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竹林軒出張所

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今日の歳時記 「キンモクセイ」編

 ほうぼうにキンモクセイの香りが漂うようになってきた。キンモクセイが香るようになってくると心ときめく。いよいよ秋本番である。
 花がサクラなら香りはキンモクセイだ。キンモクセイの香る時期は意外に短い。この点でもソメイヨシノの花なみである。良いものは短いのだろうか。芳香を漂わせながら「今を盛り」の感じが伴う。秋のはかなさに通じるものがある。
 キンモクセイのかぐわしさはなにやら官能的ですらある。ああそれなのにそれなのに……最近ではトイレの臭いなどという輩もいるらしい。トイレ芳香剤のせいだ。あんなケミカルな臭いと一緒にしないでくれよなと思うのである。あ……ちなみに90年代以降、トイレ消臭剤の主流はキンモクセイからラベンダーに変わったんだって。
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  かぐわしく官能的に キンモクセイ

  甘い香(か)に甘い想い出 キンモクセイ

  甘けれどはかなき思い キンモクセイ

  濡れてなお 色香を放つ キンモクセイ
# by chikurinken | 2009-10-15 16:06 | 歳時記

『冬の花火 わたしの太宰治』(1)〜(13)(ドラマ)

冬の花火 わたしの太宰治(1979年・TBS)
監督:大山勝美、他
脚本:早坂暁、他
出演:石坂浩二、檀ふみ、大谷直子、伊藤栄子、加賀まりこ、北村和夫、佐藤慶、中山仁、地井武男

b0189364_20102042.jpg 太宰治をモデルにしたドラマ。30年来ずっと見たかったドラマだが、ついに見ることができた。
 フィクションの要素が強いのではないかと思っていたが、かなりの部分史実に則っているようだ。それでいて見応えのあるドラマになっている。太宰の人生自体が面白いせいもあるだろうが、脚本の質も非常に高い。
 キャスティングも非常にぜいたくで、「小山初代」の役を大谷直子、「太田静子」の役を檀ふみ、「山崎富栄」の役を加賀まりこが演じていて(ドラマではそれぞれ仮名)、どれも魅力的である。また、周辺に配置されたバイプレーヤー、「井伏鱒二」の北村和夫、「檀一雄」の地井武男も人間味があって良い。キャスティングの唯一の難点は、妻の「石原美知子」役をやった長山藍子である。いや、長山藍子自体は非常に印象的で期待感を持たせる登場の仕方だったのだが、途中から病気を理由に伊藤栄子に代わった。伊藤栄子も悪くはなかったが、長山藍子が演じていた気丈さが伊藤栄子になく、交代前と交代後の「石原美知子」に一貫性がなかった。仕方がないとは言え、非常に残念。
 大道具や照明などもなかなか良く、細部に至るまで力が込められていることがよくわかる。豪華なセットはないが、職人芸みたいな高級感がある。
 太宰治については、今まで伝記などを何冊か読んだが、太宰の生涯についての記憶は僕の中にあまり残っていない。だが、今回みたいな(よくできた)ドラマの形式で見せられると、周辺の人物や太宰の信条の変化などについて確固としたイメージが掴める。そういう意味でも見て良かったと思える。
 最終回に、太宰の遺作、『グッドバイ』を小さな芝居(つまり劇中劇)にした部分が出てきて、太宰の飄逸な部分を再現していた。僕自身は、太宰のこういった部分が好きなんで、それをドラマの中ではっきりと打ち出していたことに好感が持てる。同じく最終回で、井伏鱒二や檀一雄が、そういった太宰の飄逸な部分について語る場面がある。このドラマの製作者側にもそういう部分の理解があったのかと思うと何やら親近感が湧いてくる。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『ドラマ雑記』
竹林軒出張所『富嶽百景・走れメロス 他八篇(本)』
竹林軒出張所『青空文庫の「ヴィヨンの妻」を読む』
竹林軒出張所『女性操縦法 “グッドバイ”より(映画)』
竹林軒出張所『ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ(映画)』
竹林軒出張所『太宰治物語(ドラマ)』
竹林軒出張所『「津軽」太宰治と故郷(ドキュメンタリー)』

