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竹林軒出張所

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タグ:倉本聰 ( 32 ) タグの人気記事

『浮浪雲』(1)、(2)(ドラマ)

浮浪雲 (1)、(2)(1978年・テレビ朝日、石原プロ)
原作:ジョージ秋山
脚本:倉本聰
演出:近藤久也
出演:渡哲也、桃井かおり、伊藤洋一、岡田可愛、笠智衆、谷啓、柴俊夫、犬塚弘、三浦洋一、山崎努

奥さん、もうマンガやがな、マンガ

b0189364_19581383.jpg 1970年代に発表されたジョージ秋山原作のマンガ『浮浪雲』は、当時世間でかなり話題になり、それに触発されドラマ化されたのがこの作品である。このあたりのいきさつについては僕自身も記憶しているが、当時僕の家ではテレビ朝日系のチャンネルが映らなかったし、原作も読んだことがなかったため、このドラマについてもまったく興味を覚えなかった。今だってそれほど興味があるわけではないが、脚本が倉本聰だと知って、ちょっと見ておくかという気になったというその程度の話である。脚本担当は倉本聰だが、データを参照すると金子成人も書いているようで、金子成人の回は特に見なくても良いと考えている。
 さてこのドラマであるが、普段から昼行灯みたいな遊び人の浮浪雲(渡哲也)が実は相当な剣術使いであるというような、面白いが割合よくある設定である。また、いかにもマンガ的なストーリーで、幕末期を舞台にした時代劇でありながら、ギターが出てきたり、国語辞典が出てきたり、あるいはピンクレディーの歌や「勝ってくるぞと勇ましく」が出てきたりして何でもありである。「勝ってくるぞと勇ましく」については、「江戸時代なのに「勝ってくるぞと勇ましく」歌ってやがる」みたいなツッコミのセリフが出てきて、概ねコントみたいなドラマとも言える。冒頭に「このドラマはフィクションであり、時代考証その他かなり大巾にでたらめです。」などと出て開き直っており、そのあたりも「コントだと思って見ろ」というメッセージなんだと思う。当時この手のコント風のドラマは割合流行っていたが(TBSの水曜ドラマなど)、あれをテレビ朝日でもやってみましたという番組だったんではないかと感じる。
 第1回目は沖田総司(三浦洋一)までゲスト的に出てきたりするが、取り立ててどうこう言うようなドラマでもないという印象である。そのせいか第1回目の視聴率が12%だったものが第2回目で8%に落ちている。言ってみれば初回を見た3人に1人が失望したという結果である。僕も倉本作品でなければ2回目以降は見ないと思う。
 なお第2回目のゲストは坂本龍馬(山崎努)で、龍馬にサインをもらうとかのエピソードも少々こざかしさを感じさせる。
★★★

追記:子役がかぶっているヅラまで、コントみたいないい加減な代物で、見ていてすごく気になる。

参考:
竹林軒出張所『川は泣いている (1)〜(4)(ドラマ)』
竹林軒出張所『寺内貫太郎一家 (22)(ドラマ)』

by chikurinken | 2019-05-30 06:57 | ドラマ

『君は海を見たか (70年版)』(6)〜(8)(ドラマ)

君は海を見たか (6)〜(8)
(1970年・大映テレビ室、日本テレビ)
脚本:倉本聰
演出:井上芳夫
出演:平幹二朗、山本善朗、姿美千子、野際陽子、本郷功次郎、寺田農、小栗一也、井川比佐志

