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竹林軒出張所

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『京都人の密かな愉しみ Rouge ‐継承‐』(1)(ドラマ)

京都人の密かな愉しみ Rouge ‐継承‐ (1)(2025年・NHK)
脚本:源孝志
演出:源孝志
音楽:阿部海太郎
出演:穂志もえか、常盤貴子、石丸幹二、銀粉蝶、山西惇、笹野高史

今のところ特筆するようなことはあまりない

『京都人の密かな愉しみ Rouge ‐継承‐』(1)(ドラマ)_b0189364_11024076.jpg 永らく続いている『京都人の密かな愉しみ』が全9回のドラマになった。第1シリーズの主人公だった常盤貴子も再び三八子役で登場し、第1シリーズの「その後」のような形で、話が続くようである。スタッフも概ね同じで、作・演出と音楽は源孝志、阿部海太郎のコンビである。
 第1話は、パリに移住している三八子(みやこ)と、その義理の娘、洛(みやこ)、夫の生活、それから三八子の実家の京都の老舗和菓子屋の背景が紹介されるというプロローグ風の内容で、面白みはあまりない。設定が強引な上、テンポもあまりよくないという印象。前回の第2シリーズ『blue 修行中』は、見ていて飽きたこともあり第2話以降はほとんど見ていないが、今回もそれと同じパターンになりそう。エンディングのテーマ曲は、第1シリーズ同様、武田カオリが歌っていて、こちらは良い雰囲気を醸し出している。
★★★

参考:
竹林軒出張所『京都人の密かな愉しみ(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『京都人の密かな愉しみ 夏(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『京都人の密かな愉しみ 冬(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『京都人の密かな愉しみ 月夜の告白(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『京都人の密かな愉しみ 桜散る(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『京都人の密かな愉しみ blue 修行中(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『漱石悶々(ドラマ)』
竹林軒出張所『スローな武士にしてくれ(ドラマ)』
竹林軒出張所『エドガー・アラン・ポー 200年目の疑惑(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『いねむり先生(ドラマ)』

# by chikurinken | 2026-01-29 07:02 | ドラマ

『べらぼう 〜蔦重栄華乃夢噺〜』(2)〜(48)(ドラマ)

べらぼう 〜蔦重栄華乃夢噺〜 (2)〜(48)(2025年・NHK)
脚本:森下佳子、三谷昌登
演出:大原拓他
出演:横浜流星、染谷将太、橋本愛、高橋克実、小芝風花、風間俊介、片岡愛之助、安田顕、渡辺謙、尾美としのり、桐谷健太、岡山天音、眞島秀和、冨永愛、宮沢氷魚、原田泰造、中村隼人、井上祐貴、生田斗真

天明・寛政期の社会事情はわかったが
とっちらかったドラマになった


『べらぼう 〜蔦重栄華乃夢噺〜』(2)〜(48)(ドラマ)_b0189364_11490369.jpg 第1話を見た限りではあまり食指が動かず見るつもりはなかったが、何となく最後まで見続けてしまった。
 江戸時代、天明・寛政期の文化人がたくさん出てくる他、出版事情や社会事情がよくわかったという点では、見た甲斐があったとも言えるが、ストーリーが作りすぎで(フィクションのドラマなんでありと言えばありだが)、僕自身は少し受け付けないエピソードがあった。東洲斎写楽の正体が喜多川歌麿らで、斎藤十郎兵衛が一橋治済の替え玉というのは少しやり過ぎと感じる。写楽の正体などというのは、微妙な話題であり(かつていろいろな説が乱立したことがあるが、現在では斎藤十郎兵衛説が一般的)、あまりに奇想天外過ぎる。大河ドラマの影響力を考えると、いかがなものかと思う。また曲亭馬琴(津田健次郎)や葛飾北斎(くっきー)の描き方が極端でひどく、こちらも誤解を招きかねない。原作ものじゃないんだから、奇をてらわず、もう少し正当な線で話を展開してほしかったと思う。歌麿と蔦重のBL的な要素も余計なもののように感じるし、そもそも僕自身こういったものは心情的に受け付けない。
 それからお稲荷さんがナレーションという設定も馬鹿っぽく知性が感じられない。NHKのドキュメンタリーでよくある演出ではあるが、NHKは、いい加減こういう演出の馬鹿馬鹿しさを自覚した方が良いんじゃないかと感じる。
 ドラマにはいろいろと不満はあるが、歴史の勉強になったのは事実で、そこだけは評価したいと思う。
★★★

