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竹林軒出張所

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カテゴリ:ドラマ( 243 )

『フルーツ宅配便』(2)〜(12)(ドラマ)

ドラマ24 フルーツ宅配便 (2)〜(12)(2019年・テレビ東京)
原作:鈴木良雄
脚本:根本ノンジ
演出:白石和彌、沖田修一、是安祐
音楽:高田漣
出演:濱田岳、仲里依紗、松尾スズキ、荒川良々、前野朋哉、原扶貴子、田中哲司、徳永えり、山下リオ、北原里英、成海璃子、山口美也子、筧美和子

世相を見事に映し出したドラマ
それでいてエンタテイメントとして成立している


b0189364_15151869.jpg 鈴木良雄の同名マンガのドラマ化作品。原作マンガの『フルーツ宅配便』は、「フルーツ宅配便」という名前のデリヘル業者での人間模様を描く作品で、現代の世相や貧困を赤裸々に描いているリアリズム・マンガである。
 主人公の咲田真一(濱田岳)が、ひょんな巡り合わせで、デリヘル店「フルーツ宅配便」の見習い店長になる。そこに集まるワケありのデリヘル嬢が中心になって話が展開していくという作品である。原作に基づく話が中心で、そこに、全体を貫くドラマなりのストーリーが絡んでいく。原作で描かれる女性の貧困の話がかなり辛いもので、そのままドラマにしてしまうと現実世界の厳しさが前面に出てきて救いがなくなる。そのためもあって、笑いやとぼけた要素も交えて、エンタテイメント的な要素も存分に入れられている。ドラマとしては、非常に良い配慮だと思う。
 ドラマでは(原作でもそうだが)毎回1人のデリヘル嬢が主人公になって、その女性の背景が描き出される(ほとんどは金やダメ男に苦しんでいる話)。タイトルもその主人公の源氏名(果物の名前)になる。「ドラゴンフルーツ」(ドラゴンフルーツという源氏名の女性は、伝説のデリヘル嬢であるが今は掃除婦をやっているばあさんという設定)は原作ではものすごいインパクトがあったが、ドラマではなんと山口美也子が演じていて、「山口美也子が婆さん役か……」と思うと、なかなか複雑な心境になった。b0189364_15152311.jpgキャストで言えば、第2回では成海璃子がモモ役でデリヘル嬢を演じていて、少々場違いな印象を受けたが、存在だけでインパクトがあった。なおこの回は、元木大介が本人役で出ていたが、意図がわからない。どうして元木だったのか、せっかく出すんならもう少し大物でないとつまらないだろうと思うが(それなりに面白さはあったが)。
 ドラマではともすると、人身売買とか覚醒剤とか暴力とか、ダークな世界が出てくるので、必ずしも楽しい気分になるようなドラマではない。EGO-WRAPPIN’のオープニングテーマ曲(「裸足の果実」)がこういったダークな雰囲気を定義しているようにも思え、なかなか良い選曲だと思わせる。エンディング曲は逆に少々明るい音楽で、ドラマで少し沈んだ気持ちが和らげられ救いがもたらされる。高田漣の選曲らしいが、非常にお見事である。
 原作の味を活かしながらも、連続ドラマとして成立するような改変を施しているなど、全体的にはよく練られた脚本と言える。ただし最後の方で、風俗嬢が売り飛ばされ一生監禁されるという「売春島」などというネタが出てきたりして、見ていてアホらしくなってくる。もう少し何とかならなかったものかと思う。原作がリアリズムの作品で、それが根底にあるんだからファンタジーを盛り込んじゃいけません。濱田岳と仲里依紗の魅力で何とか成立していたのが救い。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『フルーツ宅配便 (1)(ドラマ)』
竹林軒出張所『貧乏まんが(本)』
竹林軒出張所『最貧困女子(本)』
竹林軒出張所『アオイホノオ (1)〜(6)(ドラマ)』
竹林軒出張所『俺のダンディズム (1)〜(3)(ドラマ)』
竹林軒出張所『終電バイバイ(2)〜(4)(ドラマ)』

by chikurinken | 2019-04-09 07:18 | ドラマ

『二つの祖国 後編』(ドラマ)

