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竹林軒出張所

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『潮風の町』(本)

b0189364_18445951.jpg潮風の町
松下竜一著
講談社文庫

 松下竜一の「素朴な生活」を綴ったエッセイ集。いや、掌編私小説集。僕はエッセイのつもりで読んでいたが、著者は小説のつもりで書いているようだ。だが、ジャンル分けなどはどうでも良い。「ザ・私小説」とでも名付けたくなるような名品揃いの短編集である。
 豆腐屋を辞めて(自称)小説家になった自分の周辺を書き綴った18編で、素朴で貧しく、(著者を含めて)生きることに不器用な人々が多数出てくる。それぞれの短編ごとに扱っている内容が違うが、どれをとっても昭和の貧しさが迫ってくる。僕の記憶の中でも、昭和という時代(特に30〜40年代)は貧しく厳しい時代だった。そして、この本に登場するような、社会に押しつぶされそうであえいでいるような人々がまわりにたくさんいたように思う。「携帯もパソコンもTVもなかったのに、どうしてあんなに楽しかったのだろう。」などというような脳天気なものではなかったと思う(「レトロにもほどがある -- ALWAYS 三丁目の夕日(映画)」を参照)。
 そんな厳しい時代であるにもかかわらず、著者の目線には、子どもに対する愛情や妻を思う心情、周りに対する優しい眼差しがある。そして、それがこちらに伝わってくる。本書で突きつけられる内容は決して甘い現実ではないが、著者の優しい視線に救われる思いがする。
 扱われている内容はどれもさりげない日常ではあるが、劇的な要素も多く、読み物としての面白さも備えている。18編すべてがよくできているわけではないが、総じて水準は非常に高い。まさに「珠玉」という言葉がよく似合う短編集である。文庫版の永島慎二の挿絵も味があってすばらしい。
 ちなみに、最初に収録されている「潮風の町」と最後の「絵本」は中学の教科書に採用されたらしい。「潮風の町」も「絵本」も、どうしようもなく哀しい物語である。
★★★★

参考:
竹林軒出張所『暗闇の思想を(本)』
竹林軒出張所『明神の小さな海岸にて(本)』
竹林軒出張所『ルイズ 父にもらいし名は(本)』
竹林軒出張所『あぶらげと恋文(本)』
竹林軒出張所『五分の虫、一寸の魂(本)』
竹林軒出張所『小さなさかな屋奮戦記(本)』
竹林軒出張所『仕掛けてびっくり 反核パビリオン繁盛記(本)』
竹林軒出張所『ケンとカンともうひとり(本)』
# by chikurinken | 2009-09-21 18:46 |

天然の美

b0189364_106390.jpg 先日、『天然の美』というCDを図書館で借りた。塩田美奈子というオペラ歌手が出したCDだが、「天然の美」といえば、デモンストレーターというか……ま、いわゆるチンドン屋さんだが、よく演奏するあの定番曲で、何となく古いイメージがある。クラシカルという意味で古いのではなく、もっと下賤というか通俗的というか、そういった古さで、はっきり言ってしまえば「古臭い」感じである。このCDには「大正ロマンの歌」というサブタイトルが付いていて、要は、大正時代のはやり唄を集めたCDである。
 「大正ロマンの歌」らしく「恋はやさし野辺の花よ」や「ホフマンの舟歌」などの浅草オペラで有名な曲も取り上げられている。第一線のオペラ歌手が浅草オペラの歌を取り上げるというのもはなはだ興味深い。他にも「バイノバイノバイ」や「道頓堀行進曲」のような古臭い歌もある。当初、いくらオペラ歌手といっても、こういうものに手を出すのはいかがなものかと思っていたのだが、聴いてみるとそれなりに味わいがあって良い。エノケンのような下品な歌い方ではなく、どちらかというと、「お母さんといっしょ」の「歌のおねえさん」のような、明るくさわやかな(なおかつ少し大げさな)歌唱である。「ゴンドラの唄」、「宵待草」、「カチューシャの唄」などは、他の日本人声楽家にもたびたび取り上げる歌で、こちらもそつなくこなしている。
b0189364_1073694.jpg この塩田美奈子は、美空ひばりの歌を集めたアルバムも出しており(『川の流れのように〜美空ひばりをうたう』)、「お祭りマンボ」や「愛燦燦」などがきれいな歌唱で聴ける。美空ひばりは、僕にとって、何度トライしてもなかなか良さがわからないタイプだった。だが、この美空ひばり歌集で歌われる、美空ひばりと似ても似つかないさわやかな歌声は結構好きである。同じ歌でも、こうまで違うのかと思うほどで、まったく別の歌のようにも感じられる。ただし、美空ひばりに特別な愛着を持っている人であれば逆の反応を示すかも知れない。
 この歌手、つまり塩田美奈子は、日本語で歌うということを重視しているようで、有名なオペラの歌曲を日本語で歌ったアルバムも出している(『オペラ・アリア集(日本語訳)』)。また、クラシックの名曲に日本語の詞を付けたアルバムもある(『愛を歌う』)。試みが成功しているかどうかはそれぞれで評価が異なるだろうが、なかなか意欲的で好感が持てる。だからと言って、このお方、今どきのビジュアル系クラシックとか奇をてらった企画とかの部類に入るような歌い手ではなく、経歴はなかなかのもので、まったく侮ることはできない。「羊の皮を被った狼」である(ちょっと違うか)。以前紹介した鈴木慶江にしてもそうだが、しっかりした実力を持ちながら、新しい音楽ジャンルに果敢にチャレンジするその精神は「佳きかな」である。
# by chikurinken | 2009-09-20 10:11 | 音楽