参考:
竹林軒出張所『べらぼう 〜蔦重栄華乃夢噺〜 (1)(ドラマ)』
竹林軒出張所『広重ぶるう(ドラマ)』
竹林軒出張所『北斎漫画(映画)』
竹林軒出張所『北斎漫画を読む 江戸の庶民が熱狂した笑い(本)』
竹林軒出張所『浮世絵ミステリー 写楽(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『風と雲と虹と 総集編(ドラマ)』
竹林軒出張所『光る君へ(ドラマ)』
竹林軒出張所『炎立つ 総集編 (1)(ドラマ)』
竹林軒出張所『草燃える 総集編(ドラマ)』
竹林軒出張所『平清盛 総集編(ドラマ)』
竹林軒出張所『鎌倉殿の13人 (2)〜(48)(ドラマ)』
竹林軒出張所『太平記 (4)〜(27)(ドラマ)』
竹林軒出張所『黄金の日々 (1)〜(3)(ドラマ)』
竹林軒出張所『麒麟がくる』(6)〜(44)(ドラマ)』
竹林軒出張所『どうする家康(ドラマ)』
竹林軒出張所『花の生涯 (1)(ドラマ)』
竹林軒出張所『徳川慶喜 総集編(ドラマ)』
竹林軒出張所『獅子の時代 総集編(ドラマ)』
竹林軒出張所『坂の上の雲 (1)〜(13)(ドラマ)』

# by chikurinken | 2026-01-26 07:48 | ドラマ

『1秒24コマのぼくの人生』(本)

1秒24コマのぼくの人生
りんたろう著
河出書房新社

日本アニメのミクロ的な歴史

『1秒24コマのぼくの人生』(本)_b0189364_08291797.jpg アニメ監督であるりんたろうが、フランスの出版社の申し出で、自らの生涯を描いたバンド・デシネを描き起こした。ちなみにバンド・デシネはフランス版のマンガであり、本作は言ってみれば自伝的マンガということになるわけだが、日本ではなかなか実現しないような企画である。
 りんたろうは、日本のアニメ草創期から近年までアニメーション製作に関わった人で、代表作としては、テレビ版『キャプテンハーロック』の他、映画版の『銀河鉄道999』、『幻魔大戦』などが有名。東映動画の『白蛇伝』や虫プロのテレビアニメ『鉄腕アトム』などにも関わっており、まさしく日本のアニメ史を地で行くような存在である。僕自身も子どもの頃見ていたアニメでよく「りんたろう」という名前を目にした記憶がある。覚えているのは『星の子チョビン』だが、本書によると、これはどちらかというとやっつけ仕事の類だったようである。
 本書であるが、大判ハードカバーの大著で、書店で実物を目にしたときは少し驚いた。ちょっとした美術本の趣さえあり、さすが(芸術性に価値を置く)バンド・デシネという印象である。トータルで250ページほどで、全編非常に丁寧に描かれていて、手抜きはまったく感じられない。バンド・デシネらしくト書きというか説明書きがきわめて多く、そのあたりが日本のマンガとの大きな違いかも知れないとあらためて気づいた。もっとも最近の日本のマンガにも説明書きが多いものが増えているが。
 内容は大変興味深く、アニメ創生期の状況や、アニメが映画に進出した時代、言わばアニメ全盛期の状況がよくわかるようになっている。これは著者の活動した時期が日本アニメの草創期・黄金時代と重なっており、しかも著者がその最前線に位置していたためで、結果、この時代の記録としても非常に価値が高くなっている。物語の中では手塚治虫や大友克洋も登場し、著者の幅広いアニメ人脈も興味深いところである。虫プロ時代、夜遅く手塚治虫が自転車で自宅まで迎えに来て(できあがっていた『鉄腕アトム』に問題があったため)、自転車に二人乗りしてスタジオに向かったという話は、著者にとってもそうだろうが、その話に触れた読者の側にとってもきわめて印象的で、とても良いシーンである。
 このように良い本なのではあるが、先ほども言ったようにそれなりに大きいため、置場に困る本でもある。豪華本は確かに結構だが、そういう難点が生じる。
第29回手塚治虫文化賞マンガ大賞受賞
★★★☆
『1秒24コマのぼくの人生』(本)_b0189364_08291426.jpg

参考:
竹林軒出張所『アニメ青春時代(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『手塚・石森アニメ/特撮ドラマ回顧』
竹林軒出張所『手塚×石ノ森 ニッポンマンガ創世記(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『手塚治虫 創作の秘密(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『手塚先生、締め切り過ぎてます!(本)』
竹林軒出張所『日本まんが 第壱巻(本)』
竹林軒出張所『ボクの手塚治虫(本)』
竹林軒出張所『まんが道 青春編 (1)〜(15)(ドラマ)』
竹林軒出張所『トキワ荘の青春(映画)』
竹林軒出張所『まんが トキワ荘物語(本)』
竹林軒出張所『トキワ荘の時代—寺田ヒロオのまんが道(本)』
竹林軒出張所『失踪日記2 アル中病棟(本)』