二つの祖国 後編(2019年・テレビ東京)
原作:山崎豊子
脚本:長谷川康夫
演出:タカハタ秀太
出演:小栗旬、多部未華子、仲里依紗、高良健吾、ムロツヨシ、池田エライザ、橋本マナミ、田中哲司、リリー・フランキー、中村雅俊、ビートたけし、笑福亭鶴瓶、織田信成

「時代錯誤」的なドラマになった

b0189364_17051925.jpg 山崎豊子原作の同名小説のドラマ化作品。「テレビ東京開局55周年特別企画」という副題が付いている。
 後編は、米軍の戦後処理、日本への進駐がストーリーの背景になる。主人公の賢治(小栗旬)は、なんと東京裁判にモニター(通訳を監視する役)として参加することになる。とにかく登場人物を歴史の最前線に持ってこようという原作者の意図が見え隠れして、作為性を感じてしまう。それはたとえば、同じく主役級の梛子(多部未華子)が(戦時中も米国に住んでいた日系米人でありながら)原爆投下の瞬間に立ち会い、被曝するというストーリーにも現れている。登場人物が歴史的な重大事件にそう都合良く関わるなんてことはいくらなんでも無理がある。歴史ドキュメンタリーじゃないんだから、そこまで歴史的事象の中に入っていかなくても良いだろうと思うが。
 しかしそのために東京裁判の模様まで描かれることになり、東京裁判のシーンが再現されることになった。で、大川周明(笑福亭鶴瓶)が東條英機(ビートたけし)の頭を張るシーンも再現されているが、残念ながら他のシーンとまったく脈絡がなく、結局「再現」で終始してしまっていた。大川周明は単に変なオッサンとして描かれており、東條英機もまったく東條らしさがない(東條ではなく、ヅラをかぶったたけしにしか見えない)。
 総じて、無理に登場人物を動かしている(これは原作の問題)、キャストに無理なセリフを言わせている、役者の演技も大ぶりでなっていない(特に多部未華子と仲里依紗。他のドラマでは割とうまいのに、このドラマではセリフ回しがまるで舞台劇のようでクサかった)など、いろいろアラが目立つドラマになってしまった。そのためドラマ作り自体が、全体的に「時代錯誤」であるような印象さえ受ける。テーマは伝わってくるが、こちらも何だか教条主義的で面白味がない。このドラマを5時間もかけて見るぐらいなら、同じ素材を扱ったドキュメンタリーを見た方が、はるかに有意義だったと思う。
 それからさらにもう一つ、ドラマの挿入音楽がことごとく60〜70年代のアメリカンポップスで、内容との脈絡がまったくなく、完全に浮いていたことも付け加えておきたい。音楽的な趣味の悪ささえ感じた。
★★★

参考:
竹林軒出張所『二つの祖国 前編(ドラマ)』
竹林軒出張所『ドラマ 東京裁判 (1)〜(4)(ドラマ)』
竹林軒出張所『華麗なる一族(映画)』
竹林軒出張所『不毛地帯(映画)』
竹林軒出張所『ぼんち(映画)』

by chikurinken | 2019-03-30 07:04 | ドラマ

『二つの祖国 前編』(ドラマ)

二つの祖国 前編(2019年・テレビ東京)
原作:山崎豊子
脚本:長谷川康夫
演出:タカハタ秀太
出演:小栗旬、多部未華子、仲里依紗、麻生祐未、松重豊、高良健吾、新田真剣佑、ムロツヨシ、池田エライザ、柄本佑、仲村トオル、泉谷しげる