『君は海を見たか』のオリジナル版

b0189364_20133605.jpg 以前紹介したドラマ、『君は海を見たか』のオリジナル版。前にも書いたが、『君は海を見たか』は都合3回作られており、最初に発表されたのが本作、続いて翌年に映画化され、さらにその11年後にフジテレビ版が製作された。最初の70年版と映画版は製作会社が同じで(大映)、しかも監督、子役が共通ということであることから、映画版はテレビ版のスピンオフであることが容易に想像される。ただ今回70年版を見た印象から言うと、82年版と70年版はシナリオ自体がかなり共通しており、放映時間を考えると70年版と82年版の方が、70年版と映画版より近いのではないかと思われる。実は今回も第1回から見ようとしていたのだが、内容、セリフが前に見た82年版とかなり共通していたために、途中で飽きてしまった。それで第6回から後を見てみたというわけである。
 キャストは当然、両者で大幅に異なっているのだが、どの俳優もうまい役者ばかりであるため、違和感はまったくない。僕はといえば、頭の中で82年版のキャストと随時置き換えながら見ていた。82年版で比較的重要な役割を演じていた下條正巳と平泉征が、70年版ではチョイ役で、1回限りの出演になっている。また寺田農はどちらの版でも中心的な役割を演じていた。
 先ほども言ったように、若干の違いはあるが、セリフを含めシナリオがかなり共通しており、しかもどちらもよくできているため、どちらかを見ていればもう一方を見る必要はあまりないかも知れない。ただ82年版で手が加えられた箇所は、倉本聰が10年を経た上で追加したいと考えたであろう箇所であるため、両方見る機会があるんだったら82年版の方をお奨めする。82年版はキャスティングも非常に良かったし、主役のショーケンも非常に力が入っていた。子役も魅力的だったし、何より完成度が非常に高かった。一方、この70年版には、第5回に読売ジャイアンツの長嶋茂雄、王貞治、高橋一三がゲスト出演する(単にボールにサインするだけだが)上、後楽園球場での野球の映像も少し入る。それにいろいろと当時の風俗(流行歌〈由紀さおりの「手紙」やシューベルツの「風」などがバックで流れていた〉やモノなど)が出て懐かしいんで、そういうのを期待する向きには70年版も良いかも知れない。ただどちらも現時点ではDVD化されていないため、実際のところ簡単には見ることができないというのが実情である。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『君は海を見たか (1)〜(11)(ドラマ)』
竹林軒出張所『わが青春のとき (1)(ドラマ)』
竹林軒出張所『わが青春のとき (2)〜(8)(ドラマ)』

by chikurinken | 2019-05-28 07:13 | ドラマ

『わが青春のとき』(2)〜(8)(ドラマ)

わが青春のとき (2)〜(8)(1970年・国際放映、日本テレビ)
原作:A・J・クローニン
脚本:倉本聰
演出:高橋繁男、今井雄五郎
音楽:宇野誠一郎
出演:石坂浩二、樫山文枝、塚本信夫、小栗一也、笠智衆、岩本多代、大滝秀治、左時枝、下元勉

窮屈な世界にもがきながらも
自分を通していく姿が魅力的


b0189364_18494145.jpg 1970年に日本テレビで放送されたドラマで、原作はクローニンというスコットランドの作家の作品(『青春の生きかた』)。脚本は倉本聰。
 第1回目を見た段階で大学の医局の閉鎖性をテーマにしたドラマだと思っていたが、それは序盤で終わった。風土病である首木病の研究に没頭していた若い研究者(石坂浩二)は、それが原因で医局の教授と対立し大学をクビになるわけだが、その後は診療所を渡り歩きながらも、自分の研究に邁進する。同時に、研究のせいで診療所の仕事をクビになったり、好きな女性(樫山文枝)とも別れたりして(彼女を取るか研究を取るかみたいに二者択一を迫られたりする)、いろいろなものを失う。まさに青春、まさに若気の至りで、タイトルがそのテーマを物語っている。背景にあるのは医学界の閉鎖性であるが、「すべてを犠牲にしても自己実現に突き進む若者」という構図がテーマになっている。主人公には厳しい現実が次々に襲いかかってきて、ストーリーとしても意外性のある展開になる。よくできたストーリーだと思う。
 また映像がかなり大胆で、いろいろと実験的なショットが出てくる。フォーカスを近景、遠景で交互に変えていくというような映像は当時一般的だったのかあまり憶えていないが、今見ると斬新にも思える。イメージ映像も多彩で、撮影監督がかなりがんばっているという印象である。
 キャストは前にも書いたようにかなり地味で、顔は見たことがあるが名前を知らないというバイプレーヤー俳優が多く出演している。有名なのは主役の2人と、あとは笠智衆と左時枝ぐらいか。大滝秀治が1回だけゲスト的に出て来るが、この頃の大滝秀治はそれほど名前のある役者ではなかったはずで(彼の名前が売れるようになったのは『前略おふくろ様』以降だと思う)それを思うと地味度も一層増す。もっとも、どの役者も皆うまく、派手さがないとしてもまったくドラマの上では構わないわけだ。とは言うものの、主演の2人は直前の大河ドラマ『天と地と』で主人公とその相手役を演じていたらしく、キャスティングの話題性は当時それなりにあったのかも知れない。
b0189364_18494595.jpg どの登場人物も医学用語を駆使し、本物の医学関係者のように見えるのも、演出の妙なのではないかと思う。特に笠智衆は、主人公の恩師の研究者(少し現実離れした変わった研究者)を好演していて実にお見事。奥村チヨが好きなどという遊びの設定も面白い。奥村チヨをはじめとして、当時の流行歌があちこちで流れるのも懐かしさを感じさせる。
 時代のせいか、全体的に展開が遅めで、今の観点から見ると少々いらだたしい部分もあるが、後半は一気に話が流れていき、映像の斬新さもあって、なかなか見せるドラマになっている。若者が窮屈な世界の中でもがきながらも自分を通していく姿は魅力的に映る。題材も目新しいものだし、予想できないストーリー展開も素晴らしい。一見地味で、最初は見続けるのに少々骨が折れる気もするが、見始めたら止められなくなる。あまり有名な作品ではないが、相当な快作と言える。なお、後の倉本聰作品に見られるような「倉本色」はまったくない。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『わが青春のとき (1)(ドラマ)』
竹林軒出張所『君は海を見たか (70年版) (6)〜(8)(ドラマ)』
竹林軒出張所『君は海を見たか (1)〜(11)(ドラマ)』
竹林軒出張所『ライスカレー (1)〜(13)(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 ああ!新世界(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 ひとり(ドラマ)』
竹林軒出張所『聞き書き 倉本聰 ドラマ人生(本)』

