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竹林軒出張所

chikrinken.exblog.jp

『闇の歯車』(ドラマ)

闇の歯車(1984年・フジテレビ)
演出:井上昭
原作:藤沢周平
脚本:隆巴
出演:仲代達矢、役所広司、東野英治郎、神崎愛、中村明美、織本順吉、殿山泰司、小笠原良知、益岡徹

皮肉が散りばめられたストーリー
だが作為的に過ぎる


b0189364_17541890.jpg 藤沢周平の同名小説を劇化したドラマ。数年おきに素人を仲間にして押し込み強盗を働く絵師、伊兵衛が再び押し込みを働くべく動き出す。今回目をつけた素人衆はどれも金が必要な町人で、それぞれに事情を抱えている……というようなストーリー。オー・ヘンリーの『賢者の贈り物』みたいに、皮肉が散りばめられていて興味深い話ではあるが、かなり荒唐無稽で作りすぎな感は否めない。作為的に過ぎるという印象。
 ドラマとしては可もなく不可もないというできあがりで、特に不満はない。同じ放送局で前年に放送された『樅ノ木は残った 乱心』に続いて仲代達矢と弟子、役所広司が共演している他、特別出演扱いの東野英治郎が『用心棒』(これも仲代と共演)と同じような居酒屋の大将を演じているあたりがキャスティングの見所か。
 今となっては古いドラマだが、テレビドラマとしてはかなりしっかり作られていて、昨今のドラマのお手軽さとは随分違う印象を受けた。全編フィルム撮影である。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『樅ノ木は残った 乱心(ドラマ)』
竹林軒出張所『釣忍(ドラマ)』
竹林軒出張所『果し合い(ドラマ)』
竹林軒出張所『用心棒(映画)』
竹林軒出張所『仲代達矢が語る 日本映画黄金時代(本)』

# by chikurinken | 2018-01-10 06:52 | ドラマ

『樅ノ木は残った 乱心』(ドラマ)

樅ノ木は残った 乱心(1983年・フジテレビ)
演出:井上昭
原作:山本周五郎
脚本:隆巴
出演:仲代達矢、役所広司、加藤武、鈴木瑞穂、内藤武敏、近藤洋介、小沢栄太郎、益岡徹、大橋吾郎、小林哲子、星野浩美、仙道敦子

山周の良い部分が出た

b0189364_15541804.jpg これも過去5回ドラマ化された山本周五郎作の時代劇。NHKの大河ドラマにもなったことがある。
 江戸時代初期の伊達騒動をモチーフにした話で、歌舞伎の『伽羅先代萩』なども伊達騒動がモチーフだが、原田甲斐が主人公でしかもお家を守るために身を投じるという日本人好みのストーリーが『樅ノ木は残った』の特徴である。原田甲斐がバカになって間諜をごまかしながらあれやこれやの策略を練るあたりは『赤穂浪士』の大石内蔵助を思わせ、こちらも日本人好みのモチーフと言える。
 ストーリーは非常に凝っていて、全編緊迫感が漂い、緊張感が最後まで持続する。大河ドラマでやるような素材を2時間弱のドラマにしているため、わかりにくさが随所に残っているし、登場人物の名前も完全に把握できないが、何とか識別できるレベルで最後まで見終わることができた。しかし、登場人物の名前はすべて初出時に字幕で紹介されるだけであるため、伊達騒動をまったく知らない人が見るとなると、それなりに困難が生じるかも知れない。
 キャストはなかなか豪華で、無名塾での仲代の弟子、役所広司が仲代と共演するなどの見所もある。小沢栄太郎が(どちらかと言うと)良い役だったり、仙道敦子がまだ娘っこだったりでなかなか新鮮である。また演出もオーソドックスで破綻はない。なかなかの佳作である。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『釣忍(ドラマ)』
竹林軒出張所『椿三十郎(映画)』
竹林軒出張所『赤ひげ (19)(ドラマ)』
竹林軒出張所『いのち・ぼうにふろう(映画)』
竹林軒出張所『闇の歯車(ドラマ)』
竹林軒出張所『果し合い(ドラマ)』
竹林軒出張所『仲代達矢が語る 日本映画黄金時代(本)』

# by chikurinken | 2018-01-09 06:54 | ドラマ

『釣忍』(ドラマ)

釣忍(1966年・フジテレビ)
演出:小川秀夫
原作:山本周五郎
脚本:隆巴
出演:仲代達矢、新珠三千代、久米明、萬代峰子

山周の良くない部分が目立ったドラマ

b0189364_18135933.jpg 過去6回ドラマ化されている山本周五郎作の時代劇。
 大呉服屋を勘当された若旦那が、その後堅気になり、芸者と一緒になって棒手売りの商いに精を出していたところ、本家から戻ってほしいという話があり、女房に勧められるまま、女房と離縁した上で(大店であるため芸者の女房はダメとのこと)家に戻ろうとするが……というストーリー。
 シナリオは仲代達矢の妻である隆巴(宮崎恭子)で、これがデビュー作だということ。当時彼女、役者を引退した後で、主婦でもできる仕事をということでシナリオ学校に通っていて、それを仲代が勝手にテレビ関係者に見せたところ採用されたらしい。デビュー作であるためか、シナリオの完成度は低く、時代劇らしくない言葉遣い(「銭湯に行ってきたら?」とか)が多く、見ていて少し白けてしまう。そもそもストーリー自体が現代的な発想に基づいていて、かなり違和感がある。
 演出もやけに湿っぽく、1時間ドラマであるにもかかわらず最後まで見続けるのがつらい。山周(山本周五郎)の悪い面が出ているようで、あまり面白さは感じなかった。ちなみに全編モノクロであった。かなり古い作品で、よく残っていたなという類のドラマである。
★★★