後編の東京裁判が唯一の愉しみ

b0189364_18464357.jpg 山崎豊子原作の同名小説のドラマ化作品。「テレビ東京開局55周年特別企画」という副題が付いている。
 主人公は日系米人で、太平洋戦争時の米国内での日系人迫害から戦後処理に至るまで話が続く。前編は太平洋戦争末期までで、日系米人たちが自分のアイデンティティについて思い悩むというのが、この前編のテーマである。ブラジルの日系人社会で起こったような(竹林軒出張所『遠い祖国 前・後編(ドキュメンタリー)』を参照)、親日愛国主義者と親米日系人とのせめぎ合いもある。あわせて家族や夫婦の問題も扱われ、ストーリーは重層的である。
b0189364_18464914.jpg キャストも割合豪華で、原作も相当な力作と思わせるが、無理なストーリー展開が少々鼻につく。前線で敵味方に別れた主人公兄弟が出会ったりするという展開があるが、これは相当な無理な設定であって、こういうのを目にすると途端に白けてしまう。こんなシーンは要らないというか、むしろない方が良いと思うがどうだろう。
 それにセリフがこなれていないせいか、多部未華子が非常に演じにくそうで、終始妙なアクセントでしゃべっている(あるいは演出のせいか)。他のキャストも今一つという印象が強い。見る前の期待が大きかったため、その辺が余計ガッカリではある。ただ後編では東京裁判のシーンが再現されるらしく、そのあたりが一番の楽しみになるのではと思う。東京裁判の席で、大川周明が東條英機の頭を張るシーンも再現されているらしい。
★★★

参考:
竹林軒出張所『二つの祖国 後編(ドラマ)』
竹林軒出張所『華麗なる一族(映画)』
竹林軒出張所『不毛地帯(映画)』
竹林軒出張所『ぼんち(映画)』
竹林軒出張所『遠い祖国 前・後編(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『総書記 遺された声(ドキュメンタリー)』

by chikurinken | 2019-03-29 07:46 | ドラマ

『わが青春のとき』(1)(ドラマ)

わが青春のとき (1)(1970年・国際放映、日本テレビ)
原作:A・J・クローニン
脚本:倉本聰
演出:高橋繁男
出演:石坂浩二、樫山文枝、塚本信夫、岩本多代、小栗一也、入川保則、左時枝、下元勉

プチ『白い巨塔』という印象……今のところ

b0189364_17262081.jpg 大学の医局の閉鎖性をテーマにしたドラマ。原作はクローニンというスコットランドの作家の作品(『青春の生きかた』)で、脚本は倉本聰。
 まだ1回しか見ていないため、この後どのように進むか断定はできないが、おそらく、医局の閉鎖性に加え、医局内(ひいては学界)のヒエラルキーの弊害などを告発するような展開になると思われる。『白い巨塔』の亜流といった感じか。
 主演は、大河ドラマで名前を挙げた(らしい)当時売り出し中の石坂浩二で、相手役はおはなはんの樫山文枝。他にはあまり有名どころが出ておらず、かなり地味なキャスティングである。
b0189364_17325121.jpg 主人公は、ある有名教授(下元勉)の研究室に属している研究者(おそらく助手)だが、この研究室では教授の下働きみたいなことばかりやらされて、自身の研究ができない。それに不服を言おうものなら研究室から追い出されるというような状況が背景にある。それでもこの主人公、強引に自身の研究(風土病についての研究)を研究室で行おうとするんだが、同僚の中に教授に密告する者がいたりして、そのあたりがサスペンスの要素になる。今後面白い展開になりそうだが、しかしまあ、禁止されていることを強引にやろうとすれば、それが正義であろうがなかろうがその組織を追放されるのは当然である。それを考えると強引に事を進めようとする主人公に感情移入できるかどうかは微妙で、その辺は第2回以降のストーリー・テラーの腕の見せ所ということになる。瞑目して待とう。
★★★☆

追記:
 冒頭のテーマ曲に町の人たちの声がかぶったりしていて、少々前衛的な味わいがある。タイトルのレタリング、現れ方も少し変わっている。ただドラマ自体は、前衛的な要素はまったくなく、普通のドラマとして展開する。