by chikurinken | 2019-05-04 07:49 | ドラマ

『わが青春のとき』(1)(ドラマ)

わが青春のとき (1)(1970年・国際放映、日本テレビ)
原作:A・J・クローニン
脚本:倉本聰
演出:高橋繁男
出演:石坂浩二、樫山文枝、塚本信夫、岩本多代、小栗一也、入川保則、左時枝、下元勉

プチ『白い巨塔』という印象……今のところ

b0189364_17262081.jpg 大学の医局の閉鎖性をテーマにしたドラマ。原作はクローニンというスコットランドの作家の作品(『青春の生きかた』)で、脚本は倉本聰。
 まだ1回しか見ていないため、この後どのように進むか断定はできないが、おそらく、医局の閉鎖性に加え、医局内(ひいては学界)のヒエラルキーの弊害などを告発するような展開になると思われる。『白い巨塔』の亜流といった感じか。
 主演は、大河ドラマで名前を挙げた(らしい)当時売り出し中の石坂浩二で、相手役はおはなはんの樫山文枝。他にはあまり有名どころが出ておらず、かなり地味なキャスティングである。
b0189364_17325121.jpg 主人公は、ある有名教授(下元勉)の研究室に属している研究者(おそらく助手)だが、この研究室では教授の下働きみたいなことばかりやらされて、自身の研究ができない。それに不服を言おうものなら研究室から追い出されるというような状況が背景にある。それでもこの主人公、強引に自身の研究(風土病についての研究)を研究室で行おうとするんだが、同僚の中に教授に密告する者がいたりして、そのあたりがサスペンスの要素になる。今後面白い展開になりそうだが、しかしまあ、禁止されていることを強引にやろうとすれば、それが正義であろうがなかろうがその組織を追放されるのは当然である。それを考えると強引に事を進めようとする主人公に感情移入できるかどうかは微妙で、その辺は第2回以降のストーリー・テラーの腕の見せ所ということになる。瞑目して待とう。
★★★☆

追記:
 冒頭のテーマ曲に町の人たちの声がかぶったりしていて、少々前衛的な味わいがある。タイトルのレタリング、現れ方も少し変わっている。ただドラマ自体は、前衛的な要素はまったくなく、普通のドラマとして展開する。

参考:
竹林軒出張所『わが青春のとき (2)〜(8)(ドラマ)』
竹林軒出張所『前略おふくろ様(1)〜(26)(ドラマ)』
竹林軒出張所『君は海を見たか (70年版) (6)〜(8)(ドラマ)』
竹林軒出張所『君は海を見たか (1)〜(11)(ドラマ)』
竹林軒出張所『ライスカレー (1)〜(13)(ドラマ)』
竹林軒出張所『川は泣いている (1)〜(4)(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 ああ!新世界(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 ひとり(ドラマ)』
竹林軒出張所『聞き書き 倉本聰 ドラマ人生(本)』

by chikurinken | 2019-03-02 07:26 | ドラマ

『君は海を見たか』(1)〜(11)(ドラマ)

