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竹林軒出張所

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『わが青春のとき』(1)(ドラマ)

わが青春のとき (1)(1970年・国際放映、日本テレビ)
原作:A・J・クローニン
脚本:倉本聰
演出:高橋繁男
出演:石坂浩二、樫山文枝、塚本信夫、岩本多代、小栗一也、入川保則、左時枝、下元勉

プチ『白い巨塔』という印象……今のところ

b0189364_17262081.jpg 大学の医局の閉鎖性をテーマにしたドラマ。原作はクローニンというスコットランドの作家の作品(『青春の生きかた』)で、脚本は倉本聰。
 まだ1回しか見ていないため、この後どのように進むか断定はできないが、おそらく、医局の閉鎖性に加え、医局内(ひいては学界)のヒエラルキーの弊害などを告発するような展開になると思われる。『白い巨塔』の亜流といった感じか。
 主演は、大河ドラマで名前を挙げた(らしい)当時売り出し中の石坂浩二で、相手役はおはなはんの樫山文枝。他にはあまり有名どころが出ておらず、かなり地味なキャスティングである。
b0189364_17325121.jpg 主人公は、ある有名教授(下元勉)の研究室に属している研究者(おそらく助手)だが、この研究室では教授の下働きみたいなことばかりやらされて、自身の研究ができない。それに不服を言おうものなら研究室から追い出されるというような状況が背景にある。それでもこの主人公、強引に自身の研究(風土病についての研究)を研究室で行おうとするんだが、同僚の中に教授に密告する者がいたりして、そのあたりがサスペンスの要素になる。今後面白い展開になりそうだが、しかしまあ、禁止されていることを強引にやろうとすれば、それが正義であろうがなかろうがその組織を追放されるのは当然である。それを考えると強引に事を進めようとする主人公に感情移入できるかどうかは微妙で、その辺は第2回以降のストーリー・テラーの腕の見せ所ということになる。瞑目して待とう。
★★★☆

追記:
 冒頭のテーマ曲に町の人たちの声がかぶったりしていて、少々前衛的な味わいがある。タイトルのレタリング、現れ方も少し変わっている。ただドラマ自体は、前衛的な要素はまったくなく、普通のドラマとして展開する。

参考:
竹林軒出張所『前略おふくろ様(1)〜(26)(ドラマ)』
竹林軒出張所『ライスカレー (1)〜(13)(ドラマ)』
竹林軒出張所『君は海を見たか (1)〜(11)(ドラマ)』
竹林軒出張所『川は泣いている (1)〜(4)(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 ああ!新世界(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 ひとり(ドラマ)』
竹林軒出張所『聞き書き 倉本聰 ドラマ人生(本)』

by chikurinken | 2019-03-02 07:26 | ドラマ

『獅子の時代 総集編』(ドラマ)

獅子の時代 総集編(1980年・NHK)
第一回「対決のパリ」
第二回「鶴ヶ城決戦」
第三回「敗れし者の道」
第四回「愛と動乱の日々」
最終回「自由自治元年」

脚本:山田太一
演出:重光亨彦、清水満、中村克史、外園悠治、松橋隆、上田信
音楽:宇崎竜童
出演:菅原文太、加藤剛、大原麗子、大竹しのぶ、永島敏行、金田賢一、尾上菊五郎、藤真利子、鶴田浩二、丹波哲郎、加藤嘉、佐々木すみ江、香野百合子、横内正、千秋実、沢村貞子、中村富十郎、児玉清、根津甚八、中山仁、細川俊之、三田村邦彦、岸本加世子、岡本信人、村野武範

