格もしっかり描きわけされていて、実在の人物のような存在感がある。こういったあたりが、このドラマの特質である。他人(血縁関係のあるものもあるが)同士が、お互いの生活に介入し合い、そこに人のぶつかり合いが生じてドラマが生まれる。この当時のドラマ、特に山田太一作品にはそういうものが多いが、それがごく自然に展開するため、違和感を感じることがない。このあたりが山田ドラマの大きな魅力であり、すごさなんだろうなと、このドラマを見ながらあらためて考えた。ただやはり最終回の展開は、どうにもいただけない感じがして、最後までモヤモヤが残った。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『早春スケッチブック(1)〜(4)(ドラマ)』
竹林軒出張所『早春スケッチブック(5)〜(8)(ドラマ)』
竹林軒出張所『「早春スケッチブック」、「夕暮れて」など(ドラマ)』
竹林軒『批評選集:ドラマ - 山田太一』
竹林軒出張所『時にはいっしょに(1)〜(11)(ドラマ)』
竹林軒出張所『沿線地図(1)〜(15)(ドラマ)』

by chikurinken | 2019-06-22 07:27 | ドラマ

『早春スケッチブック』(5)〜(8)(ドラマ)

早春スケッチブック (5)〜(8)(1983年・フジテレビ)
脚本:山田太一
演出:富永卓二、河村雄太郎
出演:鶴見辰吾、岩下志麻、山崎努、河原崎長一郎、樋口可南子、二階堂千寿、荒井玉青

河原崎長一郎の演技にただただ関心

b0189364_19592833.jpg 最近、山田太一脚本のドラマがあちこちで再放送されていて、見るのが追いつかないくらいである。日本映画専門チャンネルで『真夜中の匂い』(これが楽しみ)、BS12では『早春スケッチブック』から『想い出づくり。』、NHKでも『男たちの旅路』が3本放送されるという具合。だが『想い出づくり。』や『男たちの旅路』は割合「ありきたり」な選択という感じもする。やはり日本映画専門チャンネルはこの分野では先行しており、面白いラインアップを提供してくれる。
 ところで、この『早春スケッチブック』では、重病になった元カメラマン(山崎努)が、「お前らは、骨の髄までありきたりだ」などと怒鳴り散らして、普通に生きる人たちに揺さぶりをかける。考えてみれば大きなお世話で非常に身勝手な言動だが、今まで自身の生活を振り返ることなく漫然と生きてきた人たちは、こういった刺激に過剰に反応してしまう。こうして善良で小市民的な生活を送っている人の家庭に波紋が起こるというわけだ。
 第5回から第8回では、このカメラマンが、主人公の家庭、望月家にまで入ってきて、(元恋人だった)妻(主人公にとっては母)と逢うことを求め(夫に対して「奥さんを貸してくれ」などと言う)、主人公の家庭の平穏な生活をかき乱す。
 このカメラマン、沢田(山崎努)、主人公の家族に対して不快な言動を繰り返すが、その一方で、実は割合良い人みたいな側面も見せ、そのために主人公の少年(鶴見辰吾)とその母、それから育ての父と妹も少しずつ気を許していくそぶりを見せる。かと思えば突然豹変して、相手の気持ちをえぐるような嫌な言葉を発してきたりもする。普通の人々は、こういった言葉を不快に感じつつも、どこかで揺さぶられてしまう。特に主人公の育ての父は、現状肯定型の小市民的な生活を送る人で、沢田と好対照をなす存在。もちろんそういった小市民的な生き方を否定することはまったくできないのであって、「ありきたり」であろうが、長い目で見ればそちらの方が良いかもしれないし、そもそもどちらが良いとかいう問題でもない。
 そういう小市民的な存在を巧みに表現しているのが河原崎長一郎である。この人、僕が子どもの頃からテレビでよく目にしていて、こういう小市民的な役が多かったという印象が僕の中にあるが、確認すると必ずしもそうではないようである。こういった小市民的な役は、山田太一のドラマ(『沿線地図』、『友だち』)ぐらいで、そうするとやはり、僕の中で山田ドラマの印象が非常に強かったということになるのだろうか。この河原崎長一郎、演技があまりにさりげなく影が薄いんでつい見過ごしがちだが、毎度毎度素晴らしい演技である。周辺の人間に対する気遣いや愛想笑いなど、市井の人物の表現がピカイチである。今回見ていて、すごい役者であることにあらためて気付き、ただただ感心した次第。なお、河原崎長一郎、妻役の岩下志麻と実はいとこ同士らしい(ウィキペディア情報)。
★★★★

追記:
 第8回の最後で、元カメラマン、沢田の身体に変調が起こるため、ここからいよいよ収束に向かうということになりそうだ。

参考:
竹林軒出張所『早春スケッチブック(1)〜(4)(ドラマ)』
竹林軒出張所『早春スケッチブック(9)〜(12)(ドラマ)』
竹林軒出張所『「早春スケッチブック」、「夕暮れて」など(ドラマ)』
竹林軒『批評選集:ドラマ - 山田太一』
竹林軒出張所『時にはいっしょに(1)〜(11)(ドラマ)』
竹林軒出張所『沿線地図(1)〜(15)(ドラマ)』

by chikurinken | 2019-06-21 06:58 | ドラマ

『早春スケッチブック』(1)〜(4)(ドラマ)

早春スケッチブック (1)〜(4)(1983年・フジテレビ)
脚本:山田太一
演出:富永卓二、河村雄太郎
出演:鶴見辰吾、岩下志麻、山崎努、河原崎長一郎、樋口可南子、二階堂千寿、荒井玉青

