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竹林軒出張所

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『天才バカボン』(1)(アニメ)

天才バカボン (1)
(1971年・よみうりテレビ、東京ムービー)
原作:赤塚不二夫
演出:吉川惣司
音楽:渡辺岳夫
出演:雨森雅司、山本圭子、増山江威子、田の中勇

もう見なくて良いのだ

『天才バカボン』(1)(アニメ)_b0189364_09112649.jpg こちらもYouTubeで公開されているアニメ。最初に放送された『天才バカボン』である。最初の放送時も見ていたこともあり、今回再び見てみた。
 最初の放送時も感じたことだが、まったく面白味を感じず、その感覚は今でも健在であった。僕自身は、赤塚不二夫のマンガと言えば、『おそ松くん』や『レッツラ*ゴン』なんかにかなりはまっていた時期があって、赤塚不二夫自身は好きな作家の一人ではあったが、この『天才バカボン』については当時から面白いと思ったことはまったくなかった。
 今回見た第1回分は、バカボン一家が都内に引っ越しをする話(第1話)とママが出産するという話(第2話)で、実にバカバカしいドタバタコメディである。笑えるかどうかは視聴者の嗜好次第ということになるが、そもそもこんな馬鹿げたストーリーで笑える人がいるのか、僕などはそれすら疑問に感じる。これは初回放送時にも持った感覚である。
『天才バカボン』(1)(アニメ)_b0189364_09113044.jpg ただタイトルバックなどは非常に丁寧に作られていたため、こういう問題はアニメの製作者側ではなく、原作自体に由来するのではないかとも思える。それに静止画からアニメに移行した途端に間が悪くなるということもよくある話で、これなどそういう類のものかも知れぬ。もっとも僕はこの原作マンガ自体、好きではなかった記憶があるが。この数年後に放送された『元祖天才バカボン』についても同様の印象だった記憶がある。結局第1回放送分を見ただけで、うんざりしてしまった。
★★

参考:
竹林軒出張所『もーれつア太郎 (1)(アニメ)』
竹林軒出張所『レッツラ*ゴン(本)』
竹林軒出張所『まんが トキワ荘物語(本)』
竹林軒出張所『ゲゲゲの娘、レレレの娘、らららの娘(本)』

# by chikurinken | 2024-06-07 07:10 | ドラマ

『ジャングル黒べえ』(1)、(2)(アニメ)

ジャングル黒べえ (1)、(2)
(1973年・毎日放送、東京ムービー)
原作:藤子不二雄
演出:出崎統
出演:肝付兼太、杉山佳寿子、山下啓介、増山江威子、矢田耕司

作画は『ど根性ガエル』風

『ジャングル黒べえ』(1)、(2)(アニメ)_b0189364_07465891.jpg 1973年に毎日放送の系列で放送されたアニメ。アニメ先行の作品だったようだが、同時進行で小学館の学習雑誌にも連載されていた。永らく再放送が行われなかった作品であるが、これは『ちびくろサンボ』の回収騒動のときに、同じように問題視されたためである(自主規制だったようだが)。このアニメを見て、差別と感じるかどうかは人それぞれだと思うが、当時の世相として先住民やアフリカ人に対して差別的な空気があったのは否めず、そういう時代背景を持って作られたアニメであるため、そのような考え方が反映されているのは確かである。ただ、だからと言って一概にこのアニメが差別的とするのは少し度が過ぎており、何でもかんでも差別的として封印するのは、過剰な風紀委員的発想がその根本にあるような気がする。少なくとも今回見た限りでは、未知の風俗に対する違和的な反応はあったが、差別的な意識はほとんど感じなかった。
 そういった暗黒の時代もあったが、現在はDVDも発売されており、YouTubeでも公開されている。僕が今回見たのはYouTubeで公開されていたもの。今回見るのは、初回放送時以来ではないかと思う。主題歌についてはほぼ完璧に憶えていたが、設定や内容についてはほぼ忘れていた。そのためかなり新鮮な感覚で見ることができた。
 ストーリーは、この頃の藤子不二雄のテッパンである「一般家庭にエイリアンが入ってきて起こるドタバタ」を描くというパターンを踏襲している。この作品では、アフリカ奥地の伝説的な先住民が誤って東京に渡ってきたという設定で、その先住民が黒べえであり、魔術を使うことができる。その魔術で主人公を助けたり、騒動を起こしたりするということで『ドラえもん』のパターンにきわめて近い。登場人物もジャイアン風、スネ夫風、しずかちゃん風のキャラが出てくる。キャラクターの絵は、藤子風というより『ど根性ガエル』風で、これはおそらく東京ムービーが製作しているためではないかと思う。
『ジャングル黒べえ』(1)、(2)(アニメ)_b0189364_07465400.jpg ストーリーは意外によくできており、『ウメ星デンカ』よりはるかに内容が充実していた。そのため今回は第1回放送分と第2回放送分も見た。
 黒べえの声は肝付兼太、主人公の少年しし男は杉山佳寿子が演じる。なお杉山佳寿子は、ウメ星デンカの声も担当していた。他に『キテレツ大百科』や『ドラえもん』にも出ていたようである。この声優、もしかしたら藤子アニメ御用達だったのかも知れない。
 実質的には懐かしさだけだったが、今放送されても子どもたちにはそこそこ人気が出るんじゃないかという気もする。『ゴールデンカムイ』のようにむしろ先住民に対する興味を喚起することになるやも知れぬ。
★★★