参考:
竹林軒出張所『前略おふくろ様(1)〜(26)(ドラマ)』
竹林軒出張所『ライスカレー (1)〜(13)(ドラマ)』
竹林軒出張所『君は海を見たか (1)〜(11)(ドラマ)』
竹林軒出張所『川は泣いている (1)〜(4)(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 ああ!新世界(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 ひとり(ドラマ)』
竹林軒出張所『聞き書き 倉本聰 ドラマ人生(本)』

by chikurinken | 2019-03-02 07:26 | ドラマ

『獅子の時代 総集編』(ドラマ)

獅子の時代 総集編(1980年・NHK)
第一回「対決のパリ」
第二回「鶴ヶ城決戦」
第三回「敗れし者の道」
第四回「愛と動乱の日々」
最終回「自由自治元年」

脚本:山田太一
演出:重光亨彦、清水満、中村克史、外園悠治、松橋隆、上田信
音楽:宇崎竜童
出演:菅原文太、加藤剛、大原麗子、大竹しのぶ、永島敏行、金田賢一、尾上菊五郎、藤真利子、鶴田浩二、丹波哲郎、加藤嘉、佐々木すみ江、香野百合子、横内正、千秋実、沢村貞子、中村富十郎、児玉清、根津甚八、中山仁、細川俊之、三田村邦彦、岸本加世子、岡本信人、村野武範

意欲的な大河ドラマ、ではあるが……

b0189364_18582554.jpg 1980年に放送された全51回のNHK大河ドラマ。脚本が山田太一であり、長いこと気になっていた作品であるが、前に本編第1回を見たときに興味が惹かれなかったため、結局見ずに終わっている。今回図書館で総集編を見つけたため、見てみるかと思って借りてきた。
 舞台は幕末で、主人公は平沼銑次(菅原文太)、苅谷嘉顕(加藤剛)という架空の人物である。それぞれ会津藩士、薩摩藩士で、1867年のパリ万国博覧会に出展した幕府、薩摩の随行員として洋行しており、パリで知り合う。その後、幕末の動乱で互いに敵方になって争うが2人とも生き残り、維新後は、下層階級で政府に虐げられる立場の平沼と、政権の中枢に入った苅谷との対照的な人間模様が、その時代背景の中で描かれるという、大河ドラマとしてはかなり意欲的な設定である。
 ただしドラマとして見ると、偶然の出逢いが非常に多い上、主人公が超人的な力を発揮したりして、リアリティに乏しいのが大きな難点である。山田太一作品らしさはセリフにもストーリーにも見られない。
 とは言え、描かれる時代背景の中に、パリ万博、戊辰戦争、廃藩置県、憲法制定、秩父事件などが出てくるあたりは、やはり意欲的である。ありがちな幕末もの大河ドラマとは、そのあたりでも一線を画している。したがって大河ドラマとしてはデキの良い部類と言える。だが山田ドラマとしてはデキの悪い部類に入る。
第13回テレビ大賞優秀番組賞受賞
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『炎立つ 総集編 (1)(ドラマ)』
竹林軒出張所『大河ドラマ 平清盛 総集編(ドラマ)』
竹林軒出張所『坂の上の雲 (1)〜(13)(ドラマ)』
竹林軒出張所『花の生涯 (1)(ドラマ)』

by chikurinken | 2019-03-01 18:57 | ドラマ

『ベトナムのひかり』(ドラマ)

ベトナムのひかり
〜ボクが無償医療を始めた理由〜
(2019年・NHK)
脚本:後藤法子
演出:本木一博
出演:濱田岳、国仲涼子、キムラ緑子、ビン・アン、レ・チ・ナ、チャン・ギィア、ヒュー・ヒエン、ホン・アン、本田博太郎、生瀬勝久

羽鳥やなくて服部やろ!

