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竹林軒出張所

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『お金さま、いらっしゃい!』(本)

お金さま、いらっしゃい!
高田かや著
文藝春秋

主婦雑誌に出てくるようなネタばかり

b0189364_17203329.jpg (著者のいわゆる)カルト村(おそらくヤマギシ会)で生まれ育った著者は、その組織内の高等部(高校みたいなもの)卒業を機に「村」(彼らは自身のコミューンをこう呼ぶ)を離れて、一般社会に出てきた。そこまでのいきさつは、前二作(『カルト村で生まれました。』『さよなら、カルト村』)で描かれていたが、その後の著者の生活について紹介したマンガがこの本。
 「村」では、基本的に金を使うことが禁止されており、そのために著者は「村」を出るまで金をほとんど使ったことがなかった。「村」を出てからは、バイトを始めて自分で稼ぐことを知り(〈「村」の労働と比べるとはるかに〉軽い労働で月に13万円ももらえたことが信じられなかったらしい)、その後もいろいろなものを自由に買えることに喜びを見出す。同時に金の使い方についていろいろと考えることもあり、蓄財や節約の方法も自分で見つけていく。そしてその過程やそういった方法などをマンガとしてまとめたのがこの本である。
 これまでの著者の本では、「村」での生活の様子や「村」の生活と外の生活とのギャップなどが一番面白かったわけだが、この本では前の二作と違って、そういうところにはあまり焦点が当たっていない。言ってみれば外の世界に出てからの生活をまとめた「娑婆」編であるため当然だが、そのために正直大して面白味がない。主婦向け雑誌に出てくるようなネタばかりで、あまり興味が湧かないし目新しさも感じない。そういう類の雑誌での連載が初出かと思ったくらいである。
 またマンガ自体についても、説明書きがきわめて多く、マンガであるのは確かだが、絵が挿絵のレベルにとどまっている。要するに説明過剰なんで、大変読みづらい。ただし作画自体はうまく、表現力はなかなかのものとは思う。しかし内容が内容だけに、先ほども言ったように、あまり感じるところがなかったのも事実である。せっかくの表現力が活かされていないのがはなはだ残念な部分である。
 やはりこういったエッセイ・マンガは(あるいはエッセイもそうだが)特異な体験や異次元の感性でもなければ、読んでいて惹かれるところは少ない。そういう意味では、このカルト(ヤマギシ)シリーズは本書で完結ということになるんじゃないかと思う。言い換えると、これまでの2冊ですでに一定の役割は果たしている!ということである。
★★★

参考:
竹林軒出張所『カルト村で生まれました。(本)』
竹林軒出張所『さよなら、カルト村(本)』

by chikurinken | 2018-11-06 07:20 |

『OLはえらい』(本)

OLはえらい
益田ミリ著
いそっぷ社

絵は拙いが味はある

b0189364_16143080.jpg 『すーちゃん』の益田ミリのマンガ・デビュー作。自身のOL時代の話を中心にOLの日常生活(多くは会社での日常)を綴ったマンガである。
 本書刊行のいきさつについては、『ふつうな私のゆるゆる作家生活』にも書かれていたが、いそっぷ社の担当者から突然4コマ・マンガ描きませんかと持ちかけられたことがきっかけだそうだ。しかもこの著者、それまでマンガを描いたことがなかったらしく、それを考えるとよくこんな仕事受けたなと思う。担当者についても、よくこんな仕事持ちかけたなと思う。だがこの担当者の見立てが正しかったことは、その後の『すーちゃん』シリーズを見てみればわかる。いそっぷ社のこの担当の先見性を称えたいところである。
 さてこのマンガ、デビュー作だけあって、絵は非常に拙い、というかむしろヘタである。1980年代以降ヘタウマが許容されるようになったからこそ、こういう拙いマンガも受け入れられるんであろうが、ヘタ度はかなりのものと言って良い。もっともそれでも結構味があるし、登場人物のキャラがたっているため、かなり読める。また(立場的に社内で虐げられることの多い)女性社員の視線から見た同僚男性社員たちの姿はなかなか辛辣で、とは言え単なる中傷ではなく、第三者的に見ても問題のある人たちだとは感じる。こういった鈍感男性が、立場的に弱い人々に対しどのように対峙しているかが描き出されていて、またそれに対応しなければならない女性社員たちの心情と苦労も描き出されていて、そのあたりが本書の大きな魅力になっている。
 主人公はロバの姿をしているロバ山ロバ子(他の登場人物はすべて人間の姿)。『ふつうな私のゆるゆる作家生活』では、編集者が犬の姿だったが、どちらも特に違和感はない。なんせ絵自体、子どもの描くような絵だから、登場人物がどんな姿だろうがおそらく驚くことはない。一応4コマ・マンガになっているが、4コマでオチがあるわけではなく、そのままダラダラと話が続くような形式で、その辺は『すーちゃん』に近い。また全ページに渡って彩色されているが、よく見ると少々雑である。もっともそういったものすべてがこの作品の「味」になっているわけで、そのあたりは決して侮ることはできない。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『ふつうな私のゆるゆる作家生活(本)』
竹林軒出張所『すーちゃん(本)』
竹林軒出張所『結婚しなくていいですか。(本)』
竹林軒出張所『どうしても嫌いな人(本)』
竹林軒出張所『すーちゃんの恋(本)』
竹林軒出張所『オレの宇宙はまだまだ遠い(本)』
竹林軒出張所『地を這う魚 ひでおの青春日記(本)』

