「ヨセミテ」と言ってもヨセミテ国立公園の話ではない。もちろん「寄せて見せて」の省略形でもない。Macintosh用のOSの話で、本名はMacOS X 10.10。2014年に発表されたらしいが、僕のマックは昨日も書いたように10.6.8で止まっていたし、アップグレードする気もなかったので、まったく感心がなかった。ところがこのたび、パソコンを新調したため(
竹林軒出張所『パソコンにもプロ化の波』参照)、OSのバージョンも10.6.8から10.7、10.8、10.9をひとっ飛びに越えて10.10に飛び級、特進したという次第。

これまでアップグレードしてこなかったのは互換性の問題が大きいためで、今まで使っていたCarbon仕様(OS 9でもOS Xでも使用できるアプリケーションのための仕様)のソフトが10.7から使えなくなるのがわかっていたためである。また、Carbonソフト以外にも使えなくなるという話が結構耳に入ってきていたので、必然性がなければアップグレードしないと決めていたわけ。なんでもこの10.7というバージョン、最後のメジャー・アップデートということだったらしく、10.8以降はいわゆるマイナー・アップグレードなんだそうな。したがって互換性の問題が一番大きいのもまあ頷ける。とは言え、ユーザーにとってははなはだ迷惑である。
とは言っても、新しい機種には新しいOSが入っているし、古いOSが動くかどうかもわからないので、今回もう全面移行しちゃうと決定したのだった。つまり覚悟を決めた。もちろん、来たるべき新OSへの移行に備えて、ある程度の準備はこれまでしていたのは確かである。たとえば帳簿関連に使っていたApple Works(なつかしのCarbon表計算ソフト)書類は、すべてNumbers(比較的新しい表計算ソフト)で使えるよう変換していたし、今まで使っていたOCR(OmniPage:Carbon)も、代用OCRをすでに調達していた。こういうのは仕事で使うので外せないところである。OCRについてはちょっとパワー不足が否めないが、ParallelsというWindowsエミュレータでWindows版のOCRを動かすという手もある(これについてはまたいずれ)。どうしても必要なソフトさえ抑えておけば、あとは代用やアップグレードで何とかなる、というか何とかする。
で、実際にヨセミテを使ってみると、ブラウザやメールが以前と若干違っていてちょっと戸惑う。使いづらさを感じる。メール・ソフトなんかアプリケーションの名前自体が「メール」になっていて「そのままじゃねぇか」とツッコミを入れたくなる。しかしまあこれも使い続けて行くうちに馴染んでくるし、それによくよく調べてみると旧来の使い方もある程度はできるようになっている。たとえばメールについては、以前のように上のペインにメールのリストが出るようにすることもできる(「環境設定」の「表示」パネルに「クラシックレイアウトを使用」というオプションがある)し、Safariでもブックマークバーを表示させるようにできる(「表示」メニューの「お気に入りバーを表示」。ブックマークバーは「お気に入りバー」という恥ずかしい名称に変わっていた)。慣れてくると違和感は薄れてくる。というよりむしろ新しい設定の方が良いというものもあって、よく練られていると感じることさえある。
全体的には、話には聞いていたがトラックパッドで2本指、3本指を使っていろいろな操作ができるのが秀逸(ある程度は以前のマックにもあったが)。特に「親指と3本指でピンチ」するとランチャー(LaunchPad)が起動し、逆に「親指と3本指で広げる」とランチャーが消える操作や、さらに「親指と3本指で広げる」とウィンドウが全部消えてデスクトップが表示されるなどの操作はとても気持ち良い。操作が自然に感じられるため、非常に理に適った操作方法と言える。これを繰り返すだけで20分位は楽しめる。