三善英史の少年記

b0189364_11323948.jpg少年記

歌:三善英史
作詞:吉田旺
作曲:中村泰士

下駄の鼻緒が切れた時
白いハンカチ 八重歯で裂いて
黙ってすげてくれた人
ああ くれた人
おねえさん おねえさん 初恋屋敷町
そのあと僕は 大人になりました
三月一日 花曇りでした

風邪で早引きした日暮れ
庭の紫陽花 切り花にして
格子にさして行った人
ああ行った人
おねえさん おねえさん 雨傘水たまり
あのあと何故か 逢えなくなりました
六月九日 梅雨さなかでした

上り列車を待つ僕に
春にお嫁に行くわといって
日記をそっとくれた人
ああくれた人
おねえさん おねえさん 初恋白い息
あれから僕は 無口になりました
明けて一月 細雪でした
(聴き取りで入力したので一部間違っているかも知れません)

 僕と同世代の人なら知っていると思うが、70年代に三善英史という歌手がいた(ちなみに今でも芸能活動されています)。数曲そこそこのヒットを飛ばして、歌謡曲の最前線から退いていった。紅白や大河ドラマにも出たくらいなので、まさに最前線にいたんだろうが、ちょっと異色のオネエ系で、大河ドラマにも女装して出ていたような記憶がある。デビュー曲の「雨」がスマッシュヒットして、「ンあめにぃ〜ぬぅれぃなが〜ら〜」という歌は、子ども時代のわれわれもよくモノマネしていたほどなんで、やはり売れたんだろう(この歌は今でもときどきテレビで流れている)。そんなわけで、僕の中では、「一世を風靡」とまでは行かないまでも、売れた歌手という印象が強かったんで、CDなんかも普通に復刻されたりしているんだろうと思っていたんだ。ところが過去の歌を集めた(いわゆるベスト盤)CDは、ここ最近まで数枚しか出ていない。こちらとしては「え〜そんな扱いなの?」という感覚である(僕の知る限り2枚、1枚は西川峰子とのカップリング……どういう組み合わせなんだ)。
 そのうちの1枚、〈COLEZO!〉というシリーズの三善英史ベスト盤は、2005年に出されたもので、三善英史のシングル曲がかなり網羅されており最初(で最後?)の決定版という感じだったが、この中には「少年記」が入っていなかった。僕の中では「三善英史のヒット曲→1.雨、2.少年記、3.円山・花町・母の町……」という図式があったので、なんで「少年記」がないんだろと思っていたのだ。だが調べてみると、「少年記」は過去デジタル化された形跡すらない(つまりCDに収録されたことすらない)。今聴こうと思ったら、古いアナログ・レコードを買うしかないのかという状況で、中古市場も調べていたところだ。ちなみに中古市場には『少年記』のシングル盤がたくさん出回っている。出回っている量が多いところを見るとやはりヒットしたということなんだろうか。
b0189364_11253833.jpg で、先日ついに、「少年記」が収録されたCD(『ゴールデン☆ベスト 三善英史 雨~円山・花町・母の町』)が出された。これでいつでも「少年記」を聴くことができるという状況になった。ただ、このCDで聴きたいのはこの1曲だけなので、買うのはちょっと……ということで、今レンタルの店を探しているところである。
 このCDには、他にも「美少年〜森蘭丸」というなんだか意味深の歌があって、ちょっと気になっている。いかにもオネエ系の歌のような気もするが、まったく聴いたこともないし存在すら知らなかったので何とも言えない。だが多少興味はある(←怖いモノ見たさ)。
 「少年記」は、叙情的な歌詞が印象的で、「下駄の鼻緒をすげかえる」という情景が映画の1シーンのようでもある。最初に聴いた頃(つまり子ども時代)はよく意味がわからなかったが、何かの子ども向けマンガでこういうシーンが出てきて、ああこういうことねと理解できた記憶がある。そのマンガもこの歌詞からドラマを引用していたのかも知れないが、もっと前の映画(またはドラマ)でも同じようなシーンを見た記憶があるような気もするんだな。そうすると、この歌の方が題材をよそから持ってきているというか、パクリというか、そういう要素があるわけだ。だがこの辺の記憶はものすごく曖昧で、本当のところどれが事実かわからない。何が何だかわからない世界である。もっとも、子ども時代というのは、子ども自身にとってある意味「何が何だかわからない世界」なんで、そのあたりは酌量していただきたいところである。

 YouTubeでも聴けるようになっています。
  YouTube『三善英史 少年記』
# by chikurinken | 2009-09-18 11:29 | 音楽

