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竹林軒出張所

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Macで音の取り込みをやってみた

 人に頼まれて、MDに録音した音をCD化するという作業をすることになった。
 そのまままるごとコピーするんであれば、そういった機器を使えば簡単にできる(らしい……ただし僕は持っていない)が、今回、音源をいくつかのトラックに分けCDに焼いた後、さらにMP3にするというプロジェクトである。もちろん依頼者はそこまで望んでいなかったようで、MDドライブが借り物だから、MDドライブなしで聴けるようにしてほしいということだった。ただ依頼者の望みをくんで、それに応じた仕事をするというのは匠としては当然である……もちろん僕は匠ではないけどね。要は気持ちの問題。
 というわけで、MDドライブをMacに接続して、音を取り込み、これをトラックに分けてから、CDに焼くという手順で作業を行うことにした。元々の音源はライブ録音で約100分のものである(もちろん違法なものではまったくない、念のため)。以前、カセットテープをMP3形式に変換するという作業をやったことがあるが、そのときはAmadeus IIというシェアウェアソフトを使った。ちゃんと大枚はたいて買ったんだが、このソフトがいまだにスノーレパード(MacOS X 10.6)どころかレパード(MacOS X 10.5)にも対応していないときていて、やる気があるのか疑わしい。これではうちのスノーレパード環境ではもはや使い物にならないので、見切りを付け他のソフトを探した。それで今回WireTap Studioというソフトを使うことにした。シェアウェア(約6千円)でありながら1カ月間自由に使って良いというお試し版があるので、今回使うだけであれば何ら問題ない。
 このWireTapは、前々から気になっていたソフトで、Macで鳴る音なら何でもファイルとして記録できるという触れ込みである。もちろん、入力端子からの取り込みにも対応している。インターフェイスはiTunes風で使い勝手も良さそうだ。で、実際やってみると、いとも簡単に取り込みができた。しかも、トラック分けもこのソフトでそのままできるときている。実際に使って見ると、しごく自然で簡単な操作方法であった。直感的で実に使いやすく安定している。
 結果、時間は少しかかったが、操作は簡単で、音質もそこそこ満足できる結果になった。
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 こうして依頼主さんが夢にまで見ていた、MDを取り込んだCDが完成しました。
 華やかに生まれ変わったこのCDを、依頼主さんは喜んでくれるでしょうか。
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# by chikurinken | 2010-01-27 10:41 | パソコン

『無法松の一生』(映画)

無法松の一生(1958年・東宝)
監督:稲垣浩
原作:岩下俊作
脚色:伊丹万作、稲垣浩
出演:三船敏郎、高峰秀子、芥川比呂志、笠智衆、田中春男

b0189364_2031509.jpg 稲垣浩は、1943年と1958年の2回、『無法松の一生』を監督しており、本作は2回目の作品である。1本目は戦時下ということもあり、無法松の恋心が表現されていた箇所がカットされたらしい。そういうあたりに思いを馳せると、2回目のこの作品は、相当な思い入れで作っているのではないかと容易に推測できる。カラー化されてシネスコサイズにもなっている。
 僕はかつて、阪東妻三郎主演の43年版は見ていたが、本作は未見であった。前作では阪東妻三郎の快演が光っており、僕は一編に阪妻のファンになった。58年版ではカット部分も再現されているらしく、いわば完全版になっているが、三船敏郎にあの阪妻の無法松に匹敵する演技ができるのか、そのあたりが気になるところだった。だがそんなことはまったく杞憂で、なかなか豪放な三船無法松が拝めることになった。そもそもこの話は、乱暴者だが竹を割ったようなさっぱりした男、富島松五郎の魅力を描いた話で、その魅力がどれだけ表現されるかが重要になる。その点でも非常に優れた映画になっている。
 伊丹万作の脚本を忠実に再現したかどうかは(脚本を読んでいないので)わからないが、演出自体は手堅いもので、奇を衒った部分もない。無法松自身のように、竹を割ったようなさっぱりした映画に仕上がっていた。
ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞(グランプリ)受賞作
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『このところ高峰秀子映画が多いことについての弁明』
# by chikurinken | 2010-01-26 20:32 | 映画