意欲的な大河ドラマ、ではあるが……

b0189364_18582554.jpg 1980年に放送された全51回のNHK大河ドラマ。脚本が山田太一であり、長いこと気になっていた作品であるが、前に本編第1回を見たときに興味が惹かれなかったため、結局見ずに終わっている。今回図書館で総集編を見つけたため、見てみるかと思って借りてきた。
 舞台は幕末で、主人公は平沼銑次(菅原文太)、苅谷嘉顕(加藤剛)という架空の人物である。それぞれ会津藩士、薩摩藩士で、1867年のパリ万国博覧会に出展した幕府、薩摩の随行員として洋行しており、パリで知り合う。その後、幕末の動乱で互いに敵方になって争うが2人とも生き残り、維新後は、下層階級で政府に虐げられる立場の平沼と、政権の中枢に入った苅谷との対照的な人間模様が、その時代背景の中で描かれるという、大河ドラマとしてはかなり意欲的な設定である。
 ただしドラマとして見ると、偶然の出逢いが非常に多い上、主人公が超人的な力を発揮したりして、リアリティに乏しいのが大きな難点である。山田太一作品らしさはセリフにもストーリーにも見られない。
 とは言え、描かれる時代背景の中に、パリ万博、戊辰戦争、廃藩置県、憲法制定、秩父事件などが出てくるあたりは、やはり意欲的である。ありがちな幕末もの大河ドラマとは、そのあたりでも一線を画している。したがって大河ドラマとしてはデキの良い部類と言える。だが山田ドラマとしてはデキの悪い部類に入る。
第13回テレビ大賞優秀番組賞受賞
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『炎立つ 総集編 (1)(ドラマ)』
竹林軒出張所『大河ドラマ 平清盛 総集編(ドラマ)』
竹林軒出張所『坂の上の雲 (1)〜(13)(ドラマ)』
竹林軒出張所『花の生涯 (1)(ドラマ)』

by chikurinken | 2019-03-01 18:57 | ドラマ

『ベトナムのひかり』(ドラマ)

ベトナムのひかり
〜ボクが無償医療を始めた理由〜
(2019年・NHK)
脚本:後藤法子
演出:本木一博
出演:濱田岳、国仲涼子、キムラ緑子、ビン・アン、レ・チ・ナ、チャン・ギィア、ヒュー・ヒエン、ホン・アン、本田博太郎、生瀬勝久

羽鳥やなくて服部やろ!

b0189364_18135315.jpg ベトナムで活動している眼科医、服部匡志をモデルにしたドラマ。
 眼科医、羽鳥志郎(濱田岳)は「神の手を持つ男」と呼ばれていたが、学界の席であるベトナム人医師に乞われて、3カ月間ベトナムに赴任し現地で治療に携わることになる。だがベトナムの現場で、医療を受けられない大勢の貧困者に出逢い、結局身銭を切って彼らに治療行為を行うようになった。それでも彼らを助けるには3カ月では足りないということになり、その後も何度も日本とベトナムの間を往復しながら、活動を続けていくようになるというストーリー。
 ドラマでは、妻(国仲涼子)との意見の相違やすれ違い、家庭を顧みず地域の活動に精を出していた父(生瀬勝久)の影響などが主要なテーマになっており、同時に現地の医師との確執、習慣の違いの戸惑いなども取り上げられる。この手のドラマとしては、割合平凡なモチーフだが、1本のドラマとして見ると、破綻もなくよくまとまっている。一部のエピソードが、使い古されたようなありきたりなものでややチープなのが気になるが、現行ドラマの中では水準が高い方と言える。途中、ベトナムの看護師から「ハットリセンセイ」と呼ばれ「ハットリやなく羽鳥や!」などという遊びのセリフがあって、笑わせてくれるのもポイントが高い。
b0189364_18135781.jpg モデルになった服部匡志という眼科医、僕はまったく知らなかったが、『情熱大陸』や『カンブリア宮殿』でも取り上げられているようで、結構有名な人らしい。こういう立派な活動をやっているのならばマスコミでもっと取り上げられてしかるべきだし、これによって協力者も増えるかも知れないとも思う。それを考えると、広報という点でもこのドラマが貢献することになるかも知れない。
 キャストでは濱田岳が好演で、情熱的で直情的な医師の役をうまく演じきっている。この人、どのドラマもまったく外れがなく、感心する。本田博太郎と生瀬勝久も良い味を出していた。珍バイクが映像で出てきたのもポイントが高い。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『反骨の外科医(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『武器ではなく命の水を(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『ディア・ドクター(映画)』
竹林軒出張所『それ行け!! 珍バイク(本)』
竹林軒出張所『ジェネラル・ルージュの凱旋(ドラマ)』
竹林軒出張所『ナイチンゲールの沈黙(ドラマ)』

by chikurinken | 2019-02-09 07:13 | ドラマ

『みかづき』(1)〜(2)(ドラマ)