101回記念

b0189364_19541234.jpg えー、皆様。今回で101回目になります。
 過去に1カ月記念とか100回記念とかで何か書こうと思っていたんですが、毎回忘れてしまって、結局何にも書かず……というわけで、今回「101回記念」ということにあいなりました。いつも読んでくださっている方、どうもありがとうございます。ときには不快にさせるような記事もありましょうが、ま、ひとつ大目に見てやっていただきたいと思います。
 こんなに続き、なおかつこんなに頻繁に更新するとは、私自身思いもよらなかったことです。これもひとえに……私がヒマだったせいです。最近少し忙しくなって……とは言っても仕事が忙しいわけではありませんよ……更新が若干滞りがち、しかもネタ切れ傾向もありますが、今しばらくの間、おつきあいくださいませ。あ……やめる気は今のところありませんよ。アクセス数がたとえ0になろうと、おそらくもうしばらくは続けると思います。自分で書いたとは言え、後で自分で読むと結構楽しめるものです……。また、楽しめるようなものを書いていけたらいいな、このように考えているわけです。
 次は9年連続101回を目指してがんばりたい、と思っておるところでございます。
 今後の抱負を述べさせていただくことで、101回記念スピーチとさせていただきます。ご静聴ありがとうございました。(万雷の拍手)

(写真は本文とは関係ありません)

# by chikurinken | 2009-09-17 19:56 | 日常雑記

続・ユキヒョウを入るる記、または人柱の記

 Snow Leopard(スノレパ:Macの新しいOS)をMacBookにも入れてみた。やはりすでにこれを入れているMacの速さが向上していて、それがあまりに印象的であったため、MacBookにも早く入れてみたいという欲望にあらがえなくなった。
 懸念材料は、仕事で使っているソフトが動かなくなることだったが、こちらはある程度前の「弁当箱」Macで試していたので、あまり不安はなかった。ただ、BiND for Weblife 2(ホームページ作成ソフト)だけは確認していなかったので、この部分だけ若干不安があった。とは言ってもあと10日ほどで新しいバージョンが出るということなので、もし不具合があれば一時的に(10日間だけ)外付けハードディスク(Leopard版)から起動すれば問題あるまい。
 というわけで、直前に外付けハードディスクにデータをすべて待避してから、スノレパをインストールしてみた。
 結論から言うと、BiND for Weblife 2は現時点で問題は見つかっていない。ホームページの更新作業もできた。
 他も特に問題のあるソフトは今のところないようだ。動作速度は、あまり実感できない。起動速度は気持ち速くなったかという程度。終了速度は若干速くなった気がする。それより空きディスク容量が15GB増えたことが収穫。通常であれば5GB程度らしいので、キャッシュなんかが大量に消されたんだろう。それでも大変助かる。
 他にもアップル純正ソフトの使い勝手が向上している点が良い。たとえば「プレビュー」、「イメージキャプチャ」、「QuickTimeプレイヤー」とか、地味だがよく使う(しかもいろいろな用途に使える)便利なソフトなので、問題点が修正されているのは歓迎するところである。
 今までインストールしていたWindowShade、Fruitmenuという機能拡張ファイルは、この機会にやめることにした。どちらもUnsanityというところが出しているシェアウェアで、前回のLeopardのときもそうだったが、対応が非常に遅い。待っててもしようがないのでもう要りませんということで削除! 古いAdobe CSも起動できた。一応は使えるようだ。あらかじめある程度調べていたせいか、今回のアップグレードはあまり混乱がない。全体的に、今回のアップグレードは○ってことで、★★★☆くらい……ですかね。
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(マニアック)ソフト動作検証結果:

BiND for Weblife 2  動作しました。
ID for Weblife  動作しました。
MacMAME 0.103u2  動作しました。
iSquint 1.5  動作しました。
GraphicConverter 5.9.3  動作しました。
ATOK 2009 Ver.22.0.1  動作しました。
Th-MakerX 2.2  動作しました。

将棋Z 4.2  動きがぎこちなくなったが、動作します。
Adobe CS  動作しそうです。
宛名職人V14  動作しそうです(もともといろいろ不具合がありましたが)。
FileMaker Pro 8.5 Advanced  動作しますが、印刷できません……ウーン、致命的!