b0189364_18135315.jpg ベトナムで活動している眼科医、服部匡志をモデルにしたドラマ。
 眼科医、羽鳥志郎(濱田岳)は「神の手を持つ男」と呼ばれていたが、学界の席であるベトナム人医師に乞われて、3カ月間ベトナムに赴任し現地で治療に携わることになる。だがベトナムの現場で、医療を受けられない大勢の貧困者に出逢い、結局身銭を切って彼らに治療行為を行うようになった。それでも彼らを助けるには3カ月では足りないということになり、その後も何度も日本とベトナムの間を往復しながら、活動を続けていくようになるというストーリー。
 ドラマでは、妻(国仲涼子)との意見の相違やすれ違い、家庭を顧みず地域の活動に精を出していた父(生瀬勝久)の影響などが主要なテーマになっており、同時に現地の医師との確執、習慣の違いの戸惑いなども取り上げられる。この手のドラマとしては、割合平凡なモチーフだが、1本のドラマとして見ると、破綻もなくよくまとまっている。一部のエピソードが、使い古されたようなありきたりなものでややチープなのが気になるが、現行ドラマの中では水準が高い方と言える。途中、ベトナムの看護師から「ハットリセンセイ」と呼ばれ「ハットリやなく羽鳥や!」などという遊びのセリフがあって、笑わせてくれるのもポイントが高い。
b0189364_18135781.jpg モデルになった服部匡志という眼科医、僕はまったく知らなかったが、『情熱大陸』や『カンブリア宮殿』でも取り上げられているようで、結構有名な人らしい。こういう立派な活動をやっているのならばマスコミでもっと取り上げられてしかるべきだし、これによって協力者も増えるかも知れないとも思う。それを考えると、広報という点でもこのドラマが貢献することになるかも知れない。
 キャストでは濱田岳が好演で、情熱的で直情的な医師の役をうまく演じきっている。この人、どのドラマもまったく外れがなく、感心する。本田博太郎と生瀬勝久も良い味を出していた。珍バイクが映像で出てきたのもポイントが高い。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『反骨の外科医(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『武器ではなく命の水を(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『ディア・ドクター(映画)』
竹林軒出張所『それ行け!! 珍バイク(本)』
竹林軒出張所『ジェネラル・ルージュの凱旋(ドラマ)』
竹林軒出張所『ナイチンゲールの沈黙(ドラマ)』

by chikurinken | 2019-02-09 07:13 | ドラマ

『みかづき』(1)〜(2)(ドラマ)

みかづき (1)〜(2)(2019年・NHK)
原作:森絵都
脚本:水橋文美江
演出:片岡敬司
出演:高橋一生、永作博美、風吹ジュン、黒川芽以、鎌田英怜奈、工藤阿須加、勝矢

『朝のドラマ』風の経営話

b0189364_18372132.jpg 森絵都原作の『みかづき』のドラマ化作品。昭和30年代に千葉で学習塾を始めた夫婦の物語である。第1回は、夫婦のなれそめと学習塾の開業、第2回は夫婦と家族の問題がテーマになっている。
 当初、登場人物にモデルがあるのかと思っていたが、どうやら原作者のオリジナルのようである(未確認)。学習塾経営や家族の話が中心で、この後どれぐらい波瀾万丈があるかはわからないが、基本的にはそれほど目新しい展開はない。学習塾経営の話と言えば、かつて『名古屋お金物語2』という作品がNHKで放送されたが(「回転塾」などという発送が斬新だった)、このドラマについてはあえて言うなら『NHK朝のドラマ』風のストーリーで、『名古屋お金物語』ほどの奇抜さはない。また演出もありきたりで、ところどころオーバーアクトが存在し、例によってかなり気になる。
 個人的な興味としては、共同経営(主人公の塾は途中から他の塾と共同経営になる)の過程に興味があるが(一般的に共同経営がうまく行くとは考えられないし)、そのあたりはドラマではまったく触れられていないので、経営話として見ても芯がない印象で、あまり面白味を感じない。現時点では経営がトントン拍子に進んでいることだし、経営話にするんならもう少し波乱がなければ……とも思う。そのため、すべてが絵空事のように感じられ、リアリティもあまり感じられない。昨今のドラマの水準から考えると標準的な作品だろうかと思う。こういったドラマは消耗品のような印象さえ受ける。芸術性を求める僕のような視聴者が楽しめるドラマはもう存在しないようで、それもないものねだりになったのかとも思う。
★★★