みかづき (1)〜(2)(2019年・NHK)
原作:森絵都
脚本:水橋文美江
演出:片岡敬司
出演:高橋一生、永作博美、風吹ジュン、黒川芽以、鎌田英怜奈、工藤阿須加、勝矢

『朝のドラマ』風の経営話

b0189364_18372132.jpg 森絵都原作の『みかづき』のドラマ化作品。昭和30年代に千葉で学習塾を始めた夫婦の物語である。第1回は、夫婦のなれそめと学習塾の開業、第2回は夫婦と家族の問題がテーマになっている。
 当初、登場人物にモデルがあるのかと思っていたが、どうやら原作者のオリジナルのようである(未確認)。学習塾経営や家族の話が中心で、この後どれぐらい波瀾万丈があるかはわからないが、基本的にはそれほど目新しい展開はない。学習塾経営の話と言えば、かつて『名古屋お金物語2』という作品がNHKで放送されたが(「回転塾」などという発送が斬新だった)、このドラマについてはあえて言うなら『NHK朝のドラマ』風のストーリーで、『名古屋お金物語』ほどの奇抜さはない。また演出もありきたりで、ところどころオーバーアクトが存在し、例によってかなり気になる。
 個人的な興味としては、共同経営(主人公の塾は途中から他の塾と共同経営になる)の過程に興味があるが(一般的に共同経営がうまく行くとは考えられないし)、そのあたりはドラマではまったく触れられていないので、経営話として見ても芯がない印象で、あまり面白味を感じない。現時点では経営がトントン拍子に進んでいることだし、経営話にするんならもう少し波乱がなければ……とも思う。そのため、すべてが絵空事のように感じられ、リアリティもあまり感じられない。昨今のドラマの水準から考えると標準的な作品だろうかと思う。こういったドラマは消耗品のような印象さえ受ける。芸術性を求める僕のような視聴者が楽しめるドラマはもう存在しないようで、それもないものねだりになったのかとも思う。
★★★

参考:
竹林軒出張所『塾講師にだまされるな!(本)』
竹林軒出張所『二人の世界 (1)〜(26)(ドラマ)』

by chikurinken | 2019-02-08 07:36 | ドラマ

『家康、江戸を建てる』(ドラマ)

家康、江戸を建てる 前編・後編(2018年・NHK)
原作:門井慶喜
脚本:八津弘幸
演出:西谷真一(前編)、一色隆司(後編)
出演:佐々木蔵之介、生瀬勝久、優香、千葉雄大、マギー、藤野涼子、松重豊(前編)、柄本佑、広瀬アリス、林遣都、伊原六花、高橋和也、吹越満、吉田鋼太郎(後編)、市村正親、高嶋政伸(前後編)

素材は面白いが内容は平凡

b0189364_17585799.jpg NHKが正月に放送した時代劇。徳川家康が江戸を建設するときのエピソードを2夜連続のドラマにしたもので、前編に「水を制す」、後編に「金貨の町」という副題がついている。
 前編は大久保忠行(佐々木蔵之介)による神田上水建設、後編は後藤庄三郎(柄本佑)による金座開設の話で、どちらもドラマでは家康(市村正親)が直々に彼らにミッションを申しつける。
 元々は門井慶喜という人の『家康、江戸を建てる』という小説が原作らしい。原作がどの程度活かされているかはわからないが、ドラマはきわめて凡庸で、しかも大ぶりでオーバーな演技が多く(特に前編)、見ていてあまり興味をかき立てられない。素材が興味深いので今回通して見てみたが、ドラマとしてはよくある奮闘成就パターンで、実にありふれた時代劇になってしまった。それに時代考証をちゃんとやっているのか疑問に感じるような箇所が非常に多かったのもマイナス点。ネタで魅せようとするこういうユニークな素材であれば時代考証が大切なのは言うまでもあるまい。せめてそういった周辺部をもう少し丁寧に処理した上で、ドラマ作りをしてほしかったところである。
★★★

参考:
竹林軒出張所『実見 江戸の暮らし(本)』
竹林軒出張所『大江戸庶民いろいろ事情(本)』
竹林軒出張所『石川英輔の本、5冊』
竹林軒出張所『江戸古地図の旅(ドキュメンタリー)』

by chikurinken | 2019-01-19 07:58 | ドラマ

『フルーツ宅配便』(1)(ドラマ)

