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竹林軒出張所

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カテゴリ:ドラマ( 223 )

『花へんろ 風の昭和日記 総集編』(ドラマ)

花へんろ 風の昭和日記 - 第一章、第二章、第三章総集編
(1985〜88年・NHK)
演出:深町幸男他
脚本:早坂暁
出演:桃井かおり、河原崎長一郎、加藤治子、藤村志保、沢村貞子、中条静夫、小林亜星、樹木希林、森本レオ、佐藤友美、小倉一郎、永島暎子、イッセー尾形、三田村邦彦(語り:渥美清)

十分の一の総集編

b0189364_19574791.jpg 先頃脚本家の早坂暁が亡くなったためか、代表作『花へんろ』の「特別編」というドラマが製作され、先日(18年8月)放送された(僕自身はまだ見ていない)。それに合わせて過去NHKで放送された『花へんろ』の第一章から第三章までがまとめて放送された。「まとめて放送」といっても、元々は各章45分×6回(第一章のみ7回)分のドラマであり、これをすべて放送するとなると放送する方も見る方も大変という判断だったのか、なんと各章を30分にまとめたダイジェスト版が放送されたのだった。つまり855分がなんと90分になっているわけで、ほぼ十分の一。まさにスーパー・ダイジェストである。
 僕自身は放送時『花へんろ』を見ていないため、DVDで見ようと思い図書館で借りたこともあるが、なんせ長いので結局見ずに返したことがたびたびあった。たださすがに十分の一のダイジェストを最初に見てしまうというのも少々気が引ける……。というわけで少し悩んだのだが、これは見て正解だった。非常によくできた面白いドラマであることがわかる。しかもダイジェストで展開がやたら早いので、まったく飽きることがない。もちろん、物足りない箇所、というか、見ていて辻褄が合わない(ように思える)箇所があるんだが、かなりの分量がカットされていることを考えるとこれも致し方ないところである。
 このドラマ、早坂暁の自伝的作品であるため、早坂暁にとっても畢竟の代表作と言っても良かろう。内容も非常に重厚で、全編反戦思想が貫かれている。また主演の桃井かおりにとっても畢竟の代表作と言える。特に若い頃の桃井かおりは、破天荒な性格の役柄が多くて、なかなか好きになれなかったが、こういう重厚な役柄もできるのかと今回あらためて感心した。それにキャストが超豪華なのも驚きである。また随所に俳句が入るのも味がある。ドラマ的な起伏もあり、非常によくできたシナリオで、この作品も80年代を代表する名作ドラマに数えられるのではないかと思う。
 今回総集編をすべて見終わって、これはやはり全編しっかり見るべき作品であったかなと感じる。とは言え、今回ダイジェストで見なかったら、一生見る気が起こらなかったかも知れないんで、総集編を見たこと自体はまったく後悔することはない。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『ダウンタウンヒーローズ(映画)』
竹林軒出張所『冬の花火 わたしの太宰治 (1)〜(13)(ドラマ)』
竹林軒出張所『刑事(ドラマ)』
竹林軒出張所『修羅の旅して(ドラマ)』

by chikurinken | 2018-08-20 07:57 | ドラマ

『ボクの就職』(1)〜(12)(ドラマ)

ボクの就職(1994年・TBS)
演出:大岡進、山口恒成、戸高正啓
脚本:竹山洋
出演:緒形直人、渡瀬恒彦、かたせ梨乃、伊東四朗、水島かおり、忌野清志郎、茅島成美、土屋久美子、白島靖代、竹野内豊、大森嘉之、小野武彦、斉藤洋介、渡辺真紀子、住田隆