# by chikurinken | 2009-10-13 20:12 | ドラマ

ゆく人くる人

 楽天球団の野村監督が辞めさせられるそうで。

 楽天・野村監督の退団決定 「名誉監督」は回答保留(asahi.comより)

b0189364_1045624.jpg まあ、契約だから致し方ないところだが、せっかくここまでチームが育ったのに、ここで中断してしまうのははなはだ残念ではある。まだまだチームとして完成しているとは到底思えないが。
 僕は別に楽天球団に特別な思い入れがあるわけではないので、来年からはネット観戦もしないし応援もしないことだろう。たぶんプロ野球も見ないし、結果も気にしなくなると思う。後任予定のブラウン監督についてはよく知らないので何とも言えないが、広島球団での実績がまったくダメダメなのに、大丈夫なんだろうか……。広島球団も結局浮上できなかったし、良くなったのは球場くらいってんじゃしようがない。
 そこで、広島球団への提言。
 監督に野村克也を。
 まさしく「監督スワッピング」ではあるが、監督によってチームがどう変わるかの壮大な実験場になる(オーバーか)。条件が両者かなり近いので対照実験ということになり、プロ野球史上最大の実験を執り行うことになる……ってのはいかがでしょう。
 かつて広沢克己がヤクルト球団から読売球団に移籍した後、ヤクルトが自分のチームにとってイヤな攻撃ばっかりやってくるんで、一番嫌いなチームになったと言っていた。そういう意味でも広島球団は野村野球の価値をよく知っているんじゃないだろうか。
 「広島に野村を」というプランは現実的には実現しそうにないが、実現すれば面白い。野村氏、まだまだ元気そうだしあと3年くらいは大丈夫なんじゃないだろうかと思うが。今のカープなら3年で日本一になれます……たぶん。

参考:「モチベーション下がる……」(竹林軒出張所)
# by chikurinken | 2009-10-12 10:46 | 社会

初めての経験

b0189364_1723367.jpg 拝郷メイコの「ソイトゲヨウ」(アルバム『ソイトゲヨウ』に収録)という歌に
 「世界中の初めてを全部試そう」
というフレーズがある。最近、この言葉がちょっと気になっていて、未経験のことはなるべく試してみようという気になっている。
 ただ、いろいろ考えてみると、是非やってみたい未経験のことというのが意外に少ないことに気付く。やりたいことはおおむね試してみるという、わがままな生き方をしてきたせいかもしれない。むろん未経験のことというのは多いんだがね。僕なんか海外旅行すら行ったことないんだから、むしろ他人より未経験のものが多いかも知れない。要するにやりたいかどうかという問題である。
 とは言うもののも、やりたくてしようがないことではないにしても、チャンスがあれば未経験のことをやってみようとは思っているわけで、そういうのをいつも心がけるようにしている。
 で、昨日の話なんだが、初めて本物のシャンパンを飲んだという、ま、結局はこれだけの話なんだがね。
b0189364_1728047.jpg 古いヨーロッパ映画なんか見ると、ここぞという場面でシャンパンが出てきて、しかもとても美味しそうな風情を醸し出す。だけれども、シャンパンなんてものは高価だし、それに、シャンパンが出てくるようなパーティなんか出席する機会もないし(あっても出たくないし)で、今後もシャンパンには縁はないだろうなと思っていた。ところが昨日、縁あって……本当に縁あってなんだが、ロゼのシャンパンというのをいただいたのである。
 僕には、シャンパンに対してそういうものすごい期待があったので、必然的に「こんなものか」という、ある種のガッカリ感が出てくるのはやむを得ないところだ。実際、かなりガッカリしたんだが。
 まだ飲んだことのない人のために書けば、シャンパンは「炭酸入りのワイン」に過ぎないということになる(まさにスパークリング・ワイン)。これ以上でも以下でもない……というのが僕の感想である。ちなみに僕は、ワインの味はまったくわからない部類の人間に入る。だからワイン好きの人からすればこれはケシカラン感想なのかも知れない。ともかく僕はガッカリしたのだった。
 ついでに言うと、ジンというものも昨日生まれて初めて飲んだ、ロックで。こっちは臭いがきつすぎて耐えられなかった。今後飲むことは二度とあるまい。まさに一期一会という塩梅だ。

 というようなわけで「世界中の初めて」がまた新たに2つ消えたというお話でした。
# by chikurinken | 2009-10-11 17:31 | 日常雑記