君は海を見たか (1)〜(11)(1982年・フジテレビ)
脚本:倉本聰
演出:杉田成道、山田良明
音楽:朝川朋之
出演:萩原健一、高橋恵子、伊藤蘭、田中邦衛、柴俊夫、六浦誠、小林薫、梅宮辰夫、下條正巳、平泉征、高岡健二

難病患者を家族に持つ人間の心理描写が見事

b0189364_18434264.jpg 若くして妻を亡くした仕事人間のサラリーマン(萩原健一)が主人公。現在小学生の子ども(六浦誠)がおり、家では妹(伊藤蘭)が母代わりで子どもの面倒を見ている。そういう状況で、子どもが病気で入院することになった。その後、子どもがウィルムス腫瘍という難病であることが判明。当初は、それでも仕事優先で邁進していたが、やがてそれが原因(上司の親心である)で進行中の大きなプロジェクトの担当から外される。はじめは子どもとの接し方が分からないなど(長いことまともに相手していなかったため)いろいろと壁に突き当たるが、徐々に子どもと接する時間が長くなり、心も通い合うようになる。余生3カ月と診断されているため、子どもの残りの人生を充実させようと奮闘するようになるというようなストーリー展開になる。ごく大雑把に言うとそういう内容だが、他にも主人公の再婚がここに絡む他、子どもを失うという事実を前にして狼狽する親の心情がうまく描かれていて、しかも子どもの教育の問題にも踏み込んでいる。そのため、中身はかなり充実している。
b0189364_18445923.jpg 実はこのドラマ、この10年以上前に日本テレビでも製作されているらしく(竹林軒出張所『君は海を見たか (70年版) (6)〜(8)(ドラマ)』を参照)、しかもその後映画化までされたため、この作品で3回目のドラマ化ということになる。言ってみればリメイクだが、『北の国から』でヒットを飛ばした半年後に、同じフジテレビの『金曜劇場』の枠で放送された作品であるため、かなり力が入っている。シナリオの完成度も高く、ドラマとしては割合ありきたりな「不治の病」テーマでありながら、悲劇にとどまらない奥深さが全編漂っている。さまざまな問いかけもあり、それは『北の国から』と共通するテーマであったりもするんだが、非常に意欲的という印象である。
 キャストは、『前略おふくろ様』の萩原健一と梅宮辰夫に『北の国から』の田中邦衛など。萩原健一は『前略おふくろ様』と違って落ち着いた演技で迫真である。梅宮辰夫の課長も異色の役(部下が休み返上で仕事に駆けずり回っているにもかかわらず、休日はきちんと取るような非会社人間)どころを淡々と演じていて好感が持てる。他にも、ゲスト的に小林薫、戸川純、水沢アキ、長谷川初範、大友柳太朗、ガッツ石松、芹明香らが単発で出てくるなど、キャストは結構豪華である。『中学生日記』で風間先生を演っていた湯浅実が医師として登場するのも新鮮である。
b0189364_18440142.jpg ドラマの中で使われている谷川俊太郎の詩『生きる』も大変効果的で良い。またテーマ曲のショパンのワルツ第10番もうまい使われ方で感心する(朝川朋之の編曲も非常に良い)。同じ倉本聰作品の『風のガーデン』でもショパン(夜想曲第20番)をアレンジしたものが使われていたが、あれよりも数段上品で良い。全体に渡って(特に後半)隙のない佳作で、黄金時代の倉本聰+フジテレビの勢いを感じさせるドラマであった。今見てもあまり古さを感じさせないという点も、完成度の高さを反映しているのではないかと思う。もっとも病院で医師がタバコを吸ったりするのは時代だなーと思う。当時、このドラマが終わった後、同じ枠で放送されたドラマが山田太一の『早春スケッチブック』(これも死がテーマ)であったというのもすごい。金曜劇場、今考えると非常に豪華であった。
★★★★

追記:
 舞台美術家の妹尾河童が「アートディレクター」として名を連ねていて、どういう風にこの番組に関わっていたのかは詳しく分からないが、途中一瞬出てきた子ども部屋(ヨットのキャビン風)の透視図が彼の作であることは見てとれた。この子ども部屋の内装ももしかしたら彼がやったのかも知れない。