見始めると目が離せなくなる

b0189364_10151946.jpg 今回、14年ぶりにこのドラマを見た。あれからもう14年も経っているのかと思う。さらに言えばこのドラマが作られたのが1983年で、ドラマが作られてから36年経っている。主人公の少年が1983年の共通一次試験を受けるという設定になっているが、僕もあの年に共通一次を受けている。83年の試験は1月15日に実施されたが、なんと成人の日とかち合っていたため、試験場に向かうバスから成人式の晴れ着を着た女性がたくさん目に付いた。当時20歳だった二浪の友人も、こういった人々を目にして、俺は一体何をしているのかと考えたなどと漏らしていた。
 この共通一次試験を目前にしているのが主人公の高三の少年、望月和彦(鶴見辰吾)だが、父(河原崎長一郎)と母(岩下志麻)が再婚同士で、共に連れ子(母に自分、父に妹)がいたという設定である。ただ結婚してからすでに10年経っているため、普通の家族との違いを感じることはほとんどない。そのため普通に高校生活を送り受験勉強に励んでいたのであるが、ある日突然、新村明美(樋口可南子)という美女が目の前に現れて、バイトしない?などと言ってかなり強引に少年を、実の父(山崎努)の元に引っぱっていくというふうにストーリーが展開する。大学入試直前にあれやこれやが起こるというのも、『沿線地図』や『岸辺のアルバム』を彷彿させる。
 この実の父、沢田竜彦というんだが、目を病んだことがきっかけで写真家を引退し古い洋館に引きこもっているという状態で、社会との唯一の接点になっているのが明美であるという設定である。和彦も最初は抵抗を覚えていたが、その後何度か沢田の元に足を運ぶようになり、沢田の影響を受けるようになる。実の父、沢田が「ありきたりな人生」を否定的に捉えるような発言をし、それをきっかけに自分の生き方についても考えるようになって、あげくに、今の父についても物足りなさを感じるというふうに話が進行していく。これが第4回までの流れである。ちなみに実の父に影響を受けてしまった和彦は、共通一次試験をすっぽかしてしまう。沢田から起こった影響が望月の家に波風を立てていくというふうにこれから進む。
 ドラマは、最初からグイグイ視聴者を引っぱるような展開で、特に樋口可南子が登場するあたりからは先が見えないサスペンスが始まり、目が離せなくなる。脚本家の豪腕にうなってしまう。また樋口可南子と岩下志麻が非常に美しいのもこのドラマの大きな魅力である。山崎努の演技も大きな見所で、涙と一緒に洟を垂らすなどなかなか見ることができない怪演である(『北の国から』で地井武男が同じような演技をしたことがあったが)。第4回の段階では、沢田の病気がまだ見えていない状況である。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『早春スケッチブック(5)〜(8)(ドラマ)』
竹林軒出張所『早春スケッチブック(9)〜(12)(ドラマ)』
竹林軒出張所『「早春スケッチブック」、「夕暮れて」など(ドラマ)』
竹林軒『批評選集:ドラマ - 山田太一』
竹林軒出張所『時にはいっしょに(1)〜(11)(ドラマ)』
竹林軒出張所『沿線地図(1)〜(15)(ドラマ)』

by chikurinken | 2019-06-20 07:06 | ドラマ

『光と影を映す』(本)

光と影を映す
山田太一著
PHP研究所

本になるとこう変わる

b0189364_17314190.jpg NHK-BSでかつて放送された『100年インタビュー 脚本家 山田太一』を書籍化したもの。当初の危惧通り、やっぱり出た。内容についてはかつてこのブログでも紹介し、しかも内容についてもそのまま一部書き起こしたため、個人的にはあまり目新しさはないが、どういう風にまとめられているか興味があったため、今回読んでみた。
 元の番組、つまり『100年インタビュー』が非常によくできており、内容も充実していて面白かったため、この本の内容も推して知るべしで、内容的には非常に興味深い。あの番組を見られなかったが見たかったという人にとっては格好の素材と言える。
 今回は、語られた内容がどのように編集されているかというのが僕にとっての一番の関心事であったため、そういう視点で本書に当たったわけだが、僕が前回書き起こした部分と比較すると、出版用の録音の書き起こしというのがこういう風に行われるのかというのが非常によくわかる。山田太一によって語られた話が、この人の魅力を損なわない程度に変更された上でわかりやすく書き起こされている。その結果、非常に読みやすい文章になっている。僕が書いたときは一言一句ほぼそのまま取り上げたため、多少の読みづらさはある。ただあの独特の遠慮がちな語り口が入っているという面白さもある。僕としては自分で書き起こしたものの方が面白いと思うが、本としてそのまま書くのが良いとはおそらく言えないだろう(山田太一自身も、この原稿であれば、かなり手を入れるんじゃないかと思う)。その点で、非常に良い按配でまとまっている本と言える。
 ブログに掲載したのは、この本の8ページから39ページくらいまで、第1章から第2章までに相当する。テレビで放送されたものより本書に収録されている内容の方が多いが、これは放送時にカットされた部分だと思う。放送されなかった(と思われる)内容は他にもあちこちにあって、そういう意味では、あの番組を見た人もこの本を読む価値はあるということだ。いずれにしても良くまとめられていて、インタビュー本としては上出来であると思う。ただし本自体については、字がかなり大きいため、内容は薄目という印象である(なんせ1時間半の放送を本にしたんだから)。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『100年インタビュー 脚本家 山田太一(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『100年インタビュー 倉本聰(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『100年インタビュー ロナルド・ドーア(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『夢追い漫画家60年 (100年インタビュー)(本)』
竹林軒出張所『山田太一のドラマ、5本』
竹林軒出張所『テレビがくれた夢 山田太一 その1(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『テレビがくれた夢 山田太一 その2(ドキュメンタリー)』

by chikurinken | 2018-11-22 07:31 |

『二人の世界』(1)〜(26)(ドラマ)

二人の世界 (1)〜(26)(1970年・木下恵介プロ、松竹、TBS)
演出:木下恵介、川頭義郎、横堀幸司
脚本:山田太一
音楽:木下忠司
出演:竹脇無我、栗原小巻、あおい輝彦、山内明、文野朋子、東野孝彦、三島雅夫、小坂一也、水原英子、太宰久雄、武智豊子、矢島正明(語り)