『クララ・シューマン 愛の協奏曲』(映画)

クララ・シューマン 愛の協奏曲(2008年・独仏ハンガリー)
監督:ヘルマ・サンダース=ブラームス
脚本:ヘルマ・サンダース=ブラームス
出演:マルティナ・ゲデック、パスカル・グレゴリー、マリック・ジディ

b0189364_14425453.jpg シューマン夫妻、特にクララ・シューマンとブラームスの関係を描いた伝記映画。ちなみに監督のヘルマ・サンダース=ブラームスは、ブラームス一族の末裔である(ブラームス自身は生涯独身だったので直系の子孫はいない)。
 ロベルトとクララのシューマン夫妻とブラームスとの三角関係はなかなかロマンティックに扱われることが多く、ノゾキ趣味的な意味でも大変興味深いところだ。しかもシューマン夫妻の家に、若き美男子ブラームスが住み込み、しかも夫のロベルト・シューマンはその後精神を病んで死んでしまい、生活が苦しくなったクララ・シューマンをブラームスが精神・金銭の両面で援助し続けたという展開は、ドラマや映画に持ってこいである。それを裏付けるかのように、これまでに何度も映画化されている。今回の映画化は、監督がブラームスということもあり、興味がより一層湧いてくるところである。
 全体的なストーリーとしては、一般的に伝わっている話と大きくたがうことはないので、「史実に忠実」ということになるんだろうか。もちろん演出の上で誇張のような要素はある。ただ、僕自身の感覚から行くと、ロベルト・シューマン像が少しばかり野卑な感じでなんとなくイメージにそぐわなかったし、ブラームスも少し軽薄に過ぎる感じがあった。全体を通してみるとそれぞれの登場人物もそこそこ筋が通った描かれ方をしているんだが、やはり僕の中では最後まで違和感が残った(もちろん実際は映画のイメージの方が実像に近い可能性もある)。
 シューマンやブラームス、それにクララの音楽がふんだんに出てくる点や、当時の風俗がよく表現されていた点については非常に楽しめた。だが総じて、伝記映画の域を超えていないという印象を持った。

★★★
# by chikurinken | 2010-01-25 14:46 | 映画

『ロワール渓谷の木靴職人』(映画)

b0189364_9455621.jpgロワール渓谷の木靴職人(1955年・仏)
監督:ジャック・ドゥミ
ドキュメンタリー

 『シェルブールの雨傘』の監督、ジャック・ドゥミが若い頃に撮った短編映画。現在「短編集」として公開されている映画の中の1本で、映画関連のデータベースにさえ載っていないようなマイナーな作品である。CSといえど、よくこういうのをテレビ放送したなとつくづく感心する(CS:シネフィルイマジカ)。
 内容は、フランスの「ナント近郊に住む木靴職人の夫婦を描いた」短編ドキュメンタリー映画で、老夫婦の生活を淡々と追ったものだ。ただ映像は、ドキュメンタリーというよりも劇映画風である。木靴職人夫婦(主に夫)の数日間の生活をカメラで追い、そこに夫婦の歴史がナレーションで挿入される。
 木靴職人の夫は、朝、材料の調達に出かけてから、木靴の加工に取りかかる。木靴は気を削って加工するという手作業であり、ゆっくりとした流れの中で時が過ぎていく。夫婦の歴史もゆっくりと、起伏も少なく推移してきたようで、当たり前のような平凡な生活がそこにある。朝起きて木を削り1日が暮れていくという単純な生活が、翌日もその翌日も繰り返されるかのようで、田舎に住む人々の平凡でささやかな生活が描かれる。
 この映画には、かれらの地に足が付いた謙虚な生活や職人の熟練技術に対する敬意が見受けられ、近代的視点に立った、「旧弊」に対するお節介的な介入が見られない。この映画が作られた時代というのはモダニズム礼賛の時代であったような印象があるが、この映画の視点は民俗的な肯定感に裏付けられているようで、今見てもまったく古さを感じさせない。もちろん本作では、そういった観念を押しつけるような点もまったくなく、本当に淡々と映像が進んでいくのだ。