なおこのLaunchPadなんだが、iPad風で面白くはあるが、「アプリケーション」フォルダに入っているすべてのファイルがそのままダダダッと表示されるため、不要なファイルがズラズラと出てくることになって、目的のアプリを探し出すのに手間がかかって使いづらいったらない。ランチャーというのは、よく使うファイルだけを集めてこそ利用価値が出てくるわけで、このLaunchPadには、特定のファイルだけをまとめるとかいった機能がないってんだから使い物にならない。ただそういうところは良くしたもので、
LaunchPad Managerというシェアウェア(有料)がすでにあってファイルを登録したり削除したりといったことができるようになっている。だがこういう機能は本来であればLaunchPad自体に搭載しておくべきもので、アップルはちゃんと対応すべきだと思う。
このLaunchPadもそうなんだが、画面を前後に切り替えるときにキーパッドをスワイプすれば画面がワイプされるというインターフェイスも小気味良い機能である。アップルのマジックマウスを使えばマウス表面をこするだけでこれができて大変便利。インターフェイスについては、iPadやiPhoneの要素を取り入れることで、相当高度なレベルに達しているという印象である。非常に洗練されていて使いやすい。バージョン4つ分の差は大きいと言わざるを得ない。
OSのアップグレードの際につきものだが、今回もいくつかソフトをアップグレードし、あるいはいくつかのソフトを新しく導入したため、出費が結構かかったことを付記しておく。ヨセミテも出てから1年くらい経っているせいか、大抵のソフトに対応バージョンが出ていて、(金さえ出せば)あまり困ることはない。ただ今回気が付いたんだが、一部のソフトメーカーは、OSのバージョンごとに異なるバージョンを出していて(当然その分毎年のようにユーザーに買わせているようだ)、ちょっとがめつすぎるんじゃないかと思ったりする。複数のOSで使えるような汎用性の高いバージョンを出すという良心はないのかと思ってしまう。マイナー・バージョンアップのたび、アプリケーションを使いつづけるために出費が強いられるとしたら、問題が多すぎると言わざるを得ない。僕なら懲りて、もうそんなソフト使わなくなると思うし、いずれはユーザーを減らすことになるぞと警告しておこう。
参考:
竹林軒出張所『エルキャピタンって何すか?』竹林軒出張所『ユキヒョウを入るる記』竹林軒出張所『続・ユキヒョウを入るる記、または人柱の記』竹林軒出張所『パソコンにもプロ化の波』--------------------------
以下、以前のブログで紹介したOS更新に関する記事。
(2005年10月2日の記事より)
今さらながらマックにTIGERを入れてみた Tigerというのは、MacOS X(マックオーエス・テン)のバージョン10.4のコードネーム。100を超える新機能を搭載したという、このMacOS X 10.4をこのたび購入し、インストールしてみた。
Dashboard(ダッシュボード)だのSpotlight(スポットライト)だのといった新機能もあるようだが、そういうのはとりあえず置いといて(まだろくに使ってないし)、いちばん印象的だったのは、Safari(MacOS Xに標準で付いているWebブラウザ)の改良だった。

Safariは、動作が軽快で、さすがアップルと思わせるよくできたブラウザだが、10.3から、スクロールすると表示が大きく乱れるという症状があり、不便でしようがなかったのだ(いつも使っているiBook以外のMacではこのような症状がなかったので、特定の環境での問題ということらしい)。今回やっとこれが改善され、普通にスクロールできるようになった(まあ当たり前のことが当たり前に行われるようになっただけだが)。私は以前から、使うソフトにはそうとうこだわりがあり、当然のことながらマイクロソフトのものなどは極力排除しているのだが、それにしても、Webブラウザにはこれまであまり良いものがなかったように思う。これまで、Netscape Navigatorに始まり、iCabなどというドイツ製軽量ブラウザ(そこそこ良いソフトではあった)も使ってきたが、やはりどこかに問題があって、もうひとつ決定版がなかった(そういえばMosaicなどというのも使ったことがある < すでに化石)。で、このSafariだ。動作が軽快で安定していながら、インターネットエクスプローラなどで採用されている新機能も、遅ればせながらではあるが少しずつ取り入れられてきた。ただ、後発なだけに、取り入れ方が洗練されており、目新しさはないが安定感があって、なかなか玄人好みの趣もある。
今回の新しいバージョンでは、RSSが採用された。RSSも今となってはそれほど目新しいものではないし、個人的にも、数年前にKonfabulatorというソフトで使ってみたことがある。インターネットの可能性を感じさせる機能ではあったが、うちのISDN環境ではいかんせん反応速度が遅く、実用にはほど遠いという印象があった。だが、SafariのRSSは、以前のようなもたつく印象はまったくなく(今でもISDNだが)、むしろいちいちページにアクセスしなくても新しい記事があるかどうかがすぐにわかるので、トータルではブラウザを使う時間が短縮されたようにも感じる。
ちなみにRSSとは、ニュース・サイトなどのエントリだけを一覧で表示するための形式で、たとえばこのブログなんかでも、RSSを使うとそれぞれのエントリのタイトルだけの一覧を参照できるようになる。まだ閲覧していないエントリが登録された時点で、そのことが何らかの方法で通知されるようなものもあるようだ。Safariでは、ブックマークに登録しているRSSページの横にかっこ付きの数字が表示され、まだ参照していないエントリの数が示される。そのページを参照した時点で、その数字が消えるということになる(つまり閲覧済みという扱いになる)。したがって数字が表示された時点で、新しいエントリが登録されていることがすぐにわかるわけだ(この説明でわかりますかね……)。
以前RSSを使ってみたときはそれほど便利さを感じなかったが、今回あらためて、その可能性を感じることになった。ただ、これでもSafariのRSS機能は制限が多いのだそうで、最近のブラウザには高機能のRSSが搭載されているという。だが、SafariのRSSはこなれているという印象もあり、好感度は高い。
それであらためて便利さを知ったので、ひとつ私のブログもRSSに対応してみようかということになって、このたびRSSのリンクを左側に入れた。RSS機能付きブラウザや、その他のRSS対応ソフトウェアを使われている向きは、利用されたい。左側の「XML/RSS FEED」の「Syndicate this site」をクリックすると、RSSページが表示されるようになった。Safariユーザーは、これをそのままブックマークに登録すると、ブックマークエントリの横に、新しいエントリ数を表す数字が表示されるようになるというわけだ。
もっともこのブログは更新があまり頻繁ではないので、テスト的に登録してもなかなか確認できない……。申し訳ない。テストで使うのであれば、ニッカン・スポーツなどのニュース・サイトでお試しください。
(写真は本文とは関係ありません。)