人に歴史あり、店に歴史あり

b0189364_13495462.jpg 山田太一初期の傑作『二人の世界』を12年ぶりに見る。前にもレビューを書いており、しかも内容がよく書けているため今回は良いかと思っていたが、やはり印象が強く、何か書いておくべきと感じる。
 何よりも善意の人々が多く出てきて心地良い。最近『スカッとジャパン』に出てくるような危ない奴に出会うことが続いて、嫌な気持ちが続いていたんだが、このドラマを見て少し気持ちが和らいだ。それにこのドラマにもちょっと危ない奴が出てきて、主人公も同様に気分が落ち込んだりしているのが、また共感を呼ぶ。前にも言ったように、ナレーションがやたら多いとか、今の時代から見るとところどころ違和感があるが、しかし素晴らしいセリフも随所に散りばめられていて、山田太一の面目躍如と言える作品に仕上がっている。全編フィルム撮影されているため、70年のカラー作品でありながら、今でも残っていたというラッキーな作品でもある(この頃ビデオで撮影された作品は、多くが失われている)。かつて改革開放前の中国でも放送されたことがあるらしく、栗原小巻は中国でも人気があるとか(竹林軒出張所『中国10億人の日本映画熱愛史(本)』を参照)。もちろんこのドラマの栗原小巻、それから竹脇無我は非常に魅力的である。
 少し前に放送された『3人家族』と同じようなスタッフ、キャストで、主人公の2人の役回りも同じなんで、最初は恋愛話かと思って見ていると、第6回で突如、恋愛話が終わってしまって、その後、一体どういう方向に進むのか気になって見続けるというドラマである。前も書いたが、子供の頃、親が一生懸命このドラマを見ていて、だが僕はこの時間帯(21時から放送だったと思うが)すでに寝る時間で、そのためにテーマ曲だけが耳に入っていた。あのあおい輝彦のテーマ曲がまたメロウで良いのである。そのときも子ども心に恋愛ドラマだと思っていたのだ。
 音楽と言えば、音楽監督は木下恵介の弟、木下忠司で、音楽もあまり目立たないが非常に良い仕事をしている。ところどころ水戸黄門風になるが、それは同じ作曲家だから仕方ない。
 登場人物で言えば、物わかりの良い麗子の父(山内明)とコックの沖田(三島雅夫)が、出てくるのが楽しみになるような存在で、非常に魅力的である。あおい輝彦は『3人家族』同様、好人物を演じているが、今回は『3人家族』よりやや引いた位置付けという感じである。
 また、冒頭のタイトルバックが非常に上品なのも良い。ジャン・コクトーのリトグラフが部分部分映されるだけの映像だが、落ち着きがあって、心が安まる。テーマ曲と合わせて、本編に対する期待感を膨らませるような役割も果たしている。
 今回、何本かずつ連続で見たために、途中、少し気が抜けたような気がした回もあったが、ストーリー上それなりにいろいろと困難が出てきて、いろいろな人々の善意で助けられるという展開は、適度な緊張感が続いて、連続ドラマとしてはこれ以上ないくらいよくできていると思える。気持ちが暗くなって人を信用できなくなったらもう一度見ようかと思えるような「素敵な」ドラマである。
 せっかくなので、すべての回のストーリーを簡単にまとめておこうと思う。
★★★★

参考:
竹林軒出張所『「3人家族」と「二人の世界」(ドラマ)』
竹林軒『遙かなり 木下恵介アワー』
竹林軒出張所『山田太一のドラマ、5本』
竹林軒出張所『続・山田太一のドラマ、5本』
竹林軒出張所『テレビがくれた夢 山田太一 その1(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『テレビがくれた夢 山田太一 その1 続き(補足)』
竹林軒出張所『3人家族 (1)〜(13)(ドラマ)』
竹林軒出張所『夏の一族 (1)〜(3)(ドラマ)』
竹林軒出張所『中国10億人の日本映画熱愛史(本)』

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主な登場人物
二郎(竹脇無我)
麗子(栗原小巻)
麗子の弟、恒雄(あおい輝彦)
麗子の父(山内明)
麗子の母(文野朋子)
レストランのコック、沖田(三島雅夫)
二郎の友人、関根(東野孝彦)

第1回から第6回は出会い・恋愛編。
第1回
 アルマンド・ロメオのコンサート会場。チケットを持っていないにもかかわらず一番高い料金を払うから中に入れてくれないかと支配人に無茶な申し出をするサラリーマンの二郎(竹脇無我)。ここで、同じような申し出をしに来た麗子(栗原小巻)と出会う。結局2人ともコンサートには入れなかったが、意気投合し、その夜、赤坂のあるレストランで一緒に食事をする。ここのコック(三島雅夫)とも親しくなる。2人は翌日も会う約束をする。

第2回
b0189364_13495968.jpg 翌日2人は昼食を共にする。その場で二郎は、麗子に特別なものを感じていることから真剣に付き合いたいと麗子に言い、麗子も賛同する。だが麗子には婚約者がいた。しかしその日のうちに、麗子はその婚約の解消を相手に伝える。麗子の弟(あおい輝彦)、父母(山内明、文野朋子)が心配して動揺する。

第3回
 数日後の土曜日の夜、2人は会って、遅くまでデートする。麗子の帰りが遅くなったため、父母が心配し麗子を責める。麗子は二郎のことを話し、知り合ったのは5日前だが「結婚しても良いと思っている」と語る。近いうちに父母に二郎を会わせることを誓う。ちなみに二郎は会社の寮で一人暮らし。同僚の関根(東野孝彦)に麗子のことを打ち明ける。翌日、父から二郎の職場に連絡が入り、次の日に麗子の家で面会することを約束する。
 その日のうちに麗子の弟の恒雄が会社まで出向き、姉と別れろと迫る。
(物わかりの良い父のセリフ「(娘のことが)長年一緒の家にいた仲だ。(帰宅が遅くなって)気になったって仕様がないだろ」が良い。『夏の一族』にも似たセリフがあった。)

第4回
 翌日、二郎が、麗子の家にあいさつにやってくる。良い雰囲気である。

第5回
b0189364_14011098.jpg 第4回の続き。麗子の家。良い雰囲気だったが二郎が(出会って6日であるにもかかわらず)結婚したいと切り出したために急に空気が冷え込む。父母は早すぎると言うのである。麗子と二郎を責める。返事は今すぐできない、あらためて返事すると言われ、二郎は暗い顔で家を後にする。その後、父母は麗子を「世間知らず」と責めるが、麗子も父母に「気持ちは変わらない」と訴える。
 二郎の帰り道、弟の恒雄が後をつけてきて話があると切り出す。二人でとあるバーに入る。恒雄は別れろと迫るが、二郎は真剣だと訴える。恒雄はその後、酔っ払ってベロベロになり、二郎に介抱されてしまう。
 二郎の田舎の家族も、二郎の兄は、何だか癪だ(弟が東京でいい目を見ていることに少しひがみがある)が、父母は賛成という風景。
 ところが、その後いきなり結婚披露宴のシーンに移る。「細かないきさつはもう十分だろう。結局二人は思い通りにしたのである。三ヶ月経った、晴れた冬の日曜日であった。」というナレーションが入る。そして無事に披露宴が終わる。
(当初、恋愛にまつわるあれこれが最後まで続く恋愛ドラマだとばかり思っていたのだが、このナレーションでそうでないことが明らかになる。)

