ブログトップ | ログイン

竹林軒出張所

chikrinken.exblog.jp

『山の音』(映画)

山の音(1954年・東宝)
監督:成瀬巳喜男
原作:川端康成
脚本:水木洋子
出演:原節子、山村聡、上原謙、長岡輝子、杉葉子、丹阿弥谷津子、中北千枝子、金子信雄

キレイキレイな内容のスーパーダイジェスト

b0189364_17524057.jpg 川端康成原作の同名長編小説を映画化した作品。当初「義父から嫁に対する恋情」の映画と聞いていたんだが、この作品では、夫に虐げられる嫁を支援する優しい義父という描き方で終始している。この義父の中に恋情を感じるのはちょっと無理かなと感じる。ただし原作では確かに恋情として描かれているらしい。映画ではあちこちが端折られているようで(原作を読んでいないので正確にはわからないが)、そのためかなんとなく気が抜けたビールみたいな物足りなさがあちこちに残る。
 そもそもなぜこの主人公の嫁、菊子が最終的にこのような結論を下したのかが、この映画からはなかなか見えてこない。原作では夫のことがもっと詳細に描かれているようで、そのあたりも合点が行くように描かれているらしい。また義父についても、嫁に恋情を持つ過程や動機がしっかり描かれているらしいが、そのあたりもこの映画では完全に抜け落ちている。結局人間の汚い部分を全部排除して、浄化したような部分だけが残ったわけで、小説の映画化作品としてははなはだ大きな問題が残る。成瀬巳喜男らしくそつなくまとまってはいるが、結局(ヤルセナキオと言われた成瀬巳喜男だけに)やるせないだけで終わってしまうという結果になった。
 主演の夫婦は、上原謙と原節子で、同じ監督の『めし』と同じキャスティングでしかも設定も似ている。ただしこの映画の登場人物、菊子については、夫が「いつまでも子ども」と語っているにもかかわらず、原節子にあまり子供っぽさが漂ってこないんで、少しミスキャストだったような気がする。義父役は山村聡だが、「嫁への恋情」ということで『瘋癲老人日記』で演じていた瘋癲老人を想像していたが、この映画ではまったく違っていて、知的かつ聡明で温厚な老紳士になっていた。山村聡らしい役柄ではあるがキャラ設定としては少々物足りない。また山村は上原謙の父の役を演じていたが、実際は山村聡と上原謙はほぼ同い年(上原謙の方が数カ月年上)で、そういう点では結構強引なキャスティングとも言える。
 今回見たのはNHK-BSで放送されたものだが、画像があまり良くなく、途中画面全体からピントが外れるシーンなどもあった。リマスター版があるかどうか知らないが、もう少し何とかならないものかと感じた。
★★★

参考:
竹林軒出張所『めし(映画)』
竹林軒出張所『瘋癲老人日記(映画)』
竹林軒出張所『流れる(映画)』
竹林軒出張所『浮雲(映画)』
竹林軒出張所『稲妻(映画)』
竹林軒出張所『乱れる(映画)』
竹林軒出張所『放浪記(映画)』
竹林軒出張所『女が階段を上る時(映画)』

# by chikurinken | 2018-02-04 06:52 | 映画

『小説吉田学校』(映画)

小説吉田学校(1983年・東宝)
監督:森谷司郎
原作:戸川猪佐武
脚本:長坂秀佳、森谷司郎
撮影:木村大作
出演:森繁久彌、芦田伸介、小沢栄太郎、竹脇無我、池部良、夏目雅子、若山富三郎、西郷輝彦、高橋悦史、角野卓造、梅宮辰夫、藤岡琢也

