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竹林軒出張所

chikrinken.exblog.jp

『インサイド・ロシア』(ドキュメンタリー)

インサイド・ロシア
国民の“声”はいま

(2023年・英BBC World Service / Ronachan Films / BBC STORYVILLE)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー

プーチン戦争に反対する人々の姿

『インサイド・ロシア』(ドキュメンタリー)_b0189364_08315010.jpeg ウクライナ戦争を仕掛けたプーチン・ロシアだが、当然国内には反対の声もある。そういう反対の声を拾い上げたのがこの作品。元々はBBCが作成した75分のドキュメンタリー映画のようである(今回の放送は50分)。
 この作品には、街頭で人々にインタビューする活動をしている人、言論の自由のためゲリラ的に芸術活動を行っている若者、戦闘で家族を失った人々らが登場する(すべてロシア人)。当局に拘束される人も中にはいて、ロシア国内の状況を垣間見れるような気になる。
『インサイド・ロシア』(ドキュメンタリー)_b0189364_08314507.jpg とは言え、こういった種類のドキュメンタリーは、やはり一部分を切り取っただけに過ぎないという考え方もでき、嘘ではないが必ずしも本当の姿を反映しているかはわからない。いろいろな情報を総合すると、ロシアの国内は、全体主義的な雰囲気が漂いつつも従来の生活が割合平然と進んでいるようではある(今後はどうなるかわからないが)。独裁に反対する人々を含め、いろいろな人間がロシアの国内にいるということだけは間違いなく、その辺を窺えるのがこのドキュメンタリーの見どころと言って良い。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『プーチン政権と闘う女性たち(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『禁じられたモスクワ(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『プーチンと西側諸国(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『プーチンと西側諸国 (4)〜(5)(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『西洋の敗北(本)』
竹林軒出張所『第三次世界大戦はもう始まっている(本)』
竹林軒出張所『こうしてソ連邦は崩壊した(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『映像の世紀プレミアム 21(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『1942 大日本帝国の分岐点(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『1943 国家総力戦の真実(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『1944 絶望の空の下で(ドキュメンタリー)』

# by chikurinken | 2025-02-14 07:31 | ドキュメンタリー

『禁じられたモスクワ』(ドキュメンタリー)

禁じられたモスクワ
経済制裁下の市民生活

(2024年・仏Tony Comiti productions)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー

戦時下の社会状況を垣間見る

『禁じられたモスクワ』(ドキュメンタリー)_b0189364_08194376.jpeg ウクライナ侵攻の結果、ロシアは西側諸国から厳しい経済制裁を受けているが、ロシア国内の様子がどうなっているのかは外の世界からはよくわからず、大変興味深いところである。そこでモスクワに実際に入って、現地の状況をレポートしようという意図で作られたのがこのドキュメンタリーである。
 このドキュメンタリーに出てくる人々は、金持ち階級の人が多いようで、庶民の実情とは少し乖離しているかも知れないという思いを持ちつつ見ていたが、実際のところ、ソ連崩壊前後のように、著しく生活に困っているという様子はないようで、そのあたりはやや拍子抜けした。これは、物資がトルコなどのロシアの友好国を通じて入ってくるためで、もちろん価格はかなり高くなっているが、多くのものがいまだに入手できるようである。スーパーマーケットの様子なども出てきたが、物自体は揃っているという印象だった。
 西側のブランド店はその多くが撤退しているが、テナントについてはまだそのまま残っているところもある。終戦後に再びロシアに戻ってくる算段なのだろう。撤退したファストフード店の後にはロシア資本の(同様の名前とロゴを使った)ファストフード店が出ていてそれなりに繁盛している。どことなく隣国を思わせる。
『禁じられたモスクワ』(ドキュメンタリー)_b0189364_08194807.jpeg 一方で、国内でテロが起こったり、兵士として駆り出され戻ってこない戦争犠牲者が現れたりという現実もあり、戦時下であることは意識せざるを得ないようである。このドキュメンタリーの取材が2024年初頭のようで、あれから戦況と経済状況はロシアにとってさらに悪化していることが推測される。現在の状況は幾分変わっているのではないかと思われるが(バターが不足しバター強盗が発生しているなどという話も聞く)、それについても詳細に知りたいものである。いずれにしても、こういう素の姿を報告するという企画は、非常に有意義だと感じる。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『インサイド・ロシア(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『プーチン政権と闘う女性たち(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『プーチンと西側諸国(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『プーチンと西側諸国 (4)〜(5)(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『西洋の敗北(本)』
竹林軒出張所『第三次世界大戦はもう始まっている(本)』
竹林軒出張所『こうしてソ連邦は崩壊した(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『映像の世紀プレミアム 21(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『1942 大日本帝国の分岐点(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『1943 国家総力戦の真実(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『1944 絶望の空の下で(ドキュメンタリー)』