WindowShade  削除しました。
Fruitmenu  削除しました。

 その他の互換性については「Snow Leopard Compatibility」のページを参照してください。

参考:
『ユキヒョウを入るる記』
『アナログ回帰……だが道半ば……』
# by chikurinken | 2009-09-16 11:18 | パソコン

ここ一番のCD

b0189364_14211160.jpg ソニー・ロリンズの『ヴィレッジ・ヴァンガードの夜』というCDがある。このCDは、ジャズの名盤を紹介した本では必ず紹介されるようなジャズの定番中の定番なのであるが、グルーヴ感っていうんでしょうかね、どんどん前に進むような迫力がすばらしい。余談だが、この「グルーヴ感」という言葉、何となく気恥ずかしい気持ちがする。とくにウに濁点を付けて表記するとその感が強くなる。「ズージャはダンモ(「ジャズはモダン」の意)」と言うような言い方に通じるような気恥ずかしさである。「疾走感」とでも言えば良いだろうか……。とにかく後ろから押されるような推進力が心地良い。特に最初の「Old Devil Moon」から「Softly as in a Morning Sunrise」につながるあたりは最高である。
 ヴィレッジ・ヴァンガードというのは、ニューヨークにあるライブ・ハウスで、このCDはそこでの実況録音である。CDの写真は、ヴィレッジ・ヴァンガードのオーナーの肖像だそうである。喫茶ギャラリー・グロスのオーナーから聞いた話だが、裏は取れていない。
 疾走感があるせいか、仕事が大分進んでもう少しで終わりという状況、つまりラスト・スパートになったときにこれを聞くと、仕事がはかどってフィニッシュまでつなげることができるというわけだ。大変ありがたいCDである。
 ソニー・ロリンズは、聴き始めてからかれこれ20年になるが、こういう良いものもある一方で、あまり感じるところがないようなアルバムももちろんある。ジャズの他のアルバムでもそうだが、良いものは、こういう疾走感があったり迫力があったりして、何の先入観もなく聴いているにもかかわらず、お……と思う瞬間がある。一般的に評価の高いアルバムには得てしてこういうものが多い。
 仕事のラスト・スパートでは、この『ヴィレッジ・ヴァンガードの夜』に続いて、『ソニー・ロリンズ vol.2』『ソニー・ロリンズ vol.1』と聴いていく。アナタエンソウスル、ワタシシゴトハカドルである(なんのこっちゃ)。何度も言うが、大変ありがたいアーティストである。
# by chikurinken | 2009-09-14 19:47 | 音楽

本日はお休み

 一昨日から大忙しで、やっと一段落付きましたが、とにかく今日は疲労困憊。
 というわけで、本日はお休みいたします。
 皆様、お休みなさい。
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# by chikurinken | 2009-09-13 20:51 | 日常雑記

今日の歳時記 「薄い髪」編

 先日髪を切ってもらっているときにふと気が付いたのだが、今年1年で薄毛が大分進行している。
b0189364_972312.jpg 以前、散髪屋さんに訊いたときに「髪1本1本が細くなっているけどそんなに少ないわけではない」と言われたことがあり、ある程度安心していたのだが、今の状況はそんなレベルではないような気がする。
 なかなか自分を客観的に見るのは難しいんだが、最近ふと気が付いた。これは、サッカー解説者、風間八宏氏の状態ではないか。氏のサッカー解説は日本ではピカ一で、見ていて非常に面白く同時に学習することも多いが、それはともかく、テレビで氏を目にするたびに前頭葉の部分が薄くなっているように感じる。あの感じが今の自分に近いようだ。自分のことはよく見えないが、他人のことはよく見えるものだ。ちょっとこれは考えなきゃいかんな……と思う今日この頃である。

 髪が少なくなると、かなり絶望的な気分になる。

   髪薄し わが世の春も終わりたり

 世知辛い世の中も余計に身にしみるというものだ。

   髪薄く 浮き世の寒さがしみわたる

   秋深く 髪なく歯もなく金もなく

   頭寒く懐寒し 今朝の雪

 お粗末でございました。
# by chikurinken | 2009-09-11 09:09 | 歳時記

アナログ回帰……だが道半ば……

 仕事上パソコンをよく使うということもあってデジタルにどっぷり浸かる生活が長く、さすがにこれでは問題と悟って、アナログに回帰することにしたのが数年前である。
 つまり、仕事以外ではあまりパソコンを使わないようにして、いろいろなことを手作業でやろうということである。それで楽器を習ったり、版画を始めたりした。こういったアナログなことをやっていると、デジタルというのはしょせんは仮想の世界で、すべては誰かが用意した土台の上での事象だというのがよくわかる。だから、デジタルなことばかりやっていると、頭が凝り固まってくるというのもそのときの実感であった。
 そういうわけで、しばらくデジタルとは一定の距離を置いていたのだが、最近またパソコンの使用頻度が著しく高くなっている。自分のホームページを手直ししたこともそのきっかけであるが、デジタルとは言え、ホームページを作るとなるとやはりクリエイティブな面も備わっており、自分の中のクリエイティブな部分が刺激されてしまう。そうすると、やはりのめり込んでいく。
 デジタルにのめり込む生活が続くと、何も用事がないのに1日パソコンに向かっていたりすることがある。パソコンを使うこと自体に執着している状態である。たとえば楽しいことがあったらその場所にまた出かけたくなるとか、すてきな人に会ったらまた会いたくなるとか、そういうのと同じレベルである。ちょっとした依存状態だと思う。だからと言って特にやることがあるわけではないので、ゲームに手を出したりする。新しいソフトの修得なんかもしっかりやってはいるが、とにかく、執着が原因で無為に時間を過ごすことが増えることになる。これは最悪に近い事態で、こういう状況は極力避ける必要がある。ここいらで一つアナログに回帰しようと決意している。