再現ドラマとしてはよくできている

b0189364_17442580.jpg 第2次吉田茂内閣から第5次吉田内閣までの激動の時代を、保守政党、自由党の内部の抗争という視点で描く。主人公はワンマン宰相、吉田茂(森繁久彌)で、各国との講和を通じた日本国の独立に執念を燃やし実現するが、その後、総理の地位に固執し、公職追放から復帰してきた自由党の重鎮、鳩山一郎(芦田伸介)を支持する一派と対立する。三木武吉(若山富三郎)を筆頭とする鳩山支持派はその後自由党から離党し日本民主党を結成、吉田を追い落とすことに成功した後、自由党と再び合同して自由民主党を結成し、55年体制が始まるという流れである。
 映画では、サンフランシスコ講和条約を締結するまで(つまり日本国が独立を果たすまで)がモノクロ、それ以降がカラーというやや安直な演出になっている。もっともわかりやすいと言えばわかりやすい。基本的にこの映画、再現ドラマであり、こういうことが起こったよというのを利害関係のみに着目してなぞっていくというコンセプト(だと思う)。したがって、人間の内面などは特に描かれず、描かれるのは野望と陰謀、それもかなり美化されたものであるため、ドラマとして見るには少々鼻白んでしまう。
 ただ、今回は日本現代史の勉強のつもりで見たので、意外に楽しめたのであった。何よりそれぞれのキャストがモデルとなった登場人物によく似ているのが印象的である。森繁久彌の吉田茂、芦田伸介の鳩山一郎は言うに及ばず、竹脇無我の佐藤栄作(もちろん佐藤栄作はあんなに男前ではないが雰囲気が非常に似ている)、高橋悦史の池田勇人などは非常に秀逸である。角野卓造の宮沢喜一まで何だか雰囲気が似ていたし、西郷輝彦の田中角栄は顔は全然違うが、しゃべり方が似ていてこれも非常に雰囲気が出ていた。バカヤロー解散も再現されていたことだし、再現ドラマとしてはかなりよくできていると言って良い。そのため、日本現代史を勉強したい受験生(受験生でなくても良いけど)にはうってつけの素材と言えるかも知れない。
★★★

参考:
竹林軒出張所『八甲田山(映画)』

# by chikurinken | 2018-02-03 07:44 | 映画

『蘭学事始』(本)

蘭学事始
杉田玄白著、片桐一男訳
講談社学術文庫

『蘭学事始』の決定版

b0189364_18333015.jpg 先日見たドラマ『風雲児たち 蘭学革命篇』の影響で、底本(と思われる本)に当たってみた。読んでみて、やはりここからの情報がかなり盛り込まれたドラマだったということがわかる。
 あのドラマでも示されていたが、江戸時代中期、前野良沢、杉田玄白らにより『解体新書』が翻訳されてから、西洋の学術研究が「蘭学」という形で始まり、西洋学術研究の流れがそれ以降も続いた。つまり『解体新書』こそが蘭学の始まりである。ただし『解体新書』には前野良沢の名前が記載されていなかったらしく、その業績は杉田玄白、中川淳庵、桂川甫周らのものとされていた。前野良沢の名前が広く知られるようになったのは、杉田玄白が著したこの『蘭学事始』でその人物像が触れられていたためらしい。この『蘭学事始』は、蘭学の始まりである『解体新書』翻訳のいきさつについて杉田玄白が記したもので、前野良沢以外にも、翻訳に関わった人々、その後学術について教えを乞いに来た人々を紹介している。
 この講談社学術文庫では、『蘭学事始』の上の巻と下の巻の両方の原文を書き下し文で収録しており(オリジナルは漢文ではないかと思う)、あわせて現代語訳も収録している。元々の『蘭学事始』自体(現代語訳でも)文庫本にして70ページ程度の長さであるため、分量的には原文と訳文が載っていてもそれほど無理はない。しかし両方掲載されているというのは、現代語訳に疑問があればすぐに原文に当たることができる点を考えると、非常に親切である。
 杉田玄白の原文は江戸時代後期(1815年刊行)の漢文調の文章であるため、実際のところ原文のままでもさして苦もなく読むことができるわけだが、読み進めることを考えた場合、当然のことながら現代語訳の方がはるかに読みやすい。しかも翻訳文も、こなれた翻訳でまったく問題ない(といっても原文自体が現代語にかなり近いのだが)。そういう点を考え合わせると、原文と訳文を並べた本書は、本として非常に優れたお買い得の一冊と言える。
 また「解説」が60ページ以上あるのも、サービスだか何だかわからないが、良心的と言えるのかも知れない。解説では、タイトルが当初『蘭学事始』ではなく『蘭東事始』だった点や、それが二転三転した事情などについて考察されている。さらに本書訳の底本や写本などの解説もあるが、研究者でなければあまり必要なさそうな情報である。ともかく非常に至れり尽くせりの本であり、『蘭学事始』を読みたければこの文庫本を買っておけば間違いないというような本である。それは間違いない。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『風雲児たち 蘭学革命篇(ドラマ)』

# by chikurinken | 2018-02-01 07:33 |

『風雲児たち 蘭学革命篇』(ドラマ)

風雲児たち 蘭学革命(れぼりゅうし)篇(2017年・NHK)
演出:吉川邦夫
原作:みなもと太郎
脚本:三谷幸喜
音楽:荻野清子
出演:片岡愛之助、新納慎也、村上新悟、迫田孝也、岸井ゆきの、長野里美、山本耕史、草刈正雄