by chikurinken | 2018-10-21 07:14 |

『オトーさんという男』(本)

オトーさんという男
益田ミリ著
光文社

益田ミリの父親の紹介

b0189364_16145890.jpg 『小説宝石』に連載された同名タイトルのエッセイをまとめたもの。娘の目から見た著者自身の父親像を描いたマンガとエッセイで、著者は『すーちゃん』の益田ミリ。
 わがままかつ気分屋で我が道を行き、しかも家族に対しては同調圧力を押し付ける父親の姿を描く。いかにも「B型」的な人物で、僕自身はこういう人はそんなに嫌いではないが、肉親にいたら少し迷惑しそうな感じもする。著者自身も「こーゆー人が恋人だったら絶対にイヤです」と書いている。
 本自体はつまらなくはないが、あまり目を引くような箇所もなかった。要は、益田ミリの(愛すべき)お父さんの紹介で終始する。娘を持つ父親が読んだらまた別の感慨があるのかも知れない。
★★★

参考:
竹林軒出張所『すーちゃん(本)』
竹林軒出張所『ふつうな私のゆるゆる作家生活(本)』

by chikurinken | 2018-10-20 07:14 |

『ふつうな私のゆるゆる作家生活』(本)

ふつうな私のゆるゆる作家生活
益田ミリ著
文藝春秋

あまりにタイトル通りの内容

b0189364_18465716.jpg 『すーちゃん』の益田ミリが、自らの身辺を描いたエッセイ・マンガ。
 タイトルが内容をよく反映しており、まさにゆるゆるな生活。また「ふつうな私」という表現も、学校時代目立たない生徒で、短大を卒業してOLをやっていた頃もあまり目立たない存在だったという著者の履歴をうまく表している。あまり良いとは言えないタイトルではあるが、内容はしっかりと反映している。
 登場する「私」はこのようにごく「ふつう」の感じではあるが、若い頃から公募で入賞したりすることはたびたびあったようで、やはり光るものを持っていたようである。彼女の日常は、編集者と会ったり、ネタ探しのために変わったイベントに出かけたり(しかも直前まで行くのが嫌だったりする)という、そういう日々である。編集者の中には常識外れな人もいて嫌な思いをすることもあるが、逆に意気投合するような人もいる。感受性が強いこの「私」にとっては「ゆるゆる」でありながら波風が起こる毎日のようである。この作者の感受性は、どこか非常に女性的な印象を受けるが、そこがこの人の著書を魅力的にしている要因なんだろうなとあらためて感じたのであった。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『OLはえらい(本)』
竹林軒出張所『すーちゃん(本)』
竹林軒出張所『結婚しなくていいですか。(本)』
竹林軒出張所『どうしても嫌いな人(本)』
竹林軒出張所『すーちゃんの恋(本)』
竹林軒出張所『オレの宇宙はまだまだ遠い(本)』

by chikurinken | 2018-10-19 07:46 |

『オレの宇宙はまだまだ遠い』(本)