参考:
竹林軒出張所『樅ノ木は残った 乱心(ドラマ)』
竹林軒出張所『椿三十郎(映画)』
竹林軒出張所『赤ひげ (19)(ドラマ)』
竹林軒出張所『いのち・ぼうにふろう(映画)』
竹林軒出張所『闇の歯車(ドラマ)』
竹林軒出張所『果し合い(ドラマ)』
竹林軒出張所『仲代達矢が語る 日本映画黄金時代(本)』

# by chikurinken | 2018-01-08 07:13 | ドラマ

『ホンカン仰天す うちのホンカン-PART VI』(ドラマ)

日曜劇場 ホンカン仰天す うちのホンカン-PART VI-(1981年・北海道放送)
演出:長沼修
脚本:倉本聰
出演:大滝秀治、八千草薫、上條恒彦、藤谷美和子、加藤嘉

これで「ホンカン」は終わり

b0189364_954487.jpg 「ホンカン」シリーズ第6作目。
 義侠心に基づく犯罪がモチーフになっていて、しかも流通の矛盾にも疑問を呈しており、なかなか見応えがあるドラマになっていた。例によってあちこちに軽いくすぐりも入っていて、それがまた良い効果を生み出しており、ドラマとしても非常に質が高い。「ホンカン」シリーズの中では一番密度が濃いと感じる。
 キャストは、主演の2人の他は、藤谷美和子、上條恒彦、加藤嘉らである。藤谷はこのあと倉本作品の『ライスカレー』に出演するが、後ろの2人は倉本作品では珍しい。加藤嘉については、雪の中で貧乏暮らしをしている独居老人の役で、作り手が意識していたかどうかわからないが『砂の器』の本浦千代吉を思わせる風体であった。
 60分枠の短い作品であることから、話半ばで先が見えてきたネタワレ・ストーリーではあったが、細かい部分が繊細に作られているため、決して侮ることができない作品である。「さすが全盛期の倉本聰」という作品で、その腕力が垣間見られる秀作ドラマであった。
 この「ホンカン」シリーズだが、第1作は気張りすぎていたせいかしようがないできだったが、あとに進むほどグレードが上がってくる。PART VとこのPART VIに至ってはかなりのレベルである。もしこのDVDを見る機会があるようであれば、決して第1作でやめたりせず、続けて(なるべく最後まで)見ることをお勧めする。
第30回日本民間放送連盟賞優秀賞受賞
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『うちのホンカン(ドラマ)』
竹林軒出張所『冬のホンカン うちのホンカン-PART IV(ドラマ)』
竹林軒出張所『ホンカン雪の陣 うちのホンカン-PART V(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 田園交響楽(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 遠い絵本 第一部、第二部(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 ばんえい(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 ああ!新世界(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 ひとり(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 りんりんと(ドラマ)』

# by chikurinken | 2018-01-06 07:33 | ドラマ

『ホンカン雪の陣 うちのホンカン-PART V』(ドラマ)

日曜劇場 ホンカン雪の陣 うちのホンカン-PART V-(1981年・北海道放送)
演出:長沼修
脚本:倉本聰
出演:大滝秀治、八千草薫、結城しのぶ、大久保正信、末吉敏男

今度は怪談もの

b0189364_954487.jpg 『うちのホンカン』シリーズ第5作目。
 主人公の「ホンカン」夫妻(大滝秀治、八千草薫)が、厚田村の派出所に転勤になった。転勤の日猛吹雪になって国道が通行止めになり、交通整理に駆り出されたホンカンが、そこで地元のあれやこれやを経験するというストーリー。
 雪女(結城しのぶ)が重要な狂言回しとして登場するなど、オカルト好きの倉本聰らしいプロット。この人、いろいろなドラマでオカルト関係のものを登場させるが、僕のようなオカルト嫌いの人間にはこれが堪らない。ただ今回の「雪女」については、それなりに味わい深さもある。そう言えば70年代のドラマは、こういった幽霊ものが多かったということに思い至った。『ザ・ガードマン』や『キイハンター』なんかは、夏には恒例のように幽霊ものの回があった、そしてそれが人気だったような気がする。そういう意味で少し懐かしさも感じたし、この話自体もよくできていた。
 相変わらず大滝秀治と八千草薫が好演で、特に八千草薫は、当時50歳であるにもかかわらず、可愛さが漂って非常に魅力的であった。このシリーズ、八千草薫の代表作と言っても良いんでないかいと思った。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『うちのホンカン(ドラマ)』
竹林軒出張所『冬のホンカン うちのホンカン-PART IV(ドラマ)』
竹林軒出張所『ホンカン仰天す うちのホンカン-PART VI(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 田園交響楽(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 遠い絵本 第一部、第二部(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 ばんえい(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 ああ!新世界(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 ひとり(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 りんりんと(ドラマ)』