『解体新書』事始め

b0189364_18260557.jpg みなもと太郎のマンガ『風雲児たち〜蘭学革命篇〜』が原作のドラマ。
 みなもと太郎の原作自体が、おそらく杉田玄白の『蘭学事始』を下敷きにしていると考えられ、そのためか同じようなストーリーが他の小説でも取り上げられていて、ストーリー自体はそれほど奇抜なものではない。にしても『解体新書』が作られるまでの話は非常に面白い題材で、前野良沢と杉田玄白との関わり合いなどはまことに話になる素材である。みなもと太郎はギャグマンガの人で、マンガのタッチもそういうものであるが、このドラマについてはギャグマンガみたいな騒々しさはなく、割合普通のドラマになっている。脚本は三谷幸喜だが、オーソドックスな作りで、三谷節みたいなものも出てこない。したがって題材自体をじっくり楽しめるようになっている。このあたりはポイントが高い。
b0189364_18261079.jpg ただし、途中、杉田玄白がヤクザ野郎たちに襲われ、どこからともなく現れた林子平(『海国兵談』の著者)がそれを助けるみたいなシーンがあったが、話の流れにまったく関係なく、言ってみれば無意味なシーンであり、なぜこのようなシーンを入れたのか見当が付かない。また、工藤平助(『赤蝦夷風説考』の著者)が主人公たちに絡んでくるのもまったく必然性がなく、高山彦九郎(寛政の三奇人の一人)についても同様。ただし高山彦九郎の存在はドラマと直接関わりがなかったため、遊びのシーンになっていて、アクセントとしてそれなりに良い味があった。また平賀源内(山本耕史)と田沼意次(草刈正雄)の存在はなかなか異色で、従来の歴史観とは若干違うが面白い扱いになっている。草刈正雄は、少し前に放送された『幕末グルメ ブシメシ!』と同じような役回りで、その辺を意識したキャスティングだったのかも知れない。
 ドラマは割合平凡であったが、ストーリー自体が非常に興味深い内容で、前野良沢の偉業がよくわかる上、江戸の蘭学事情についても知ることができる。『蘭学事始』を読んでみたくなった。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『蘭学事始(本)』
竹林軒出張所『幕末グルメ ブシメシ!(1)〜(6)(ドラマ)』
竹林軒出張所『天地明察 (上)(下)(本)』

# by chikurinken | 2018-01-30 07:25 | ドラマ

『龍の歯医者』(アニメ)

龍の歯医者 天狗虫編、天狗虫編(2017年・NHK)
監督:鶴巻和哉
原作:舞城王太郎
脚本:舞城王太郎、榎戸洋司
キャラクターデザイン・作画監督:井関修一
出演:清水富美加、岡本信彦、山寺宏一、林原めぐみ、松尾スズキ

壮大なスケールのおとぎ話

b0189364_17293569.jpg 設定も時代背景もすべて架空のファンタジー・アニメ。概ね第一次大戦から第二次大戦あたりの時代のイメージではある。
 ある国(帝国日本みたいなイメージ)に龍が最強兵器として存在し、その龍を維持するために「歯医者」と呼ばれる人々が必要だというのがこの物語の背景になる。龍は非常に強力な攻撃力を持ってはいるが、歯が弱点で、虫歯などが発生するとその力が大幅に損なわれるというのが「歯医者」の存在意義になっている。この歯医者として働く少女(野ノ子)と少年(ベル)が主人公で、龍に問題が発生し、彼らがそれに対処するために奔走するというのがストーリーの骨子。そこに戦争中の敵対国の特殊部隊(みたいな一団)や歯医者軍団内部のトラブルなどが絡んで、壮大なスケールのストーリーができあがっている。
 ストーリーは奇想天外で、時代のずらし方などもなかなか見事である。またグラフィックも非常に洗練されていて見所は多い。あちこちにジブリ映画の影響が見られ、これがスタジオジブリの作と言われてもまったく違和感がないほどである。
 非常に面白いストーリーで、スペクタクル感も溢れているが、エンタテイメントで終始している点が残念と言えば残念。ましかし、そういう意図で作られた作品なのであれば(おそらくそうだろう)、それ以上望む必要もあるまい。
第23回上海国際テレビ祭マグノリア賞 最優秀アニメーション賞受賞
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『風の谷のナウシカ (1)、(2)(本)』
竹林軒出張所『風の谷のナウシカ (3)〜(7)(本)』
竹林軒出張所『ゲド戦記(映画)』

# by chikurinken | 2018-01-29 07:28 | ドラマ

『夢十夜 (近藤ようこ版)』(本)