 さてここで、その後のSnow Leopard(以下「スノレパ」)である(「ユキヒョウを入るる記」参照)。
 こういうことにかかわっているからいつまでもアナログ回帰できないのだが、まあその後の補足ということで一つお許し願いたい。
b0189364_9401796.jpg スノレパを入れて数日経つが、もっとも印象的なのは速度である。起動にかかる時間も終了にかかる時間も、実感レベルで半分から3分の2程度になっている。また、動作が軽快な感じも実感できる。今スノレパが入っているMac-miniという弁当箱のようなパソコンは、普段使っているMacBook(Leopard入り)より処理速度がかなり遅いはずなのだが、現在Mac-miniの方が軽快で、使い勝手がよい。以前はイライラしていた作業が、ストレスなくこなせるようになっている。この速度を経験してみると、MacBookでの作業でかえってモチャつく感じを受ける。そうしてみると、MacBookの方にも早くスノレパを入れてしまいたいという欲望がふつふつとわき上がってくる。
 だが、やはりというか案の定、仕事で使っているソフトで正常に動作しないものが出てきた。FileMakerというデータベース・ソフトなんだが、現在、納品書の作成とデータ蓄積の目的で使っている。現在の最新バージョンが10.0で、これだと何の問題もないらしい。僕のは8.5という古いバージョンで、印刷ができないという問題があるらしい(確認済み)。8.5の修正版は出ないらしくアップグレードしろというのがメーカーの言い分のようだ。高価なんで今さらアップグレードする気はまったくないが、納品書で印刷機能が使えないというのは致命的である。
 で、このような状況を回避するために、昨日丸1日、あれやこれや試していたのである。Bento(幕の内弁当をイメージしているらしい。世界のコンピュータ産業は弁当指向なのか……)という個人向けデータベース・ソフトやApple Worksにデータを移すことも考え、いろいろ調べたり試したりしていた。結局対応できたのだが、専門的になるのでここでは細かく書かない(要は上位バージョンでランタイムを作成するということ)。そんなわけで、昨日はどっぷりデジタル・ライフを堪能することになったのだった。だが、こうやって問題点を1つずつ消していくというのもなかなか面白い作業ではある。ただし解決できればだがね。
 いずれにしても、近いうちにMacBookにスノレパを入れようと思っている。
 こんなことやってるからなかなかアナログ回帰できないのか……。
# by chikurinken | 2009-09-10 09:45 | パソコン

『ニホンミツバチが日本の農業を救う』(本)

b0189364_9465132.jpgニホンミツバチが日本の農業を救う
久志冨士男著
高文研

 この本も、タイトルは少しピント外れのような気がするが、タイトルに惹かれて読んだわけではないから特に気にならなかった。
 先日読んだ『ハチはなぜ大量死したのか』『銀座ミツバチ物語』でミツバチに関心を持ち、ミツバチの本を探していてたまたまこの本に行き当たった。先の本も、ミツバチの生態などについて細かく書かれていたが、どちらかというと聞いたまたは集めた情報に基づいていたような気がする。本書の内容は、著者のおそるべき観察眼に基づいており、その内容の深さに舌を巻く。ミツバチの気持ちまで推し量っており、著者はミツバチと会話できるとまで言い放っている。だからと言ってアヤシイ人という感じはなく、ただただミツバチに対する愛情が伝わってくるのである。いわば、ミツバチ・マニアによる「ミツバチ大全」とも言うべき本だ。
 著者は長崎県在住の元高校教師の作家だが、ミツバチに大変な愛着を抱き、やがて自らミツバチを飼うことになる(そのあたりのいきさつも書かれている)。先ほども言ったが、著者はミツバチを非常によく観察しており、ミツバチの生態に対する深遠な考察がすばらしく、大変な説得力を持つ。何度も言うが「マニアが、自分の好きなことについて語った内容」というのは、読んでいて(聞いていて)非常に楽しく面白いものである。本書もそういう要素を持つ。
 ミツバチの生態について書かれているのは前半3分の1くらいで、その後はオオスズメバチとの関わり、人間との関わり(養蜂に関する問題)などに話が移る。自然の中の存在としてのミツバチに焦点を当てながら、人間、ミツバチが相互に依存しながら、自然の中で共生する環境が重要であることを強調する。
 最後の3分の1は、ニホンミツバチ復活プロジェクトについてである。人間による自然環境の破壊によって、ニホンミツバチが絶滅してしまった長崎県の五島地方にニホンミツバチを復活させるという活動について述べている。ニホンミツバチを復活させるには、環境の復興が条件であり、同時に環境の復興にもミツバチが大きな役割を果たすことを主張する。このあたり、内容自体は面白いが、記述が前後にぶれ非常に読みづらく、何度も前のページに戻る必要があった。
 しかし全体としては、簡潔な文章が連なり、非常に読みやすい。内容の奥深さも考えると、ミツバチ関連書籍の決定版と言うことができるんじゃないだろうか。