参考:
竹林軒出張所『ウメ星デンカ (1)(アニメ)』
竹林軒出張所『子どもはみんな問題児。(本)』
竹林軒出張所『トキワ荘青春日記(本)』
竹林軒出張所『夢追い漫画家60年 (100年インタビュー)(本)』

# by chikurinken | 2024-06-05 07:46 | ドラマ

『ウメ星デンカ』(1)(アニメ)

ウメ星デンカ (1)(1969年・スタジオ・ゼロ)
原作:藤子不二雄
演出:鈴木伸一
出演:杉山佳寿子、松島みのり、田の中勇、菅谷政子、藤本譲、北浜晴子

懐かしさだけであったぞよ

『ウメ星デンカ』(1)(アニメ)_b0189364_10210213.jpg 1969年にTBS系列で放送された藤子不二雄原作のアニメ。YouTubeで公開されていたことから見てみた。今回見るのは本放送以来で、途中再放送の類は一切目にしていないため、55年ぶりということになる。ちなみにモノクロ作品である。
 この頃の藤子不二雄作品は、「一般家庭にエイリアンが入ってきて起こるドタバタ」を描くものが非常に多く、『オバケのQ太郎』、『ジャングル黒べえ』、『ドラえもん』などもこれと同じ系列であり、設定だけ変えた一種の焼き直しと考えることができる。『オバケのQ太郎』は大ヒットしたが、その後の作品は中ヒット、79年頃になって(アニメのせいもあり)『ドラえもん』がだけが異常に大ヒットしたというのが僕の印象である。僕自身は『ドラえもん』より『オバケのQ太郎』の方を買っているが、『ウメ星デンカ』や『ジャングル黒べえ』も小学生の頃に普通に楽しんで見ていた記憶がある。また、こういった一連の藤子作品は小学館の学習雑誌にも連載されていたため、そちらでも馴染みがあった。概ねアニメよりマンガの方が好きだったという記憶がある。マンガ版の独特の間が、アニメでは台無しになることがあり、物足りない結果になるということもよくある話で、そのためではないかと思う。
『ウメ星デンカ』(1)(アニメ)_b0189364_10210603.jpg 今回見た『ウメ星デンカ』は、宇宙の彼方で崩壊したウメ星から壺型円盤に乗って飛来してきたウメ星の王族(ウメ星国王、ウメ星国王妃、デンカの3人)が、主人公、太郎の家に住みつくという背景で、最低限の整合性は取れており、違和感はない。当然、日本の庶民とウメ星の王族との異文化のぶつかり合いがストーリーの中心になっていくが、さすがに良い大人が見て、面白くて腹を抱えるというようなものではない。もっとも第1回放送分の2話しか見ていないので、この後バカに面白くなるかも知れず本当のところはよくわからないわけだが、少なくとも第1回放送分についてはどうということはなかった。子どもたちに見せる分には安心できるような健全な素材で、そのあたりが『ドラえもん』に連なる藤子作品の魅力だったのかも知れないなどと感じる。
 今回のYouTube公開分には第2回放送分と第3回放送分も収録されていたが、積極的に見ようという気にはならなかったので結局第1回分のみになった。つまるところ懐かしさのみで終始したということになる。
★★☆