写真日記

b0189364_112589.jpg 学生の頃、写真日記をやってみたことがある。何のことはない、要はカメラを持ち歩いて、出先で記録代わりに写真を撮っていくというだけのことで、おそらく『噂の真相』に連載していたアラーキーの(タイトルは忘れたが)写真日記に感化されたんではなかったかと思う。ジョナス・メカスという映画監督の『ロスト・ロスト・ロスト』という映画の影響もあったと思う(たしか「私はカメラ・アイになった」というような言葉がキャッチフレーズだった)。
 当時、僕自身は普段持ち歩けるようなコンパクト・カメラを持っていなかったので、友達からペンタックス・オート110というカメラを借りてこれを使った。
 オート110は、コンパクト・カメラといっても侮れないもので、掌サイズでありながら一眼レフという、しかも使い勝手もなかなか良く、いたく気に入ってしまった。今でも中古市場に出回っているようだが、フィルムが110サイズという特殊な形態で、フィルム自体が手に入りにくいのと、現像や焼き付けが困難になっているという事情もあり(35mmサイズのアナログフィルムでさえ難しくなっているのに)、正直言って手に入れても実用になるかはなはだ疑問である。
 デジカメで似たようなものが出ればすぐにでも欲しいところだが、残念ながら一眼レフでこのサイズなんてものはいまだかつて見たことがない。ネオ一眼でも良いからどっか出してくれないものだろうかね。
b0189364_10584884.jpg そんなわけで、以前買った、パナソニックのコンパクト・カメラ(LUMIX)が非常に小さくて小回りが利くので、最近これをいつも持ち歩いている。写真日記を再現しようという魂胆である。パナソニックのLUMIXシリーズは、コンセプトや作りがしっかりしていて、機能も過不足なく申し分ない。LUMIXシリーズは、ネオ一眼といわれるものも1台持っているが、やはり重いので始終持ち歩こうという気になかなかならず、そういういきさつでコンパクトなヤツを1台追加で買ったわけだ(買ってからもう2年くらいになるでしょうか)。
 当時も今もカメラにはいろいろな機能が搭載されるんだが、このLUMIXシリーズはいち早く(使い物になる)手ブレ補正を搭載したカメラで、これが非常に良い。こういう方向にカメラを発展させようとしたその先見の明に敬意を表したいくらいだ。周囲が暗くても、ストロボなしで撮れる。カメラが眼に近くなるということだ。まさに「カメラ・アイ」である。
b0189364_10592539.jpg さて、前振りが長くなったが、昨日夕焼けが非常にキレイだったので撮ってみた。しかも手持ちである(しかもやや望遠!)。シャッタースピードが1/4だったので、手持ちは普通であれば不可能であるが、手ブレ補正が働いているので、若干手ブレが出てる程度で実用範囲ではないかと思う。このカメラはファインダーがなく液晶を確認しながら撮るタイプのもので、つまり両手を伸ばした状態でシャッターを押すことになる。ファインダーを覗くタイプであれば両脇を締めて撮ることになるので、手ブレはもっと減らすことができるんではないかと思う。
 三脚を持ち歩かなくても良いなどの機動性を考えれば、この手ブレ補正は非常に有用である。これで一眼(またはネオ一眼)であれば言うことないんだがね。とにかく液晶を見ながら写真を撮るというのはいただけない、絶対。

(下の2枚の写真はクリックすると若干拡大します)

# by chikurinken | 2009-10-10 11:03 | 日常雑記

『曜変天目を現在に』(ドキュメンタリー)