夢十夜
夏目漱石原作、近藤ようこ著
岩波書店

マンガ化、映像化の鑑

b0189364_16462753.jpg 夏目漱石の『夢十夜』をマンガ化したもの。『夢十夜』は、今さら言うまでもないが、「こんな夢を見た。」で始まる幻想的な10本の短編小説を集めた短編集(出だしが異なるものもある)。シュールレアルな作品であるため、マンガ化には適した題材と言える。実際この本は、マンガ化作品として非常に良くできている。
 原作の『夢十夜』は30年ばかり前に読んだが、第六夜の運慶の話以外まったく憶えていない。運慶の話は高校の教材でよく取り上げられるものであり、前に読んだときもこの話が第一の目的だったわけだが、そのせいかどうか知らないが他のものについては一切記憶がない。今回マンガを読んでみたが、第三夜の「子どもを背負って森を歩く話」がほんの少しだけ頭の隅にあっただけで他は一切憶えていなかった。元々が幻想的で筋が通った話でないため記憶に残りにくいのだろうと思う。しかし今回画像の形でこうして見せられると、イメージが鮮明になって内容についても印象に残りやすくなる。それを考えると、非常に優れた企画と言える。なんせ岩波書店が出した本である。岩波がマンガというのも珍しいが、何より漱石作品の多くを世に出してきた岩波の手による本というところに大きな意義がある。言ってみれば本来の版元からお墨付きをいただいたわけである。
 実際、著者の近藤ようこは、原作を決して台無しにすることなく、原作の持つ味わいを最大限に再現している。有名作品のマンガ化ということになると世間の見方は厳しくなるものだが、これだけのものができれば、世間に言わせることは何もあるまい。『五色の舟』同様、この作家のポテンシャルは計り知れない。マンガ化、映像化の鑑である。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『五色の舟(本)』
竹林軒出張所『原作と映画の間』

# by chikurinken | 2018-01-27 07:46 |

『戦いすんで日が暮れて』(本)

戦いすんで日が暮れて
佐藤愛子著
講談社文庫

両足で踏ん張って苦境に立ち向かう姿がヨイ

b0189364_19212507.jpg 佐藤愛子の直木賞受賞作。短編集で、表題作「戦いすんで日が暮れて」、「ひとりぼっちの女史」、「敗残の春」の3作が、夫の借金と闘う話である。これらの話は概ね実話に基づいているようで、実際に著者は、経営才覚のない夫が事業でこしらえた借金について債権者に対応したり、あげくにそのうち3千万円以上を個人で肩代わりしたりしている。この3作では、次から次に訪れる債権者に立ち向かい、両足で踏ん張っている1人の女性の姿が描かれていて、登場する主人公は佐藤愛子の分身である。債権者になった途端に態度を豹変させる男や夜中に苦情の長電話を入れる債権者の妻など、人間の嫌な部分も存分に描かれていて、非常にリアルである。経験が基になっていることは疑いない。主人公が夫に対して罵詈雑言を浴びせながらも困難に強く立ち向かっていこうとする姿が痛快で、この3作がこの短編集の目玉と言える。
 その後の「結婚夜曲」も似たようなテイストで、夫が原因で知人に多大な借金を負わせた話となる。これもなかなか臨場感に溢れていて面白い。
 他の作品については、著者がよく書いていた「ユーモア小説」の類の話で、作り物であるためか、グレードは最初の4作に比べて格段に落ちる。数合わせで入れたのかと思えるようなものであるため、前の4作のような経験に基づいた迫力を求める人にとっては不要。文章はさすがに「大佐藤」、大変読みやすく、特に前半の4作はグイグイ引きこまれるんで、途中でやめられない。
 ただし自らが苦境にいるときは、こういった本を読むと気が滅入ること請け合いである。そういう場合はぜひとも避けていただきたい。
第61回直木賞受賞
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『娘と私の部屋(本)』
竹林軒出張所『九十歳。何がめでたい(本)』

# by chikurinken | 2018-01-26 07:21 |

『日本の歴史をよみなおす (全)』(本)