第6回
 二郎と麗子、新婚旅行から帰る。喧嘩したようで、雰囲気が悪い。だがさすが新婚、その日のうちに仲直りする。

第7回から第16回までは新婚・転職編であり、次の開業編への導入。
第7回
 新婚生活は、麗子にとっては、夜遅い夫を待つというもので、砂を噛むような味気ない面もあった。一方二郎は、関根と共に、新しい合成樹脂プラントの輸出権を得るという非常に大きな仕事に関わることになる。非常に忙しくなるが、その中でも時間を割いて、平日の夜、2人で外食することになる。店は、初めてのデートのときに行ったあの赤坂のレストラン。ここであのコック、沖田にあいさつし、結婚したことを知らせる。沖田に大歓迎され、ボトルワインまでおごってもらう。(このコックが、見ていて楽しくなるようなキャラクターで、登場するのが楽しみになる。)
最後のナレーション「甘い、思い出しても懐かしい一夜であった。しかしその一夜は、そのときの二人には思いもよらぬほどの深い意味を潜めていたのであった。」

第8回
 新婚生活。麗子は幸福を感じている。かつての麗子のフィアンセが訪れたり、二郎の友人の関根が飲みに来たりする。一方二郎は、手がけていた仕事が結局他の会社に渡り駄目になってしまったのだった。
最後のナレーション「その仕事の失敗は、二郎たちのミスではなかった。重役たちの決定の甘さに原因があった。しかし原因とかかわりなく、それが二人を思いがけない運命に導いていくのである。」

第9回
 二郎と関根が、重役の代わりに仕事の失敗の責任を負わされ、花形の営業部から総務部へ異動させられることが決まる。関根は、嫌気がさして会社を辞め、作曲家になるべく、修行することにする。一方二郎は、関根みたいな夢もない上、嫌なことがあったからといって辞めてしまうのは本意ではないということで、異動を受け入れることにする。二郎は麗子に異動になったことを告げる。二郎は、異動になった後、仕事に張り合いを感じることができず、砂を噛むような毎日を送る。辛い思いを共有したいと思う麗子だが、二郎は弱みを見せたくない。二人の気持ちがすれ違う。
最後のナレーション「しかし二人は、離れて立ったままであった。会社での辛い思いを二人で抱き合って慰め合うのではあまりに屈辱的ではないか、という思いが二郎を麗子に近づけなかった。」

第10回
 総務の仕事は単純作業。麗子は、二郎の左遷について母に言えない。二郎は家では明るく振る舞う。「なぜ辛さを見せないのか」と思う麗子。
 夜、近所にできたというスナック(軽食やアルコールを出す喫茶店)に二人で出かける。スナックは若い夫婦が二人でやっていた。良い感じの店だと二人で話し合う。
最後のナレーション「何気ない土曜日の夜のひとときであった。しかし、そこで見た若夫婦の働く姿が思いがけなく強い印象を残した。時が経って、その印象が一つの力となるのである。」

第11回
 家で少し言い合いをする二郎と麗子。
 二郎「慰めてもらってニヤニヤ会社に行かれるかい」、麗子「本当に今の仕事が不満なら他にどういう生き方でもできる」、二郎「甘っちょろいこと言わないでくれよ。辞めりゃ簡単さ。不満なら辞める、また辞める、だけどどこの会社に行ったってそう変わりゃしないんだ。だから我慢してるんじゃないか、生活ってのはそういうもんだ」、二郎「僕だっていろいろ考えてるんだ。青臭いこと言わないでくれよ」。
 翌日、麗子は一人で近所の例のスナックに行って少々和む。夜、二人で浅草で外食して仲直り。二郎の大学の入学式の後、父と飲んだという店(この店の話は山田太一のエッセイに出てくる。脚本家自身の経験が反映している)。二郎「夕べ言ったことを何遍も考えた。辞めないでいる理由もない。もう少し自分の世界を広く考えたい」などと言い、転職について考えると言う。麗子も賛同する。

第12回
b0189364_13500285.jpg 結局、二郎は会社を辞めることに決める。麗子は父にそのいきさつを説明する。辞めたら生活が厳しくなるかも知れないため、自分も仕事をしたいので仕事を紹介してくれないかと依頼する。
 二郎、友人の関根にも決心を告げる。関根は、商売を始めたらどうだなどと軽口を叩く。二郎、その言葉が少し引っかかって、商売について考えるようになる。麗子はこの話を聞いて、小さい店を持って二人で働けたら素敵だなどと言う。
 翌日、二郎は屋台でラーメンを食べ、屋台の店主(加藤嘉)の話を聞く。この店主も元勤め人で脱サラして屋台を始めたという。店主「脱サラしたときの自由だという気持ちが忘れられない」。脱サラして商売を始めることにリアリティが出てくる。二郎「一発ドカンと何かやりたくなったな」。このとき商売を始めることをはっきり決意する。翌日、麗子にそのことを伝える。開業資金について具体的に考えるようになる。二郎「親父に相談しようと思う」。麗子「時間かけて少しでも良いお店にしましょう」。
最後のナレーション「威勢の良い決心の仕方ではなかったが、二人の前にまったく見当の付かない新しい世界が開け始めていた。期待と不安とが二人の間を流れた。静かな朝であった。」

第13回
 二郎、実家に帰り、会社を辞めてスナックを開店したいということ、金を貸してほしいということを伝える。兄、一郎はいきり立って金はないと言い、父も何も言わない。だが翌日帰郷する段になって、父が定期貯金が近いうちに満期を迎えるのでその200万円を貸すと言う。ただし一郎の手前があるため利子を取ると言う。兄は帰り際に二郎を呼び、50万円無利子で貸すという。(兄貴、頑固だが良いところがある。)
最後のナレーション「250万の借金と自己資金50万、あわせて300万円の目安は付いたが、それだけでスナック開店は無理であった。しかし、漠然とした転職という希望から、もう一歩具体的な領域に足を踏み入れたのである。そのことが、二人を明るくさせていた。」