★★★★
# by chikurinken | 2009-09-09 09:50 |

ユキヒョウを入るる記

b0189364_10151456.jpg Appleが新しく出したSnow Leopard(MacOS X 10.6)を買い求めたので、早速Mac-miniに入れてみた。このMac-miniは、仕事に使うヤツではなく、もっぱら仕事中音楽を聴くのに使っているので、問題があってもダイジョブ、ダイジョブ〜なのである。それにしっかりバックアップも取っていることだし、試しにインストールしてみる環境としてはベストである。
 前回のLeopardを入れたときもそうだが、使えなくなるソフトが確実に出てくるはずだ。頻繁に使っているようなソフトだとこれが非常に困る。そういうわけで、試しインストールということに相成ったわけだ。だったら新しく入れなきゃいいじゃねーかという声が聞こえてきそうだが、今回のOS、チューンアップに力が入っているらしく、外見上の大きな変化はないが、処理速度が向上し、しかもディスク空き容量も増えるという。ディスク空き容量が残り少なくなってきている現状では、まさに渡りに船ではないか。Mac-miniのディスク交換といったらそりゃ面倒で、もうハンパねぇ〜作業だ。そんなわけで今回は、この「ディスク空き容量が増える」という話に食いついたというわけだ。ちなみに価格は3000円程度で、CD1枚分程度。
 で、Mac-miniにインストールしてみた。作業は1時間程度で、前回と違ってすんなり行った。起動してみると、やはり空きディスク容量が4GB増えていた。看板に偽りなしである。処理速度も速くなっている。前のようなもたつき感がなく、操作が小気味良い。
 聞くところによると、Snow Leopardが対応していないソフト(特に常駐ソフト)は、最初の起動時に自動的に外されるそうで、そのあたりも気が利いていてよろしい。意外だったのが、LiteSwitchという、システム環境設定のソフトが普通に動作していることだ。Leopardのアップグレードのときはこれが動作せず、しかも新しいバージョンがなかなか出ずで不自由な思いが続いた(アプリケーションの切り替えをOption-Tabでやるという操作が手に馴染んでしまっているのでこれができないと大変不便)。これについてはあまり期待していなかったので、動かなければこの際捨ててしまおうかと思っていたのだ。よかったよかった。
 今のところ、ダメだったソフトはあまり多くなく、動かなくてもアップグレードで対応できるものが多かった。困ったのはOOOkTunesというスクリーンセーバーが動かなかったことだ。これはiTunesで現在再生中の曲のデータ(タイトルなど)とジャケット画像を、スクリーンセーバーで表示するというソフトである。古いソフトではあるんだが、今まで普通に使えていた。もっともOOOkTunesは5、6年アップデートしておらず、いわば過去のソフトである。すでに新バージョンは期待できないのであった。これに代わるようなソフトは今のところ……ない。悔しいですっ!
 他にiTunes Volumeというソフトにも画面表示を大混乱に陥れるという問題があった。Mac-miniを音楽サーバーとして使っている関係上、どうしてもiTunes関連ソフトのチェックが最初になる。こちらは最新バージョンのソフト(Mousqueakという名前で出ています)にアップグレードして事なきを得た。
 古いソフトには使えないものが若干あった(大体はアップグレードで対応できるようだ)。Microsoft Office 2004は、Rosettaという裏方ソフトが必要なようだが、動くには動く。スピードが著しく遅くなったように感じるが、まだ断定はできない。どっちにしてもそんなに使うソフトではないのでこれでいいのだ。アップグレードする気などさらさらないのだ。
 あとはホームページ作成関連のソフトが動くかどうか検証して、問題がなければメインの仕事マシンもアップグレードしようかなという状況である。動かないソフトがあれば今後もこの場を借りて発表していきたいと思っている。それが人柱としての役割なのだ。それでいいのだ。

追記:
(マニアック)ソフト動作検証結果
ID for Weblife  動作しました。
Apple Works 6.2.9  動作しました。

その他の互換性については「Snow Leopard Compatibility」のページを参照してください。
# by chikurinken | 2009-09-08 10:28 | パソコン

サッカー二題

b0189364_9161131.jpg 昨夜(9月5日)のオランダ対日本の親善試合(結果0-3、前半0-0、後半0-3)テレビで見たのだが、今の日本代表チームの問題が凝縮されているような内容だった。岡田監督は、全員で守って全員で攻撃するというトータルフットボールを目標に掲げているが、毎試合毎試合後半20分くらいになると、ほぼ全員が息切れしてくるのがよくわかる。そこで猛烈な攻撃をくらって失点するというパターンが非常に多い。得点力のないチームが相手の場合は、なんとか守りきることもできるが、チャンスを確実に得点に結びつけられる強いチームが相手だとそうはいかず、2点、3点と取られてしまう。毎回リプレイを見るようだ。なんともふがいない。
 「全員で守って全員で攻撃する」というのは非常にすばらしい題目で、成功すればこれ以上ない勝ち方ができるんだが、今の日本の選手程度の持久力だと端的に言って無理である。かつてオシムが掲げた「全員で走るサッカー」にしても成功の鍵は持久力である。全員が相手チームよりよく走れなければならない。日本人がスポーツで戦う場合、大抵持久力が強みになるんだが、今の日本代表を見るとむしろ持久力のなさが目立つくらいだ。根本的に戦略が間違っているのではないかと思う。
 いつも見ていて思うんだが、日本のチームのように、前線の選手にディフェンスを強いるというのは無理があるんじゃないだろうか。確かに全員が献身的に働く姿は美しいかもしれないが、自陣までディフェンスのために戻ってきて、再び攻め上がって確実にゴールを決められる選手が、世界に何人いるというのか。これを過剰な期待と言わずして何を過剰な期待と言うのか。前線でプレッシャーをかけてボールを取りに行く程度ならば普通にやっているだろうが、それとはわけが違う。それでも「全員で守って全員で攻撃する」ことを目指すなら、全選手にダイナモのような持久力を求めなければならない。だが、代表という環境でそれができるかはなはだ疑問だ。「無理なものは無理」なのである。ほとんどの日本人は、無理な目標を掲げて撃沈するのはもう懲りてるんじゃないかと思うが。
 方向性が間違っているんだったらスタッフのすげ替えは必須である。チーム作りをやるには次回のW杯には到底間に合わないので、今の戦力を生かせるチームを作れる監督を早急に選ぶのが協会の役目だろう。次の試合の結果次第では監督交代の大合唱が日本サッカー界で巻き起こるのは必至だろうと思う。