★★★☆
# by chikurinken | 2010-01-23 22:47 | 映画

ホントにマック・ザ・満身創痍

 いつも使っているMacBookのUSB端子の1つ(奥側)が故障した。どうも給電されないようで、ここに接続したUSB機器が一切認識されなくなった。オーマイゴッドである。
 どうやら新しく買った安物のハードディスクケースを接続したことが原因のようで、安物のハードディスクケースにも腹が立つが、こんなことで簡単にダメになるMacBookにも腹が立つ。
 MacBookにはUSB端子が2個あるが、僕はいつもUSBワイヤレスマウスを使っているので、端子は1個塞がっていて、1個だけ空いている。ここにさまざまなUSBデバイスを接続して使っているんだが、これが1個だけということになると、ワイヤレスマウスをやめるか、USBデバイスを接続するたびにマウスを外すか(これは他人のMacで経験済みだが結構面倒である)どちらかを選択しなければならない。もちろん修理するというオプションもあるが、おそらくロジックボードの交換ということになって4〜6万円くらいかかりそうなんで、この選択肢はありえない。新しいMacを買う余裕もないし、買う気もない。そういうことをいろいろ考えていると非常にユーウツになった。
b0189364_11423694.jpg 思えばMacBookってトラブルが多いよなあとふと思う。問題があるから何とかしてくれという依頼が、僕のところにもよくある。僕のMacBookも御多聞に漏れず、外側のケースが一部割れたり、ディスプレイがちらついたりという問題がある。買ってから3年くらいなので、普通の家電の感覚ではちょっと早い。考えてみればMacBookは廉価マシンだった。安かろう悪かろうの代表格と言えなくもない。だがアップルの製品は比較的良質だと感じていたので、安いのは性能(つまり処理速度などのパフォーマンス)のせいであると思い込んでおり、製品設計自体が犠牲になっているとは思いもよらなかった。よくよく考えてみれば、当時この性能でこの価格!という感覚もあったのだ、確かに。その頃、同性能のWindowsノートパソコンより大分安かった記憶がある。競争という点では仕方がないのかも知れないが、そこまで犠牲にして良いものだろうか。ビンボーマシンはWindowsにまかせておくというのがアップルのイメージだったんだが、このような考え方も改めるときが来ているのかもしれない。
(写真はMacBookの割れた箇所)


割合早くいかれたアップル製品:
iBook(初期のシェル型のもの)
 キーボードが壊れる、音が出なくなる、電源コンセントを壊すなどの症状まであった。→破棄
MacBook
 ケース破損、ディスプレイのちらつき、USB端子不良。→使用中

設計上問題があるんじゃないかと感じさせられたアップル製品:
PowerBook 190
 壊れたわけではないが、どうしようもない代物だった。一応使えてはいた。→破棄
LaserWriter Pro 400(機種名間違っているかも知れない)
 NECのOEMだったが、これもどうしようもない代物だった。高いのにまったく使いものにならない。思い出すだけでも腹が立つ。→破棄
Macintosh SE/30
 巷では名機と言われていたようだが、モニターの質も悪く、ちょっと無理にまとめた感があった。使いづらかった。→押し入れの肥やし