参考:
竹林軒出張所『ジャングル黒べえ (1)、(2)(アニメ)』
竹林軒出張所『トキワ荘青春日記(本)』
竹林軒出張所『夢追い漫画家60年 (100年インタビュー)(本)』

# by chikurinken | 2024-06-03 07:20 | ドラマ

『説教したがる男たち』(本)

説教したがる男たち
レベッカ・ソルニット著、ハーン小路恭子訳
左右社

女性が置かれている現状は
これほど厳しいのかという驚き


『説教したがる男たち』(本)_b0189364_08142448.jpg 作家、歴史家、アクティビストという肩書きを持つレベッカ・ソルニットのエッセイ集。
 全部で9編のエッセイで構成されており、最初のエッセイのタイトルが本書のタイトルになっている。このエッセイは、著者のかつての経験を書いたもので、あるパーティで同席した年配の男が、著者(女性)がマイブリッジの本を出していることを知って「今年出たばかりのマイブリッジ関連のとても重要な本を知っているかね」と言いながら、その本の内容を滔々と語って聴かせた(その内容はニューヨークタイムズの書評の受け売りだったようだ)というエピソードが元になっている。しかもその本は、実は著者が出したまさにその本だったというオチが付く。こういう風に、専門外の事項であるにもかかわらず、男が女に対して説教したがるという状況は多いらしい。著者もこれまでこういう経験を重ねてきているようで、そういった男たちには、男が女より優れた存在で、何もわからない女は口をつぐんでいるべきだという偏見があるというのが著者の見立てである。
 実際、こういう類の男たちが数多く存在するのは周りを見回せば察しが付くが、現在では男が女に説教したがる現象は「マンスプレイニング」と呼ばれているらしい。ちなみにこの言葉も、著者の別のエッセイから派生したもののようである(著者はこの言葉をあまり気に入っていないようであるが)。こういう類の行為は、女性が劣っているという偏見に基づくもので、それは言うまでもなく世界中に蔓延している。このような偏見が女性の社会進出を阻害し、閉じた世界に女を閉じ込めようとする風潮に繋がっていると著者は見ている。実際、女性がSNSで政治的なメッセージを出すと、それだけで、脅迫や殺害予告を含む反対の意見が押し寄せられるという(同じような話は知り合いの女性から経験談として聞いたことがある)。そこにはこのような偏見が根付いており、それが女性に対する性的犯罪の蔓延にも繋がっているというのである。
 僕が本書で一番驚いたのが、米国人女性の5人に1人がレイプの経験がある(つまりレイプ被害のサバイバーである)という話で、軍の内部を始め、高校や大学の構内でもレイプは多発しているらしい。男が女を殺傷する事件もきわめて多いのが実情で、つまるところ女性は、常に身の安全に注意しながら生活することを余儀なくされることになる。こういう話を訊くと、近年の#MeToo運動の高まりも頷けるというもので、状況は、直接的な暴力を伴っている分、日本よりひどいと言わざるを得ない(日本が相当ひどいのは言うまでもないが)。
 そういうわけで、本書の記述は僕にとって新しい視点を開くきっかけになった。知らず知らずのうちに男性性の間に蔓延している女性蔑視(ミソジニー)を直視する結果になり、女性が置かれている現状の把握にも繋がった。そういう点で「目からウロコ」のレベルの好著であると言って良い。
 ただし、9編のエッセイ中、5番目(美術評論)と6番目のもの(バージニア・ウルフについての評)は、他のエッセイからややかけ離れているという印象で(もちろん女性問題の視点から離れることはないが)、あまり面白味を感じなかった。美術評論とバージニア・ウルフが著者のライフワークの1つであることはわかるが、それでも本書のテーマからはやや外れているという印象で、他の箇所のインパクトが大きかったために余計それが目立った。異なるテーマのものは別の本に収録した方が結果的に良かったのではないかと思う。著者には興味が湧いたので、他の著書にも少し当たってみようかと感じている。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『ハリウッド発 #MeToo(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『ブラックボックス(本)』
竹林軒出張所『スクールセクハラ(本)』
竹林軒出張所『未成年の性被害(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『盗撮・児童ポルノの闇(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『スポーツ界 性的虐待の闇(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『〈叱る依存〉がとまらない(本)』
竹林軒出張所『「非モテ」からはじめる男性学(本)』
竹林軒出張所『日本人は何をめざしてきたのか (2)(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『#ジョニー・デップ裁判(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『想い出づくり。 (1)〜(14)(ドラマ)』