 もう一つ、サッカーの話題。最近、Jリーグのブラジル人(助っ人)選手が、中東のクラブチームから高額で引き抜かれるという事態が続いている(過去4年で6回)。大金の前に屈するようで(事実その通りなんだが)非常に歯痒い思いがする。ヤクルトスワローズ(だけじゃないが)が読売球団から次々に主力選手をかっさらわれた、かつての光景を思い出させられ少し不快ですらある。で、そのあたりの事情が「アラーの国のフットボール」というコラムで紹介されていて非常に興味深かったので、ここで紹介させていただく。

 アラーの国のフットボール:中東の超有名ブランド「ガンバ大阪」

 詳細についてはそのページを読んでいただきたいのだが、要は、ここ最近のアジアチャンピオンズリーグでのJリーグチームの活躍で、Jリーグのチームがブランド化しているということらしい。(財力がある)中東のチームはここ数年、ヨーロッパのクラブから有名選手を引き抜いているのだが、それと同じような発想で、Jリーグのブランドチームから主力選手を取ってくるということらしいんだな。Jリーグのチームもヨーロッパのビッグクラブと肩を並べるようになるとは大したもんだ。しかもJリーグから移籍した選手がそれなりに活躍しているらしい。この分だと今後もますますこの傾向に拍車がかかりそうだ。日本のクラブもヨーロッパの中堅クラブのように、「育てて売る」という商売をそろそろ考えなければならないのかも知れない。そういえば浦和レッズが最近ガーナ出身の若い選手を加入させたとか何とか聞いたことがある。もう実践しているのでしょうかね……。
# by chikurinken | 2009-09-06 09:23 | 社会

ドラマ雑記(ドラマから伝記、そしてまたドラマ)

 見ていないにもかかわらず永らく気になっていたドラマというのがいくつかある。だが、レンタル・ビデオ/DVDやCSチャンネル(スカパー)などが普及して、こういったドラマも目にできる機会が増えてきた。喜ばしい限りである。
b0189364_1022513.jpg かつてTBSで1980年に放送された『天皇の料理番』というドラマは、当時1回も見ていないんだが、最近までずっと気になっていた存在である。原作は杉森久英の同名の小説であるが、この原作本を書店や図書館で目にするたびに忸怩たる思いがこみ上げてきていた。
 だが、例によって、CSのTBSチャンネルで再放送されることになって、この機会にと思い録画して見ている。脚本は鎌田敏夫で、第1回目は映画監督の森崎東が演出していた。ものすごくできが良いというドラマではないかも知れないが、しかし面白い。原作の面白さも大きいのだろうが、トンカツを食べて感動しそれで料理人を目指すというエピソードがなかなか豪快でよろしい。こういう破天荒な出世話は、それ自体が興味をそそるものである。この頃のドラマは質が高かったんだなとあらためて思う。
 原作者の杉森久英は、伝記小説で有名になった人だが、彼の作品に『天才と狂人の間―島田清次郎の生涯』がある。島田清次郎は、僕の学生時代(精神分析の対象として)非常に興味を持った作家だが、当時すでにこの本は絶版で、古本屋を探し歩いてやっと見つけたものである。内容は非常に面白く、島田清次郎に(精神分析の対象として)恐怖を感じるほどリアルで、鬼気迫るものであった。そんなこともあり、今度は島田清次郎の出世作『地上』を読みたいと思うようになり探し歩いたが、これも絶版というより、当時から過去数十年以内に出版された形跡すらなく、永らく読むことができなかったのだ。で、市立図書館で図書目録を一生懸命検索して、古い本が置かれていることを知り、やっと読むことができたのだった。内容は、非常に稚拙な感じがあって、『天才と狂人の間』の方が断然面白いと感じた。杉森久英の才能を感じた次第である。ちなみに今どちらの本も入手可能なようで(『天才と狂人の間』が94年、『地上』が95年にそれぞれ再発されたようだ)、検索もAmazonで簡単にできる。便利な時代になったものだ。その後、杉森久英の太宰治の伝記『苦悩の旗手―太宰治』なども読んで、杉森久英の書き手としての才能をあらためて認識した。
b0189364_1025112.jpg 僕の場合、太宰治といえば石坂浩二を思い出すのだが、これもかつてのドラマの影響である。『冬の花火 わたしの太宰治』(1979年・TBS)というドラマがあって、こちらも当時見ていないにもかかわらず永らく気になっていたのだ。見ていないにもかかわらず「太宰治=石坂浩二」という図式がずっと僕の中で長い間続いていたわけだ(もっとも、これも、杉森久英の著書をはじめとする本を読んでいくうちに印象は変わってきたが)。それはともかく、このドラマも現在TBSチャンネルで放送されている。こちらも録画して見ているが非常に見応えがある。当時のドラマは今よりはるかに質が高いと、ここでも実感させられる。企画力なんかも大きいのだと思う。ちなみに『天皇の料理番』はTBSでリメイクされている(93年)。また太宰治の伝記ドラマも4年前に作られている(これがリメイクなんだかどうだかはちょっとわからないが)。そもそもリメイクという発想自体が企画力のなさを示しているのだ。良質のドラマを作れないんだったら、いっそのこと、新しいドラマを1本作る予算で、過去のドラマを地上波で2本再放送してみてはどうだろうかね。「TBSアーカイブス」とかなんとかいうタイトルにしてさ。あ、もうNHKがやってるか……。