参考:
竹林軒出張所『塾講師にだまされるな!(本)』
竹林軒出張所『二人の世界 (1)〜(26)(ドラマ)』

by chikurinken | 2019-02-08 07:36 | ドラマ

『家康、江戸を建てる』(ドラマ)

家康、江戸を建てる 前編・後編(2018年・NHK)
原作:門井慶喜
脚本:八津弘幸
演出:西谷真一(前編)、一色隆司(後編)
出演:佐々木蔵之介、生瀬勝久、優香、千葉雄大、マギー、藤野涼子、松重豊(前編)、柄本佑、広瀬アリス、林遣都、伊原六花、高橋和也、吹越満、吉田鋼太郎(後編)、市村正親、高嶋政伸(前後編)

素材は面白いが内容は平凡

b0189364_17585799.jpg NHKが正月に放送した時代劇。徳川家康が江戸を建設するときのエピソードを2夜連続のドラマにしたもので、前編に「水を制す」、後編に「金貨の町」という副題がついている。
 前編は大久保忠行(佐々木蔵之介)による神田上水建設、後編は後藤庄三郎(柄本佑)による金座開設の話で、どちらもドラマでは家康(市村正親)が直々に彼らにミッションを申しつける。
 元々は門井慶喜という人の『家康、江戸を建てる』という小説が原作らしい。原作がどの程度活かされているかはわからないが、ドラマはきわめて凡庸で、しかも大ぶりでオーバーな演技が多く(特に前編)、見ていてあまり興味をかき立てられない。素材が興味深いので今回通して見てみたが、ドラマとしてはよくある奮闘成就パターンで、実にありふれた時代劇になってしまった。それに時代考証をちゃんとやっているのか疑問に感じるような箇所が非常に多かったのもマイナス点。ネタで魅せようとするこういうユニークな素材であれば時代考証が大切なのは言うまでもあるまい。せめてそういった周辺部をもう少し丁寧に処理した上で、ドラマ作りをしてほしかったところである。
★★★

参考:
竹林軒出張所『実見 江戸の暮らし(本)』
竹林軒出張所『大江戸庶民いろいろ事情(本)』
竹林軒出張所『石川英輔の本、5冊』
竹林軒出張所『江戸古地図の旅(ドキュメンタリー)』

by chikurinken | 2019-01-19 07:58 | ドラマ

『フルーツ宅配便』(1)(ドラマ)

ドラマ24 フルーツ宅配便 (1)(2019年・テレビ東京)
原作:鈴木良雄
脚本:根本ノンジ
演出:白石和彌
音楽:高田漣
出演:濱田岳、松尾スズキ、内山理名、荒川良々、前野朋哉、原扶貴子

異色の設定が現実を映し込む

b0189364_19142226.jpg 2019年の最初の『ドラマ24』枠は、鈴木良雄の同名マンガのドラマ化作品。原作マンガの『フルーツ宅配便』は、「フルーツ宅配便」という名前のデリヘル業者での人間模様を描く作品で、現代の世相や貧困を赤裸々に描いているリアリズム・マンガである。
 主人公の咲田真一(濱田岳)が、ひょんな巡り合わせで、デリヘル店「フルーツ宅配便」に就職する。この店、デリヘル嬢に果物の源氏名をつけており、ホテルなどにそのデリヘル嬢を「宅配」するということで「フルーツ宅配便」を名乗っている。このあたりですでになかなか工夫が見られる(原作に由来するものだが)。そこに集まるワケありのデリヘル嬢が毎回主人公になって話が展開していくという作品である。
 今回このドラマを見てから原作マンガの第1巻と第2巻も読んでみたが、どのエピソードも非常によくできていて、しかも現代社会の貧困や庶民の苦しみが描かれている。作画も丁寧で、全編に余韻が漂う快作である。デリヘル嬢がどれもそこそこ不細工なのもリアルである。
b0189364_19144034.jpg このドラマについては、その原作の味が活かされていながら、特にこの第1回はさらに一味加えられていて、原作を上回る仕上がりになった。テレビ東京の深夜ドラマ枠は、『アオイホノオ』『俺のダンディズム』など、結構な意欲作が多く、毎回期待を持たされる(裏切られることも多い)が、この作品もその期待に違わぬドラマになりそうである。第1回のゲスト・キャスト、内山理名も好演で、僕など、最後までこれが内山理名だと気付かなかった。非常に不幸な話だが、ドラマ版ではわずかな救いがあった。もちろん決して不幸な人たちが幸せになるというような単純な話ではなく、その辺がこの原作、そして(おそらく)ドラマの魅力でもある。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『貧乏まんが(本)』
竹林軒出張所『アオイホノオ (1)〜(6)(ドラマ)』
竹林軒出張所『俺のダンディズム (1)〜(3)(ドラマ)』
竹林軒出張所『LOVE理論(ドラマ)』
竹林軒出張所『終電バイバイ(2)〜(4)(ドラマ)』
竹林軒出張所『最貧困女子(本)』