参考:
竹林軒出張所『君は海を見たか (70年版) (6)〜(8)(ドラマ)』
竹林軒出張所『前略おふくろ様(1)〜(26)(ドラマ)』
竹林軒出張所『ライスカレー (1)〜(13)(ドラマ)』
竹林軒出張所『川は泣いている (1)〜(4)(ドラマ)』
竹林軒出張所『聞き書き 倉本聰 ドラマ人生(本)』
竹林軒出張所『あっこと僕らが生きた夏(ドラマ)』
竹林軒出張所『「早春スケッチブック」、「夕暮れて」など(ドラマ)』

by chikurinken | 2018-11-23 07:42 | ドラマ

『冬のホンカン うちのホンカン-PART IV』(ドラマ)

日曜劇場 冬のホンカン うちのホンカン-PART IV-(1977年・北海道放送)
演出:小西康雄
脚本:倉本聰
出演:大滝秀治、八千草薫、仁科明子、室田日出男、笠智衆

「花嫁の父」もの……と来ればやはり笠智衆

b0189364_19101171.jpg 『うちのホンカン』シリーズ第4作目。
 主人公の「ホンカン」(大滝秀治)が娘(仁科明子)を嫁に出すその前日の1日の物語。主人公が住む支笏のホテルに有名作家(笠智衆)が現れ、翌日に娘を嫁にやる父親の心情を色紙に書いてホンカンに揮毫してくれるが、その作家が実は偽物だったという『玩具の神様』の前フリみたいなストーリーである。
 かつて実際にニセ倉本聰が出現したことがあったらしく、そのエピソードがベースになっていると思われるが、詐欺師が方々のホテルを泊まり歩いて作家になりすますにもかかわらず1日中部屋に閉じこもって原稿を書いているとか、自ら編集者を騙ってホテルに電話を入れるとか、そういったネタは『玩具の神様』とまったく同じ。『玩具の神様』が、この日曜劇場の焼き直しであることがわかる。
 日曜劇場は、1時間ドラマということもあり、ここで一度使ったネタを他で使い回すということが、他の作家でもちょくちょくあるように思われる。山田太一の場合もしかりで、そもそも日曜劇場がそういうお試し的な場として見られていた可能性もある。
 いずれにしても、『ホンカン』シリーズ、第2作、3作、4作とシリーズものにしてはなかなかの佳作が続いていると感じる。
1977年日本民間放送連盟賞優秀賞受賞
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『うちのホンカン(ドラマ)』
竹林軒出張所『ホンカン雪の陣 うちのホンカン-PART V(ドラマ)』
竹林軒出張所『ホンカン仰天す うちのホンカン-PART VI(ドラマ)』
竹林軒出張所『玩具の神様 (1)〜(3)(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 田園交響楽(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 遠い絵本 第一部、第二部(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 ばんえい(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 ああ!新世界(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 ひとり(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 りんりんと(ドラマ)』

by chikurinken | 2017-11-17 07:08 | ドラマ

『川は泣いている』(1)〜(4)(ドラマ)

シリーズ・街 川は泣いている (1)〜(4)(1990年・テレビ朝日)
演出:雨宮望
脚本:倉本聰
出演:東幹久、岩城滉一、横山めぐみ、いしだあゆみ、築山万有美、円浄順子、三木のり平、堀内孝雄、森本レオ

「泣いている川」とストーリーの本流には
関係があったのだろうか


b0189364_22484640.jpg 1990年にテレビ朝日で放送された倉本聰作の全4回のドラマ。テレビ朝日と倉本聰というと少し珍しい組み合わせのように感じる。それにテレビ朝日が「シリーズ・街」などというNHK風のタイトルを付けているのも奇異な感じがする。時代か?
 ストーリーの中心となるのは、葬儀屋の息子(東幹久)の青春ターニングポイントで、出会いと別れ、生と死などがテーマになる。途中『愛と死をみつめて』みたいな話も出てきて、いろいろなものがてんこ盛りされた、サービス精神溢れるドラマと言える。ただし取って付けたようなエピソードもありそのためにリアリティを少々欠いてしまった部分もある。
 堀内孝雄が伝説の歌手みたいな役で登場し、彼が劇中で歌う「川は泣いている」という歌がこのドラマのテーマ曲にもなっているが、この歌が演歌調で少々辛気くさい。エンドロールで流されるんだが、サスペンスドラマみたいな雰囲気を醸し出して(しまって)いる。ここだけ見ると、いかにも(かつての)テレビ朝日という感じになる。倉本ドラマとしては少し異色な演出と言える。
 主人公の独白がしきりに入る「北の国から」スタイルは倉本ドラマらしいが、このナレーションが必要以上に説明的であるためかなりうるさく感じる。ドラマの流れを少しぶちこわしている部分もある。説明のために入れているのであればセリフの半分以上は不要である。
 総じてそれなりのドラマという感じもするが、それでも昨今のドラマと比べると内容の密度、テーマ性などは段違いである。多少の古めかしさはあるものの、今見ても十分楽しめる作品である。
 なお「川は泣いている」というタイトルは、主人公の趣味であるカヌーとの関連だが(カヌーに乗っていると日本の川の破壊され具合が身にしみ、川が泣いていると感じるということ)、このテーマはストーリーとは直接結びつかず、なんのためのカヌーの設定かわからない。単に作者が川のことを主張したかっただけなのかと感じる。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『ダム建設中止問題の実在に関する考察』
竹林軒出張所『ダムはいらない! 新・日本の川を旅する(本)』
竹林軒出張所『聞き書き 倉本聰 ドラマ人生(本)』
竹林軒出張所『玩具の神様 (1)〜(3)(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 遠い絵本 第一部、第二部(ドラマ)』
竹林軒出張所『駅 STATION(映画)』
竹林軒出張所『冬の華(映画)』
竹林軒出張所『日曜劇場 ああ!新世界(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 ひとり(ドラマ)』
竹林軒出張所『ライスカレー (1)〜(13)(ドラマ)』