快適に長く使用できたアップル製品:
Macintosh LC475
 設計がシンプルでメンテもしやすい優れものだった。→押し入れの肥やし
PowerMacintosh 7500
 拡張性が高くメンテもしやすい安定感のあるマシン。→押し入れの肥やし
Macintosh ColorClassic II
 コストパフォーマンスが高く、安定感があった。→押し入れの肥やし
 その他、Macintosh IIcx、Macintosh IIci、LaserWriter II NTXJなど昔の高価なマシンは大変素晴らしいものだった。
 iPodについても、shuffle第2世代1台に異常があった以外は、問題なく使えている(iPod第2世代、第5世代、classic、shuffle第1世代、第2世代)。

 iBookシェル型とMacBookについては、僕が所有するもの以外でも数々の不具合の話が聞こえている。こういう「安かろう」製品は買わないのが一番という教訓なんだろうか。
# by chikurinken | 2010-01-22 11:44 | パソコン

ムーランルージュのレビューが圧巻 -- 『赤い風車』(映画)

赤い風車(1952年・英)
監督:ジョン・ヒューストン
原作:ピエール・ラミュール
脚本:ジョン・ヒューストン、アンソニー・ヴェイラー
出演:ホセ・ファーラー、コレット・マルシャン、シュザンヌ・フロン、ザ・ザ・ガボール

b0189364_9494790.jpg フランスの画家、ロートレック(アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック)の生涯を描いた伝記映画。タイトルの「赤い風車」は、ロートレックが入り浸ったキャバレー「ムーラン・ルージュ」(赤い風車の意)を表す。
 伝記映画といってもあなどるべからず。ムーラン・ルージュをはじめとする当時の風俗や雰囲気を見事に再現している。特に最初の15分間展開される、ムーラン・ルージュのショーの再現は圧巻である。まさにロートレックが描く版画や絵画の世界そのものだ。これだけでも十分見る価値がある。また、有名な「ムーラン・ルージュの唄」もここで披露される。
 ストーリーはこの手の伝記映画にありがちなもので、演出もそれなりだが、とにかく美術や大道具が尋常でない。アカデミー賞の美術監督・装置賞(カラー)と衣装デザイン賞(カラー)を受賞しているがそれもうなずける。それにしても、ホセ・ファーラーが演じている(足が通常より極端に短い)ロートレックは、いったいどうやって撮影していたのかが気になる。僕はてっきり、同じような体格の役者かと思っていた(ま、そんな人がいるとも思えないのだが)。

★★★☆
# by chikurinken | 2010-01-21 22:26 | 映画

捜し物は……見つけにくいものです

b0189364_17552728.jpg 捜し物が見つからない。
 タンスの中も机の中も捜したけれど見つからない。
 だけど踊ったりしない。夢の中へ行ってみたいと思ったりもしない。頭の中で陽水の歌がうねっている(ああウザイ)。
 頭の中の古地図では「あそこ」にあったはずだが、これがそこにない。こうなってしまうと、あとは予測で探すしかないので、見つかる確率がググッと下がる。しかも探している場所が散らかっていたりすると、こちらの方を片付けなければ見つからないんじゃないかってことになって、ここの片付けを始めたりすると、余計時間がかかることになる。とにかくゴミみたいなものが多すぎる。早々に捨ててしまえば片付けやもの捜しも効率アップするのだろうが、そうすると今度は、あるはずのものが(捨てたために)根本的になくなるということも起こりうる。どうしたら良いかますますもって途方に暮れてしまう。
 禅僧のようにものを持たないことを心がけるしかないのか。でも心がけてもものは増えるもんなあ(かあちゃん、かあちゃん、おなかと背中がひっつくぞ)。

目下捜し中のもの:
音声入力プラグをUSBデータに変換するアダプタ
15年前に(自称)傑作デッサンをものしたスケッチブック
京一会館のパンフレット約100号分(ネットで公開しようかなと……)