# by chikurinken | 2024-05-31 07:14 |

『明治日本写生帖』(本)

明治日本写生帖
フェリックス・レガメ著、林久美子訳
角川ソフィア文庫

明治中後期の日本の描写
そのため江戸情緒は少なくなった


『明治日本写生帖』(本)_b0189364_09005016.jpg 1976年(明治9年)にエミール・ギメとともに日本を訪れた画家、フェリックス・レガメの著書。
 とは言っても、1976年の来訪時の記録ではなく、1999年に再来日した後にその印象記として書かれ1905年頃に出版された本(『Le Japon en images』)が原著である。
 「政治と文明化」、「軍隊」、「宗教・風俗・慣習」、「音楽と踊り」、「芝居と相撲」、「公教育」、「芸術と芸術家」の6章立てで構成されており、各章で当時の日本のさまざまな事象について記述していく。総じて明治日本案内記みたいなものになっている。「公教育」、「芸術と芸術家」などという項があるのは、レガメの来日目的が「日本の美術教育視察」(フランス政府により派遣)だったことから納得できるところで、本書を通じ、広範囲に渡って当時の日本の社会や風俗、文化などを窺い知ることができる。当然レガメのスケッチや絵画も多数掲載されており、当時の雰囲気を今に伝える役割を果たしている。
 レガメ自身がかなりの日本びいきだったこともあり、全般的に日本礼賛記事が多く、ヨーロッパにない美術や文物についてはともかく、軍隊や教育に対してもベタ褒めしているのは行き過ぎであり、そういう箇所については疑問を感じる。レガメ自身が、フランスでパリ日仏協会の幹部を務めており、日本文化の紹介や礼賛を行っていた人であるため、それもわからなくはないが、(ヨーロッパのシステムをそのまま模倣していた)当時の明治日本が理想郷であるはずはなく、現代の視点から見るとやや的を外しているという印象を受ける。
 僕自身は1976年の来日時の記録が中心と思って本書に当たったのであるが、現実にはそれはまったく見当違いであって、そういう点で少し失望したが、レガメの絵画が非常に魅力的であるのは変わりない。当初期待していた江戸情緒が少なかったのが難点であるが、明治期の資料として接すればまあそれなりに楽しめる書である。
★★★

参考:
竹林軒出張所『明治日本散策(本)』
竹林軒出張所『海を渡った600体の神仏(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『新編 日本の面影(本)』
竹林軒出張所『ビゴーが見た日本人(本)』
竹林軒出張所『ワーグマン日本素描集(本)』
竹林軒出張所『英国人写真家の見た明治日本(本)』
竹林軒出張所『日本その日その日(本)』
竹林軒出張所『シュリーマン旅行記 清国・日本(本)』
竹林軒出張所『にっぽん 微笑みの国の物語 前編(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『にっぽん 微笑みの国の物語 後編(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『100年前の世界一周(本)』
竹林軒出張所『美しき日本の面影(ドキュメンタリー)』
竹林軒『「ラスト・サムライ」に見る「逝きし世の面影」』

# by chikurinken | 2024-05-29 07:00 |