器 夢工房 曜変天目を現在(いま)に 林恭助
(09年・NHK、NHKプラネット中部)
NHK-BS2

b0189364_10363880.jpg 世界に3個しかない曜変天目茶碗を再現したとされる林恭助氏のドキュメンタリー。氏の曜変椀(林氏の器に対する命名)作りの現場を紹介する。
 12、3世紀の中国で作られたと言われる曜変天目茶碗。虹彩が付いた模様が特徴的な天目茶碗で、茶人に重用され現在に伝わる。だが、現存しているものは世界で3個と言われていて、そのすべては日本にあり、いずれも国宝指定されている。
 林氏は、中国の赤土を使って焼いた天目茶碗に、中国で使われていた窯の環境を再現したという特別な窯(電気とガスを使ったもの)で曜変模様を再現している。同氏によると、1立方メートルの窯の中でたった1箇所でしか曜変模様を再現できないという(1cm違えば思い通りの模様ができないらしい)。秒単位で火力を調節し、温度と時間のバランスを緻密に保つことで曜変模様を生み出すんだそうだ。
 林氏は、近年では再現にとどまらず、新しい、自分なりの曜変茶碗を生み出している。
 この林恭助氏は、かつて『ハイビジョンスペシャル 幻の名碗 曜変天目に挑む』というドキュメンタリーに出てきた人ではないかと思うが、僕自身、この作家の名前を忘れていてずっとそれが気になっていたところで、今回やっと確認することができた(と思う)のだった。
 ただ、番組を見ながら気になったんだが、本家の曜変天目茶碗は、現在国宝に指定されていてなかなか目にすることができないのに、本当に再現できたことが確認できるんだろうかということ(僕も今まで本家は数度しか見たことがない)。確かにテレビで見る限りでは、美しく再現できているようだが、並べて比べてみないとどこがどう違うかわからないんじゃないだろうか。で、少し調べてみると、「耀変天目茶碗の再現成功」については異議を唱える人もいて、「陶芸分野の権威ある団体が日本にはいくつかあるが、どの団体も「再現成功」を認めていない」(曜変天目茶碗再現成功日記)ということらしい。
 だが「再現成功」かどうかはともかく、林氏の作品は、テレビで見る限りなかなか良さそうで、作家としての価値を損なうことはないんじゃないだろうか……そういう気もする。
★★★☆

参考:
曜変天目茶碗再現成功日記
竹林軒出張所『幻の名碗 曜変天目に挑む(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『曜変 陶工・魔性の輝きに挑む(ドキュメンタリー)』
# by chikurinken | 2009-10-09 10:39 | ドキュメンタリー

『セーフティネット・クライシス vol.3』(ドキュメンタリー)

セーフティネット・クライシス vol.3 しのびよる貧困 子どもを救えるか
(09年・NHK)
NHK総合 NHKスペシャル
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 OECD(経済協力開発機構)の調査によると、日本の子どもの貧困率は14.3%と、OECDの平均を上回っているそうだ。しかも所得の再分配後にも貧困率が悪化しているという(OECD加盟国で日本だけらしい)。数字は確かにひどい状況を示唆するが、しかし現実感という点では、なかなか説得力を持つに至らない。そのため、そこらあたりの実態をドキュメンタリーという形で明らかにするという試みは非常に重要である。実際僕も数字では知っていたが、現状を突きつけられると少しばかりショックを受ける。これほどまでとは思いもよらなかった。
 この番組では、子どもを取り巻くいくつかのケースが取り上げられている。食べる物がなく何も食べずに登校する小学生、病院に行けないため登校後保健室に直行する小学生、学費が払えない高校生、小さい子どもを保育園に預けられず働くことができない母子家庭の母親……。どれも悲惨な状況で、自分の子ども時分(貧しい昭和の時代だが)でもこんなにひどくなかったんじゃないかと思う。そう考えると今の子ども達は不憫である。
 この番組は、このドキュメンタリーの部分と有識者の対論の部分を交えながら進行していく。対論の部分は正直不要ではないかと思った。経済人代表はスカタンなことばかり言うし、専門家の大学教授もなんだか澱んでいて進行の邪魔になっているような……。ただ、反貧困ネットワークの事務局長が簡潔な言葉で現状を報告していたのはわかりやすくて良い。それから民主党の議員(厚生労働大臣政務官)が、他のメンバーの問いかけに対して真摯に回答していたのも好感が持てた。ただこういう部分は、ドキュメンタリーの部分に混ぜて、編集してもまったく差し支えない。このような対論形式は最近NHKで多いようだが、無駄に時間を使うだけで全体的な締まりが悪くなると思う。
 で、番組では、このようなひどい日本の現状に対する回答として、フィンランドのケースを紹介していた。フィンランドでも20年ほど前は今の日本のように、社会、ひいては子ども達に過酷な状況を強いていたが、その後政治改革により、子どもが優遇される環境を築いた。社会も活性化し安定化したという。番組としてこういう方向性を推奨しているということで、いわば問題提起から回答までができあがってしまっている。ということであれば、あの対論は何だったんだろうということになる。
 ともあれ、番組の形式は別として、インパクトもあり、しかも明快なビジョンも示せているという点で、ドキュメンタリーとしては及第点である。また、民主党の議員が示した前向きな姿勢も心地良かった。今後の政策に期待しようという気持ちにさせてくれる。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『子どもの未来を救え(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『母ちゃんのごはん(ドキュメンタリー)』