第14回
 工作機械の会社(社長はタコ社長、太宰久雄)で勤めを始めた麗子。二郎は、退社後、スナックの実務について教える学校に1カ月間通うことにする。
 二郎、会社を辞めて新しい商売を始めるということを、麗子の父母に直接会って話す。具体的なプランが決まったら教えてくれと話す父。プランが良ければ金を出すとまで言う。(物わかりの良い父である。)
最後のナレーション「二郎は、麗子の両親の目に自分がどのように映ったかがわかるような気がした。不確かな夢を追う男。しかし絶対に成功してみせる、見ていて欲しいと二郎は思った。」

第15回
 友人の関根が自宅にやってくる。習ったばかりの料理で関根を接待する二郎。関根はその後、金を無心するつもりでここに来たと言う。音楽の師匠がアメリカに行ってしまい生計を立てていた仕事ができなくなったというのだ。二郎は侠気を出して5万円貸してしまう。後でその金額のことで二郎と麗子は喧嘩する。
 翌日も喧嘩の状態が続くが、夜、二郎は上機嫌で帰ってくる。来月会社を辞めてしまい、来月から1月間、他のスナックに見習いに行くことにしたと言う。自然に仲直りしてしまう二人。失恋して遊びに来ていた恒雄は、一人取り残された形になる。
最後のナレーション「二人の世界が大きく変わろうとしているところだった。取り残されて恒雄は孤独の中にいた。」

第16回
 二郎、ついに会社に辞表を出す。退職の日、二人だけでささやかに自宅でパーティ。
(恒雄の恋愛のエピソードが並行して進んでいるが、これについては省略)
最後のナレーション「新しい世界へ踏み出す二人にしては呑気すぎる夜であったが、ともあれこれが、二郎のサラリーマン生活、最後の夜であった。」

第17回から第26回までが開業・奮闘編。
第17回
 二郎、スナックの見習い勤めを始める。麗子、好奇心から見に行く。二郎、カウンターに入って、それらしく立ち振る舞っている。ホットケーキまで作って麗子に出す。二郎はそれなりに自信をつけている。
 二郎、物件探しを始める。

第18回
b0189364_14011366.jpg 二郎が目星をつけた物件を、麗子、麗子の父母が、二郎と一緒に見に来る。
 この物件に一端は決めるが、その後、父が、自分も100万円出資するから、やはり高くてももっと良い物件を探してみないかと言う。「君たちが新しいことを始めるのを見ていると、自分も肩入れしたくなる。だから無利子、無期限で100万円貸す。君たちの夢にかけたい、仲間に入れてもらいたい」と言ってくれる。(良い義父である)
 あらためて店探しを始める二人。そんな折、恒雄が新しい物件を探してくる。現在スナックで、店主がスナックを辞めるから貸しに出すという。そのために居抜きで借りられる。条件は良く予算的にも何とかなる。結局ここに決めるが、前オーナーがスナックを辞めるということが気にかかって、近所のおばさんに話を聞く。何でもこれまでこの物件を借りてきた人々の夫の方が次々に不幸に見舞われてきたという不気味な事実が判明。今のオーナーも夫が入院して仕事ができなくなったという。家族会議の結果、しかるべき神事を行うなどして、この物件を借りようということになる。
最後のナレーション「こうして店が決まった。若い二人には似合わなかったが、占い師の言うとおりにした。女の怨みを鎮めるという神社の神主を招いたのである。これから店を直し、開店の支度である。いよいよ二人の新しい人生であった。」

第19回
 店の改装、開店準備が進み、いよいよ翌々日開店という運びになる。二郎の兄が、開店祝いで上京する。良い店だと祝ってくれる。
 翌日、関根がやって来て、借金を返す。仕事が順調に進み出したことも報告。夜、新しい店に関係者を呼んで、開店パーティを開く。
 いよいよ開店の日を迎える。朝早く目を覚ましてしまう二郎。いろいろと考えてしまう。
最後のナレーション「結局7時半には店へ来ていた。あと3時間半で開店である。二人は黙りがちに、しかしクルクルと働きながら、新しい世界の出発の時を待った。」

第20回
 開店初日風景。最初の客は変な若者で、コーヒーを頼むが結局何も飲まずに出ていく。客は昼頃から大勢訪れ、昼食時が終わるとめっきり客足が減る。客の流れが初めてわかる。恒雄が連れてきた学生たち、家族連れなど、いろいろな客がやってくる。夜は夜で、一人で入ってくる客が多く静かになる。最後の客は、読書している、感じの良い客(小野寺昭)である。こうして初日の営業が終わった。
最後のナレーション「開店の日の売上は、20,530円。予想以上の成績である。このまま順調にいけば、借金もそれほどかからずに返せるかに見えた。明るい夜であった。胸の膨らむ1日であった。」

第21回
 翌日の昼間、麗子の父が店にやって来る。麗子は、テレビかステレオを入れるという話になっているという話を父にする。父は、テレビを入れないという選択肢もある。客がテレビを入れてくれと言っても、すべての客に対応することはない。客本位になるのも良いが店がお客さんを選ぶことも必要じゃないか。自分の店はこう行きたいという個性みたいなものが欲しいじゃないかと言う。(良いセリフである。)
 夜、近所の若者たちがやって来て大きな声でギャンブルの薄っぺらい会話をしている。うるさいため、昨日の読書の客も早々に帰ってしまう。しかもこの若者たち、支払をツケで頼むと言う。二郎は受け入れようとするが、麗子が切れてしまい、うちは掛け売りはお断りしていますと言って追い返してしまう。
 麗子「店の方で客を選ぶ権利がある、あんな人にニコニコするのはいやだ、店の方針をはっきり決めて、格みたいなものを作った方が良い」と二郎に言う。そんなことじゃやっていけないと二郎。麗子「近所を見てみたところ、あまり良いものを食べる場所がない。良いものを出すなど、思い切って店の特色を出してみたらどうだろう」と言う。二郎は、「甘いことを言う」と言って怒る。どうしてそんなことが我々にできるのか、そんなことを考えるのは5、6年早いと言うのだ。
 その後、開店してから1カ月経った。なんと10軒と離れていない近所にスナックができることがわかる。テーブルが5、6個あり、しかも大きなクーラーを入れ、ジュークボックスも置くという。
 新しい店の存在が気になる二郎、あのレストランのコック、沖田に、新しい料理について相談してみることにする。店の特色を出すという麗子の提案について、考えてみようというのである。
最後のナレーション「なぜか、赤坂のレストランで「料理だけが生きがいだ」と言ったあのコックの姿が突然蘇って、二郎を呼ぶのであった。あの屈託のない楽しげな姿。」