# by chikurinken | 2026-01-22 07:28 |

『博論日記』(本)

博論日記
ティファンヌ リヴィエール著、中條千晴訳
花伝社

愚痴をずっと聞かされているような内容

『博論日記』(本)_b0189364_10201756.jpg フランス製のマンガ、バンド・デシネである。
 貧しい地域(ZEP)の中学校(生徒の質が悪い)で教員を勤めていた主人公が、不満が募ってその職を辞め、希望を持って大学の博士課程に入るところから話が始まる。将来的に大学で教職を得るという夢を持ってのことである。だが大学博士課程の現実は、決して希望に満ちたようなものではなかった……というようなことを紹介する一種のエッセイ・マンガである。もっともある程度フィクションが混ざっているようにも思えるため、厳密にはエッセイ・マンガとは言えないかも知れない。元々は自身のブログに掲載していたものが原型だそうである。
 著者自身、実際に博士課程を中退しており、本書で描かれている多くのエピソードが著者の経験に基づくものと考えられ、結果的にフランスの大学院の実態がよく伝わるようになっている。大学の保守性、担当教官のやる気のなさ、くだらない手続きの煩雑さなど、その長い伝統ゆえのことかも知れないが、日本の大学以上に(無駄に)高いハードルが目の前に横たわっていて、著者はその様子を、研究対象のカフカの作品とシンクロさせながら描いている。本書で描かれる日常は辛く、3年の課程が(論文が仕上がらないため)5年、6年とずるずる延びていくことも多いという。そして主人公もその一人。また、収入がないことから金銭的な問題も出てくる。要は、財力または奨学金がなければ博士にはなれないということらしい。
 登場する担当教官や事務職員に対してはかなりシニカルな目で描かれている他、冷たい言葉を浴びせてくる家族や知人についても冷ややかな描き方がされている。こういった描写を通じて、主人公が置かれた辛い立場はよく伝わるようになっている。
 絵は雑な印象だが、表情などはしっかり描かれていて悪くない。ただ、人間関係の面倒くささばかりで、内容的にあまり面白みがない……というか愚痴をずっと聞かされているようなものであるため、読んでいて共感できなければ苦痛でしかない。こういうテーマもありだとは思うが、日本で今後『オーバードクター日記』みたいなものが出たとしても、あらためて読もうという気にはならない。
★★★

参考:
竹林軒出張所『ホームレス救急隊(本)』
竹林軒出張所『失われた時を求めて スワン家のほうへ(本)』
竹林軒出張所『失われた時を求めて 花咲く乙女たちのかげに(本)』
竹林軒出張所『変身/掟の前で 他2編(本)』
竹林軒出張所『カフカの「城」(映画)』

# by chikurinken | 2026-01-19 07:20 |

『本なら売るほど (1)、(2)』(本)

本なら売るほど (1)(2)
児島青著
ハルタコミックス

画力がすごい
新人とは思えない


『本なら売るほど (1)、(2)』(本)_b0189364_09120936.jpg 古本屋を営む若者が主人公の小説である。各回ごとに1冊または数冊の本がモチーフに使われ、古本屋稼業を軸に話が展開される。
 ストーリーは、中にはありきたりなものもあるが、どれもよく練られており、展開と構成もスムーズで、しかも絵も非常に美しい。実はこの作者、この本がほとんどデビュー作のようで、SNSで第1話を発表したところ、それを目にした編集者にスカウトされ、その後マンガ誌(「ハルタ」)の掲載(読み切り→短期連載→長期連載)に至ったといういきさつがあるらしい。言ってみればアマチュアあがりだが、新人とは思えないほどの画力と構成力で、まったく驚くばかりである。構成(ネーム)については編集者からかなり厳しく直しを入れられたらしく、著者はかなり苛立たしく感じたようではあるが、これだけの成果物が出てくれば、文句の付けようがないだろうと思う。
 作品の中で取り上げられる本は小説が中心であり、フィクションをあまり読まない僕には未知のものが多かったが、第6話の「青木まり子」現象(『本の雑誌』40号で話題になったもの)は、『本の雑誌』を当時リアルタイムで読んでいたためお馴染みであった。また第7話の『クシー君の夜の散歩』(懐かしい)、『童夢』、第3話の『高丘親王航海記』は、全部マンガで読んだことがある。こういうものが出てくると少し嬉しくなる。
 第3巻も今年出版予定らしく、連載もまだ続いている模様。本書は試し読みした後買って読んだんだが、全体的な水準が非常に高く、買って読むだけの価値があるマンガだと感じた。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『わたしの小さな古本屋(本)』
竹林軒出張所『高丘親王航海記(本)』
竹林軒出張所『話せる古本屋(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『13坪の本屋の奇跡(本)』

# by chikurinken | 2026-01-15 07:11 |