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竹林軒出張所

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『「星の王子さま」の誕生』(ドキュメンタリー)

「星の王子さま」の誕生
ニューヨークのサン=テグジュペリ

(2023年・仏ARTE France他)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー

随所に工夫はあるが
総じて学習素材みたいな作品


『「星の王子さま」の誕生』(ドキュメンタリー)_b0189364_08414660.jpg サン=テグジュペリが『星の王子さま』を執筆するに至った経緯を紹介するドキュメンタリー。アニメーションを交えながら当時の背景を紹介し、どのようにして『星の王子さま』が生み出されたかを明らかにする。
 元々フランス空軍のパイロットだったサン=テグジュペリだが、1940年にフランスがドイツに侵略されたのを機に米国(ニューヨーク)に逃れる。すでに作家として名声が高かったため、ニューヨークでも出版関係者から歓待され、執筆を依頼されたりもしている。
 当時なかなか新作に取り組むことができない状態だったが、あるとき自作の落書きが編集者の目に留まり、それを使った絵本を描いてはどうだという提案を飲み、できあがったのが『星の王子さま』であったということである。なおこの話、かつてパイロットだったときにサハラ砂漠に不時着し3日間さまよった経験が基になっているらしい。
『「星の王子さま」の誕生』(ドキュメンタリー)_b0189364_08415008.jpg 結局ニューヨークでの亡命生活にも満足できず、その後フランスに戻って再び入隊し、パイロットとして現場に復帰、1944年に撃墜され死去したということである。
 総じて『星の王子さま』誕生の背景を紹介するだけの学習素材みたいな内容で、あまり面白味を感じなかったが、アニメーションを駆使するなど、それなりに見せる工夫は行われている。『星の王子さま』やサン=テグジュペリに大いに関心がある向きにとっては面白いかもしれないが、僕のようなそれ以外の人間にとっては教養の切れっ端みたいなレベルの番組で終わってしまう。もちろんそれはそれで良いんだが、途中からかなり眠くなったのは確かである。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『チトサビシイ(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『栄光の旗(ドラマ)』

# by chikurinken | 2024-06-19 07:41 | ドキュメンタリー

『円生と志ん生』(演劇)

円生と志ん生(2017年・劇団こまつ座)
脚本:井上ひさし
演出:鵜山仁
出演:大森博史、ラサール石井、大空ゆうひ、前田亜季、太田緑ロランス、池谷のぶえ

ミュージカル仕立ての舞台
演出はオーソドックス


『円生と志ん生』(演劇)_b0189364_12210016.jpg 井上ひさしが『円生と志ん生』という戯曲を書いていたのは以前から知っていたが、戯曲はともかく、その舞台となると地方在住で出不精の僕が見ることはまずあり得ない。ところが、便利な世の中になったもので、U-NEXTで公開されていることがわかった。有料でしかも2,500円と決してお安くはないが、ポイントが溜まっていたため、それを使って今回思い切って見てみたのであった。
 ストーリーは、噺家の古今亭志ん生と三遊亭円生が、1945年初頭に満州に慰問に行ったは良いが敗戦の混乱のために帰国できなくなった(1947年に無事帰還)というエピソードをモチーフにしている。2005年が初演で、その後、何度か再演された。今回見たのは2017年の公演で、円生を大森博史、志ん生をラサール石井が演じている。
『円生と志ん生』(演劇)_b0189364_12210543.jpg 話自体は他愛もないもので、悪くはないが特にどうということはない。2時間を超す舞台で、僕は途中少し飽きてきたが、ミュージカル仕立てになっていたりして、そういうものが好きな人には楽しめるだろう。演劇としてはまずまずで、演出もオーソドックスであり破たんはない。僕自身は原作自体に少々物足りなさを感じはしたが、もしかしたら井上ひさしに対する期待が大きすぎたせいかも知れない。
 なおU-NEXTには他にも、『國語元年』をはじめこまつ座の公演が何本か配信されている。それぞれそれなりのお値段ではあるが、こういう機会を設けていること自体は称賛に値する。U-NEXTのラインナップは感心するようなものも多く、月額は多少高いが、Netflixよりずっと充実していると感じる。ただ『國語元年』については、舞台版ではなく、NHKでかつて放送されたドラマ版を見たいんだが、これはNHKが公開していないため、見ることができないのである。NHKは、過去の作品を出し惜しみすることなく、どしどし公開すべきだと毎度ながら感じてしまう。
★★★