ドラマ24 フルーツ宅配便 (1)(2019年・テレビ東京)
原作:鈴木良雄
脚本:根本ノンジ
演出:白石和彌
音楽:高田漣
出演:濱田岳、松尾スズキ、内山理名、荒川良々、前野朋哉、原扶貴子

異色の設定が現実を映し込む

b0189364_19142226.jpg 2019年の最初の『ドラマ24』枠は、鈴木良雄の同名マンガのドラマ化作品。原作マンガの『フルーツ宅配便』は、「フルーツ宅配便」という名前のデリヘル業者での人間模様を描く作品で、現代の世相や貧困を赤裸々に描いているリアリズム・マンガである。
 主人公の咲田真一(濱田岳)が、ひょんな巡り合わせで、デリヘル店「フルーツ宅配便」に就職する。この店、デリヘル嬢に果物の源氏名をつけており、ホテルなどにそのデリヘル嬢を「宅配」するということで「フルーツ宅配便」を名乗っている。このあたりですでになかなか工夫が見られる(原作に由来するものだが)。そこに集まるワケありのデリヘル嬢が毎回主人公になって話が展開していくという作品である。
 今回このドラマを見てから原作マンガの第1巻と第2巻も読んでみたが、どのエピソードも非常によくできていて、しかも現代社会の貧困や庶民の苦しみが描かれている。作画も丁寧で、全編に余韻が漂う快作である。デリヘル嬢がどれもそこそこ不細工なのもリアルである。
b0189364_19144034.jpg このドラマについては、その原作の味が活かされていながら、特にこの第1回はさらに一味加えられていて、原作を上回る仕上がりになった。テレビ東京の深夜ドラマ枠は、『アオイホノオ』『俺のダンディズム』など、結構な意欲作が多く、毎回期待を持たされる(裏切られることも多い)が、この作品もその期待に違わぬドラマになりそうである。第1回のゲスト・キャスト、内山理名も好演で、僕など、最後までこれが内山理名だと気付かなかった。非常に不幸な話だが、ドラマ版ではわずかな救いがあった。もちろん決して不幸な人たちが幸せになるというような単純な話ではなく、その辺がこの原作、そして(おそらく)ドラマの魅力でもある。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『貧乏まんが(本)』
竹林軒出張所『アオイホノオ (1)〜(6)(ドラマ)』
竹林軒出張所『俺のダンディズム (1)〜(3)(ドラマ)』
竹林軒出張所『LOVE理論(ドラマ)』
竹林軒出張所『終電バイバイ(2)〜(4)(ドラマ)』
竹林軒出張所『最貧困女子(本)』

by chikurinken | 2019-01-18 07:14 | ドラマ

『俺たちの旅 二十年目の選択』(ドラマ)

俺たちの旅 二十年目の選択(1995年・ユニオン映画)
脚本:鎌田敏夫
演出:齋藤光正
出演:中村雅俊、金沢碧、秋野太作、田中健、上村香子、岡田奈々、森川章玄、石井苗子、神田うの、左時枝、平泉成

元祖・同窓会ドラマ

b0189364_16202884.jpg 1975年代に日本テレビで放送された群像ドラマ、『俺たちの旅』は当時の若者たちの間で絶大な支持を得た。カースケ(中村雅俊)、オメダ(田中健)、グズ六(秋野太作)という3人の若者が同じアパートで同居し、あれやこれやの青春を繰り広げるというドラマで、僕自身は正直言ってそんなに面白いとは思わなかったが、成績優秀の同級生、ヤマナミ君が「『俺たちの旅』おもしろい!」と訴えていたのが印象に残っている。
 こういった人気を集めた群像ドラマであれば、当然「その後の姿」というのもドラマとして格好の素材になるわけで、そういう類の続編は他のドラマでもたびたび作られている。で、今回、最初の『俺たちの旅』放映から20年後に作られた『二十年目の選択』というタイトルの続々編(10年後バージョンもある)が放送されたんで、それを見たわけである。
 中身は、カースケ、オメダ、グズ六が40台になっており、それぞれエラくなっているという話で、それでもそれぞれ少しずつ問題を抱えていて人生に迷うというような風にストーリーは展開していく。ただし基本は、以前の登場人物が集まって過去を懐かしむというのが話の芯の部分になる「同窓会ドラマ」である。したがってオリジナルの『俺たちの旅』にかなりの思い入れがない限り、大して面白くはない。ストーリーもバカバカしくて惹かれる部分はあまりない。随時70年代のフォーク音楽が流れるのもいかにも「同窓会ドラマ」という感じがして片腹痛い。
 脚本は鎌田敏夫で、これはオリジナル版と共通である(『俺たちの旅』が鎌田敏夫作だということはまったく知らなかった)。鎌田敏夫は『男女七人夏物語』みたいな同様の群像ドラマも書いていて、しかもあのドラマでもこういった類の同窓会ドラマが作られたように記憶しているが、そうすると鎌田敏夫は群像同窓会ドラマの巨匠なのか。しかもどの作品も、浅くて面白味がないという点も共通している(あくまで個人の感想です)。それでも当時世間ではこういったドラマが人気を集めていたわけで、(僕から見ても)ブラウン管を濁す程度の役割は十分果たしていた。ということであれば僕がことさらいろいろ言う必要もないんだろう。ただこのドラマについては、取って付けたようなシーンが多い上、セリフに面白味がないとか気恥ずかしいセリフが多かったりとか、そういうことは見ていて感じたんで、それについてはここで書いておこうかなと思った次第である。
★★★