参考:
竹林軒出張所『天皇の料理番 (1)〜(19)(ドラマ)』
竹林軒出張所『冬の花火 わたしの太宰治 (1)〜(13)(ドラマ)』
# by chikurinken | 2009-09-05 10:05 | 放送

マック・ザ・満身創痍

b0189364_18135752.jpg 介護ライターの野田明宏氏のMacが起動しなくなったということで、一肌脱ぐことになった。
 なんでもスイッチを入れると「?」が出るという。こういうのは通常、システムが認識されていないということなので、ハードディスクの問題であることは一目瞭然。で、ハードディスクのチェックをして、ハードディスクが直らないようであればバックアップディスクと入れ替えれば済む。簡単な作業である。こういうときに備えて、野田氏にバックアップディスク(中身も複製済み)を用意してもらっていたのだ。
 で、某所で落ちあい、とりあえずインストールDVDを入れてみて、ハードディスクをチェックしてみた。ところが、ハードディスク自体を認識しない。しようがないのでDVDを取り出そうとしたら今度はディスクが出てこない。強制リセットし、強制取り出しを試みたところ、起動音も鳴らず、画面が出なくなった(ブラックアウト)。しようがないので、最後の手段としてハードディスクを新しいものと取り替えてみるが、状況は変わらず(実はこの間、トルクスドライバを家に取りに帰るという無駄足も踏んだ。約50分の自転車行)。こうなるとロジックボードなどの問題ということになり、Macに入院していただくことになる。
 最初はとりあえず起動していたので、もしかして途中で僕が何かまずいことをしたのだろうかという気も若干するが、元々ロジックボードに問題があったのではないかと自分を慰める(実際おそらくそうなんだろうが)。認知的不協和の解消である(「なぜあの人はあやまちを認めないのか(本)」参照)。
 結局アップルのサポートに電話し、僕が代理として窮状を訴えることになる。10分近く待たされたが、以前も書いたように(竹林軒ネット:「アップルや昔のアップルならぬ」)対応が非常に良く、しかも指示も的確である。こちらの話もよく聞いてくれる。まるでカウンセラーである。ハードディスクに加えおそらくロジックボードとモニタ周辺に問題があるのではないかということだった。まさに満身創痍。下手をすると中身を総入れ替えということになりかねない。おそるおそるいくらかかるか訊ねると41,500円ポッキリという。つまり、ロジックボード以外に問題があったとしても、この額が上限ということなのだ。
 「電話で対応せざるを得ないという性格上、厳密にどこに問題があるかという判断ができないので、お客様の不安を一掃するため、このような対応を取らせていただいております……」ということらしい。このあたりの話し方はまるでテレビショッピングのように丁重であった。誠意も感じた。すばらしい。
 野田氏には申し訳ないが、このあたりで手を打っていただくと言うことで、話がまとまった。明後日ヤマト運輸が自宅まで取りに来て、1週間から10日で修理完了で返却ということだ。その際に代金を支払う。
 4万円という額は、どう感じるか人それぞれだと思うが、ノートパソコンのロジックボードの交換であればこの程度ではないだろうかと思う(野田氏にはロジックボードだけで5万円くらいかかるかもと言っていた)。しかも他に問題があってもこの額が上限になると言う。前からあったマウスパッドまわりの問題も、あわせて直していただくということで話がついているし、まあ修理の価格としては適切だと思う。そもそも同じ程度のMacを新しく買っても11万円程度なので、7万円も8万円もかかるようなら新しいものを買おうということになる。それを考えても、落としどころの価格としては良いんじゃないか。
 こういうふうに考えてしまうのも「認知的不協和の解消」のせいかもしれない。だが、昔のMacのことを考えると、修理代も本当に安くなったと思っているのだ。いや、ほんと。


 そういうわけで野田氏のブログ「新・和ちゃんと一緒に!!」はしばらく更新されません。
# by chikurinken | 2009-09-03 18:18 | パソコン

空の話

 9月になったにもかかわらず、昨日は変な1日だった。生きている実感があまり伴わないというか、時差ぼけみたいな感覚というか……。歯医者の予約まで忘れてしまうし、1日何をやっていたんだかよくわからないような茫洋とした感覚であった。
 今日は朝から空が秋色で、あまりに美しく、気持ちまでシャキーンとするようだ。どこかに出かけたくてうずうずするが、こんな日に限って家でお仕事だ。

 「水溜まりをのぞき込んでいるうち 頭がクラクラして 危うく空へおちるところだったよ」と言ったのはやまだ紫。
 「智恵子は東京に空が無いという」と高村光太郎は言う。
 「青空みたら 綿のような雲が 悲しみをのせて 飛んでいった」と歌ったのは武満徹だ。
 だから何だと言われても困るのだが、空はいろいろな思いを呼び覚ますんだろうということなんですね、これが。

 どこかに出かけたい、外に出たい、空の下にいたい……そういう1日でした。

   秋空や 気持ちばかりが野を駆ける

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弥生時代の青空……(ウソ)

# by chikurinken | 2009-09-02 20:25 | 歳時記