参考:
竹林軒出張所『眠れない夜iPodを抱えて』
竹林軒出張所『カラーで蘇る古今亭志ん生(放送)』
竹林軒出張所『びんぼう一代(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『落語家圓菊 背中の志ん生(本)』
竹林軒出張所『ひねもすのたり日記 (1)〜(3)(本)』
竹林軒出張所『凍りの掌 シベリア抑留記(本)』
竹林軒出張所『中国映画を支えた日本人(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『仲代達矢が語る 日本映画黄金時代(本)』

# by chikurinken | 2024-06-17 07:20 | 映画

『ある愛の詩』(映画)

ある愛の詩(1970年・米)
監督:アーサー・ヒラー
原作:エリック・シーガル
脚本:エリック・シーガル
音楽:フランシス・レイ
出演:ライアン・オニール、アリ・マッグロー、レイ・ミランド、ジョン・マーリー、トミー・リー・ジョーンズ

決して後悔しない映画……ですかね

『ある愛の詩』(映画)_b0189364_08281628.jpg 1970年にヒットした映画で、恋人が若くして死んでしまうという、言ってみれば「恋愛死別もの」の代表作みたいな作品である。こういうストーリーのものは、日本を含む世界中でこれまで繰り返し作られていて、『愛と死をみつめて』のように事実を基にしたものならいざ知らず、まったくのフィクションであれば結局「お涙ちょうだい」で終わってしまい、一種のカタルシスにはなるがそれだけというような作品になることが多い。
 この『ある愛の詩』についても似たようなものだという認識があったために少し侮っていたが、全体的に実にシンプルにまとめられており、見る者を泣かせようとするような過剰な演出もなく、むしろ好感が持てる作品であった。また家族の問題や階級の問題まで織り込まれており、決して駄作として片付けられない。エンタテイメントだけの映画かと思っていたので、そのあたりはやや意外ではあった。
 この映画が公開された後、1975年に日本でも「恋愛死別もの」の『赤い疑惑』(大映テレビ製作)が放送され、山口百恵が大ヒットするきっかけを作るが、恋人の死因も白血病で共通しているなど、多分にこの映画が意識されていたのではないかと思う。それを反映してか知らないが、日本のテレビでこの映画の吹き替え版が放送されたとき、主人公の二人は山口百恵と三浦友和が演じていた。声優としては2人とも冴えないものだったが、すでに『赤い疑惑』のイメージがあったため、別の思い入れが見る側に生じるという作用はあった。
 なおこの作品、フランシス・レイの音楽がつとに有名で、今では音楽以外表に出てくることも少なくなったが、先ほども書いたようにそれなりに見どころはある。ただ日本語字幕版については、字幕のせいで意味不明になっている箇所がある。たとえば、テーマになっているフレーズ、「Love means never having to say you're sorry」が「愛とは決して後悔しないこと」と訳されているため、「I'm sorry.」(「残念だ」、「ごめんなさい」などの意味)の返しとしてこのセリフが使われている状況で字幕がうまく成立しなくなっていた。この会話は一種の洒落みたいなものだったため日本語に訳すことが難しい……というか不可能に近いため致し方ないことではあるが、この作品、全体的にセリフが奮っているんで、その魅力が損なわれることになるわけ。こういう状況が全編に渡って存在し、字幕の限界というものを感じることになるのだった。英語の音声だけで100%理解できれば、おそらくもっと楽しめるのではないかと感じた。そのあたりが少々惜しい点である。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『愛と死をみつめて(映画)』
竹林軒出張所『あっこと僕らが生きた夏(ドラマ)』
竹林軒出張所『ペーパー・ムーン(映画)』
竹林軒出張所『男と女(映画)』

# by chikurinken | 2024-06-14 07:27 | 映画

『レイダース 失われたアーク』(映画)

レイダース 失われたアーク《聖櫃》(1981年・米)
監督:スティーヴン・スピルバーグ
原作:ジョージ・ルーカス、フィリップ・カウフマン
脚本:ローレンス・カスダン
音楽:ジョン・ウィリアムズ
出演:ハリソン・フォード、カレン・アレン、ジョン・リス=デイヴィス、ポール・フリーマン