オレの宇宙はまだまだ遠い
益田ミリ著
幻冬舎

裏側から見た『すーちゃんの恋』

b0189364_17583281.jpg 『すーちゃん』シリーズ第5弾はまだ出ていないと前回書いた(竹林軒出張所『すーちゃんの恋(本)』参照)が、実はこの本、『すーちゃんの恋』の続き……とは言えないが、スピンオフの話である。したがって『すーちゃんの恋』の後に続けて読むと楽しめる。第5弾ではないにしても、第4.5弾ぐらいの位置付けになるのではないかと思う。
 どういうことかというと、『すーちゃんの恋』に出てきてすーちゃんが恋をする相手、地味な土田さんが主人公で、土田目線で話が展開する。その中ですーちゃんとの出会いも出てくるため、裏側から見た『すーちゃんの恋』というような立ち位置である。この土田という人も、すーちゃん同様、周りの人々に優しく、自己犠牲を厭わないようなタイプの、「ロハス的」とでも言えそうな(そんな言葉はないが)好人物である。毎日を一生懸命過ごしながらも、こんな自分で良いのかというような哲学的自問を繰り返すのは、すーちゃん同様。がんばれ若者!などと励ましたくなる素朴な存在である。
 また、すーちゃんがいなくなった後のカフェの変容にもついても利用者の目線(土田の視点)で触れられていて、少しホッとする。他にもあちこちに工夫があって、著者の益田ミリも本人役(?)として話の中に現れるという趣向もなかなか面白いと思う(少しやり過ぎな感じはあるが)。さらには、主人公が書店員であるために、話の中でいろいろな本が紹介されていくんだが、これも楽しい工夫である(巻末にそれぞれの本の一覧まである)。
 本書の最後に付いている番外編は、『すーちゃんの恋』にあった番外編と同様のシチュエーションを土田の立場から描いていて、これもあの本と比較するとなかなか楽しい。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『すーちゃん(本)』
竹林軒出張所『結婚しなくていいですか。(本)』
竹林軒出張所『どうしても嫌いな人(本)』
竹林軒出張所『すーちゃんの恋(本)』
竹林軒出張所『ふつうな私のゆるゆる作家生活(本)』

by chikurinken | 2018-10-18 07:58 |

『すーちゃんの恋』(本)

すーちゃんの恋
益田ミリ著
幻冬舎

思わず感情移入してしまう魅力的な登場人物

b0189364_18253337.jpg 『すーちゃん』シリーズ第4弾。『どうしても嫌いな人 すーちゃんの決心』を読んだら、すーちゃんがその後どうなるのかが非常に気になる。というわけでこの第4弾は、転職後の話。どうしても受け付けられない同僚に耐えられなくなりカフェをすっぱり辞めたすーちゃん。その後無事に保育園の給食担当として就職する。女性ばかりの職場で、これまで以上に出会いがなくなった彼女であったが、新たな出会いがある。それが書店員の土田さん。でも土田さんには既に彼女がいた。しかし土田さんもすーちゃんのことが気になる。さあどうする?というような展開になる。が、残念ながらこの本では2人(3人)がどうなるか決着は付いていない。この後は第5弾でどうぞ……ということなのかも知れないが、今のところ第5弾は出ていないのだった。
 すーちゃんと土田さんとの初期のやりとりは、なかなかリアルで共感できるが、(僕から見ると)少し恥ずかしいような部分もある。だがこの主人公のすーちゃん、幸せになってほしいと思わず願ってしまうような素敵なキャラクターである。そのためにどうしても感情移入してしまう。感じの良いこの土田さんと何とかうまくやってほしいと考えてしまうのであった。他に出てくる登場人物(保育園の園長先生夫妻など)も大変感じが良くて、この本については(『どうしても嫌いな人』を読んだときよりもずっと)穏やかな気持ちになる。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『すーちゃん(本)』
竹林軒出張所『結婚しなくていいですか。(本)』
竹林軒出張所『どうしても嫌いな人(本)』
竹林軒出張所『オレの宇宙はまだまだ遠い(本)』
竹林軒出張所『ふつうな私のゆるゆる作家生活(本)』

by chikurinken | 2018-10-17 07:25 |

『どうしても嫌いな人』(本)