# by chikurinken | 2018-01-05 08:25 | ドラマ

Say Goodbye To Heavy Futon

 永らく寒い部屋の中で重い布団の下で寝ていた。
 部屋には暖房がないため室温は屋外とさほど変わらない。部屋の中で息が白くなることはごく当たり前である。そのため寝ていても寒い。寝ているだけで風邪をひいたことさえある。そのために、日々寒さが進んでいくのに合わせて、布団や毛布を少しずつ増やしていくという睡眠スタイルになる。1月になると掛け布団2枚プラス毛布3枚にまで増えてしまう。重いったらありゃしない。朝になると腰に痛みを感じるのが普通という有様である。
 羽毛布団がえらく暖かいという話は大分前から聞いていた。広告ではお手軽な値段の羽毛布団も出ているが、聞くところによると、安い布団は暖かさの度合いも安いらしい。いい加減な羽毛が入っているとかで、大して暖かくないというのだ。暖かくない布団を買った日にはまた何枚も布団と毛布を重ねることになって、新しい布団自体がまったく無意味になってしまうではないか。何でも10万円以上する羽毛布団というのもあるらしく、ということは値段なりの差というものが実在するのではないかということは容易に想像が付く。もちろんそんな超高級羽毛布団を買うつもりも買う余裕もさらさらないんだが。
b0189364_14222941.jpg そんな折、通販生活のサイトをたまたま目にしたところ、20万円の高級羽毛布団に匹敵する羽毛布団というものが4万5千円で提供されていることを知った。通販生活は、ご存じの方も多いと思うが、良品を売るというコンセプトの通販会社で、僕自身はかれこれ20年前から利用している。実際に大分前にここで買って今でも利用し続けているというような良品も割にあり、個人的にはその品質にはそれなりの信頼を置いているんだが、そこで売られている羽毛布団が、通販生活の自称ではあるが「20万円の高級品グースに匹敵する暖かさ」というんである。4万5千円と値は張るが、ここはいっちょうその20万円の暖かさを体感してやろうじゃないのということで、購入に踏み切ったのだった。これで重い布団にもおさらばできる。
 さて実際に使ってみると、スースーした感じで、あまり暖かいという感じはない。重さがないから何だか心もとない感じもする。とりあえず薄手の毛布の上にこの布団をかぶせて寝てみた。先ほど言ったように暖かさは感じないが、極寒の夜だったにもかかわらず、風邪はひかなかった。暖かくはないが寒さも感じないというのが実感で、羽毛布団というのがそもそもそういうものなのかも知れないが、少々期待外れという印象もある。もっとヌクヌクかと思っていた。それに布団が軽すぎて、寝ている間に気付かないままはねのけていたりすることがある。しようがないので羽毛布団の上に重しとして1枚(重量がある)毛布を重ねた。これでとりあえずはねのけることはなくなった。
b0189364_14223722.jpg 同じく通販生活で「モイスケアの肌掛け」なるものが、「ベッドに入って5分で手足がじわじわ暖まってきます」というキャッチフレーズで売られている。羽毛布団で寒くなくなったのは結構なのだがもう少し暖かさが欲しいと感じていたところだったので、こちらにも飛びついた。こちらは1万2千円。ちなみに布団も肌掛けもシーツを買ったから実際には出費はもっと多い。人気商品らしく届くまで時間がかかったが、暖かさに飢えていたため、こちらも届いて即日利用開始する。だが、こちらもあまり暖かさを感じるということはない。寒くはないのだが暖かくもない。「5分でじわじわ」という感じではない。いや「じわじわ」という感じは意外に近いのかも知れない。でもヌクヌクという感じでは決してない。結局、肌掛けの下に薄手の毛布をそのまま使うことにしたため、掛ける寝具は、下から薄手の毛布、肌掛け、羽毛布団、厚手の毛布という構成で、以前の毛布3枚プラス布団2枚のときとあまり変わらない状況に落ち着いた。もっとも軽さは以前とは比べものにならない。肌掛けについてはなくても良いような気もするが現状そのまま使っている。一度外してみれば本当に必要かどうかはわかるが、外してみて途端に風邪をひいたりする可能性があるので踏み切れない。
 枕についても、通販生活の枕が15年以上前から気になっているが、かなり高価な上、どうにも僕には合いそうにないのでいまだに手が出ていない。実は今回の寝具購入ラッシュのきっかけは枕だったのだ。5千円くらいの枕を通販で買ってみて、そこから「では布団も」という具合に布団へと手が伸びたわけだが、そのとき買った枕については、しばらく使っていたがあまり具合が良くなかった。枕自体は決して悪くないと思うのだが、なにぶん僕の頭には合わなかった。朝になると枕がはるか頭上に移動し(おそらく眠っている間に知らず知らず向こうの方に放っているんだろう)、ついでに身体全体も頭上方向に移動してしまって結局枕なしの状態になっている。あげくに肩の下が何だかスカスカして(肩より上が敷き布団からはみ出しているため)目が覚めるということが続いたことから、この枕は使わなくなった。いずれ枕についても何とかししたいと思っている(自分に合う枕というものが果たして存在するのかは微妙だが)。