参考:
竹林軒出張所『舞踏会の手帖(映画)』
竹林軒出張所『わたしのペレストロイカ(ドキュメンタリー)』

by chikurinken | 2018-11-24 07:20 | ドラマ

『君は海を見たか』(1)〜(11)(ドラマ)

君は海を見たか (1)〜(11)(1982年・フジテレビ)
脚本:倉本聰
演出:杉田成道、山田良明
音楽:朝川朋之
出演:萩原健一、高橋恵子、伊藤蘭、田中邦衛、柴俊夫、六浦誠、小林薫、梅宮辰夫、下條正巳、平泉征、高岡健二

難病患者を家族に持つ人間の心理描写が見事

b0189364_18434264.jpg 若くして妻を亡くした仕事人間のサラリーマン(萩原健一)が主人公。現在小学生の子ども(六浦誠)がおり、家では妹(伊藤蘭)が母代わりで子どもの面倒を見ている。そういう状況で、子どもが病気で入院することになった。その後、子どもがウィルムス腫瘍という難病であることが判明。当初は、それでも仕事優先で邁進していたが、やがてそれが原因(上司の親心である)で進行中の大きなプロジェクトの担当から外される。はじめは子どもとの接し方が分からないなど(長いことまともに相手していなかったため)いろいろと壁に突き当たるが、徐々に子どもと接する時間が長くなり、心も通い合うようになる。余生3カ月と診断されているため、子どもの残りの人生を充実させようと奮闘するようになるというようなストーリー展開になる。ごく大雑把に言うとそういう内容だが、他にも主人公の再婚がここに絡む他、子どもを失うという事実を前にして狼狽する親の心情がうまく描かれていて、しかも子どもの教育の問題にも踏み込んでいる。そのため、中身はかなり充実している。
b0189364_18445923.jpg 実はこのドラマ、この10年以上前に日本テレビでも製作されているらしく、しかもその後映画化までされたため、この作品で3回目のドラマ化ということになる。言ってみればリメイクだが、『北の国から』でヒットを飛ばした半年後に、同じフジテレビの『金曜劇場』の枠で放送された作品であるため、かなり力が入っている。シナリオの完成度も高く、ドラマとしては割合ありきたりな「不治の病」テーマでありながら、悲劇にとどまらない奥深さが全編漂っている。さまざまな問いかけもあり、それは『北の国から』と共通するテーマであったりもするんだが、非常に意欲的という印象である。
 キャストは、『前略おふくろ様』の萩原健一と梅宮辰夫に『北の国から』の田中邦衛など。萩原健一は『前略おふくろ様』と違って落ち着いた演技で迫真である。梅宮辰夫の課長も異色の役(部下が休み返上で仕事に駆けずり回っているにもかかわらず、休日はきちんと取るような非会社人間)どころを淡々と演じていて好感が持てる。他にも、ゲスト的に小林薫、戸川純、水沢アキ、長谷川初範、大友柳太朗、ガッツ石松、芹明香らが単発で出てくるなど、キャストは結構豪華である。『中学生日記』で風間先生を演っていた湯浅実が医師として登場するのも新鮮である。
b0189364_18440142.jpg ドラマの中で使われている谷川俊太郎の詩『生きる』も大変効果的で良い。またテーマ曲のショパンのワルツ第10番もうまい使われ方で感心する(朝川朋之の編曲も非常に良い)。同じ倉本聰作品の『風のガーデン』でもショパン(夜想曲第20番)をアレンジしたものが使われていたが、あれよりも数段上品で良い。全体に渡って(特に後半)隙のない佳作で、黄金時代の倉本聰+フジテレビの勢いを感じさせるドラマであった。今見てもあまり古さを感じさせないという点も、完成度の高さを反映しているのではないかと思う。もっとも病院で医師がタバコを吸ったりするのは時代だなーと思う。当時、このドラマが終わった後、同じ枠で放送されたドラマが山田太一の『早春スケッチブック』(これも死がテーマ)であったというのもすごい。金曜劇場、今考えると非常に豪華であった。
★★★★