日本の歴史をよみなおす (全)
網野善彦著
ちくま学芸文庫

ミクロ的な観点から歴史を問い直す

b0189364_18361662.jpg 著者が行った講義をまとめた本……つまり講義録。タイトルに「(全)」とあるのは、元々『日本の歴史をよみなおす』と『続・日本の歴史をよみなおす』の2分冊だったものを、文庫化にあたり1冊にまとめたためである。そのため真ん中あたりに「あとがき」(『日本の歴史をよみなおす』のもの)と「はじめに」(『続・日本の歴史をよみなおす』のもの)があったりしてなかなかユニーク。
 内容は、これまで歴史学で常識として考えられていたようなことがらに疑問符を打つというようなもので、たとえば中世の日本の産業は農業のみのように言われるが実際は広範な商業活動が行われていたとか、室町時代には海のルートがかなり開けていて海運業がかなり盛んに行われていたとか、結構「目からウロコ」の箇所もあって内容は充実していると言える。特に『続』の方に目新しさがあったと感じる。そのため僕自身は『続』の方を先に読んだ。
 扱われているのは、文字(ひらがなとカタカナ)、差別(被差別住民や女性)、天皇家と歴史との関わり(ここまでが前半)、中世日本の経済の多様性、中世の海運ネットワークと金融ネットワーク、荘園の実態など。退屈な箇所もあるにはあるが(特に前半)、「常識」に凝り固まった一元的な歴史観にいかに問題が多いかよくわかるという点で、優れた歴史書であると言える。記述には著者のフィールドワークも反映されているため、説得力もある。歴史学にアプローチしようという人であれば一度は目を通しておきたい、そういう類の良書である。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『平安京はいらなかった 古代の夢を喰らう中世(本)』
竹林軒出張所『石川英輔の本、5冊』
竹林軒出張所『幕末史(本)』
竹林軒出張所『西園寺公望 最後の元老(本)』
竹林軒出張所『新・ローマ帝国衰亡史(本)』

# by chikurinken | 2018-01-25 07:37 |

『365日のシンプルライフ』(ドキュメンタリー)

365日のシンプルライフ(2013年・フィンランドUnikino)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー

ペトリの脱モノ日記

b0189364_20205940.jpg 周りにモノが多すぎる、それも不要なモノが、というのは現代人共通の感覚。捨てるに捨てられないものや、そもそも捨てる手続きが煩雑でなかなか簡単に捨てるわけにも行かない。少なくとも身の周りのモノのうち、半分以上は要らないんではないかとは思っているが、なかなか処分に踏み切れないでいる。
 そういう中で、同じように周りにモノがあふれて嫌気がさした、ペトリという名のフィンランド人(このドキュメンタリーの製作者)が面白い実験をした。自分の持ち物をすべてレンタル倉庫に預け、1年間に渡って1日に1品ずつ取り出し、何が本当に自分にとって必要か見極めるという実験である。
 1日目は本当に着るものすらなく、前を隠して素っ裸で(路上を通って)倉庫まで走っていくというところから始まる。途中ゴミ箱から拾った古新聞で前と後ろを隠すということはやった。1日目に獲得したモノはコートで、その日はこのコートにくるまって寝ることになった。
 その後、靴、シャツ、マットレスなどを手に入れる。当初は「モノが1つ増えるたびに生活レベルが上がる」と語っていたが、10日過ぎた頃からあまり倉庫に行かなくなる。その後は倉庫に行く頻度がめっきり少なくなり、何日かブランクが空いた後それまでの何日分かのモノをまとめて持ち出すような状態になる。結局必要なもの(カーテン、バッグ、自転車など)は100日ですべて揃うし、生活に潤いを与えるような贅沢品は200日ですべて揃うという結果になる。なかなか感心させられる「大いなる実験」であった。
 映像は、ペトリの自撮り映像が多く、祖母の入院や恋人との出会いと別れなど個人的な事情も描き出され、私小説的なプライベート映像になっている。テンポが良く、演出もうまいため、ドキュメンタリーというより映画に近い。ミニシアターで劇場公開されてもおかしくないくらいの秀作である。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『パソコンを置いて森で暮らそう(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『廃棄家電の悲しき行く末(ドキュメンタリー)』

# by chikurinken | 2018-01-23 07:19 | ドキュメンタリー

『反骨の外科医』(ドキュメンタリー)

反骨の外科医
(2016年・スウェーデンFasad Cine)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー

エチオピアの地域医療に医療の本質を見た

b0189364_20213953.jpg スウェーデン人の医師、エリクセンは、スウェーデンの官僚的な医療に不満を持ち、エチオピアに赴任して、地域医療に携わっている。
 患者は入れ替わり立ち替わりやって来て、中には身体が異常に腫れたりなどの珍しい症例を持つ人たちもいて、それを次々に捌きながら同僚の医師や看護師に割り当てて指示を出していく。外科手術もどしどし行っているが、何しろ先進国のように物品が揃っていないため、ありあわせの道具、たとえば自転車のスポークや電動ドライバーなどを駆使して代用している。エリクセン医師は、エチオピア出身の看護師の妻と一緒に病院を切り盛りしており、非常に充実した日々を送っている。これこそが医療の原点だというわけである。
 彼によるとスウェーデンの病院では、書類書きなどの雑務ばかりで、医療行為にはろくろく携われず、医師たちもみんなうんざりしている。まるで官僚の仕事だと言う。その点、物資は乏しくとも、医療に携わっているという充実感を伴うエチオピアが肌に合っているということなのだろう。何より、身体が治った元患者がやって来て感謝してくれることが一番の喜びだそうだ。
 そんな彼も、やがて派遣任期の10年が終わり、スウェーデンに帰国することになる。スウェーデンの医療界に復帰することには嫌気がさし、結局医療現場から身を引くことになった。こうして先進国の官僚主義によって、僻地で必要とされる医師が一人、姿を消すことになったのだった。地域医療や医療のあり方についていろいろ考えさせられるドキュメンタリーである。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『島の命を見つめて 豊島の看護師・うたさん(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『武器ではなく命の水を(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『ディア・ドクター(映画)』