 僕などは1日の睡眠時間が7時間を下回ると体調があまりよろしくない。たとえば7時間眠るとすると、一日のうち三分の一の時間(つまり一生の三分の一、つまり25年程度)を睡眠に費やすことになる。それだけ時間を費やす事象であれば、身体にとって非常に重要なものであることは疑いの余地がないはず。
 昨今睡眠の大切さがメディアでも取り上げられるようになっていて、それは大変結構なことなのだが、いまだに睡眠イコール怠惰と考える人も多く、ここらあたりで見方を180度変える必要があるんではないだろうか。考えてみれば睡眠は一番お手軽な娯楽とも言えるわけで、大して金をかけずに楽しむことができる。良い睡眠環境を作って十分な時間をかけて眠ることが良い、ひいてはもっとのんびりした人生を送ることが良いのでは……というのが目下のところ僕が思うところで、これを年頭の所感にいたしたいとこのように思うのである。

参考:
竹林軒出張所『ヒトはなぜ人生の3分の1も眠るのか?(本)』
竹林軒出張所『脳は眠らない 夢を生みだす脳のしくみ(本)』
竹林軒出張所『子どもの夜ふかし 脳への脅威(本)』
竹林軒出張所『「布団が俺を呼んでいる」の解題・のようなもの』

# by chikurinken | 2018-01-03 14:25 | モノ

2018年お年賀

あけましておめでとうございます
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 やめようと 思いながらも 年賀状
                  竹林軒
# by chikurinken | 2018-01-01 07:25 | 歳時記

2017年ベスト

 今年も恒例のベストです。例年どおり「僕が今年見た」という基準であるため、各作品が発表された年もまちまちで、他の人にとってはまったく何の意味もなさないかも知れませんが、個人的な総括ですんで、ひとつヨロシク。
(リンクはすべて過去の記事)

b0189364_11163217.jpg今年見た映画ベスト3(53本)
1. 『切腹』
2. 『山猫』
3. 『レディ・チャタレー』

 映画のベストは、例によって二度目三度目の名画ばかり。特に目新しさはない。『レディ・チャタレー』が他の2本とちょっと毛色が違うが、これもセザール賞受賞作であるし、今さら僕がどうこう言おうが高い評価に変わりはあるまい。
 『切腹』は、僕自身、日本映画の最高峰と思っている映画で、世界的にも評価は高い。第16回カンヌ国際映画祭のグランプリの最有力候補でありながら、急遽出品が決まった『山猫』に賞をさらわれたというエピソード(仲代達矢がある番組で語っていた話)も大変興味深い。この2本をここに並べた僕の遊び心も感じていただけたら幸いである。

b0189364_20374490.jpg今年見たドラマ・ベスト3(37本)
1. 『夏の一族』
2. 『ライスカレー』
3. 『レ・ミゼラブル』
4. 『夕暮れて』
5. 『奈良へ行くまで』
番外. 『さらば国分寺書店のオババ』

 今年も昨年に引き続き、日本映画専門チャンネルで倉本聰と山田太一のドラマがまとめて放送されたため、ほとんどはそこからの選択である。『ライスカレー』は倉本作品の最高峰だし、『夏の一族』も山田作品の最高レベルの1本であることを考えると、妥当な線の選択と言える。
 変わったところでは『レ・ミゼラブル』だが、これは原作の味わいを忠実に再現した仏製ドラマで、優れた原作を忠実に再現すれば最高レベルの作品ができあがることを証明したという点で特筆に値する。
 『夕暮れて』、『奈良へ行くまで』は今年見た山田ドラマの中でもっとも質が高かったということで選んだ。他の山田作品でもかまわないが、今年見た中ではこれが一番よかったかなというところ。
 番外に入れたのが1981年のラジオドラマで、僕自身が若い頃これを聞いて大いに影響を受けたという作品。こういう古い作品をYouTubeでいつでも全部聴くことができるとは、随分良い時代になったものである。
 こうして見ると、今回もほとんど見る(あるいは聴く)のは二度目三度目の作品ばかりである。目を奪われる新作ドラマは残念ながら存在しないというのが実情である。

今年読んだ本ベスト5(60冊)
1. 『天地明察』
2. 『武満徹・音楽創造への旅』
3. 『平安京はいらなかった 古代の夢を喰らう中世』
4. 『あなたの体は9割が細菌』
5. 『森の探偵』

