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竹林軒出張所

chikrinken.exblog.jp

蔵書票

b0189364_1623117.jpg 本を買わなくなって久しい。
 以前は、本が崇高であるみたいな信仰があって、手に取ってみてちょっと面白そうだったら買うという馬鹿げたことを繰り返していた。つまり衝動買いである。おかげで、家につまらない本が大量に集まってきた。このとき気付きましたね。ほとんどの本はつまらないということに。控え目に見積もっても本屋にある本の90%はゴミである。残りの本のうち5%は特定の人にとって役に立つ本、さらに残りの5%が多くの人にとって役に立つもしくは面白い本である。
 そういう私が久しぶりに本を買った。『蔵書票の美』(樋田直人著、小学館文庫)という本で、これは、「特定の人にとって役に立つ5%の本」に入る。実は以前借りてとばし読みしており、その上で買ったのだから、これを買って損をすることはないのだ、自分としては。
 そもそも蔵書票とは何か。ほとんどの人にとって、おそらく一生、目にも耳にもすることはないものであろう。蔵書票というのは、自分の蔵書であることを示すために本の見返し(表紙裏)に貼る紙で、自分の蔵書であることを示す文言が入ったものである。蔵書印と同様のものと考えると良い。昔、本が貴重であった頃にヨーロッパで広まり、やがて、文字だけでなく絵も入れられるようになった。木版画や銅版画、印刷術などを利用して多数製作されており、デューラーほどの有名人も作っているんで、存在自体はメジャーだったんだろう。今でも熱心な蒐集家がいて、「紙の宝石」などと呼ぶ人もいるらしい。
 というようなことが、『蔵書票の美』に書かれている。だから興味のない人にはまったく役に立たない情報なのである。ではあるが、蔵書票について広範に渡り記述されているので、参考書としては非常に有用である。
 「なぜに参考書?」と思われた方もあるかも知れないが、先日私も蔵書票を作ってみたというわけです、銅版画で(図参照)。一部伏せさせていただいていますが、その部分の直前にある「ExLibris」という言葉がラテン語で「〜の蔵書」を意味する言葉だそうで、「ExLibris 名前」のように入れるのが一般的な決まりのようだ。いずれにしてもチョ〜マニアの世界であることには変わりない。
 こうしてアップロードしたものを見ると、銅版画もなかなか味わい深いなと、文字通り自画自賛している私であった。できあがったものは文庫本に貼ってみたが、文庫本みたいに表紙がぺらぺらだとなんともこころもとない。やはり蔵書票は豪華本に限る。
# by chikurinken | 2009-06-05 16:28 | 美術

『昭和史 1926-1945』(本)

b0189364_15274625.jpg昭和史 1926-1945
半藤一利著
平凡社

 1926年から1945年の敗戦までを通史的に(文字通り)語った本。
 歴史というとどうしても大局的(マクロ的)な見方になりがちである。本当は人間対人間の局所的(ミクロ的)な営みの集まりの筈なのに……。
 マクロ的な見方をするから、アジアから米英を駆逐するなどという壮大な発想が生まれてくる。本当のところは、自分が生きるか死ぬかというレベルでしかないのに。
 何百年も前の出来事であれば、マクロ的な見方をしてもかまわないだろうが、直近の歴史ということになると、自分を含めて、家族や友人などの命がかかわるのであるから、ミクロ的な発想でものごとにあたらなければならない。歴史解釈もしかりである。近代史は、極力ミクロ的な見方で語っていただきたい。
 著者はまさにミクロ的な見方で近代史を語っており、本書を通して時代の空気を感じることができる。時代の高揚感や閉塞感さえ伝わってくるようだ。愚かしい人々がいかに市民をミスリードしていったか、市民の側もそれに乗っかって大騒ぎしたかがよくわかる。要するに、作者の言う「アホーな戦争をした」ということだ。
 本書も講義録が元になっているので、非常に読みやすく、エンタテイメントとしても面白い。好著である。
★★★★

参考:
竹林軒出張所『昭和史 戦後篇(本)』
竹林軒出張所『幕末史(本)』
竹林軒出張所『西園寺公望 最後の元老(本)』
竹林軒出張所『コミック昭和史 第1巻、第3巻、第4巻(本)』
竹林軒出張所『コミック昭和史 第2巻(本)』
竹林軒出張所『コミック昭和史 第5巻、第6巻、第7巻、第8巻(本)』
# by chikurinken | 2009-06-04 08:13 |

『やんごとなき読者』(本)

b0189364_16211823.jpgやんごとなき読者
アラン ベネット著、市川恵里訳
白水社

小説はほとんど読まない(年に数冊程度)。何かめんどくさくてね。毎日新聞の書評でこの本が紹介されていて、てっきりノンフィクションかと思って図書館で借りたのだが、実は小説だったというわけ。
「エリザベス女王が読書に目覚めたらどうなるか」というイフもので、まわりの人間のドタバタをコミカルに描いている。中編でなかなか読みやすい。翻訳も良い(正直あまり印象がない、したがって良い翻訳)。
映像が目に浮かぶようでどこか映画的だと思ったら、作者は脚本家出身なんだそうだ。なるほどね。
そのうち映画化されるかも。