どうしても嫌いな人 すーちゃんの決心
益田ミリ著
幻冬舎

すーちゃんにエールを送りたくなる

b0189364_16030332.jpg イラストレーター、益田ミリによるマンガ、『すーちゃん』のシリーズ第3弾。これも形式は『すーちゃん』と同じで、4コマ・マンガではないが、1ページあたり4コマ×2列で、7ページで1話という構成。当然絵も同じで、『結婚しなくていいですか。』同様、全部まとめて合巻にしてもまったく違和感はない。
 今作は、嫌いな同僚に悩むという話。今回の準主役はいとこのあかねちゃんで、彼女も同じく職場の困った同僚に悩んでいる。この2人の困った同僚は、確かに実際にいそうな人物で、こういう奴が近くにいたら相当なストレスになるのは必至という存在。モデルがいるんじゃないかというくらいリアルなキャラクターで、相当不愉快である。特にすーちゃんの同僚は、鈍感人間にありがちな図々しさで、こちらが開いた心にズケズケ入ってきて散らかしまわして早々に去っていくというタイプの人物で、こういうのが身近にいたら確かに参ってしまいそうである。すーちゃんは実際にかなり参ってしまう。僕自身はこのすーちゃんの感性、要するにこの著者の感性ということになるんだろうが、非常に好きで、こういう人とは友達になれそうな気がする(向こうからは嫌がられるかも知れないが)。
 で、すーちゃんみたいなおとなしめの人が、こういう困った人にどのように対処したら良いかというと、実際のところ世間で良く言われるような処方箋というのはないわけで、すーちゃんはおそらく非常に妥当な決断をする。そうなっちゃいますね……と思わず頷くが、何だか納得いかないような気もする。これはすーちゃんの立場からするともっとそうなんだろうが……と、このように非常に感情移入してしまいました。そういう意味でも、良いマンガだと思います、はい。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『すーちゃん(本)』
竹林軒出張所『結婚しなくていいですか。(本)』
竹林軒出張所『すーちゃんの恋(本)』
竹林軒出張所『オレの宇宙はまだまだ遠い(本)』
竹林軒出張所『ふつうな私のゆるゆる作家生活(本)』

by chikurinken | 2018-10-16 07:02 |

『結婚しなくていいですか。 』(本)

結婚しなくていいですか。 すーちゃんの明日
益田ミリ著
幻冬舎

30代女性にとっての結婚

b0189364_16393406.jpg イラストレーター、益田ミリによるマンガ、『すーちゃん』の続編。これも形式は『すーちゃん』と同じで、4コマ・マンガではないが、1ページあたり4コマ×2列で、7ページで1話という構成。当然絵も同じで、『すーちゃん』と合巻にしてもまったく違和感はない。
 主人公のすーちゃんはカフェの店長。友達の美人のまいちゃんは結婚しているという状況。結婚していると疎遠になるのか、今回の巻にはまいちゃんはあまり出てこない。すーちゃんはヨガを始めて、そこでばったり昔の先輩のさわ子さんに会う。さわ子さんはもうすぐ40歳になる独身女性で、母、母に介護されている祖母との3人暮らし。40歳前のさわ子さんと、親から結婚をせっつかれるすーちゃんが今回の主役になる。すーちゃんにとっては、結婚はともかく自分の将来像、つまりひとりぼっちの老後というのも非常に気になって気が落ち込んだりする。
 こういうのはよく聞く話ではあるが、しかしこのマンガからは、当事者の感情が読み手によく伝わってきて、大変説得力がある。結局のところ将来に対する漠とした不安ということになり、それは結婚していてもしていなくても概ね同じではないかと思うが、それでも未婚の女性にとってはそれが結婚に直結するというのもよくわかる話。結婚しないという意志を決めることもそれなりに決断が必要になるし、結婚したくても実際には簡単に行かない。複雑な女性心理である。絵がシンプルなだけに、登場人物の内面が伝わりやすいということもあるのだろうか。30代女性のいろいろな問題、それに対する感情が直に迫ってきて、リアルな印象を受ける。『すーちゃん』同様、若い女性も大変だ……とつくづく感じるのであった。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『すーちゃん(本)』
竹林軒出張所『どうしても嫌いな人(本)』
竹林軒出張所『すーちゃんの恋(本)』
竹林軒出張所『オレの宇宙はまだまだ遠い(本)』
竹林軒出張所『ふつうな私のゆるゆる作家生活(本)』

by chikurinken | 2018-10-15 07:39 |

『すーちゃん』(本)