b0189364_17062389.jpg 普段はあまりフィクションは読まないが、今年は江戸時代の碁打ちである安井算哲に少々興味を持ったこともあり、彼を主人公に据えた時代小説『天地明察』を読んでみた。これが非常によくできており、なんと言っても語り口が良い。ストーリーも、なかなか面白さに気付きにくい部分(暦の作成)を実に巧みに取り上げていて、読み始めたらやめられない、しかも読後感も良いという立派な小説に仕上がっていた。作者はファンタジー小説などを書く人らしく、時代小説は余り多くない。この作品のスピンオフみたいな作品、『光圀伝』もあり、これも読んでみたが、『天地明察』の方が断然できが良い。
 『武満徹・音楽創造への旅』は、作曲家、武満徹の芸術、人生に、インタビューを通じて迫った本で、1人の芸術家の人生を執拗に解明していったという労作。500ページを越える大作だが、武満という偉大な人間の等身大の足跡がそこにあり、この本を前にすると身が縮むような心持ちさえしてくる。大作かつ秀作である。
 『平安京はいらなかった』は、歴史のごく一部分をつつくような内容の本であるが、我々が学校で教えられている歴史がいかに一面的か思い知らされるという点で評価に値する。歴史観がコペルニクス的に転換する1冊と言える(かな)。
 『あなたの体は9割が細菌』も同じく目からウロコの本で、現代人の体内環境が抗生物質のせいで激変している現状を告発する。これもやはり新しい視点を提供してくれるという点で、価値の高い本である。
 『森の探偵』も、我々が持っている常識を覆してくれる本である。動物写真家の宮崎学のこれまでのさまざまな仕事を結集させたような本で、これも非常に価値が高い本なんだが、前にも書いたように聞き手がしゃしゃり出てくるのがかなり鬱陶しい。そういう点でもったいないが、それを差し引いても素晴らしい価値がある。我々の住むこの世界に対して、さまざまな示唆が得られること請け合いである。

今年見たドキュメンタリー・ベスト5(65本)
1. 『ホームレス理事長』
2. 『平成ジレンマ』
3. 『ヤクザと憲法』
4. 『島の命を見つめて 豊島の看護師・うたさん』
5. 『行 〜比叡山 千日回峰〜』

b0189364_20284283.jpg 今年は東海テレビの秀作ドキュメンタリーが、これも日本映画専門チャンネルで一挙に放送されたため、それが中心のラインナップになる。他にも冤罪ものや司法ものに傑作があったが、今回は代表として、『ホームレス理事長』、『平成ジレンマ』、『ヤクザと憲法』の「衝撃の3本」をピックアップした。
 『ホームレス理事長』は、理想主義に燃える不器用な実業家を主役に据えたドキュメンタリーで、ドラマみたいな内容である。結末があまりに予想外で、ドラマだったら絶対に受け入れられない。それに撮影する側が撮影される側に関わったり(あるいは撮影される側から働きかけがあったり)するのも斬新で、そういう面も特異で面白い。
 『平成ジレンマ』と『ヤクザと憲法』は、我々の常識的なものの見方にクエスチョンを突きつける、まさにドキュメンタリーの鑑のような作品である。これこそドキュメンタリーの醍醐味というもので、そういった体験をさせてくれるものはそうそうあるものではないが、同じ東海テレビから2本そういう作品が出ているのはちょっとした驚きである。他にも『裁判長のお弁当』『死刑弁護人』『罪と罰 娘を奪われた母 弟を失った兄』などの東海テレビ作品も同じようなハイレベルのドキュメンタリーで、東海テレビのドキュメンタリーは侮れないということを思い知らされる。
b0189364_20494870.jpg 『島の命を見つめて』は、これからの高齢化社会を暗示するドキュメンタリーであると同時に、人の生と死に思いを馳せさせる作品。このドキュメンタリーを通じて発せられる人間の優しさ、素晴らしさが心地良い。
 『行 〜比叡山 千日回峰〜』は古いドキュメンタリー作品だが、究極の仏教修行を映像に収めているという点で、一種の文化遺産と言うことができる。こういう作品がいまでも残されていることが、日本の映像界の良心の一端を示している。できれば、こういった作品も積極的に放送してほしいと思う。NHKだけでなく民放でもね。よろしくお願いしたい。

 というところで、今年も終了です。今年も1年、お世話になりました。また来年もときどき立ち寄ってやってください。
 ではよいお年をお迎えください。

参考:
竹林軒出張所『2009年ベスト』
竹林軒出張所『2010年ベスト』
竹林軒出張所『2011年ベスト(映画、ドラマ編)』
竹林軒出張所『2011年ベスト(本、ドキュメンタリー編)』
竹林軒出張所『原発を知るための本、ドキュメンタリー2011年版』
竹林軒出張所『2012年ベスト』
竹林軒出張所『2013年ベスト』
竹林軒出張所『2014年ベスト』
竹林軒出張所『2015年ベスト』
竹林軒出張所『2016年ベスト』

# by chikurinken | 2017-12-30 07:34 | ベスト

『九十歳。何がめでたい』(本)