# by chikurinken | 2018-01-22 07:20 | ドキュメンタリー

『映像の世紀プレミアム 第7集』(ドキュメンタリー)

映像の世紀プレミアム 第7集 極限への挑戦者たち(2017年・NHK)
NHK-BS1 NHK-BSプレミアム

やっと新しい素材が出てきた

b0189364_09095827.jpg 『映像の世紀』スピンオフの第7弾。この第7集では、冒険家や革新者たちを取り上げ、その時代背景もあわせて紹介する。登場するのはマロリー(エベレスト初登頂を目指した冒険家)、ピカール(深海探査)、オーエンス(ベルリン・オリンピックの黒人ランナー)、円谷幸吉(東京オリンピックのマラソン選手で銅メダリスト)と君原健二(メキシコ・オリンピックの銀メダリスト)、ユーリ・ガガーリンとアームストロング(米ソの宇宙飛行士)など。
 今回の放送は、今までのシリーズで放送されなかった映像が多かったこともあり、十分楽しめた。目玉は宇宙開発競争の映像だと思うが、かなり充実しており、見所は多かったと思う。ただ、オーエンス、円谷、君原らのスポーツ選手については、第4集で取り上げるべき素材のような気もするが……。これだけ、細かい部分をピックアップするのなら、いっそのことオリンピックはオリンピックで、サッカーはサッカーでというふうに切り取るべきではないかとも感じる。まあ雑多であっても珍しい映像であれば歓迎するところではある。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『映像の世紀プレミアム 第1集(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『映像の世紀プレミアム 第2集(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『映像の世紀プレミアム 第4集(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『映像の世紀プレミアム 第8集(ドキュメンタリー)』

# by chikurinken | 2018-01-21 09:10 | ドキュメンタリー

『カラーでよみがえるアメリカ 3、4、5』(ドキュメンタリー)

カラーでよみがえるアメリカ 1940年代1950年代1960年代
(2017年・米SNI / SI Networks / Arrow International Media)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー

「カラー化」がやっぱり目玉!

b0189364_10045466.jpg 『カラーでよみがえるアメリカ』シリーズの1940年代、1950年代、1960年代。
 構成や演出方法は、当然ながら1920年代、1930年代と同じ。したがってどのような出来事が取り上げられるかというのが争点になる。
 1940年代は、4選したルーズベルト大統領の政策と第二次大戦が柱になる。日系米人の隔離強制移住というアメリカ史の恥部も紹介される。お馴染みの真珠湾攻撃の映像もカラー化されているが、映像自体はあまり目新しい映像ではない。何より一番感じたのは、アメリカ人の海外情勢に対する無関心さと無知さで、戦前の日本国内の状態とは大分違うという印象を受ける。基本的にアメリカ人は、他人のことなどどうでも良く自分たちのことだけ考える人々なのかと感じてしまう。それを思うと昨今の「アメリカ・ファースト」というスローガンもまったく目新しいことではないことがわかる。
 1950年代は、ベビーブームに続き、家電や自動車、住宅が普及するという成長の時代になる。一方で赤狩り、核の恐怖による不安の時代が始まる。また不人気のトルーマン大統領が、人気者のマッカーサー元帥を解任するなどの話題が取り上げられる(マッカーサーは「中国に原爆を落とせ」などと言っていたので解任は当然だと思われるが)。またエルヴィス・プレスリーが登場したのも50年代。南部での黒人差別の実態も広く報道され、全国的に知られるようになってくる。
b0189364_10045837.jpg 次の1960年代は、若き大統領ケネディの登場と暗殺、キューバ危機、公民権運動、アポロ計画、ベトナム戦争、反戦運動が中心になる。公民権運動では、フリーダム・ライダーズの運動、ワシントン大行進などが紹介されるが、多くの映像はこれまで見たことがあるもので、カラー化されたとは言え、目新しさはない。結局のところ、この番組の目玉は「カラー化」であったということを思い知らされる。したがってカラー映像を楽しめばそれで良いんだろうが、それ以上のものを期待してしまうところが畜生の浅ましさ。いずれにしろ、映像的にはそれなりに楽しめたドキュメンタリー・シリーズであった。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『カラーでよみがえるアメリカ 1、2(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『映像の世紀 第5集〜第8集(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『映像の世紀 第9集(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『もうひとつのアメリカ史(1)〜(4)(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『もうひとつのアメリカ史(5)〜(7)(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『キング牧師とワシントン大行進(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『人種隔離バスへの抵抗(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『クー・クラックス・クラン 白人至上主義結社KKKの正体(本)』