第22回
b0189364_856623.jpg 二郎、赤坂のレストランを訪れて、コックの沖田と話をする。何かこれはという一品を出したいからアイデアがあったら教えてもらえないかと言う。沖田は快諾する。
 二日後、沖田が店を訊ねてくる。しかも近所の店のリサーチ済みで、二郎と麗子はいたく感心する。
 翌日の夜、店の営業中、近くに新しくできるスナック「うぐいす」の若い店主、本木(小坂一也)とその父親(内田朝雄)がやって来てあいさつする。父親の方はドスが利いた感じ。「うぐいす」の方は、開店に備えて、店先で大々的に宣伝活動。サービス券を配付したりする。
 その後、再び沖田が、食材を持って開店前にやって来る。美味しいカレーを伝授すると言う。いろいろと考えたがスナックに適した一品というとやはりカレーかということになったと言う。
最後のナレーション「沖田は楽しげに新しいメニューの準備を始めたのであった。」

第23回
 沖田がカレーを実際に作ってみると、非常に旨く、二郎は感心しきりである。麗子は「今日仕込んだカレーを売るのが嫌になった」とまで言う。また沖田はハンバーガー弁当のアイデアも用意し、そのレシピも授けてくれる。沖田は、こうして頼られるのが嬉しいと語る。(沖田の善意が気持ち良い。)
ナレーション「その日の6時に新しいスナックは開店した。流行歌を流し店のしつらえも俗悪で、住宅の多いこのあたりには似合わない気がしたが、客の入りは良かった。主人の客あしらいも慣れていて、競馬であろうと、野球、麻雀、競輪から女の話までやすやすと相手になる男であった。同じやり方で競っても二郎に勝ち目はなかった。自分は自分のやり方でやり通すしかない。とにかく明日からだ。ハンバーガー弁当とカレーライスで勝負するのだ。」
 二郎と麗子、宣伝ビラを配ったりポスターを出したり広報活動をする。
 当日、開店前に「うぐいす」の親子がカレーを食べさせてくれと言ってやって来て試食していく。昼時はいつものように満員だがカレーの評価はわからず。ハンバーガー弁当も7個売れただけで、少々ガッカリ。昼が過ぎるといつものように暇になる。ところが午後になって、ハンバーガー弁当を20個買いたいという、近所の会社勤めの女性が来る。昼買って食べたら美味しかったために社長が社員におやつとして出すと言い出したらしい。最初の反響。
 翌日、沖田に報告しに行く。謝礼を渡そうとすると拒まれる。「あんたがたに喜んでもらえて、この10年の間で一番楽しい思いをした。これからも肩入れさせて欲しい」と言う。
最後のナレーション「ところがその翌日、商売敵の新しいスナックは、10円安いカレーライスとカツサンド弁当を売り始めたのであった。」

第24回
 「うぐいす」の方は、マスターが客あしらいがうまく、しかもテレビを入れているため、若者のたまり場みたいになっている。二郎と麗子は、それに少し危機感を持っている。テレビを入れた方が良いんじゃないかと思う。開店前に沖田がやって来て相談に乗る。
「問題はあなたがたがそういう店にしたいかということだ。店の方針というものが大事であって、客に合わせていたら切りがない、こっちで客を選ぶ気でなくちゃ」と言う。「店が人生の舞台なんだから客の顔色でどうにでもなるようにしてはいけない。旨い料理で評判を取っていくつもりだったんだからそれで辛抱していかなくちゃ。無理して客に合わせたんじゃ店を開いた甲斐がない。」
 さらに沖田、3人であちらの店に行ってみてカレーを食べてみようと提案する。結局3人で食べに行く。味は到底問題にならないことがわかる。沖田は後に「しかし不味かったねぇ」と言って大笑いする。「あんなものは競争にも何にもなりはしない。10円安くたって、そんなの問題じゃない。相手が繁盛してもそんなものは一時だ。味一本」。
 その夜「うぐいす」の本木が、酔っ払ってやって来る。ビールを頼むが、昼間のことに文句を言い、突然二郎を殴りつける。捨て台詞を吐いて出ていく。
 翌日開店前に、本木親子がやって来て謝りに来る。体面上謝ってはいるが、愚痴や脅迫めいたことまで口上していく。その日の午後、いつもなら客足の少ない時間帯に学生が20人ばかりやって来てカレーを食べた。昨日の騒動のときに店にいた客が、昨日の騒動を「カレーの味に嫉妬した同業者が嫌がらせに来た」という評判にして友人を連れてきたのである。
 昼時の込み方が日増しに激しくなってきた。美味しいという評判が広がっているのがわかった。その後、とある新聞に店のカレーの記事が載る。

第25回
 店は順調。
 麗子が妊娠したことがわかる。思わず「困ったなぁ」と口走る二郎。これが原因で夫婦喧嘩になる。

第26回
 麗子、つわりで店に立てないことが多くなる。恒雄が手伝ったりアルバイトのウェートレスを雇ったりする。人を使うことを考えなければならなくなる。
 二郎と麗子、沖田を中華料理店に誘い、お礼をする。その場で沖田が、別の有名レストランから引き抜きの話があると言う。だが今さらレストランを移るより、むしろレストランを辞めて、二郎と麗子の店を手伝いたいと言う。あの店を手伝うことは、張り合いもあるしやりがいもある。今金銭面では不自由はないため、月給5万円でしばらく雇ってもらえないかと言う。「若い人が一生懸命働いてだんだん大きくなる、そういうのを手伝ってみたい」と言う。二郎、「願ってもないこと。あまり良い話なんで信じられない」と言って歓迎する。
 二郎の実家の兄、父母が上京し、店を見に来る。その後、麗子の実家で麗子の両親を交えて、二郎と歓談。(大団円1。)
 店では突然の貸し切りが入り、沖田が助っ人でやってきて腕を奮う。(大団円2。)
最後のナレーション「確かに何もかもがこれからなのである。何一つ終わったものはなく、二人の世界は明日に向かって開けていた。子供が生まれる。他人と一緒の仕事が始まる。レストランに変えていく計画がある。こうした物語の終わりこそ二人にふさわしいと私たちは思った。」
 今までのいろいろなシーンが回想風に流れ、テーマ曲が流れる。(良いエンディングである。)

by chikurinken | 2018-10-01 07:48 | ドラマ

『終りに見た街』(1982年版)(ドラマ)