by chikurinken | 2017-07-04 06:47 | ドラマ

『ライスカレー』(1)〜(13)(ドラマ)

ライスカレー (1)〜(13)(1986年・フジテレビ)
演出:杉田成道、河毛俊作
脚本:倉本聰
音楽:宇崎竜童
出演:時任三郎、陣内孝則、中井貴一、藤谷美和子、布施博、ガッツ石松、北島三郎、風吹ジュン、室田日出男、田中邦衛、佐藤慶、三木のり平

青春、出会い、別れ

b0189364_20471328.jpg 倉本聰が『北の国から』で大ヒットを飛ばし一番名前が売れていた頃の作品。『北の国から』と同じフジテレビ作品で、フジテレビも『北の国から』に続く倉本作品ということで、カナダで8カ月間ロケを敢行するという力の入れようだった。残念ながら視聴率は奮わず、フジテレビとしては誤算だったかも知れない。しかし内容は『北の国から』に迫る、あるいは超えると言って良いほどのグレードである。再放送もあまりなかったようで、永らくDVD化されることもなく、なんでこれほどの作品を眠らせておくのか僕には皆目見当が付かなかった。僕は古本のシナリオを買ったりしたが、ともかく世間的にはずっと評価が低かったようである。そういう状況が変わったのが2011年で、DVDがとうとうフルセットで販売された。僕は速攻で入手したが、結局見ることもなく、そのまま野積み状態で今日まで至ったのだった。手に入ってしまうとすっかりそれで満足してしまって見なくなるということはよくあることである。
 放送時に見たときは非常に心に残って、先ほども言ったように倉本聰の最高傑作だと思ったほどだが、今回通しで見てみてその思いを新たにした。主役は時任三郎、陣内孝則、中井貴一で、時任三郎と中井貴一は『ふぞろいの林檎たち』の主役2人だが、まったく異なるキャラクター、まったく異なる関係性を巧みに演じている。陣内孝則はほぼドラマ初登場だが、非常に個性的な役柄を演じていて会心の演技である。初めて見たときは「これ誰?」と思ったほどの存在感。後は概ね倉本ドラマの常連が脇を固めている。北島三郎は特別出演という枠で初回と最終回のみの登場である(回想シーンでたびたび出てくるが)。
 ケン(時任)、アキラ(陣内)という2人の若者が、地元の先輩、次郎(北島)の(カナダでライスカレーの店を始めるから手伝いに来いという)大風呂敷に乗ってカナダまで行ってしまうが、その先輩が失踪していなくなっていたというのが振り出し。このケンとアキラ、高校では野球に明け暮れ英語はからっきし、コミュニケーションにも困る有様で、とりあえず次郎を探したりするが、見つからず、方々をさまようことになる。その後、いろいろな人々と出会い、そして別れを迎える。まさに青春の1ページである。出会いや別れは、彼らの地元、銚子の人々との間でも起こり、カナダ、銚子の二層構造がドラマに重厚さを与えている。
 あちこちに倉本作品らしい恥ずかしい表現も一部あるし、悪ノリのシーンも結構多いが、いろいろな細かい部分にリアリティがあり、それぞれの登場人物に魅力があって、ストーリーに無理がない。そのため、自分を登場人物と同じ境遇に置くという見方ができる。こういう点は、最近のドラマに著しく欠けている部分である。それに最近のドラマみたいにやけに人が死んだりということもない。人の死は、言うまでもなく現実世界では重いものである。ドラマの中であっても軽々しく扱ってしまうと、極端にリアリティがなくなってしまう。人の死はやはり重いものでなければならない。その辺の表現も実に良い。決して完璧なドラマではないが、(特に若い頃の)人との出会いや別れについて思いを馳せることができる作品である。見た後は、良い作品に接した後の爽快感が残る。
★★★★