# by chikurinken | 2018-01-20 10:05 | ドキュメンタリー

『カラーでよみがえるアメリカ 1、2』(ドキュメンタリー)

カラーでよみがえるアメリカ 1920年代1930年代
(2017年・米SNI / SI Networks / Arrow International Media)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー

現代アメリカ史のカラー映像

b0189364_20042059.jpg 『カラーでよみがえる第一次世界大戦』『ヒトラー 権力掌握への道』『カラーでよみがえる東京』と同じような企画で、要するに過去のモノクロ映像をカラー化して、現代的なリアリティを持たせようという試みである。今回カラー化されたのは、20世紀のアメリカ合衆国の映像。20世紀はアメリカの世紀であり、しかもアメリカの場合、かなり初期からモノクロ映像が大量に残されていることを考えると、登場するべくして登場した企画と言って良かろう。
 豊富な映像が残っているせいか、1920年代から60年代まで、10年単位で5回シリーズに分けられている。さすが大国アメリカ。1970年代以降はカラー映像が日常的に現れてきたため、60年代までで区切るというのは良い選択かも知れない。
 さて1920年代は、自動車が普及して、摩天楼も並び立ち、アメリカが好景気に沸いた時代。ところが1929年10月にウォール街で株式が大暴落して、そのバブルが一挙に崩壊するという過程を辿る。この間の様子を、カラー化したモノクロ映像で再現する。画像は非常に美しく、禁酒法の時代やバブルの時代がリアルに浮かび上がってくる。b0189364_20042479.jpg1930年代は、恐慌時の映像からルーズベルトのニューディール政策へと流れる。またオーソン・ウェルズの『宇宙戦争』(ラジオ・ドラマであまりにリアルな演出をしたため、多くのリスナーが本物だと信じて、全米に大混乱が起こった事件)や『オズの魔法使い』の製作現場など、文化的な部分の映像も紹介されている。ひときわ印象的だったのが、30年代に米中部で発生したダストボール(巨大な砂埃の塊)の映像で、これはカラー化することで大いに迫力を増した好例である。
 映像を見ているだけでも面白いが、ただしモノクロ映像としてよく目にしたような映像も結構あり、「カラー」という以外の新鮮さはあまりない。しかも(一定のテーマ性はあるにはあるが)基本的に時系列で並べていくだけのアプローチであり、編集もきわめてオーソドックスであるため、NHKがかつて製作した『映像の世紀』シリーズのような面白味は感じなかった。見せ方にもう一工夫が欲しかったところである。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『カラーでよみがえるアメリカ 3、4、5(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『カラーでよみがえる東京(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『カラーでよみがえる第一次世界大戦(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『ヒトラー 権力掌握への道(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『カラーでみる太平洋戦争(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『カラーで見る 独裁者スターリン(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『よみがえる“ワルシャワ蜂起”(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『色づくQ』
竹林軒出張所『地獄門 デジタル・リマスター版(映画)』
竹林軒出張所『映像の世紀 第1集〜第4集(ドキュメンタリー)』

# by chikurinken | 2018-01-19 07:24 | ドキュメンタリー

『ダンケルク (2017年版)』(映画)

ダンケルク(2017年・英米仏)
監督:クリストファー・ノーラン
脚本:クリストファー・ノーラン
出演:フィオン・ホワイトヘッド、トム・グリン=カーニー、ジャック・ロウデン、ハリー・スタイルズ、アナイリン・バーナード、ジェームズ・ダーシー