追記:
 舞台美術家の妹尾河童が「アートディレクター」として名を連ねていて、どういう風にこの番組に関わっていたのかは詳しく分からないが、途中一瞬出てきた子ども部屋(ヨットのキャビン風)の透視図が彼の作であることは見てとれた。この子ども部屋の内装ももしかしたら彼がやったのかも知れない。

参考:
竹林軒出張所『前略おふくろ様(1)〜(26)(ドラマ)』
竹林軒出張所『ライスカレー (1)〜(13)(ドラマ)』
竹林軒出張所『川は泣いている (1)〜(4)(ドラマ)』
竹林軒出張所『聞き書き 倉本聰 ドラマ人生(本)』
竹林軒出張所『あっこと僕らが生きた夏(ドラマ)』
竹林軒出張所『「早春スケッチブック」、「夕暮れて」など(ドラマ)』

by chikurinken | 2018-11-23 07:42 | ドラマ

『ルーツ』(5)〜(6)(ドラマ)

ルーツ (5)〜(6)(1977年・米)
 第5話 自由への賭け
 第6話 新たなる天地を求めて
原作:アレックス・ヘイリー
脚本:アーネスト・キノイ、ジェームズ・リー
演出:マーヴィン・J・チョムスキー他
出演:レスリー・アガムス、チャック・コナーズ、ベン・ベリーン、リチャード・ラウンドトゥリー、オリビア・コール、ゲオルグ・スタンフォード・ブラウン、ブラッド・デイヴィス、ロイド・ブリッジス、バール・アイヴス


苦難の登場人物が現代に繋がる

b0189364_17093288.jpgネタバレ注意!