 ああいやだ……
# by chikurinken | 2010-01-20 18:00 | 日常雑記

映画の見方、その変遷

 ハードディスクが搭載されたDVDレコーダーは非常に便利なのだが、撮り溜めができることもあり、例によって、撮ったものが見られることもなく溜まっていくことになる。いつか見ようと思っていても、撮ったときの気分がいつまでも持続するわけではないので、撮った瞬間を逃すと、やがて見る気はなくなり、かといって消去してしまうのももったいないということで、そのままタンスの肥やしならぬレコーダーの肥やしになっていく。そういうわけで、時間があるときに少しでも消化していこうとすることになる。最近やたら映画(しかも古く、まったく旬でない映画)の投稿がこのブログに増えたのはそのためである。
b0189364_9272586.jpg 映画をよく見始めたのは京都に住んでいた学生時代で、僕の場合そもそもが教養の一環みたいな、いわば教養志向で見始めた(恥ずかしい限り)ので、おのずと名画を志向することになる。当時は京都にも伝説の映画館、京一会館が健在で、関西の名画座の筆頭格として君臨していた。洋画の名画座としては祇園会館(こちらは現存)もあり、この2館が僕のメイン映画館というかフランチャイズというか、ともかくよく通っていた劇場だったのだ。
 良い映画という噂があれば見たくなるのもこれまた自然であるが、なにしろ当時はレンタルビデオがまだ普及する前で、しかも映画館にかかる映画も数が知れているし、こちらが選べるわけではないので、見られるものも限定されていた。そうすると、京都だけでなく大阪や神戸の名画座まで足を伸ばすということも起こる。電車でかの地まで遠征してやっと見られる名画というのも、映画の中身はともかく達成感というのはなかなかのもので、これも一種のコレクションに違いない。映画は、完全に受け身の媒体であって、しかも人の手も金もかかり、上映するのさえそれなりの設備が必要という究極の贅沢芸術だったのだ。
 あれから20何年経ち、映画は「肥やし」化するまでになった。昔に比べると映画が随分軽くなったように思う。iPodで携帯することさえできるぐらいだ。軽いにもほどがある。時代と言ってしまえばそれまでだが、せめて見るときくらいは、以前と同様気合いを入れて見たいものだ……と軽い反省を入れながら「肥やし」の解消に余念がない今日この頃である。いやしかし、よくよく考えると、ものすごく贅沢でもったいない話だよなあ。

参考:
竹林軒ネット『映画を所有するぜいたく』
『まぼろし映画館』
# by chikurinken | 2010-01-18 09:28 | 映画

『老人と海』(映画)

b0189364_17352537.jpg老人と海(1958年・米)
監督:ジョン・スタージェス
原作:アーネスト・ヘミングウェイ
脚本:ピーター・ヴィアテル
出演:スペンサー・トレイシー、フェリペ・パゾス

 映画の作りは単純で、やたらナレーションが多く、朗読劇みたいな印象もあったが、それでも非常によくできあがっていた。原作を読んでいないんで本当のところはよくわからないのだが、原作の味わいをかなり忠実に伝えているように感じた。ナレーションは多いが、(おそらく原作で描かれているであろう)心情や情景を過不足なく適確に表現しているといった印象を受ける。一般的には、ドラマや映画では語りを極力少なくすべきだだが、この映画に関しては語りが良い効果を出している。
 見ている途中、この話のテーマは何だろうと疑問に思っていた(まさか「欲張ると損をする」という話じゃないだろうなとは思っていた)が、見終わる頃には心にズシンと伝わってきた。スペンサー・トレイシーが演ずるところの、威厳を感じさせるサンティアゴ老人によるところも大きい。良い映画だった。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『誰が為に鐘は鳴る(映画)』
# by chikurinken | 2010-01-17 17:37 | 映画

『ナイチンゲールの沈黙』(ドラマ)