九十歳。何がめでたい
佐藤愛子著
小学館

佐藤センセイには
もっともっと吠えて突進してほしいものだ


b0189364_18394451.jpg よく売れているらしいベストセラー・エッセイ。売れている理由はおそらく(佐藤愛子のイメージにピッタリな)ユニークなタイトルにあるんだろうと思う。かなり秀逸なタイトルで、編集者のファインプレーだと勝手に思っていたんだが、著者がつけたタイトルだそうだ。さすがに佐藤センセイ、侮れません。
 内容は、佐藤愛子のエッセイということで、特にこれまでのエッセイと違うところはない。相変わらずいろいろなことに怒っていて、ほとんどについては痛快に感じる。ただし怒りながらも、自分の老化のせいかと感じているフシもあったりして、その猪突猛進ぶりがこれまでより穏やかになったのかと感じる部分もある。もっとガンガン攻めて欲しいところだが、90過ぎの人にそこまで要求するのも酷というものである。
 読んでみて感じたが、やはり佐藤愛子の文章はよくまとまっていて、どこか筋が通っている感じがする。内容は卑近なものが多いが、文章自体がしっかりしているため、背筋が伸びているというような印象さえ受ける。
 昨今ひどい文章がまかり通っていて情けなくなるが、これはテレビ番組にも共通するもので、その辺については著者も本書でしきりに文句を言っている部分である。最近では何だか何もかも質が落ちていて、人間の思考能力さえ劣化しているように感じるが、著者がその辺を声を大にして吐き出すのが実に痛快に感じる。本当は、僕も含めて誰もが「ダメなものはダメ!」と声を大にして言うべきなんだろうが、世間のしがらみがあったりしてなかなか思うように行かず、それでこういった本を読んで溜飲を下げるということになる。そういう意味では良い本がベストセラーになったと思える。
 なお、高齢者向けのしつらえになっているためか知らないが、文字がかなり大きく、読み始めは随分違和感を感じる。もっとも慣れてしまえばなんと言うことはない。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『娘と私の部屋(本)』
竹林軒出張所『戦いすんで日が暮れて(本)』
竹林軒出張所『かつをぶしの時代なのだ(本)』

# by chikurinken | 2017-12-28 07:39 |

『かっこいいスキヤキ』(本)

かっこいいスキヤキ
泉雅之著
扶桑社文庫

こんな本なんて買わなけりゃよかった

b0189364_17594249.jpg 今から30年以上前、京都の一乗寺にある恵文社という本屋で(一部だけ)立ち読みしたマンガ『かっこいいスキヤキ』がなんと文庫になっていた。夜行列車に乗って駅弁を食べるときに最後まで大切にとっていたカツが実は玉ねぎカツでガックリし「旅なんて出なけりゃよかった」と思うというような話(「夜行」)で、バカバカしいネタを劇画調で描くという代物である。ネタもくだらないし、絵も何だか汚い。青林堂から出ていたため『ガロ』発のマンガだということが推測できたが、さすがにあまりにくだらないので当時は買わなかった。この本屋では、大友克洋や高野文子の本に初めて出会ったりして、結構変わったマンガも買っていたんだが、この本については買わなかった。
 ところが先日、珍しく丸善で本を物色していたところ、この本が文庫化されているのを見つけ、懐かしさもあってつい衝動買いしてしまったのだった。「してしまった」と書いたのは今著しく後悔しているからである。つまらない本は買わないようにしている昨今、衝動買いで買ってしまうということはあまりなくなったが、これについては本当に「つい出来心で」買ってしまったのだった。それなりに面白いものもあり、懐かしさも感じたが、とっておくような類の本でもないし、馬鹿なことしたなーと思う。
 それはともかく、内容はといえば短編マンガ集であり、先ほどの駅弁や、コンパでのスキヤキ肉についての態度とか、食に対する異常なまでのこだわりが表現されているものや、「プロレスの鬼」などというプロレス・ネタの暴走話などが並んでいる。食に対するこだわりは、この後『孤独のグルメ』に連なっている系統なのではないかと思う。ちなみに本書の著者の泉雅之というのは、泉晴紀と久住昌之のコンビ名で、『孤独のグルメ』の原作者が久住昌之である。この人のこだわりについても、個人的にはあまり面白いと思わないし、何より泉晴紀の絵が好きになれない。そういうわけで、ユニークだとは思いつつ、買わなきゃよかったという思いがずーっと残っているわけだ。ちょうど「夜行」の主人公と同じような心境なのだ。
★★★

参考:
竹林軒出張所『孤独のグルメ Season4 (2)(ドラマ)』

# by chikurinken | 2017-12-26 06:59 |

『アリ対猪木 アメリカから見た世界格闘史の特異点』(本)

アリ対猪木 アメリカから見た世界格闘史の特異点
ジョシュ・グロス著、棚橋志行訳、柳澤健監訳
亜紀書房

あの試合はMMAのルーツだった

b0189364_17141950.jpg 1976年に行われたアリ対猪木の異種格闘技戦は、我々世代の日本人には印象に残った出来事であったが、アメリカではアントニオ猪木自体無名で、この試合自体エキジビションみたいな扱いでしか報道されていなかったと思っていたため、タイトルの「アメリカから見た」という惹句にまず引き付けられた。だが、内容的には『完本 1976年のアントニオ猪木』などとあまり変わらない。著者のジョシュ・グロスは元々『スポーツ・イラストレイテッド』の格闘技記者で、そのため確かに「アメリカから見た」ではあるが、それほど目新しい情報があるわけではない。
 とは言うものの、あの試合が全米でクローズドサーキット(パブリックビューイング)として中継されていたことは今回初めて知った。モハメッド・アリの当時の米国での人気は絶大なもので、そのアリがプロレスラーと闘うことに興味が持たれたということだ。試合はご存知の通り、「世紀の凡戦」と言われるような内容で終わったため、さまざまな会場で敵意に溢れたブーイングが起こったり「金返せ」コールが起こったりしたらしく、試合に対する感慨は日本人と同様であったらしい。彼らにとってもこれが「ワーク」(筋書きのある、いわゆる八百長)なのか「シュート」(真剣勝負)なのか判然とせず、なんだか煮え切らないまま帰途についたということで、今では多くの人にとって語られることすらないという(かつて見に行った人々にとって一片のやましさが伴うのだそうだ)。
 だがあの試合こそが総合格闘技(MMA)を生み出すきっかけになった、というのが著者の感じるところで、米国の総合格闘技団体、UFCや日本のPRIDEなども、あの試合にルーツを持つというのが著者の主張である。
 著者は、本書を執筆するにあたり、さまざまな関係者から話を聞いており、たとえばアリ自身がプロレスが好きで、試合前に見せていたビッグマウスは悪役レスラーの影響だなどというのは、非常に興味深い話であった。ただし、全体的に冗長な上、さまざまな登場人物がやたらに出てきてわかりづらくなっている点はマイナスである。また、翻訳のせいか原文のせいかわからないが、文章自体も決して読みやすい表記ではない。これを読むんだったら『1976年のアントニオ猪木』の方が良いかなと思わせる程度の内容で、あまり得るものはなかったというのが正直なところである。
★★★