# by chikurinken | 2025-02-12 07:19 | ドキュメンタリー

『さよなら青函連絡船』(ドキュメンタリー)

さよなら青函連絡船
(1988年・NHK)
NHK-BSプレミアム NHK特集・選

古さしか感じないが
それなりによくできている


『さよなら青函連絡船』(ドキュメンタリー)_b0189364_18414939.jpg 本州と北海道を結ぶ青函トンネルが1988年に開通したことから、それまで津軽海峡を運行していた青函連絡船が廃止されることになった。1988年3月に運行を停止したのだが、運行停止が近づくにつれて、名残惜しさを感じた乗客が多数利用するようになり、前の年より乗客数が増えたという。
 このドキュメンタリーは、1988年の運行停止前の青函連絡船の状況を伝える番組で、連絡船の運行の模様を紹介する他、実際にこの船に乗り込んでいる数人の乗客の思いを聞いたりして構成したものである。
 今回、数年前に再放送されたものを見てみたが、さすがに今見て感慨が起こるということはない。ただ、乗客がこの船に持っている思い入れなどはよく伝わってきて、それなりに良い作品には仕上がっている。ただ一方で、あれからすでに35年以上経っていることを思うと、この番組に登場している多くの人がすでに故人になっているのではと感じること頻りで、青函連絡船同様、利用者の側も消えていくのが世の習いという、そういうことを、この番組を見ながらあらためて感じるのだった。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『巨大橋に挑む(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『バブル 終わらない清算(ドキュメンタリー)』

# by chikurinken | 2025-02-10 07:41 | ドキュメンタリー

『私たちは売りたくない!』(本)

私たちは売りたくない!
”危ないワクチン”販売を命じられた製薬会社現役社員の慟哭

チームK著
方丈社

私も打ちたくない!

『私たちは売りたくない!』(本)_b0189364_08345362.jpg Meiji Seikaファルマという製薬会社に勤務する有志の人々が、mRNAワクチン、特にレプリコンワクチンの危険性を訴える本。主な著者は、同社でMR(医薬情報担当者:医療機関に出入りする製薬会社の営業職のようなもの)を務めている人と思われる。
 この著者であるが、かつて同僚であった影山晃大氏がコロナワクチンを接種して3日後に死去したことで、コロナワクチンの危険性を実感し、このような悲劇が二度と起こらないようにという願いから、今回の本書による告発に至ったという(チームKという名前も影山晃大氏の名前にちなんだもの)。
 特に彼らの勤務先のMeiji Seikaファルマは、自己増殖型のレプリコンワクチンを国内で開発販売することになっており、得体が知れない上、しかもコロナワクチン以上に危険と思われるこの「ワクチン」を見切り発車的に売り出すことで、影山氏のようなワクチン被害者が増え、下手をすると(ワクチン薬害訴訟の結果として)同社の存続さえ危ぶまれる状況になるのではという危惧を抱いたことも大きな動機になっている。
 本書では、かつて日本中で接種されたmRNAワクチン(いわゆるコロナワクチン)の機序に加え、ワクチン被害の状況、そしてそれが広く伝えられていない現状を報告する。著者の周辺でもコロナワクチン接種後数日で突然死した人が何人かおり、コロナワクチンの危険性を身をもって実感しているようである(自らは数回ワクチン接種しているという)。コロナワクチンについては、通常であれば臨床試験などで10年以上かかるはずの開発機関がわずか1、2年で見切り発車的に使われたこと、そしてあちこちに体調を崩す人々や死亡した人々が出たこと、ワクチン接種が始まってから日本の年間死者数が跳ね上がったことなどを取り上げており、本来であれば誰もが疑問を感じるべき事例であるにもかかわらず、そのまま触れられずに過ぎていることに疑問を持っているようである。しかもレプリコンワクチンという、危険性が未知で得体の知れないものが、世界に先駆けて日本で流通しようとしている、しかもそれを担当するのが自社ということで、危機感を募らせているというのが、本書の主旨である。
 記述も平易で読みやすく、取り上げられるデータなども、一般的に広く流通しているものばかりで奇異さはまったくない。十分な説得力もあるため、(今さらではあるが)コロナワクチンに疑問を持った人々には格好の本と言えるかも知れない。特にレプリコンワクチンの危険性については、非常に参考になるのではないだろうか。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『コロナワクチン その不都合な真実(本)』
竹林軒出張所『ワクチン幻想の危機(本)』
竹林軒出張所『薬害「コロナワクチン後遺症」(本)』
竹林軒出張所『新型コロナワクチン 誰も言えなかった真実(本)』
竹林軒出張所『コロナワクチン失敗の本質(本)』
竹林軒出張所『コロナワクチン 私たちは騙された(本)』
竹林軒出張所『コロナ利権の真相(本)』
竹林軒出張所『新型コロナワクチンの光と影(本)』
竹林軒出張所『子どもへのワクチン接種を考える(本)』
竹林軒出張所『新型コロナワクチン 副作用が出る人、出ない人(本)』
竹林軒出張所『新型コロナとワクチンのひみつ(本)』
竹林軒出張所『もうワクチンはやめなさい(本)』
竹林軒出張所『ワクチン神話捏造の歴史(本)』
竹林軒出張所『ワクチン副作用の恐怖(本)』
竹林軒出張所『子宮頸がんワクチン事件(本)』
竹林軒出張所『乳幼児ワクチンと発達障害(本)』
竹林軒出張所『京大 おどろきのウイルス学講義(本)』