# by chikurinken | 2009-10-08 21:45 | ドキュメンタリー

ある嵐の日の情景

嵐の夜

b0189364_21163034.jpg外は大荒れ
僕は一人
机に向かい
一心不乱に
シコシコと
流れる音は
骨太のサックス
朗々と鳴るその音は
明るく 奔放自由だが
まことに調和が取れていて
外の疾風怒濤とは
まったく相容れぬ
まったく相容れぬ

そんな周りとは関係なく
僕は一人
静かに机に向かう
一心不乱に
シコシコと
# by chikurinken | 2009-10-07 21:17 | 日常雑記

追われる日々

 仕事や用事に追われて、切羽詰まっている日々……皆さん、お変わりありませんか。
 こんなに忙しくなるのも久しぶりで、随分長いことこんな感覚を忘れていたような気がする。だが、こんなに忙しいと、仕事以外、他に何にもやることができない。こんな日が何ヶ月、何年も続けば欝状態になってもおかしくないが、あいにく僕の場合、せいぜいあと数日なので、多少無理してがんばることにする。今日なんて雑用を言いつけられる夢まで見てしまい、どんだけ僕が切羽詰まっているかがわかろうというもの。
 「締め切りなんか破るためにある」という猛者もいるようだが、きまじめな人にとっては、締め切りはまさに、載せられているベルトコンベアみたいなもので、無理矢理走らされる原動力になる。
b0189364_952530.jpg 今みたいな切羽詰まった状況になるといつも思い出すのが、アニメの『タイガーマスク』に出てくる1シーンだ。「虎の穴」の裏切り者が何者かに追われながら、疾走する機関車に突っ込んでいくという、あのシーンである。僕の場合、締め切りを落とせばもう仕事が来なくなる可能性もあるので、まさに機関車に突っ込む状態なのだろうが、幸い今までそういう状況はあまりない。だから余計に締め切りの緊張感というのが大きくなるのだろう。
 あまりに切羽詰まると、「やめた!」と宣言し、何もかもほっぽり出して旅に出るなどということを夢想するが、小心者の僕にはそんなこともできない。ちなみに、今は亡き僕の叔父は、仕事中ストレスが過剰になると、突然「やめた!」と宣言し、現場を離れたことがたびたびあるという。いつもそのイメージが頭の中を飛来するのである。

参考:
竹林軒出張所『タイガーマスクW(アニメ)』

# by chikurinken | 2009-10-06 09:08 | 日常雑記

『天皇の料理番』(1)〜(19)(ドラマ)

天皇の料理番(1980年・TBS)
原作:杉森久英(『天皇の料理番』)
監督:森崎東、他
脚本:鎌田敏夫、他
出演:堺正章、壇ふみ、鹿賀丈史、明石家さんま、田中裕子、セーラ、財津一郎、
山田パンダ、近藤正臣、山口いづみ、柳生博

b0189364_201936.jpg 「天皇の料理番」の異名を取る料理人、秋山篤蔵の青春記。原作は、伝記作家、杉森久英の同名小説である。
 秋山篤蔵の修業時代から宮内省大膳職主厨長になるまでを、軽妙な味を加えてドラマにしたもので、気軽に楽しく見ることができる。お笑い番組のコントみたいになっている箇所もあり(特に堺正章、鹿賀丈史、明石家さんまが絡む場面)、ドラマとしての重さに欠けるきらいもあるが、ドラマをぶちこわすほどではない。ところどころアドリブも入っているようだ。明石家さんまが演じている箇所では、さながら「ひょうきん族」のようでもある。大道具が安っぽいせいもあるが。
 寺で小僧をしていた秋山篤蔵は、ある日偶然トンカツを食べていたく感動し、それをきっかけに料理人を目指すようになる。友人達との出会い、別れ、挫折などを経て、やがて料理界で頭角を表していく……というのが全体のストーリーだ。
 登場人物はどれも魅力的であるが、どこまでが実在の人物でどこまでが架空の人物か判然としない。原作を読んでいないため、原作段階でどこまで作り込んでいるのかがわからないが、いずれ確認してみたいと思う。
 すべての回でタイトルを「〜と〜」で統一しており、各回うまくまとめられている。シナリオ、演出ともにできが良い。キャスティングもなかなか面白い。80年代を代表するドラマと言ってよいだろう。