すーちゃん
益田ミリ著
幻冬舎文庫

若い女性もいろいろ大変だ

b0189364_18172528.jpg イラストレーター、益田ミリによるマンガ。4コマ・マンガではないが、1ページあたり4コマ×2列で、7〜8ページで1話という構成。元々何かの雑誌に連載されていたものかと感じたが、書き下ろしのようである(未確認)。
 へのへのもへじ並みのシンプルな絵で、動きもほとんどなく、描くのに時間がかかっていなさそう。スクリーントーンは貼ってある。これで内容がつまらなかったら誰も見向きもしないんだろうが、絵からは想像できないほど内容は充実していて、いちいち考えさせられるところがある。
 主人公は、都会暮らしの30台前半の独身女性、すーちゃんで、正社員としてカフェに勤務。基本的には他人に優しく接する人であるが、自分の中では自身をもっと良い人間に変えたいと思っている。職場では他の人間にあまり立ち入らないよう立ち入らせないように振る舞っている。近所に住む友達のまいちゃんが、心を許せるほぼ唯一の存在。そういうすーちゃんが日常を送る様子が本当に淡々と描かれるんだが、すーちゃんもまいちゃんもかなり繊細で、結婚プレッシャーや他人の心ない言葉で傷ついたりする。独身女性はこんなに大変なのかと思うが、若いうちは確かにこういったことで傷ついたり他人をやっかんだりしていたなと思う。一方で将来が暗く思えたりもするし、生きていくのもいろいろ大変だと思う。主人公たちのいろいろな感情や情念が伝わってきて、そして彼女たちの性格や人格が、この単純化された絵とよくマッチしていて、このシンプルな絵が逆に魅力的になってくる。
 なおこのマンガ、この後シリーズ化され、何点か続編が出ている。また、映画化もされているらしい。すぐに読めるんで図書館で続編を借りて読んでみようかなどと思っている。すーちゃんとまいちゃんのその後も非常に気になるし……(なお、この『すーちゃん』では、すーちゃんが勤め先のカフェの店長になり、まいちゃんが結婚する)。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『結婚しなくていいですか。(本)』
竹林軒出張所『どうしても嫌いな人(本)』
竹林軒出張所『すーちゃんの恋(本)』
竹林軒出張所『オレの宇宙はまだまだ遠い(本)』
竹林軒出張所『ふつうな私のゆるゆる作家生活(本)』
竹林軒出張所『大家さんと僕(本)』
竹林軒出張所『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。(本)』
竹林軒出張所『家に帰ると妻がカフェをやりたがっています。(本)』

by chikurinken | 2018-10-14 07:17 |

『長い道』(本)

長い道
こうの史代著
双葉社

道≒すず

b0189364_19482828.jpg のんびりおっとりした若い女性「道」が、遊び人の若い男「荘介」と、親同士が飲み屋の席で約束したせいで結婚することになった。その結果、道が荘介の家に転がり込むことになる。まったく道が好みではないために結婚に乗り気ではない荘介と、なぜかわからないがそのまま居着いてしまう道との奇妙な同居生活が続く……それが1話3〜4ページで完結するというマンガがこれ。元々は雑誌に連載していたもので、なんでも著者の最初の非4コマ・マンガの連載だったそうで、反響もあまりなかった(つまり制約も少なかった)ために自由に楽しく描いた作品だそうな。このマンガ自体も、道同様、何だかのんびりおっとりしている。
 主人公の道は、同じ著者の『この世界の片隅に』の主人公「すず」と非常によく似たキャラクター設定で、少し抜けていて誰からも愛されるような人物像である。道の独特の性格に荘介も徐々に惹かれていくというか情が湧いていくというか、そういう流れになるが、設定自体がかなり荒唐無稽であるため、わかったようなわからないような雰囲気が最後まで漂う。
 回によっては、タッチが変わっていたり、あるいはまったくセリフなしで話を進めていたりしており、「自由に楽しく描いた」というのが窺える。ただセリフなしの回は、物語の挿絵が並んでいるような感じで、内容がわかりにくいところも多い。
 話は(やや変わってはいるが)新婚生活を描いており、『この世界の片隅に』と似た感じの雰囲気もある(特に主人公がほぼ同じだし。もちろん夫のキャラはちょっと違う)。それに登場人物の中には意地悪な小姑まで出てきて、このあたりも『この世界の片隅に』同様。『長い道』を戦中の環境に置き換えたのが『この世界の片隅に』だという見方もできるかも知れない。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『貧乏まんが(本)』
竹林軒出張所『この世界の片隅に(映画)』

by chikurinken | 2018-10-13 07:48 |