終りに見た街(1982年・テレビ朝日)
演出:田中利一
原作:山田太一
脚本:山田太一
出演:細川俊之、中村晃子、なべおさみ、菊地優子、山越正樹、酒井晴人、ハナ肇、樹木希林、蟹江敬三

「終りに見た夢」じゃなかったのか

b0189364_21054014.jpg 山田太一のファンタジー小説をドラマ化した作品。脚本も山田太一。
 この作品は、1982年にテレビ朝日で作られたものだが、リメイク版が2005年に同じ局で作られており、僕はかつてそちらで見た(竹林軒出張所『「早春スケッチブック」、「夕暮れて」など(ドラマ)』参照)。内容は、両方でほとんど同じという印象で、キャストや映像、道具立てが違っているくらいではないかと思う。キャストについても、当然それぞれで異なるが、どちらも同じようなキャラクターで一貫しており、このあたりは脚本家の意向がかなり働いていると見た。しかしこれだけ完璧に作り直すんだったら、あまりリメイクの意味はないんじゃないかなどと逆に考えたりする。もっともこの82年版『終りに見た街』の映像が残っているかどうかはわからないわけで、残っていないんだったら、こういう類のリメイクの意味あいは十分あることになる。しかし82年という時代を考えれば残っているような気がする。なんせ当時は家庭用ビデオデッキが流通していたんだから。今回見たのも、YouTubeにアップロードされていたもので、元々は家庭用デッキで録画されたもののようである。画質はかなり悪いが、現実にテレビ朝日が山田ドラマをDVDなどの形式で発売していないし放送もしないんだから、仕方がない。見れるだけありがたいというものである。
 先ほども言ったように、前に見たリメイク版とかなり似ているため、取り立てて違う感想はないのだが、しかし今回見てみた感じでは、前回見たときのような解釈で良いのか、少しわからなくなった。というのも、ラストシーンが、中間部(つまり戦時中のシーン)からそのまま継続して流れているため(主人公の髪型、格好などが共通している)、大どんでん返しオチではなくなる。そうすると、一種のパラレル・ワールドみたいな意味あいになるのか。2005年版でラストシーンがどうなっていたかあまり憶えていないのでなんだが、そのあたりがよくわからない。クエスチョンがいろいろと残る作品だった。個人的には、大どんでん返しオチにして「終りに見た街」ならぬ「終りに見た夢」にした方が絶対に面白いとは思うが。リメイク版を見たとき唯一最後のオチで救われたような作品だったのに、今回それが欠けていると感じたため、面白さも中位なり……という感じで終わってしまった。何より、疑問ばかりが頭の中に残って大層気持ちが悪い。
1982年度テレビ大賞優秀番組賞受賞
★★★

参考:
竹林軒出張所『「早春スケッチブック」、「夕暮れて」など(ドラマ)』
竹林軒出張所『山田太一のドラマ、5本』
竹林軒出張所『続・山田太一のドラマ、5本』

by chikurinken | 2018-06-14 07:05 | ドラマ

『3人家族』 (1)〜(13)(ドラマ)

3人家族 (1)〜(13)(1968年・木下恵介プロ、松竹、TBS)
演出:木下恵介、中川晴之助、川頭義郎、横堀幸司
脚本:山田太一
出演:竹脇無我、栗原小巻、あおい輝彦、沢田雅美、三島雅夫、賀原夏子、中谷一郎、菅井きん、遠藤剛、川口恵子、矢島正明(ナレーション)

ザ・ホームドラマ!

b0189364_15514432.jpg 12年ぶりの『3人家族』。
 前回見たときの印象は以前書いたが(竹林軒出張所『「3人家族」と「二人の世界」(ドラマ)』を参照)、今回見てみて、改めてその面白さに感心。キャラクターがどれも魅力的で、いかにもホームドラマという優しさ、安心感がある。ド派手な事件はなく、単に2つの家族の日常が描かれるだけだが、しかし我々見る方の現実というのは概ねそういうものである。これこそがリアリティというものだ。ただ、偶然が多いのが少々難点で、主人公の男女の偶然の出会いはまだしも、それぞれの弟と妹が偶然出会うということになると、ちょっと無理がある。いくら双方の家族が横浜に住んでいるとしてもだ。ただこれがないとストーリーが成り立たなくなるので、致し方ないといえば致し方ないわけだが。
 それからナレーションがかなりしつこく入ってくるのが、今の感覚からいくと古臭く感じるが(NHKの朝のドラマではいまだにやっているが)、テレビ番組に対する視聴者の集中度が低いことから、意図的に入れたということらしい(竹林軒出張所『テレビがくれた夢 山田太一 その1 続き(補足)』を参照)。ナレーションを担当するのは矢島正明で、これは『逃亡者』を意識してのことである(これも脚本家が語っている)。
 メインのプロットは、主人公の美男、雄一(竹脇無我)と美女、敬子(栗原小巻)の恋愛で、そこに男の仕事、女の結婚などが絡んでくる。同時に他の家族の生活も絡んできてそれがサブプロットになる。すべてが自然に展開するので、わざとらしさがまったくない。大変よくできたドラマである。雄一は、仕事でのし上がるために女と付き合ってなんかいられないなどとうそぶいているのだが、敬子の余りの美貌に心が揺れ動いてしまう。ま、相手が栗原小巻なら当然だろう。そのくらい栗原小巻が美しい。また演技も自然で素晴らしい。演技について言えば、どの出演者も一流で、演技していることを意識させられることが一切ない。あおい輝彦が演じる弟、健(たけし)がまた非常に魅力的な登場人部で、現在自宅浪人中だが、家事全般を引き受けていて、家族に対し食について小姑みたいに細かいことを言ったりするが、少々ボーッとしたところもあって、周囲を明るくする。画面に出てくるのが楽しみになるようなキャラクターで、栗原小巻の美貌とあわせてこのドラマの大きな魅力になっている。竹脇無我のクールさが、この弟と好対照をなしているのも良い取り合わせである。好対照と言えばもう一方の家族の妹、明子(沢田雅美)も敬子と対照的で、きわめて現実的な存在であり、コントラストが効いている。名優の三島雅夫、賀原夏子、菅井きんについては今さら言うまでもない。
 他にも画面に登場する、4本足テレビとか編み機とか魔法瓶とかの調度品が非常に懐かしい。電話が引けたと言って喜んでいるような情景も懐かしさを感じる。そういう懐かしさもあって、見ていて暖かい気持ちになるんだろうかとも思う。いつまでも見ていたくなるような優しいドラマである。
 せっかくなので、ストーリーを簡単にまとめておこうと思う。
★★★★