★★★
# by chikurinken | 2009-06-03 12:11 |

ぜんぶフィデルのせい

b0189364_12223054.jpg

こんな絵を描いてみました。
鉛筆で描いたものをPCに取り込んで、ペイントソフトで着色いたしました。色鉛筆タッチがミソです。
だからどうしたと言われればそれまでですが……。
# by chikurinken | 2009-06-02 19:29 | 美術

『モンパルナスの灯』(映画)

b0189364_11161264.jpgモンパルナスの灯(1958年・仏)
監督:ジャック・ベッケル
原作:ミシェル・ジョルジュ・ミシェル
脚本:ジャック・ベッケル
出演:ジェラール・フィリップ、アヌーク・エーメ、リノ・ヴァンチュラ、リリー・パルマー

20年くらい前に一度見たんで、今回で2回目。最近、フランスの画家モディリアニの嫁さんのジャンヌ・エビュテルヌについて調べていた関係で、この映画を見ることになった。そうそう、ちなみにこの映画、モディリアニの伝記映画。
モディリアニは、20世紀初頭の画家で、36歳で早世する。若妻のジャンヌも、モディリアニの死の直後に飛び降り自殺する。このことも相まってモディリアニが伝説化され、絵の評価が高まったのではないかという説もある。
ともかくも、そういう劇的なドラマであるため、映像作家の食指が動くのもいたしかたないところ。ただしこの映画では、ジャンヌの死は描かれていない。
映画は、メロドラマ風ではなく、プッチーニのオペラ『ラ・ボエーム』みたいな、一種の不幸・不遇ものと考えられる。50年代のハリウッド伝記映画風の単純化が全編通して見られるのが、浅い印象につながっているのかなと思う。ただ、ドラマとして見ればそこそこ面白く、キャストも豪華であるため、見てガッカリするようなことはないと思う。
今回見たのは、アヌーク・エーメ演じるジャンヌが目的だったのだが、(写真で見る)ジャンヌに似ているなという印象で、非常に美しい。アヌーク・エーメといったら『8 1/2』の「暗い妻」の印象が強かったので、初々しい若妻役が意外だった(前見たときもジャンヌを演じていたのがアヌーク・エーメだとは気付かなかった)。ただちょっと年が行きすぎているような……。娘(18〜21歳の役)というより熟女に近いよ。
★★★

参考:
竹林軒出張所『男と女(映画)』

# by chikurinken | 2009-06-02 10:11 | 映画

『幕末史』(本)

b0189364_17535988.jpg幕末史
半藤一利著
新潮社

今話題になっている本で、少し前にヒットした『昭和史』の続編にあたる。
『昭和史』が、どこぞでやった講演をまとめた一種の講義録であったのに続き、こちらの『幕末史』も同様である。したがって非常に読みやすい。
一般的な日本の近代史が薩長史観に支配されているため、官軍(薩長)側の一方的な歴史観から離れて、幕府側からの歴史観で幕末をひもとこうという試みだそうだ。「別の見方からものを見る」などと言われると、ぼくのひねくれ者の血が騒いでしまい、相当期待したんだが、通常の歴史観からそんなに大きく外れているわけではなかった。
内容はといえば、幕末史を通史で物語るというようなもので、学校の先生の話を聞いているような感じだ。読みやすくしかも面白くまとめられているんで、どんどん読み進めることができる。ある種、教科書的な本と言える。
変わった歴史観を期待する向きには不向きだが、普通に幕末史を勉強したい、楽しみたいという目的で読めば、随分楽しめるんではないかと思う。

そうそう、今『昭和史』読んでます。こちらは知らない事実が多く、現代史がいかに軽視されているか(また自分がいかに不勉強か)を実感中。
★★★

参考:
竹林軒出張所『昭和史 1926-1945(本)』
竹林軒出張所『昭和史 戦後篇(本)』
竹林軒出張所『西園寺公望 最後の元老(本)』

# by chikurinken | 2009-06-01 10:14 |

ごあいさつ

 縁あって、今日からブログを始めることになりました。
 とはいうものの、大きな声でいろいろなことを主張するのも最近疲れてきております。以前やっていたホームページも現在休止中なわけです。
宇宙の片隅でそっと生きていこうと思っていたところで、いろいろ書くのもアレだなという具合です。
 そういうわけですので、読んだ本や見た映画の感想など、いろいろな備忘録として使っていこうかなと思っております。
 基本的には自分用ですので、縁あってここにたどり着いた方も、その辺をご了承いただけるとありがたいかなと思います。
# by chikurinken | 2009-06-01 09:31 | 日常雑記