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竹林軒出張所

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七月のCD

 今月買ったCD。浜田真理子の『夜も昼も』

七月のCD_b0189364_18282724.jpg

 浜田真理子は島根県在住のシンガー・ソングライター。ネットで検索すると、女性と思われる人々の共感の声が嵐のように……。女性受けする歌詞なのだろうか。僕にはもう一つピンと来ない。最初「教訓I」とか「アカシアの雨がやむとき」とかのカバー曲から入って、その後オリジナルもまとめて聞いてみたんだが、大絶賛するほどのものなのかいまだによくわからない。面白い歌もあるにはあるが。
 この『夜も昼も』は、Amazonのレビューによると、浜田真理子の最高傑作だということで、今回思い切って購入に踏み切った。全体的に落ち着いており、秋の夜みたいな雰囲気のしっとりとしたアルバムである。ジャケットも非常に良い。写真のジャケットは帯が付いた状態であって、右側の「浜田真理子 夜も昼も」と書いている白い部分が帯。これを取ると、左側の絵の続きがある。ネコもシルエットではなく、しっかりと描かれている。「小梅」でお馴染み(古い?)の林静一の絵だが、いやらしくなく、個としての女を感じさせる絵で、そういう意味では浜田真理子の歌によく合っているような気がする。
 2曲目の「スプーン」という曲がちょっと面白かったので、ここでご紹介。

スプーン
(アルバム『夜も昼も』 に収録)

歌:浜田真理子
作詞・作曲:浜田真理子

スプーンを ふたつ 重ねたみたいに
あなたに抱かれて眠りたい

胸の鼓動を 背中に感じたら
なんにも おそれはしない

今夜ふたりで 夢をすくうの

月の光が しのびこむ部屋で
吐息を髪にくぐらせて

低く静かに 歌ってよあの歌
ほかには何もいらない

今夜あなたと 夢をすくうの
今夜ふたりで 夢をすくうの

参考:
浜田真理子 Official Website(曲を試聴できます)
浜田真理子オフィシャルブログ
# by chikurinken | 2009-07-05 18:29 | 音楽

『わるいやつら』(映画)

わるいやつら(1980年・松竹、霧プロ)
監督:野村芳太郎
原作:松本清張
脚本:井手雅人
出演:片岡孝夫、松坂慶子、梶芽衣子、藤真利子、宮下順子、藤田まこと、緒形拳、渡瀬恒彦

『わるいやつら』(映画)_b0189364_18453589.jpg タイトル通り、わるいやつばかり出てくる映画。狐とたぬきのだまし合いで、見るも不快、辟易してくる。ただし映画自体のできが悪いというわけではない。ストーリーもプロットもよくできていて、なるほどと思う。演出や俳優陣も良い。松本-野村コンビらしく、そつのないできばえである。
 『わるいやつら』は何度もドラマ化されているらしいが、見たのは今回が初めてである。原作も読んでいない。松嶋屋(片岡孝夫)つながりで見たんだが、(舞台だけでなく)映画でも好演していて、やはり芸達者だなと思った。以前、大河ドラマで後醍醐天皇を演じていたときはもう一つだっただけに、要は演出なんだなとあらためて認識した。
 何となく感じたことだが、片岡孝夫演じる主演の医師の動機付けや性格付けがもう一つのようで、もの足りないというかリアリティを感じない。つまり、なんとなくプロットをいじってストーリーを作ってみましたという感じが伝わってくる。要するに、こういう話があるんだけどさあ、悪い医者がいてね、こいつが女たらしでね……というような作者の言葉が聞こえてくるような……何というか非常に作為的な印象がしたのだ。原作を読んでいないので、原作自体がそうなのか、映画化する時点でそうなったのかはわからないが、リアリティがない分平面的で、こういうレベルであれば、映画をしまいまで見なくてもストーリーだけ教えてもらえば十分かなという感じもする。ただ、あらためて言うが、この映画自体がダメだということではないのだ。丹念に作り込まれているのはわかるんだが、少しポイントを外しているんではないかなということ。推理ものが好きな人やストーリー展開自体が目的の人であれば、十分満足できる出来映えではないかと思う。
 出演者が豪華であることも書き添えておきたい。主演クラスの役者がちょい役で出ていたりして、その辺も見所の1つである(当時無名の小林稔侍も端役で登場)。歌舞伎の『忠臣蔵』みたいなもので、なかなかぜいたくでよろしい。
★★★☆

付記:
映画や小説を紹介するときはなるべくネタ割れしないよう配慮しており、その辺については今回も同様。本項が奥歯に物の挟まったような印象を与えたとすれば、そのあたりが原因であると思われます。

参考:
竹林軒出張所『事件(映画)』
竹林軒出張所『拝啓天皇陛下様(映画)』
竹林軒出張所『遺族(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 足袋(ドラマ)』
竹林軒出張所『ザ・商社 (1)(ドラマ)』