★★★☆
参考:ドラマ雑記(ドラマから伝記、そしてまたドラマ)
# by chikurinken | 2009-10-03 20:03 | ドラマ

ネットdeプロ野球

b0189364_914538.jpg 楽天球団、好調ですな。
 この感じだと日ハムとのCSにも勝ち上がりそうな勢いですが、読売球団とはまだまだ力の差がありそう。せいぜいそこら止まりでしょう。
 ま、しかし、面白い野球になってきたものです、楽天球団。
 僕には、ビール片手にステテコ姿でプロ野球をテレビで見るというような趣味はないんだが、特にこのソフトバンク球団との4連戦については見たくて仕方がない。だが、パ・リーグ、しかも楽天球団となればテレビ中継もなく、しようがないのでnikkansports.comのプロ野球リアルタイム速報なんてものをパソコン画面に表示する。これは、リアルタイムにアニメでゲームの過程が示されるというものなんだが(かつてのファミコンの野球ゲーム(ファミスタ)のような趣)、なんだかスピード感もリアル感もなくて、本当に結果だけ、プロセスは関係ないという感じで、今一つもの足りない。
 これだけネットが発達しているんだから、楽天球団のホームページかなんかでビデオ中継しているかもと思ってアクセスしてみると、案の定『Yahoo!プロ野球 - パ・リーグ試合無料中継』というページへのリンクが張られていて、リアルタイムで試合を見れるようになっていた。喜び勇んでアクセスしてみると、いろいろ面倒な手続きをやらされた後、Macでは見れないと言われてしまった。Macには非対応だそうだ。
 だがしかーし。僕のMacでは、ParallelsというエミュレータでWindows環境も作っているのだ。で、今度はこちらで試してみる。だが、ここでもFirefoxやGoogle Chrome(ブラウザ)ではダメだと言われる。Internet Explorerじゃないとダメだそうで……。普段Explorerなんかめったに使わない僕は、ここでも再び拒否されたわけだ。結局、Explorerを使って画面に野球中継を表示することはできた(こちらもソフトウェアのダウンロードやら何やらいろいろ煩雑な手続きを経た後であることを付記しておかなければならない)。だが、画面が出るには出たが画面表示が遅すぎて、それもカクカクというレベルではなく、数秒に1回画面が更新されるというレベルで、とても見れたもんじゃない。で、「低画質」を選択して再表示すると、画面は汚いがとりあえず見れるというレベルになった(それでもボールの行方はよく見えない)。こういうわけで昨日の試合も楽しむことができたというわけだ。ちょうど逆転シーンの少し前から見ることができた。よかったよかった。

教訓:少数派は排除される……

Mac環境で、ネット経由でプロ野球(パ)を見る方法のまとめ

●必要なもの
エミュレータソフト(Parallels DesktopまたはVMWare Fusion)
Windows 2000以上をインストールした環境(エミュレータを使って自分で作る)
そこそこの速さのネット環境(僕の環境は低速のADSLです)
やる気、元気、根気

●手順
1. Windows環境を起動する。
2. Windows環境でInternet Explorerを起動し、『Yahoo!プロ野球 - パ・リーグ試合無料中継』にアクセスする。
3. 画面の手順に従って手続きをする(ソフトのインストールなども含む)。
4. 低画質を選ぶ(金持ち環境の人は高画質でもいけるでしょう)。
5. 見る。
# by chikurinken | 2009-10-02 09:20 | パソコン

『エリックとエリクソン』についての告知

 2004年4月にNHK BSで放送された『エリックとエリクソン 〜ハイチ ストリートチルドレンの10年』(第42回ギャラクシー賞上半期奨励賞受賞作品)が2009年10月2日(金)に再放送されます。私が直接関係しているわけではもちろんありませんが、非常に質の高い、見応えのあるドキュメンタリーです。かつてホームページでも紹介し、「2004年のベスト1ドキュメンタリー」に勝手に選定しています。私自身再放送を心待ちにしていたので、大変喜ばしい限りです(一度再放送されたようだが気付かずにやり過ごしてしまった)。
 かつて、このホームページの記事を見た方2人からお問い合わせいただいたことがあります。今でもこのページをご覧になっているようでしたら、是非予約録画の準備を!