追記:
 今見ると、当時の日本人のガイジン・コンプレックスが発揮されていて、見ていて痛々しい感じがする。特に時任演じるケンが、英語がわからず終始愛想笑いしているのがはなはだ痛ましい。ただし演技という視点で見れば最高である。

参考:
竹林軒出張所『聞き書き 倉本聰 ドラマ人生(本)』
竹林軒出張所『君は海を見たか (1)〜(11)(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 遠い絵本 第一部、第二部(ドラマ)』
竹林軒出張所『駅 STATION(映画)』
竹林軒出張所『冬の華(映画)』
竹林軒出張所『日曜劇場 ああ!新世界(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 ひとり(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 りんりんと(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 聖夜(ドラマ)』
竹林軒出張所『前略おふくろ様 (1)〜(26)(ドラマ)』

by chikurinken | 2017-05-29 06:46 | ドラマ

『玩具の神様』(1)〜(3)(ドラマ)

玩具の神様 (1)〜(3)(1999年・NHK)
演出:石橋冠
脚本:倉本聰
出演:舘ひろし、中井貴一、永作博美、かたせ梨乃、小林桂樹、根津甚八、佐藤B作、美保純、きたろう、ミッキー・カーチス

面白いものが書けていた頃の倉本作品

b0189364_21072968.jpeg 倉本聰がシナリオを書いたNHKのドラマ。
 『安らぎの郷』同様、主人公は脚本家(二谷:舘ひろし)。視聴率競争にばかり明け暮れる昨今のテレビ・ドラマに疑問を感じ始めていて、ドラマ・シナリオを書くことも以前ほどうち込めず、そのせいか締切も遅れがち。そんなとき、ニセモノの二谷が現れ、方々で詐欺行為を働いているという情報が、本物の二谷の元に入る。同時に二谷には妻の不倫騒動まであり、シナリオが書けない二谷はそのエピソードまでドラマ化するなど、なんだかしっちゃかめっちゃかな状態。一方、ニセ二谷(中井貴一)はよろしくやっていて、しかも弟子までとっているという有様。本物の方が何となく冴えないが、このあたりは倉本聰の自虐ネタも入っているのか。そうそう、当然のことながら、この二谷は、脚本家自分が(ある程度)モデルになっている。この頃、実際にニセ倉本聰が現れ、倉本になりすまして詐欺行為を働いていたということで、そのエピソードをシナリオ化したのがこの作品なんである。
b0189364_21073315.jpeg ドラマは主人公周辺、詐欺師周辺が並列で進行し、しかもそれぞれの周辺にいろいろなエピソードが盛り込まれているため、結構長いドラマではあるが、非常に面白く見ていてまったく飽きない。倉本聰もこの頃は、これだけ面白いドラマが書けていたということがわかる。しかもドラマの低レベル化を随所で嘆いていたり、視聴率至上主義のテレビ界を批判していたり、いろいろな主張も盛り込まれている。こういう部分は、ある程度時間が自由になるテレビ・ドラマだからできることで、実にドラマ的な部分とも言える。あまりにいろいろなものが盛り込まれているため、少々雑多な印象もあるが、これもテレビ的で、さほど気にならない。いかにもテレビらしい、ドラマらしいドラマと言えるかも知れない。
 ただし、山田ドラマのような強烈なテーマはなく、見た後で肩すかしを喰らわされたような印象は残る。とは言え、人間の善意や信頼などが最後まで貫かれているため、見た後は気分の良さが残る。そういう点でも「良いドラマ」だと思う。
 キャストはどれも非常に好演で、演出もなかなか見事に決まっている。堺雅人がエキストラ並みのチョイ役で出ていたようだ(おそらくAD役)が、はっきりとは確認できなかった。
第17回ATP賞2000優秀賞受賞
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『聞き書き 倉本聰 ドラマ人生(本)』
竹林軒出張所『冬のホンカン うちのホンカン-PART IV(ドラマ)』
竹林軒出張所『安らぎの郷(ドラマ)』
竹林軒出張所『川は泣いている (1)〜(4)(ドラマ)』

by chikurinken | 2017-05-27 07:05 | ドラマ

『やすらぎの郷』(1)〜(5)(ドラマ)