# by chikurinken | 2009-07-04 18:50 | 映画

松嶋屋からの教訓

松嶋屋からの教訓_b0189364_10343241.jpg 一昨日紹介した本で、15代目片岡仁左衛門(松嶋屋)が、舞台をいくら務めても「今日は良くできたな」と満足することがないと(いうようなことを)言っていた。片岡仁左衛門といえば、「同時代に生きてて良かった」と思わせるほどの名人と僕は思っているのだが、その名人にしてこれである(僕はかつて、この人の舞台を生で見ていて「同時代に生きてて良かった」と本当に思った。先述の本で著者が同じようなことをあとがきに書いていてヘーッと思ったものだ)。
 人間国宝クラスの職人(いわゆる匠ですな)も、やはり同じようなことを言う。いくら作ってもアラが見えて満足するものができない、と。それも口を揃えて。はたから見ていると、こんなにすごいものなのに?と思うにもかかわらず。
 かれらに共通して言えるのは、求めている理想が高いということだ。あまりに理想が高いため、どれだけのものを作り出したとしても満足できないのだろう。
 一方で、平気で大風呂敷を広げたり、大口を叩いたりする人もいる。こちらは大変見苦しい。自分と周囲に対する認識が正しくできていないことを広報しているようなものだ。
 などと言いながら、僕自身、自分の絵に結構満足していたりするのだから、始末に負えない。理想を高く持ち、その理想に対して謙虚に邁進していきたいものだ。自戒です……。
# by chikurinken | 2009-07-03 10:39 | 日常雑記

ああ、きな臭い、きな臭い

(写真と本文は関係ありません。)
ああ、きな臭い、きな臭い_b0189364_9484364.jpg 今朝の新聞で、聞いたことのない名前の政党が一面広告をうっていた。
 K福を実現させるとうたっている。何でも、消費税をゼロにして、北朝鮮のミサイルをやめさせるんだと。こうなると何でも言ったモン勝ちという感じだが、しかしよくこんな金があるよなと思う(一面記事)。さすがにK福を科学しているだけのことはある。
 でも、消費税をゼロにして北朝鮮のミサイルをやめさせるって、そりゃ言うのは簡単だがね、まったく荒唐無稽だ。具体策を示さなきゃマニフェストにならないんじゃないかと思っていたら(ホントは「アホか」と思っていたんだが)、Wikipediaでもう少し具体的な方策が紹介されていた。なんという早さ! Wikipediaすごい。
 消費税の方は、「消費拡大による法人税や所得税の増収でカバー(25%増でほぼ均衡)し、経済成長4%が続けば、4年で税収を補うことができる」ということらしい。夢物語だよ→経済成長4%!
 北朝鮮のミサイルの方は、ミサイル基地に先制攻撃できるようにするらしい。真珠湾攻撃ですな、こりゃ。第一次極東戦争が起こらなきゃ良いけどね。
 他にもいろいろ政策が紹介されているが、ブレーンに生意気な中学生がいるんじゃないかと思わせるような内容。この楽観性と独善性は(新興)宗教者独特のものなんだろうか。いくら宗教団体が景気が良いっていってもね……。

 僭越ながら、マニフェスト変更の提言。
 大減税による消費景気で、日本を元気にします → 全国民の入信で、日本を元気にします
 北朝鮮のミサイルから、国民の安全を守ります → ジョン様を入信させ、日本を攻撃させないようにします

 いま、必要なのは実現可能なビジョンです。
# by chikurinken | 2009-07-02 09:53 | 日常雑記

『仁左衛門恋し』(本)

仁左衛門恋し
小松成美著
世界文化社

『仁左衛門恋し』(本)_b0189364_8372062.jpg 15代目片岡仁左衛門のインタビュー本。名人、片岡仁左衛門の魅力満載。この人の話を聞いていると、とんでもないヘボ役者であるかのような錯覚を受けるが、こちらはどれだけすごい人か知っているからネ。要はそれくらい自分に厳しいんだということ。
 「はじめに」で仁左衛門自身が文章を書いているが、この時点ですでに面白い。今度は聞き書きではなく本人の書いたものを読んでみたいものだ。
 この本に関して言えば、どうもインタビュアー(インタビューする側)が前面に出すぎていて鬱陶しく感じる。インタビュー本なんていうのは、インタビュイー(インタビューされる側)の本であるべきで、インタビュアーは影の存在でなければならない。こちらは松嶋屋(片岡仁左衛門のこと)の話を聞きたいんであって、インタビュアーはうまく話を引き出しさえすれば良い。余計な合いの手は入れるなと言いたい。途中に挿入されている著者(小松成美)のエッセイもつまらない。松嶋屋のすばらしい話の流れをそぐようでまったくいただけない。タイトルも恥ずかしい。
★★★

参考:
竹林軒出張所『仲代達矢が語る 日本映画黄金時代(本)』
竹林軒出張所『美しく狂おしく 岩下志麻の女優道(本)』
竹林軒出張所『風姿花伝 (現代語訳版)(本)』

# by chikurinken | 2009-07-01 08:39 |