ナイチンゲールの沈黙(2009年・関西テレビ)
演出:今井和久
原作:海堂尊
脚本:後藤法子
出演:伊藤淳史、仲村トオル、山田優、遠藤憲一、中島健人、高田翔
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 海堂尊の『チーム・バチスタの栄光』をドラマ化したフジテレビの海堂尊第二弾で、同名小説のドラマ化。
 『チーム・バチスタの栄光』同様、原作とは少しストーリーが違うらしい。前作の『チーム・バチスタの栄光』は、伊藤淳史と仲村トオルのコンビが非常に良い味を出していて、内容も部外者からは知り得ないほど専門的でなかなか面白かった。今作もそういう点は変わらないが、ミステリー・ドラマとしてみると、疑問符が付くような、ちょっと物足りなさが残る。この点については、前作も同様。原作からは大分異なっているらしいので、これは脚本家の責任ということになる。
 ましかし、次の『ジェネラル・ルージュ』につながるような布石もあったことだし「次作に乞御期待」ということか。だが次は原作に忠実に作ってはどうかとも思う。ちなみに僕は原作を一切読んでいなかったため、原作のミステリーの部分がこんなにチープなのかと誤解していたのさ。

★★★☆
# by chikurinken | 2010-01-16 11:59 | ドラマ

『ボブ・ディラン ノー・ディレクション・ホーム』(映画)

ボブ・ディラン ノー・ディレクション・ホーム(2005年・米)
監督:マーティン・スコセッシ
出演:ボブ・ディラン、ジョーン・バエズ、アレン・ギンズバーグ、アル・クーパー、ウディ・ガスリー、ピート・シガー、デイブ・ヴァン・ロンク、メイヴィス・ステイプルズ

b0189364_9375580.jpg ともすれば神格化されるボブ・ディランの素顔を描くドキュメンタリー。
 関係者の証言を中心に展開していくが、登場する関係者が(ウディ・ガスリー、ピート・シガー、ジョーン・バエズ以外)知らない人ばかりで、もう一つピンと来なかった。ボブ・ディランのファンであれば、おそらく非常に楽しめるのではないかと思う。
 ボブ・ディランの人間面がこの映画でかなり明らかにされており、現象としてのボブ・ディランをディランの個人面から俯瞰でき、そういう意味で非常に面白かったが、ボブ・ディラン本人の人となりについてはあまり共感できないと(個人的に)思った。そもそも僕はボブ・ディランの歌がそんなに好きではない。ウディ・ガスリーやジョーン・バエズの方がずっと好きである。だがそのあたりの理由もこの映画からわかるような気がする。

★★★

追記:
 インタビューと演奏中心で3時間半続く映画なので、ボブ・ディランのシンパの人以外は少しきついかも知れない。僕は新幹線の中でiPodを使って見たので退屈はしなかったが、途中何度もぶつ切りになってしまった。移動中にiPodで映画を見るのも少し考えものだと思った。
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新幹線の中で歌いまくるディラン