めくるめくジェットコースター映画

b0189364_18564312.jpg 「ダンケルクの戦い」は、英国人にとって格別な思い入れがあるらしい。1940年、大陸に渡ったイギリス軍がドイツ軍に迎撃され、ダンケルクから命からがら海路でブリテン島に引き上げたときに起こったのがこの「ダンケルクの戦い」である。この撤退作戦自体はダイナモ作戦というらしい。言ってみれば屈辱的な撤退であり、これ以後連合軍は臥薪嘗胆の境地で、ドイツへの反撃を誓ったのではないかと想像する。
 そのためか、今を去ること50年前の1964年にも、これを題材にした映画が作られている(竹林軒出張所『ダンケルク (1964年版)(映画)』を参照)。この2017年版『ダンケルク』も基本的なアプローチは前作と同様で、ダイナモ作戦に参加した兵士の視点でダンケルクの戦いを体感するというコンセプトである。この映画では特に戦場の描写が生々しく、映画が始まると同時に戦場に放り込まれる。兵士たちがダンケルクから脱出するまでが描かれるわけで、100分にわたって、その過程をヒヤヒヤしながら見てくれという、言ってみればジェットコースター・タイプのアトラクション映画である。
 主役級のキャラクターが何人かいて、映画は同時進行でカットバックしながらこれらのキャラクターを追っていく。有名な役者なのか知らんが、僕自身はどの役者もまったく知らなかったため、他の登場人物との区別が付かなかった。
 戦場の描写は素晴らしいし、終始ハラハラドキドキではあるが、戦場の再現以上のものはまったく感じられない。これはドラマなのか、あるいは単なるアトラクションなのか判然としないような映画で、映画の再定義が必要になるのではないかという類の作品であった。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『ダンケルク (1964年版)(映画)』
竹林軒出張所『炎628(映画)』
竹林軒出張所『プライベート・ライアン(映画)』
竹林軒出張所『フルメタル・ジャケット(映画)』
竹林軒出張所『スターリングラード(映画)』

# by chikurinken | 2018-01-17 06:56 | 映画

『グラディエーター』(映画)

グラディエーター(2000年・米)
監督:リドリー・スコット
原作:デヴィッド・フランゾーニ
脚本:デヴィッド・フランゾーニ、ジョン・ローガン、ウィリアム・ニコルソン
出演:ラッセル・クロウ、ホアキン・フェニックス、コニー・ニールセン、オリヴァー・リード、リチャード・ハリス、デレク・ジャコビ、ジャイモン・フンスー

b0189364_17224396.jpg史実とは大分違う

 古代ローマ時代を舞台にした映画。主人公は、マルクス・アウレリウス帝から次の帝位を口頭で譲られた北方将軍マキシマス(ラッセル・クロウ)。このマキシマスが、マルクス・アウレリウス帝の息子で本来であれば世継ぎであるはずのコモドゥスから陥れられ、命からがら逃げ出したは良いものの奴隷に身を落とし剣闘士になって、コモドゥスに対する復讐を誓うというストーリー。端的に言ってしまえばスーパーマンが悪を倒すという話である。マルクス・アウレリウスやコモドゥスなど、実在の人物が登場してくるが、史実とはかなり食い違っている(というより、かなりねじ曲げられている)。森鴎外の「歴史そのままと歴史離れ」の議論に関わりそうなストーリーである。それに元将軍が、処刑され家を失ったために奴隷に身を落とすというのも、ちょっと無理があると感じる。もっともこれを否定してしまうとストーリーが成り立たない。
 作品自体は、古代ローマの風俗や景観は大変見事に再現されており、しかもスペクタクルに溢れていて、よくできたハリウッドらしい映画である。『ベン・ハー』を思わせるようなシーンもあり、エンタテイメント歴史映画として非常に優れている。戦闘シーンも大変迫力があり、カタパルトやバリスタが登場するなど、古代ローマ・ファンならば(そういうのがいるかどうかはわからないが)大喜びしそうな作品である。ただし話ができすぎで、見終わった後でよく考えてみるとそうはうまく行かないでしょと感じてしまう。とは言え、見ている間は、先がなかなか読めないため、そういう意識は働かない。映画として見せる分にはこういったやや予定調和的なストーリーでもOKかなと思える。
 本作は、『ベン・ハー』や『スパルタカス』などと並ぶ、歴史を感じさせるハリウッド・エンタテイメントと位置付けることができるだろうが、この2作に引けを取らない出来栄えの作品に仕上がっていて、存分に楽しむことができる。もちろん先ほど言ったようなことが気になりはするんだが。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『ベン・ハー(映画)』
竹林軒出張所『スパルタカス(映画)』
竹林軒出張所『アレクサンドリア(映画)』
竹林軒出張所『キングダム・オブ・ヘブン(映画)』
竹林軒出張所『デュエリスト - 決闘者(映画)』
竹林軒出張所『ブレードランナー ファイナル・カット(映画)』
竹林軒出張所『クレオパトラ(映画)』
竹林軒出張所『サテリコン(映画)』
竹林軒出張所『エジプト人(映画)』

# by chikurinken | 2018-01-16 07:22 | 映画