 アレックス・ヘイリーの『ルーツ』をドラマ化したもので、77年に全米でテレビ放送され大ヒットした作品。
 第5回は、キジーの息子、ジョージ(通称チキン・ジョージ)が主人公である。闘鶏師として腕を上げたジョージは、やがてマチルダと結婚し、子どももできる。だがその後、ジョージの所有者である農園主(実の父の白人)と心情的に対立するようになる。そんな折、賭け闘鶏で大勝負に出たその農園主は、ジョージの奮闘も虚しく惨敗し、財産を失ってしまう。その抵当として、優れた闘鶏師であるジョージの所有権を譲ることになり、ジョージは数年間英国に渡ることになる。
 第5回の後半は、ジョージの息子トムの世代。14年後に米国に帰ったジョージは、妻と息子のもとを訪ねる。そして自分が自由な身になり奴隷身分から解放されたことを打ち明ける。ただしこの地(妻と息子が住んでいる州)の法律では、この州に6カ月以上とどまった自由黒人は自動的に奴隷になるという条項があり、やむなくジョージは、妻と子ども達を置いて他の州へ去る。その後、南北戦争が始まる。トムは差別主義の白人たちと対立していく。
 最終回は、その後のトムの一家の様子。南北戦争で南部が敗北し、黒人奴隷が解放されることになる。とは言え、白人同様の扱いになるわけではなく、身分が奴隷でなくても実質的には農奴的な生活を余儀なくされる。一方で、白人と対等な関係を主張するトムは、白人たちのリンチを受けることにもなる。そんな折、チキン・ジョージが戻ってきて、北部に農園を手に入れたから全員でそこに移ろうと申し出る。農奴を手放したくない白人たちとの戦いが始まる……。
b0189364_17094184.jpg ジョージはドラマの最後に、息子や孫たちを前にして語る。「我が家の最初の奴隷は、じいさんのクンタ・キンテだ。だが、じいさんは奴隷になる前は自由だった。遠いアフリカという国にいた。だが、太鼓を作るため木を探していて奴隷商人に捕まった。そしてアメリカのアナポリスに連れてこられた。クンタ・キンテは自分の生まれた国を決して忘れなかった。そして自分の国の言葉も。コーはハープで、カンビ・ボロンゴは川のこと。彼は自由になるために戦った。逃げられぬよう足を切られたあとでも。死ぬ前に、自由への夢を娘、キジーに託した。キジーはその夢を、次のジョージに託した。ジョージは、それを息子たちに。自由になる日まで。そしてついに自由になった。」
 そして最後の最後に来るシーンは、アレックス・ヘイリー自身が登場して語る後日談である。トムの娘は、新しい農園で成長し、やがて材木商を営む黒人と結婚。その2人の間にできた娘はヘイリーという名の教師と結婚。そしてその間に生まれたのが原作者のアレックス・ヘイリー。ジョージが子孫たちに語った先祖の歴史が、ヘイリーの世代(クンタ・キンテの7代後)まで語り継がれてきた……と語られる。
 第1回から第4回までと同様、全編非常に劇的で、見所も多い。ただし第6回は、少々演出を劇的にしすぎたせいで、やり過ぎ(演出過剰)の感が出てきた。視聴者を引き付けなければならないテレビドラマという観点から見れば仕方がないのかも知れないが、多少興が醒める。それでも、黒人の理不尽な被差別の有り様をまざまざと見せつけられ、差別というものがどういうものであるかが実感できるという点で、素晴らしいドラマであることには変わりない。最後にヘイリー自身が出てきて、このドラマの登場人物たちと自分との繋がりを語るという演出も大変よくできている。このドラマは、放送時、アメリカで(そして日本でも)非常に注目され高い視聴率を獲得したが、あの時代の人権意識の高さを物語るようなエピソードだと思う。今の時代みたいに人権意識が希薄になりつつある時代にこそこういったドラマが必要ではないかと思うが、今放送されたところであまり注目されないかも知れないとも感じる。
 毎回のようにゲストキャストが出ていたが(前回も書いたが、実は知らないゲストが多かった)、第6回は、カントリー歌手のバール・アイヴスがそれに当たるようだ。ただしバール・アイヴスも、O・J・シンプソンやスキャットマン・クローザース同様、当時すでに俳優活動をやっていたため、他のキャストから浮いているというようなことはまったくない。
プライムタイム・エミー賞作品賞受賞
★★★★

参考:
竹林軒出張所『ルーツ (1)〜(4)(ドラマ)』
竹林軒出張所『キング牧師とワシントン大行進(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『人種隔離バスへの抵抗(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『グローリー 明日への行進(映画)』
竹林軒出張所『クー・クラックス・クラン(本)』

by chikurinken | 2018-11-10 07:09 | ドラマ

『ルーツ』(1)〜(4)(ドラマ)

ルーツ (1)〜(4)(1977年・米)
 第1話 さらば母なる大地
 第2話 誇り高きマンディンカの戦士
 第3話 我が妻 我が娘
 第4話 愛する者たちの別離
原作:アレックス・ヘイリー
脚本:アーネスト・キノイ、ジェームズ・リー
演出:デヴィッド・グリーン
出演:レヴァー・バートン、ジョン・エイモス、タルマス・ラスラーラ、エドワード・アズナー、ルイス・ゴセット・Jr、ヴィック・モロー、ローン・グリーン、マッジ・シンクレア、ロバート・リード、レスリー・アガムズ、チャック・コナーズ、ベン・ベリーン、リチャード・ラウンドトゥリー

アメリカの黒人の血を辿る一大叙事詩

b0189364_18094550.jpgネタバレ注意!