参考:
竹林軒出張所『蘇る伝説の死闘 猪木vsアリ(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『完本 1976年のアントニオ猪木(本)』
竹林軒出張所『1993年の女子プロレス(本)』

# by chikurinken | 2017-12-24 07:13 |

『追跡 東大研究不正』(ドキュメンタリー)

追跡 東大研究不正 〜ゆらぐ科学立国ニッポン〜(2017年・NHK)
NHK総合 NHKスペシャル

研究助成制度の構造的な問題

b0189364_20040043.jpg 東大をはじめとする日本の各大学の研究室で、不正な研究論文が増えていることを告発するドキュメンタリー。
 不正な研究論文というのは、データを一部改竄して、センセーショナルな結論が出るよう偽造した論文を指す。こういった論文は『Science』や『Nature』などの有名雑誌に発表され、その研究者の名声を高める役割を果たしたわけだが、何件かについては不正が発覚し、関係者は懲戒解雇を含むさまざまな処分を受けている。ただしこの手の不正は、ごくわずかな「倫理観に乏しい」研究者に限られるというわけではないようで、ここ数年、明らかになる不正は相当な割合で増えているというのがこのドキュメンタリーでの主張である。実際のところ不正はかなり広範囲に行われており、明らかになったのは氷山の一角ではないかというような主張が、この番組でも展開される。
 なぜこういった事例が増えているかというと、研究費の獲得が以前より困難になって、同時に国による研究費の割り当てが実績主義に基づくようになったためらしい。実績主義というのは端から見ていると妥当であるかのように思えるかも知れないが、実際は有名雑誌に論文が掲載されるとポイントがかなり上がるなどという、言ってみればブランド志向のたまものであり、決して内容が伴っているとも言えない。あのSTAP細胞騒動でも似たようなことが起こった(そしてマスコミが見苦しく大騒ぎした)が、そもそもが、文学賞や映画賞などと同様、注目を浴びたからと言って必ずしも内容が素晴らしいものではないわけであり、それを考えると、現行のシステムに、きちんとした評価システムが欠けているということが言えるわけだ。評価システムがないにもかかわらず評価制度を採用しようとするから、変なところにしわ寄せが来る。
 このドキュメンタリーで紹介されている東大の研究室の事例は、外部から見ると実にバカバカしく、「象牙の塔」とか「専門バカ」とかいう言葉が頭の中に浮かんでくるほどだが、今の研究助成システムも茶番なら、それに踊る研究者たちという構図も茶番にしか見えない。
 このドキュメンタリー、なんとなく賞狙いの雰囲気が漂う。事件の内容や周囲の環境など、それに加えて製作側の態度も含め、あらゆる部分でレベルの低さを感じるのは僕だけだろうか。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『調査報告 STAP細胞 不正の深層(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『史上空前の論文捏造(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『笑うに笑えない大学の惨状(本)』

# by chikurinken | 2017-12-22 07:03 | ドキュメンタリー

『藤井聡太 14才』(ドキュメンタリー)

藤井聡太 14才(2017年・東海テレビ)
監督:横井良安
ナレーション:萩本欽一

聡太の青春 第一幕

b0189364_18251134.jpg 昨年デビューして連勝記録を作った将棋棋士の藤井聡太のドキュメンタリー。
 さすがにあれだけ話題になったためNHKやなんかでも特集番組をやっていたが、東海テレビでも7月にドキュメンタリーを放送していた。というのも藤井四段、愛知県出身で、しかもかなり前から東海テレビは注目していたのだった。その証拠に小学生から中学生時代にかけての映像が結構残っている。奨励会時代の、師匠の杉本昌隆七段との練習対局なども画面に登場してなかなか新鮮である(しかも師匠に勝っていた)。
 このドキュメンタリーで追いかけるのは連勝記録を更新するまでで、言ってみればサクセスストーリーみたいな内容である。NHKスペシャルでは、その後の挫折、それを越える過程まで描いていたが、そこは後進の有利さということになる。
 このドキュメンタリーで見えてくるのは、(アマ時代から)師匠が藤井を非常に大切に育てているということで、良い師匠にめぐり逢ったのも藤井の強運であったと言うことができる。一般的に成功者は、いくら能力があっても運がなければ成功できないもの。強運があってこその成功者なんである。その点、藤井はラッキーだった。
 藤井フィーバーは、以前からの将棋ファンとしては少々片腹痛い部分があるが(特にこの番組でも紹介されていたが、藤井の扇子を買うのに行列ができているなどの現象には少々気持ち悪さすら感じる)、藤井に早くから注目していた、そして丁寧なドキュメンタリーに仕上げた東海テレビには敬意を表したいところである。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『聖の青春(本)』
竹林軒出張所『聖 ― 天才・羽生が恐れた男 (1)〜(7)(本)』
竹林軒出張所『ヒカルの碁(1)〜(23)(本)』
竹林軒出張所『将棋の解説者』
竹林軒出張所『将棋中継の聞き手』
竹林軒出張所『シリコンバレーから将棋を観る 羽生善治と現代(本)』
竹林軒出張所『運命の一手 渡辺竜王 VS 人工知能・ボナンザ(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『棋士VS将棋ソフト 激闘5番勝負(ドキュメンタリー)』