やすらぎの郷 (1)〜(5)(2017年・テレビ朝日)
演出:藤田明二、阿部雄一、池添博、唐木希浩
脚本:倉本聰
出演:石坂浩二、浅丘ルリ子、有馬稲子、加賀まりこ、五月みどり、野際陽子、八千草薫、藤竜也、ミッキー・カーチス

まだ5回だから何だが
すっかり枯れてしまっている


b0189364_19290211.jpg 倉本聰の新作ってことで少しばかり期待したが、本当に後ろ向きで枯れきっているという印象のドラマである。
 第5回目までに関してだが、セリフが説明的で、ナレーションも過剰である。しかも設定があまりにも不自然。短編小説とか1時間ドラマだったら耐えられるかも知れないが、これから約3カ月間も付き合うのはちょっと大変そうな気がする。ドラマの中に、先へ先へと進めるだけのダイナミズムがないため(1回あたり12〜13分のドラマだが)見続けるのも苦痛を感じる。
 もちろんまだ5回目だし、今後なんやかんやエピソードが入ってきていろいろと展開するんだろうが、そもそも舞台になっている、テレビ業界人だけが招待されるという(しかも入居者の費用がほとんどかからない)豪華老人ホームの設定があまりにリアリティがなさ過ぎで、その段階でもう見ていてアホらしくなる。なお付け加えると、入居者は(元大女優を含む)元大スターが多く(消息がわからなくなっていた大スターたちが実はここに住んでいたというようなことになっている)、そこにかつてシナリオライターだった主人公が新しく入居してくるというストーリーである。しかもその上、ここにかつてのスターたちが入っていることは世間には完全に秘密にされているという嘘みたいな設定にもなっている(今後つじつまがあわなくなりそうな予感さえする)。
 こういう設定を聞くと、倉本聰の夢想をそのまま描いたのかとも思ってしまうが、こういう設定で話を進めるとなると、スターさんたちの過去の栄光が物語の中心にならざるを得ないような……つまり(作り物の)過去および懐かしさ中心に話を展開することになるんじゃないかと推測されるが、こういうふうに懐かしさが物語の中心に鎮座してしまうと、本当に精気が無い抜け殻のような枯れたドラマになるんじゃないかというふうに危惧する。今後精気が盛り込まれるかどうかがこのドラマの唯一の注目点だが、本当のところあまり関心が湧かない。
 キャストは超豪華だし、石坂浩二と浅丘ルリ子の共演なんかもう二度とないだろうから、それなりに見所もあるんだろうが、こんな枯れつくしたような作品が世間に受け入れられるのか、そのあたりは疑問である。「シルバータイムドラマ」などと名うっているんで年寄り向けなんだろうし、初回放送で視聴率が健闘していたなどという話も聞くが、個人的には大して興味が湧かず、これからも見続けるかどうかはわからない。
★★☆

追記:
 ドラマでは登場人物の背景(出演作品とかその人のエピソードとか)がいろいろ出てきて(ほとんどはナレーションで説明される)、こうやって登場人物の背景を設定するのが倉本聰のシナリオ流儀らしく、つまりドラマに直接関係ない人物史を描き、それを随時拾い上げて使うというのが倉本流らしいんだが、これがもうとてもわざとらしくてうるさい感じがするのである。倉本作品を見ると、ときどき居心地の悪さを感じるんだが、おそらくこういうのが原因なんだろうな……ということに今回やっと気が付いた。物語の表に出てこない部分はないことにして良いんじゃないかと思うし、むしろそういう部分の処理の仕方が文学やドラマの醍醐味であり面白さではないかというのが僕の考え方である。

参考:
竹林軒出張所『聞き書き 倉本聰 ドラマ人生(本)』
竹林軒出張所『駅 STATION(映画)』
竹林軒出張所『冬の華(映画)』
竹林軒出張所『日曜劇場 ああ!新世界(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 ひとり(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 りんりんと(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 聖夜(ドラマ)』
竹林軒出張所『前略おふくろ様(1)〜(26)(ドラマ)』

by chikurinken | 2017-04-09 07:28 | ドラマ