# by chikurinken | 2010-01-15 09:39 | 映画

白線より下がってご覧ください

 小倉でロートレックの展覧会をやっていたので、待ち時間に寄った。
 元々東京渋谷のBunkamuraミュージアムでやっていた展覧会が巡回してきたものらしい。Bunkamuraでやる展覧会は結構良いものが集まる。いや今はどうか知らないが、15年くらい前はそうだった。しかも人が異常に集まることもなく、落ち着いて質の高い作品が見られるので、僕は非常に気に入っていた。その巡回展である。
 で、ロートレックの展覧会ではあるが、ロートレック以外にもなかなか名品が集まっており、やはり「Bunkamuraは健在」の感を強くしたのだ。ドガやゴーギャンの作品もあり、それぞれ質が高いもので、数合わせで揃えたという印象はなかった。ロートレックを始め、リトグラフも大量にあり、リトグラフを勉強している僕としては、ホクホクしていろいろな絵を眺めていたのである。その中にミュシャの有名なリトグラフが3点あり、興味津々でためつすがめつ見ていた。
b0189364_10595527.jpg 例によって絵に限りなく目を近づけ、ミュシャがどういうテクニックを使っているか分析していたのだが、そのとき後ろから「白線から出ないで見てください」という声がかかった。たしかに床の上に白線が描かれていて、僕はその白線より絵に近い側に立っていた。そりゃそうだろう。顔を絵に近づけているんだから。でもね。ミュシャとは言え、リトグラフだぞ。しかもポスターだ。しかも額に入っていて当然ガラス(またはアクリル)でカバーされている(絵に触ろうたって触ることもできない)。他のお客さんが周りにいたわけではなく、目を凝らしたからと言って邪魔になるわけでもない状況だ。さらに、露出した(つまりガラスなどでカバーされていない油絵など)他の作品に至っては、ちゃんと床に侵入防止の柵が設けられている。というわけで、状況からしても、白線が侵入禁止の合図であるとはどう考えても思えないのだよ。僕に声をかけたのは監視役の女性(たぶんバイト)だが、そう言えば、この美術館(北九州市立美術館)には監視役がやたらに多い。そんなに客を監視しなければならないというのか。
 僕は、理不尽さを感じながらも、彼女のメンツを立てて白線の外に出たが、それでもやりきれなさをずっと引きずっていた。気分は悪かったが、他の作品を見てまわって、なんとか気を静めた。こんな白線に意味があるとも思えないし、絵に近付くことが悪いことなどとは思えない。ましてやそれ(近づけさせないこと)がミュシャの意図であるなどとは断じて思えない。行きつけのギャラリーでは、絵にとりつくようにしながら拡大鏡を使って見たりしているが、それでもこのギャラリーのオーナーは何も言わない(僕は多少気後れしているのだが)。美術に対する態度というのはそういうものじゃないだろうか。絵を研究しようとしている人間にはオープンにするべきだし、鑑賞する方法にまで干渉されたくないものだ(シャレじゃありません)。画学生が模写したりするのは、ヨーロッパの有名美術館では普通に認められているが、日本の美術館で認められているという例は聞いたことがない。それどころか写真撮影すら認められていない。日本人の美術に対する感覚がいまだに旧態依然としていて、恭しくてありがたい崇高なものという誤解(特に西洋美術)がどうも一部に残っているようだ。
 僕はその後、館内を一回り二回りして再びミュシャのもとのきた。さすがに素晴らしく、顔のあたりにも微妙な色の変化が入っているようだ。このあたり、おそらく版を余分に作っているのだろう。だが、どういう具合になっているのか、近付かなければよくわからない。さっきの監視役がいないのを確認して、目を凝らしてどういう表現になっているか微に入り細をうがち調べていた。そういう状態が2、3分続いていただろうか。しばらくすると、後ろから人の気配がして「白線から出ないでください」と再び声をかけられた。さすがにちょっと切れそうになったが、知らぬ顔をしてそのまま美術館の出口に向かった。内心はらわたが煮えくりかえる思いである。美術館でこんな不快な気分を味わったのは久しぶりだ。
 僕は「あなたがたに美術を語る資格はない」と心の中で毒づきながら、美術館を後にした。

 『パリを彩った画家たち ロートレック・コネクション』
 2010年1月2日(土)~2月7日(日)
 北九州市立美術館分館(今どき奇特な前近代的監視員がいる美術館)
# by chikurinken | 2010-01-14 11:06 | 美術

帰還

 田舎での用もなんとか済み、無事帰還してきた。
 行く前は何だか悲壮的で(実際のところそんな大した問題でもなかったのだが)前のような投稿になったんだが、こちらに戻る段になると、人々の優しさなんかに接して、かえって元気をもらったりするのだった。いろいろな人に支えられていることを実感し、感謝することになる。
 行きの車窓の風景と帰りの風景も大分印象が違う。あちらに向かうときは、寂れる一方に思えた景色も、冷静になってみるとただの地方の一風景にしか見えない。実際確かに地方の一風景に過ぎないのである。