参考:
竹林軒出張所『「3人家族」と「二人の世界」(ドラマ)』
竹林軒出張所『二人の世界 (1)〜(26)(ドラマ)』
竹林軒出張所『テレビがくれた夢 山田太一 その1(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『テレビがくれた夢 山田太一 その1 続き(補足)』
竹林軒出張所『山田太一のドラマ、5本』
竹林軒出張所『続・山田太一のドラマ、5本』

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柴田家(3人家族)
父:耕作(三島雅夫)
長男:雄一(竹脇無我)
次男:健(あおい輝彦)

稲葉家(3人家族)
母:キク(賀原夏子)
長女:敬子(栗原小巻)
次女:明子(沢田雅美)

第1回
b0189364_15515268.jpg 商社の通信部勤務のサラリーマン、雄一が、電車の中で何度か美女、敬子に目を留める。雄一の弟は自宅浪人、父は定年間近であるが先日課長に就任という、男ばかりの3人家族。
 雄一は営業部への配転を希望、同時に会社の留学試験に受かって海外赴任するという夢がある。そのために日夜勉強の日々。ただしこの制度、独身が条件ということで雄一は「女なんか眼中にない」と自分に言い聞かすように言う。そんな雄一だが、ある日帰りに路上でまたまた敬子を見かけ、会釈を交わす。また別の日、出先のレストランでも顔を合わす。雄一は運命的なものを少し感じる。

第2回
 健が近所の祭り囃子に参加。同じく参加している元同級生の女の子(洋子)目当てである。雄一は、勉強を優先すべきですぐに辞めるよう叱る。兄は堅物で実力主義で、健はそのことを批判する。
 一方、敬子の家族。妹と母との3人暮らしであることがわかる。敬子も雄一のことが気になっている。雄一も敬子のことが忘れられない。

第3回
 霞ヶ関インフォメーションセンターに勤務する敬子に、強引に迫る男の客が現れる。写真家の沢野(中谷一郎)で、突然敬子を食事に誘う。
 健は結局、父の勧めで祭の宵夜に行く。その夜酔っ払って「洋子さーん」などと叫ぶ。翌日家政婦(菅井きん)が臨時で呼ばれる。この家政婦、少々出しゃばりで見舞いに来た洋子と健を取り持とうとするが、洋子の方はつれない。
 一方、沢野はたびたび敬子を誘う。夜、帰りの電車で雄一と敬子、再び顔を合わせる。

第4回
 雄一の家に旧友が彼女を連れてきて、婚約したと言う。「俺は今それどころではない」と自分に言い聞かせる雄一。
 例の家政婦が仕事でもないのにまた柴田家にやってくる。柴田家が気に入ったようだ。

第5回
 朝の満員電車で雄一と敬子が出会う。いきなり体が接するぐらい近くになり、軽く口を利く。ところが駅を出たとたん、雄一は気のないそぶりで敬子を残して去っていく。「女と付き合っていてはいけない」という考えのためだが、敬子はかなりムカッとする。

第6回
 雄一を忘れようとする敬子。一方、「付き合っていてはいけない」と思いつつ敬子のことが頭から離れない雄一。
 予備校の後期課程に申し込みに行った健が、同じく申し込みに行った明子と出会って、意気投合する。日曜日に江ノ島に行こうという話になる。同じ日、雄一は留学試験。

第7回
 健と明子のデートに、敬子もやってくる。健は敬子の美しさに参ってしまい、写真をとりまくる。明子は不機嫌。敬子は2人に気を利かせて、その場を去り、鎌倉の昔の友人に会いに行く。その友人から結婚、子育てで気が滅入っていると聞かされる。「よほどいい人じゃないと結婚しちゃダメ」などと言われる。

第8回
 柴田家に電話が引ける。
 健、江ノ島で撮った敬子の写真を兄に見せる。写真を見て驚く雄一。「誰だ、この人は」と言ったまま、外に出て行く。動揺を隠せない。

第9回
 引けた電話がやっと開通して、健はうれしい。父の職場、兄の職場に用もないのに電話をかけて、顰蹙を買う。その後、雄一が家にかけ直し、ついでを装って、敬子の名前や職場を聞き出す。
 その後、雄一が敬子の職場に「健の兄」として電話し、デートの約束を取り付ける。やっと2人でデート。喫茶店で会って食事し、同じ電車で帰る。言葉少なではあるが、心地よさを感じる2人。

第10回
 敬子はその後雄一をデートに誘うが、雄一は忙しいということで断る。一度は会わないことにした雄一だが、敬子の妹の明子からたきつけられるようにして、再び敬子を食事に誘う。その席で、今は結婚できないなどと語って敬子の反感を買う。
 沢野の元恋人が敬子の職場にやってきて、嫌がらせをする。その後、付き合っていた男2人とも(つまり雄一と沢野)失ったような気がして味気なさを感じる敬子。だが、沢野はその後も敬子の元にやってきた。

第11回
b0189364_15514862.jpg 健は、クリスマスにかこつけて洋子に告白するが体よく断られてしまう。その後、明子から自宅のクリスマス・パーティに誘われ、傷心の状態で赴く。兄の雄一も誘われたが、仕事の付き合いで行けない。敬子はガッカリする。一方で沢野から高価な花が敬子の元に届く。
 後で雄一は、健からその話を聞いて、心が動く。沢野は敬子に再び会いに来て、真剣に付き合いたいと言う。

第12回
 敬子が雄一をお茶に誘う。結婚について話をする。
 雄一、一次試験に合格する。

第13回
 二次試験の準備で勉強に邁進する雄一。敬子とも会わず。敬子の方は何だかモヤモヤする。そういう折に、13年前に失踪した敬子の父親が母親に会いに来る。母親は怒って追い返すが、敬子の職場にも顔を見に来る。敬子は結局会わず。

 続きは、また機会がありましたら。

by chikurinken | 2017-11-21 06:50 | ドラマ