# by chikurinken | 2017-12-21 07:24 | ドキュメンタリー

『樹木希林の居酒屋ばぁば』(ドキュメンタリー)

樹木希林の居酒屋ばぁば(2017年・東海テレビ)
監督:伏原健之
ナレーション:本仮屋ユイカ

試みには賛同するが

b0189364_18215983.jpg 樹木希林が、『人生フルーツ』の津端英子さんを居酒屋に迎えて世間話をするという企画のドキュメンタリー。35年ぐらい前にTBS系で放送していた『すばらしき仲間』を再現したような企画である。『すばらしき仲間』は中部日本放送製作だったが、このドキュメンタリーは東海テレビ製作。中部地方はこういった番組が好きなのか。
 さすがに居酒屋での女子会(樹木希林がそう呼んでいた)だけでは1時間持たなかったと見え、後半は場所を津端さんの家、つまり『人生フルーツ』の舞台に移す。『人生フルーツ』で出てきたあれやこれやに樹木希林が触れ、それぞれの家族や夫の話について話すという展開になる。そもそもこの2人の関係が、『人生フルーツ』の主人公とナレーション担当ということで、こういう展開になるのもごく自然ではある。とは言っても、全体的にダラダラした番組で、それはそれで良いんだが、『人生フルーツ』の舞台と登場人物を野次馬的に覗くという内容で終始しているわけで、『人生フルーツ』大好きな人ならいざ知らず、その他大勢にとってはあまり目を奪われる内容はないと思う。津端英子さんが「夫と結婚して幸せだった」などと語り、いかにも『人生フルーツ』好みの話が出てきたりするが、こういう点を取ってみてもやはりファン向けの企画だなと感じる。
 仲間同士でする話をダラダラと流すというこういう企画自体は、またやって欲しいと思っているクチであり『すばらしき仲間』も再開して欲しいと感じているクチではあるが、この企画については個人的にはあまり面白いと感じなかった。
★★★

参考:
竹林軒出張所『人生フルーツ(ドキュメンタリー)』

# by chikurinken | 2017-12-20 07:21 | ドキュメンタリー

『カメラで音楽を撃て 写真家・木之下晃』(ドキュメンタリー)

カメラで音楽を撃て 〜写真家・木之下晃〜(2007年・NHK)
NHK-BSプレミアム プレミアムカフェ

木之下ブラックはこうして生み出される

b0189364_17382979.jpg 音楽家の写真ばかり撮っている木之下晃に密着するドキュメンタリー。木之下晃の写真はかなりユニークで、そもそもこういった分野に特化した写真家というのも特異な存在である。実際に彼が撮影した音楽家の写真は、音楽ジャーナリズムの世界では結構目にするもので、僕自身も若い頃は、彼が撮影した写真のポスターを部屋に飾っていたことがある。彼の写真にはなんと言っても躍動感がある。
 このドキュメンタリーでは、彼がどのような方法で撮影しているか、どのように指揮者らの音楽家にアプローチしているかが紹介され、指揮者側からの彼に対する見方もあわせて紹介される。非常に多角的なアプローチである。インタビューに登場する指揮者は、小澤征爾、リッカルド・ムーティ、ロリン・マゼール、佐渡裕らで、どの音楽家も木之下の作品を高く評価しており、彼の仕事に敬意を払っていることがわかる。そもそも木之下自体、演奏中に指揮者の周囲で写真を取り続けるわけで、指揮者にとって不快な存在になってしまったら、怒りの対象にしかならないはず。受け入れられているのは、彼自身、そして彼の作品が受け入れられているためである。カラヤンやロリン・マゼールなどは自宅に招待して家族の写真も撮らせたというんだから、彼らの木之下に対する信頼度には並々ならぬものがある。
 このドキュメンタリー、最初の放送時も見ていて、内容が印象的だったこともあり、かなりの部分記憶していた。彼の撮影や覆い焼きの手法まで公開されており(番組中で木之下は「企業秘密なんだけどな」と言っていたが)、後進の人々にとっても充実した内容になっていた。ちなみに木之下氏、2015年に死去している。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『日本人とカラヤン(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『マエストロ・オザワ 80歳コンサート(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『カルロス・クライバー ある天才指揮者の伝記 上(本)』
竹林軒出張所『カルロス・クライバー ある天才指揮者の伝記 下(本)』

# by chikurinken | 2017-12-18 07:38 | ドキュメンタリー