 もう一つ。
 高校の同級生に偶然会った。会うのは30年ぶりで、当時は特に親しいわけではなく普通に話をする程度の間柄である。当時は何となくシニカルで醒めていた印象があった。と言ってもそれは彼だけではなく、われわれの学年全体に漂っていた空気で、僕自身も随分冷ややかであったと思う(非常に生意気であったため人並み以上に醒めていたんではないかと思う)。ともかくそういう印象だったその男が、普通に勤め始めて数年経ってから、突如介護職を志したというのだ。そんなわけで勤めを潔く辞めて介護の勉強を始め、やがて資格を取り、介護業界に入ったという。
 彼はすでに偉くなっていたが、そんなことよりも、醒めていて物事にあまり積極的に関わらないという印象だった彼が、そういう「熱い」面を見せていたというのがなんだかうれしかったのだった。アメリカ映画で「I'm proud of you.(君を誇りに思う)」などというセリフが出てくるが、あれに近い感慨だった。僕は彼と話しながら「すごいな」を連発していたが、その真意が彼に伝わったかどうかはよくわからない。だが、久々に快さを感じた瞬間だった。
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海辺の風景

# by chikurinken | 2010-01-13 22:37 | 日常雑記

帰省

 明日、久々に田舎に帰る。
 故郷を出てすでに30年近く。以前は年に1、2度は帰っていたがここのところ疎遠になっていた。最近では、帰るときは大体面倒なことが起こっていて、そのためにあちこち飛び回らなければならなくなる。結局ますます気持ちが遠ざかることになる。
 今回も例によって少しのっぴきならない事態が起こり、ちょっとどうしようもない感じがある。少し憂鬱である。非常に個人的なことなのでここであまり明かす気にもならないが(本当はこういうことこそ、他人にとって面白いのであるが)、いずれその気になったら披露したいと思う(ような気もあるようなないような)。身内の問題のことを書き始めるとそれだけで気分がどんよりして、ブログに何も書けなくなるからね(特に偉そうなことなど)。どうかなとは思う。

 ともかくそういうわけで、明日、明後日は不在です。ここもお休みです。
 みんなみんな幸せになると良いな……と心から思います。
# by chikurinken | 2010-01-11 22:23 | 日常雑記

『マタンゴ』(映画)

マタンゴ(1963年・東宝)
監督:本多猪四郎
原作:ウィリアム・H・ホジスン
原案:星新一、福島正実
脚本:木村武
出演:久保明、土屋嘉男、小泉博、佐原健二、水野久美

b0189364_1836226.jpg B級ホラーとして有名な映画で、いろいろ評価する向きもあるようだ。
 SF風で子ども向けなのかと思っていたが、どうもセクシャルなシーンもあり、子どもに見せたいと思わせる映画ではない。公開時の併映は『ハワイの若大将』だったそうで、そうすると大人向けということになるのか。大人向けにしては作りがすこしチャチなような気もするが……。
 ヨットに乗った7人が無人島に流れ着くという話で、当然のようにそこでさまざまな奇怪な現象が起こる。奇怪な現象が起こらずに青春を謳歌するような展開になれば『ハワイの若大将』で、笑いが起こる展開になれば『もうれつギリガン』ということになるのだろう。あまりここで言うとネタバレになるので、ストーリーは述べないが、ただただ全編気持ち悪く、決してもう一度見たいとは思わない。繊細な人であれば、しばらくキノコが食べられなくなるかもしれない……まあ、そういった映画だ。
 最大の難点は7人のうち5人の男の区別がつきにくかったこと。知らない役者が多く、誰がどういうキャラクターか最後の方までよく区別できなかった(ウルトラQでお馴染みの佐原健二については途中で気が付いた。だが彼にしても途中までサングラスをかけていたので余計わかりにくくなっている)。
★★★

参考:
竹林軒出張所『ゴジラ(映画)』
竹林軒出張所『モスラ対ゴジラ(映画)』
竹林軒出張所『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ(映画)』
竹林軒出張所『ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦 ! 南海の大怪獣(映画)』
# by chikurinken | 2010-01-10 18:39 | 映画