# by chikurinken | 2025-02-07 07:34 |

『台所太平記』(本)

台所太平記
谷崎潤一郎著、山口晃挿絵
中公文庫

変態性のない、ほのぼのする谷崎作品

『台所太平記』(本)_b0189364_08260613.jpg 谷崎潤一郎のエッセイ風の小説で、自宅に来ていた何人かの女中(今で言う家政婦みたいなもの、ただし住み込み)を題材にして、彼らの身辺と、主人公、千倉磊吉(おそらく著者の投影)との関係などを紹介していく作品である。以前読んだ『谷崎万華鏡』で、画家の山口晃がマンガ化していたものを読んでこの小説に関心を持っていたが、今回文庫化されているのを見つけて買って読んでみた。ちなみに、表紙と挿絵は、山口晃があの本に描いていた絵が適宜切り取られて使われている。
 『谷崎万華鏡』の「台所太平記」は、それぞれの女中の特徴が非常にうまく描かれていて楽しめたが、同時に主人公の一家が、衣食住から縁談に至るまで、彼女たちの生活の面倒をしっかり見ていたのが印象的で、現在の家政婦とは趣が異なっていたのに非常に驚いた。こういう関係は、千倉家のみに限らなかったはずで、当時の女中奉公が花嫁修業の一環だったということがよくわかった。当然現在ではこういう関係性はないが、一方で主人の家の側がこの千倉家のようにもののわかった人々でなければ、女中の方もやっていけなかったのではないかと思う。人によっては暴行を働く者もあるわけで、事実、この作品に登場する初という女中は、前の勤め先で主人に手をつけられそうになった(つまり暴行を受けそうになった)という話である。
 その初をはじめ、個性的な女中が何人も登場し、中には、謎めいた行動をする者、同性愛者で女中同士関係を持った者、癲癇(てんかん)を患っていた者、美人で我が強い者など、単なる人間観察にとどまらない面白さがある。また山口晃の挿絵もユーモラスで非常に味わい深く、登場人物に対するイメージを喚起する上で大いに役立っている。『谷崎万華鏡』では「詳しくは書かないので小説をお読みください」というようなフレーズがあったが、マンガでも原作のほとんどを網羅できており、しかもその雰囲気もよく再現できていたことが本書を読んでよくわかる。そういうことを考え合わせると、あのマンガ化は極上だったと言える。マンガを読んでから原作を読むという過程がこれほどしっくり来る例もなかなかあるまい。そのため、今回、十二分に楽しむことができた。
 この文庫版に付属していた解説(松田青子という人のもの)が、記述が差別的であることを繰り返し指摘していて、その偏狭さに少々いらだつ。時代背景を考えあわせると、記述自体に差別的な意識を感じることは決してなく、早い話が時代感覚の違いに行きつくわけで、そんなことは改めて言われるまでもなく読んでいるときでも気が付くのだ。そういうことを気にするのであれば、過去の小説などは読めなくなるわけで、そういう点を踏まえた上で接するのが大人の読み方というものである。この解説で繰り返し行われている指摘はむしろレベルの低さを感じさせ、こんな解説なら不要だと思わせる。文庫版の『谷崎万華鏡』(『谷崎マンガ 変態アンソロジー』というすごいタイトルになっている)に載っていた、山口晃と近藤聡乃の対談(こちらは優れもので非常に面白かった)でも掲載すれば良かったのにと思う。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『谷崎万華鏡(本)』
竹林軒出張所『蓼喰う虫(本)』
竹林軒出張所『瘋癲老人日記(映画)』
竹林軒出張所『痴人の愛(映画)』
竹林軒出張所『鍵(映画)』
竹林軒出張所『細雪(映画)』
竹林軒出張所『刺青(映画)』
竹林軒出張所『卍(映画)』
竹林軒出張所『春琴抄(映画)』
竹林軒出張所『つれなかりせばなかなかに(本)』
竹林軒出張所『THE 陰翳礼讃(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『Chronicles of My Life(本)』
竹林軒出張所『私と20世紀のクロニクル(本)』

# by chikurinken | 2025-02-05 07:23 |