 アレックス・ヘイリーの『ルーツ』をドラマ化したもので、77年に全米でテレビ放送され大ヒットした作品。当時日本でも放送され、話題になった。僕自身も当時テレビで見て、おおきな感銘を受けた。原作はヘイリー自身の先祖数代に渡る歴史を描いたもので、アフリカのガンビアで捉えられ奴隷としてアメリカ大陸に連れてこられたクンタ・キンテからの苦難が描かれる。
 ガンビアのマンディンカ族の戦士の血を引く若者クンタ・キンテは、奴隷商人に捕まり奴隷船で米大陸に運ばれる。奴隷船の中では多くの奴隷たちが死んでいく(反乱で死んだ者もいる)。大陸に着くと、今度は奴隷として白人の農園主に売り飛ばされる。マンディンカ戦士としてのプライドを持ち続けるクンタは自由を求めて脱走を何度も試みるが、そのたびに捕まりひどい仕打ちを受ける。ここまでが第2話までで、主演は当時学生あがりだった新人俳優、レヴァー・バートンが務める。
 第3話はその9年後の話で、ここから主演はジョン・エイモスに変わる。成人後のクンタ・キンテ役である。主人公のクンタ・キンテは、再び脱走を試みるが捉えられ、罰として足先を切り落とされる。その後、別の農園主の元に売られて、そこで料理女のベルと知り合い、彼女と結婚し娘を授かる。そしてこの地で家族とともに生きることを決意するというのが第3話。
 第4話はさらに16年後。娘のキジーが話の中心になる。キジーはある問題から別の農園主に売られ、親子が引き離されることになる。その後、新しい農園主に手込めにされ男の子を産む。第4話の後半は、それからさらに18年後。息子ジョージが立派に成長し、闘鶏用の鳥番として主人の信頼を集めている。キジーの方は別の黒人男サムと良い仲になり結婚の約束もするが、結局彼の奴隷根性に愛想が尽きて結婚を解消する。キジーには父クンタ・キンテから引き継いだ自由な人間としてのプライドがあったのだった……というストーリー。
b0189364_18095214.jpg 1話あたり90分だが、1話と2話が奴隷としてアメリカ大陸に連れてこられるまでのクンタ・キンテ、3話が奴隷として家族を持つクンタ・キンテ、第4話が娘のキジーという具合に、だんだんスパンが短くなる。この後の第5話と第6話で完結するわけだが、第5話がジョージの世代、第6話がその子どもの世代という具合に話が進んでいく。このドラマについて出演者やスタッフが一様に「saga(サーガ)」と呼んでいたが、まさしく奴隷としての生き方を強要された黒人の、その家系の百数十年を辿る叙事詩になっている。奴隷船での非人道的な扱いや農園での無常な売買などで虐げられる黒人たちの有り様がリアルに描かれて、見るのが辛くなるような厳しい映像が出てくる。これが当時の黒人たちの現実だったということが窺える(奴隷船の撮影ではエキストラの黒人が使われていたが、あまりに過酷で屈辱的だったためか80%のエキストラが翌日現れなかったらしい)。主人の機嫌を伺いながら生き、かと思うと突然気まぐれなひどい扱いを受けたりもする。しかも終始劣等な人間として扱われる。黒人側は(そして見る側も)終始、こういった理不尽な扱いに憤りながらも結局媚びながら生きるしかないということを思い知らされる。
 放送当時かなり話題になって実際にアメリカでの視聴率も高かったらしいので、当時の(白人を含めた)人々に与えたインパクトはかなりのものだったんではないかと思う。現在のように差別主義が跋扈する時代にこそ、こういう作品を大勢の人間が見た方が良いのではないかと感じる。
 なお、第1話、第2話あたりまでゲスト扱いでさまざまな有名俳優が出ているようだ(ほとんどの俳優については知らなかった)。僕がわかったのは、第1話のO・J・シンプソン(元フットボール選手)と第4話のスキャットマン・クローザース(ミュージシャン)くらいだったが、この2人、俳優の活動もやっていたため、アメリカ人にとってはあまり目新しさもなかったのかも知れない。O・J・シンプソンは、ドラマの中でも恐るべき俊足を見せていた。
プライムタイム・エミー賞作品賞受賞
★★★★

参考:
竹林軒出張所『ルーツ (5)〜(6)(ドラマ)』
竹林軒出張所『キング牧師とワシントン大行進(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『人種隔離バスへの抵抗(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『グローリー 明日への行進(映画)』
竹林軒出張所『クー・クラックス・クラン 白人至上主義結社KKKの正体(本)』

by chikurinken | 2018-11-09 07:09 | ドラマ