以下BSオンラインより
エリックとエリクソン〜ハイチ・ストリートチルドレンの10年
[BShi] 10/2(金) 前9:00-10:30
10年前、カリブ海の国ハイチの路上で双子の兄弟に出会った。エリックとエリクソン。経済は破たんし、政情不安が続くハイチ。世界最貧国で生きてきた2人の10年を追う。
# by chikurinken | 2009-10-01 07:50 | 放送

『布団が俺を呼んでいる』の解題・のようなもの

布団が俺を呼んでいる
(アルバム『布団が俺を呼んでいる』 に収録)

b0189364_10394046.jpg歌:上野茂都
詩:上野茂都
作曲:上野茂都

徹夜自慢のあん畜生に
教えてやりたい布団の心
布団は何にも言わないけれど
布団の気持ちは良く解る

寂しい時でも うれしい時でも
布団はおいらの友達さ
布団よ今夜も有り難う 有り難う

外泊続きのあん畜生に
聞かせてやりたい布団の言葉
布団は涙か溜め息か
悲しい恋の捨て所

苦しい時でも 楽しい時でも
布団はおいらの故郷さ
布団は何でも知っている 知っている

掛けた布団が偽りならば
何で濡れよかこの胸が

生まれる時でも 召される時でも
布団と一緒に生きていく
布団が俺を呼んでいる 呼んでいる

 上野茂都については、『山之口貘の詩、そしてとぼけた味わいの曲』『上野茂都という人』(竹林軒ネット)でも取り上げているので今回は3回目だが、今回は歌詞の解説を試みてみようと思う。この詞は、古い歌や映画のタイトルがちりばめられている、いわゆるパロディの歌なんだが(おそらく年配の人が見れば一目でわかるんではないかと思う)、詞としてもなかなか飄逸で面白く、知らない人が聞いたら完全にオリジナルではないかと思うくらい整合性がとれている。僕も知らない元ネタがあって、たまたまネットで歌詞を検索していて気が付いたというものもある。そういうわけで、覚え書きの目的もかねて、ここに記録しておきたいと思う。上記の青い部分がパロディの箇所で、対応する部分を下に書き出した。

「徹夜自慢のあん畜生に」
『憎いあんちくしょう』(石原裕次郎主演の62年の日活映画)
「布団は何にも言わないけれど 布団の気持ちは良く解る」
『リンゴの唄』(並木路子のヒット曲、サトーハチロー作詞)「リンゴは何にも言わないけれど リンゴの気持ちはよく分かる」
「布団よ今夜も有り難う 有り難う」
『夜霧よ今夜もありがとう』(石原裕次郎のヒット曲、浜口庫之助作詞)「夜霧よ今夜もありがとう」

「布団は涙か溜め息か 悲しい恋の捨て所」
『酒は涙か溜め息か』(藤山一郎のヒット曲、高橋掬太郎作詞)「酒は涙か溜め息か」「悲しい恋の捨て所」
「布団は何でも知っている 知っている」
『星は何でも知っている』(平尾昌晃のヒット曲、水島哲作詞)「星はなんでも知っている」

「掛けた布団が偽りならば 何で濡れよかこの胸が」
『小判鮫の唄』(小畑実のヒット曲、高橋掬太郎作詞)「かけた情けが偽りならば なんで濡れよか男の胸が」
「召される時でも」
『愛と死をみつめて』(青山和子のヒット曲、大矢弘子作詞)「たとえこの身は 召されても」
「布団が俺を呼んでいる 呼んでいる」
『霧笛が俺を呼んでいる』(赤木圭一郎主演の60年の日活映画)

 『愛と死をみつめて』については異論もあるかも知れないが、この「召される」ということばに強烈な印象があり、時代的に見てこの歌から取ったのではないかと思った。ちなみに上野氏は僕と同世代である。
 しかし、こうやって見るとほとんど他の歌詞からの引用ですな、こりゃ。
# by chikurinken | 2009-09-30 10:42 | 音楽

おごれるものは久しからず…… 自民党が貸し剥がし倒産?