リアリティなどというものは辞書にない
ご都合主義の見本市


『レイダース 失われたアーク』(映画)_b0189364_08195486.jpg 『インディ・ジョーンズ』シリーズの第1作。かつてこの映画を「映画史上最高の一作」と称える人がいたため、公開後しばらくして見た作品だが、そのときの記憶もほとんど残っていない。少し前にNHK-BSで放送されていたため、録画していたものを数十年ぶりに見てみた。
 率直に言って、悪い冗談みたいな話で、まったく面白さを感じない。さながらかつてテレビ放送されていた『コンバット』のようで、主人公は(たとえマシンガンで攻撃されても)撃たれることなく、一方で悪いドイツ人が次々と片付けられるというシーンが続いて、見ていてアホらしくなる。しかも、悪者から地下の遺跡に閉じ込められながらも事もなげにそこから脱出したかと思えば、潜水艦にしがみついて(おそらく何日間も)航海を続け敵のアジトに侵入するとか、今どきアニメでもやらないだろうというほど展開も無茶苦茶で、説得力がなさ過ぎるだろうとツッコミを入れたくなる。ご都合主義の極みみたいな映画で、こんな映画を見て世間の人は面白いと思うのかと疑問に感じるほどである。
 不気味なシーンや驚かせるようなシーンが立て続けに出てくるなど、一種のお化け屋敷みたいなものと考えて遊園地のアトラクションのような楽しみ方をすれば良いということなのかも知れないが、僕などは見ていてバカバカしさが先に立ってしまう。序盤から完全に飽きてしまい、時計との格闘になってしまった。
 深遠さの欠片もない実にくだらない映像作品で、エンタテイメントに徹するにしてももう少し思慮や遠慮が必要だろうとあらためて感じさせられた。「映画史上最高の一作」が笑わせる。
★★

参考:
竹林軒出張所『プライベート・ライアン(映画)』
竹林軒出張所『女囚701号 さそり(映画)』
竹林軒出張所『日本以外全部沈没(映画)』
竹林軒出張所『村上朝日堂の逆襲(本)』

# by chikurinken | 2024-06-12 07:19 | 映画

『もーれつア太郎』(1)(アニメ)

もーれつア太郎 (1)(1969年・東映動画、NET)
原作:赤塚不二夫
脚本:辻真先
演出:山口康男
出演:山本圭子、永井一郎、加藤みどり

絵の動きが小さく単調

『もーれつア太郎』(1)(アニメ)_b0189364_15303541.jpg 東映アニメチャンネルで『もーれつア太郎』が公開されていたため、懐かしさから見てみた。今回見たのは1969年に放送された第1シリーズでモノクロ作品である。前に見たのは本放送時だったため、見るのは54年ぶりということになる。なお前に見ていたときは、好きなアニメの1つだった。
 内容はほとんど憶えていなかったが、テーマ曲の他、キャラクターのア太郎とデコッ八についてはよく憶えている。今回見たのは第1回放送分で、「もーれつ息子とグータラ親父」と「もーれつワンワン大暴れ」の2本構成。ストーリーは、人の好い働き者のア太郎とその周辺人物を巡るほのぼの人情話というもので、そこにギャグが適当に散りばめられている。『天才バカボン』のようなナンセンスな笑いは(今のところ)なく、一貫性のある物語として成立している。
『もーれつア太郎』(1)(アニメ)_b0189364_15303953.jpg このアニメで特徴的なのは、絵の動きがきわめて少ないことで、書き割りのような(動かない)背景を広く取った上でキャラクターだけに小さな動きがあるという単調なシーンがきわめて多い。低予算のせいか、あるいはこれが当時のアニメの標準だったのかは判然としないが、今見るとダイナミックさに欠けると感じる。ストーリーについては(第1回分限定だが)あまり面白さを感じるようなものでもない。第1回分では、デコッ八がまだア太郎の舎弟ではなく、ア太郎と敵対している存在だったのが意外……という程度の感想しかない。この後、ニャロメやケムンパス、ココロのボスみたいな赤塚マンガを代表するキャラクターが登場するようだが、見るのは第1回分だけで良いかなと思う。さすがに(懐かしさ以外の要素で)良い大人が見て楽しめるようなものではなさそうである。
★★☆

参考:
竹林軒出張所『天才バカボン (1)(アニメ)』
竹林軒出張所『レッツラ*ゴン(本)』
竹林軒出張所『まんが トキワ荘物語(本)』
竹林軒出張所『ゲゲゲの娘、レレレの娘、らららの娘(本)』

# by chikurinken | 2024-06-10 07:30 | ドラマ