by chikurinken | 2019-01-18 07:14 | ドラマ

『俺たちの旅 二十年目の選択』(ドラマ)

俺たちの旅 二十年目の選択(1995年・ユニオン映画)
脚本:鎌田敏夫
演出:齋藤光正
出演:中村雅俊、金沢碧、秋野太作、田中健、上村香子、岡田奈々、森川章玄、石井苗子、神田うの、左時枝、平泉成

元祖・同窓会ドラマ

b0189364_16202884.jpg 1975年代に日本テレビで放送された群像ドラマ、『俺たちの旅』は当時の若者たちの間で絶大な支持を得た。カースケ(中村雅俊)、オメダ(田中健)、グズ六(秋野太作)という3人の若者が同じアパートで同居し、あれやこれやの青春を繰り広げるというドラマで、僕自身は正直言ってそんなに面白いとは思わなかったが、成績優秀の同級生、ヤマナミ君が「『俺たちの旅』おもしろい!」と訴えていたのが印象に残っている。
 こういった人気を集めた群像ドラマであれば、当然「その後の姿」というのもドラマとして格好の素材になるわけで、そういう類の続編は他のドラマでもたびたび作られている。で、今回、最初の『俺たちの旅』放映から20年後に作られた『二十年目の選択』というタイトルの続々編(10年後バージョンもある)が放送されたんで、それを見たわけである。
 中身は、カースケ、オメダ、グズ六が40台になっており、それぞれエラくなっているという話で、それでもそれぞれ少しずつ問題を抱えていて人生に迷うというような風にストーリーは展開していく。ただし基本は、以前の登場人物が集まって過去を懐かしむというのが話の芯の部分になる「同窓会ドラマ」である。したがってオリジナルの『俺たちの旅』にかなりの思い入れがない限り、大して面白くはない。ストーリーもバカバカしくて惹かれる部分はあまりない。随時70年代のフォーク音楽が流れるのもいかにも「同窓会ドラマ」という感じがして片腹痛い。
 脚本は鎌田敏夫で、これはオリジナル版と共通である(『俺たちの旅』が鎌田敏夫作だということはまったく知らなかった)。鎌田敏夫は『男女七人夏物語』みたいな同様の群像ドラマも書いていて、しかもあのドラマでもこういった類の同窓会ドラマが作られたように記憶しているが、そうすると鎌田敏夫は群像同窓会ドラマの巨匠なのか。しかもどの作品も、浅くて面白味がないという点も共通している(あくまで個人の感想です)。それでも当時世間ではこういったドラマが人気を集めていたわけで、(僕から見ても)ブラウン管を濁す程度の役割は十分果たしていた。ということであれば僕がことさらいろいろ言う必要もないんだろう。ただこのドラマについては、取って付けたようなシーンが多い上、セリフに面白味がないとか気恥ずかしいセリフが多かったりとか、そういうことは見ていて感じたんで、それについてはここで書いておこうかなと思った次第である。
★★★

参考:
竹林軒出張所『舞踏会の手帖(映画)』
竹林軒出張所『わたしのペレストロイカ(ドキュメンタリー)』

by chikurinken | 2018-11-24 07:20 | ドラマ