 なんと、自民党が財政破綻で倒産ならぬ倒党するかもしれないらしい。

 「貸し剥がし倒産」の危機(Yahoo!ニュース、オリジナルはAERA9月21日号)

 しかも国鉄清算事業団方式で、看板を付け替えて再建するなどという案もあるという。
 最近の民主党政権を見ると、当たり前のことが当たり前のように政策として提出されていて、今までのあの「自己チュー」政策はいったい何だったんだと思うことが多いが、今回のこの記事を読むと、自民党自体がこの国の縮図というか、自民党の体質がこの国の政財界に蔓延していたということがよくわかる。どこまでも姑息で場当たり的である。
b0189364_8561867.jpg 今の政権の「友愛」というキャッチフレーズも気恥ずかしい感じがするが、「自己責任」などという自己チューなキャッチフレーズよりはずっと良いだろう。「自己責任」というのは、本来自分に対して使う言葉であって、他人を蹴落とすために使う言葉ではない。ましてや自分(政権)の責任を回避するために使うなどということはあり得ない。自分の責任を放棄しておきながら他人の責任を云々するなど自己矛盾である。当時は、社会全体にとげとげしい雰囲気があって不快だったが、今思うと、(政権担当者に内包されていたと思われる)剣呑な空気が日本中に広がっていたんだろうと察しが付く。現政権がこれからどうなるかわからないが、少なくとも、政権政党で社会がこんなに変わるということがわかっただけでも儲けものだ。
 どうもあの、まがいものの細川「日本新党」政権の例があるので、あまり信用できない自分がいるのだが、少なくとも政権公約をひとつずつ実現していこうという現政権の姿勢は評価に値すると思う。
# by chikurinken | 2009-09-29 08:58 | 社会

山崎ハコ『十八番』(CD)

b0189364_8223760.jpg山崎ハコ『十八番』
1. アカシアの雨がやむとき
2. 今夜は踊ろう
3. みんな夢の中
4. 上を向いて歩こう
5. 再会
6. 東京ブギウギ
7. 圭子の夢は夜ひらく
8. さらば恋人
9. 本牧メルヘン
10. 時の過ぎゆくままに

 昨日からの流れで、山崎ハコのカバーCD『十八番』について何か書こうと思ったが、よくよく考えると、ほとんど昨日言い尽くしていて、あまり追加することがないということにあらためて気が付いた。そういうわけで、今日書くのは昨日の補足ということになる。
 このアルバムの中で特に良かったのは、昨日も書いたように「1. アカシアの雨がやむとき」、「3. みんな夢の中」、「5. 再会」の3曲である。
 「9. 本牧メルヘン」も山崎ハコにピッタリの歌(「ヨコハマ」なんかと同じ系統)でよくハマっている。元歌をまったく知らないので、僕としては、山崎ハコのオリジナルみたいな感じで聴いている。
 「7. 圭子の夢は夜ひらく」も「女の情念」歌で、まさに十八番(おはこ)である。
 曲調から意外な感じがしたのは、「8. さらば恋人」と「10. 時の過ぎゆくままに」で、聴く前はハコの世界とかけ離れているかと思っていたが、どちらも良い味が出ている。「さらば恋人」は曲の魅力を最大限に引き出していると感じるほどである。
 「2. 今夜は踊ろう」は、映画『愛の新世界』の挿入曲としても使われている。僕は荒木一郎はまったく好きではないが、ハコが歌うこの曲はポップな感じがあって悪くない。この映画を見た時点では山崎ハコのことをあまり知らなかったんだが、この曲については非常に印象が強かった(映画の印象も強烈でした)。
 このように、全体的に水準が非常に高く、そんじょそこいらのカバー・アルバムとは次元が違うと感じる。山崎ハコの実力が十分に発揮されており、彼女の魅力を十分に堪能できる快作で、どの曲もオリジナル水準である。

参考:
竹林軒出張所『新版「ざんげの値打ちもない」』
竹林軒出張所『愛の新世界(映画)』

# by chikurinken | 2009-09-27 23:20 | 音楽