魅力的なキャラクターが光る

b0189364_17561935.jpg 割合ありきたりの設定のホーム・ドラマではあるが、しかしキャラクターが非常にうまく描かれていることから、出色のドラマに仕上がっている。今回見るのは初回放送時、再放送時に続いて3回目だが、おかげで今回も十分楽しめた。
 主人公は新卒でレトルト食品企業に入社した若手営業マン(緒形直人)で、エリート銀行員の父との確執や、会社での理不尽な扱い、営業マンとしての奮闘努力がストーリーの中心になる。一種のサクセス・ストーリーであるが、全編に渡り笑いの要素がある他、あちこちに見所がある。同時入社の2人が要領の良いエリート(竹野内豊)と体育会系(大森嘉之)で、2人とも立ち回りがうまく、その点主人公がいろいろなところで出遅れたりするのも、見ていて非常に身につまされる設定で、多くの視聴者の共感を呼ぶと思う。知らないうちに社内の派閥抗争に巻き込まれたりというのも、非常にありがちである。そう言えば緒形直人、かつてNHKの『新橋烏森口青春篇』でも似たようなサラリーマン役を好演していた。当時の緒形直人、新人サラリーマンにうってつけの役者だったのかも知れない。
 緒形直人の他、渡瀬恒彦、かたせ梨乃、伊東四朗あたりの主演クラスはどれも素晴らしい演技で言うまでもないが、周りの脇役も味のある良い演技をしている。中でも異色なのは忌野清志郎で、主人公の義理の兄を演じている。このキャラクター、社会にあまり適用できないタイプで、いつも義理の父に怒られてばかりいる。ほぼ毎回「申しわけありません」というセリフが口から出てくる。結局はミュージシャンとして生きていくことを決意するんだが、そういう設定であるため、番組の中でも清志郎の生歌がかなり出てくる。最後の最後には、テーマ曲の「サラリーマン」を(ザ・タイマーズのメンバー、三宅伸治・川上剛・杉山章二丸らと)ライブで歌うという味のある趣向もある。最初の放送時にこのドラマを見た時、僕自身、忌野清志郎のことをあまり知らなかったため、てっきりこのドラマのキャラクターのようなだめ人間かと思っていたほどで、それを考えるとこのドラマの清志郎は名演技と言えるかも知れない(ただしセリフはやや棒読みである。存在感は抜群であるが)。
 後半はやや無理やりなストーリー展開になるが、演出やシナリオがよくできていて、ドラマ的な面白さもふんだんに盛り込まれている。何より完成度が高く質が高い。なかなかこれだけの完成度を持ったドラマはないと思うんだが、残念ながらDVDは発売されていない。
 今回、BS-TBSという冴えない民放BS局で3週間に渡って放送されたものを見たんだが、毎度ながら、民放BS局はもう少しこの手の国内ドラマを放送したら良いのにと思う。民放BS局のラインナップと言えば、チープな韓国ドラマと通販番組ばかりで、これで放送局としての存在価値があるのかと思わせられるようなものばかりである。BS-TBSについて言えば、7月はこの番組の他、ビートたけしが主演した名作、『大久保清の犯罪』も放送していて、少しは悪しき風潮を見直す機運が出てきたかと感じているが、この傾向がいつまで続くかはわからない。
★★★★

追記:
 なおこのドラマ、タイトルバックも秀逸である。あまりに面白いんで、僕は毎回見た(普通のドラマでは大体飛ばすんだが)。日本の美術作品(浮世絵や若冲など)がふんだんに使われていて(意図はよくわからないが)やたらゴージャス感があり、しかも上品なユーモアもある。何より、登場人物が主人公の目線から見た役割ごとにまとまって出てくるため、回数が進んでいくうちに味わいが増してくる。ちなみにこのタイトルバック、ザ・テレビジョン第1回ドラマアカデミー賞タイトルバック賞というよくわからない賞を受賞したらしい。

参考:
竹林軒出張所『こんな歌もあります--「原発賛成音頭」』

by chikurinken | 2018-07-22 07:55 | ドラマ

『白鯨』(ドラマ)

白鯨 前編・後編(2010年・独襖)
監督:マイク・バーカー
原作:ハーマン・メルヴィル
脚本:ナイジェル・ウィリアムズ
撮影:リチャード・グレートレックス
出演:ウィリアム・ハート、イーサン・ホーク、チャーリー・コックス、ジリアン・アンダーソン、エディ・マーサン

『白鯨』見るなら、これ

b0189364_19505971.jpg アメリカ文学『白鯨』のドラマ化作品。ドラマ化といっても、手間も金もかかっており、まったく映画と遜色ない。劇場公開されてもまったく違和感はない。キャストも映画人が揃っている。ただし、監督のマイク・バーカーはドラマの人で、このドラマの前年に『シーウルフ』という海洋ドラマを作っている。この2本のドラマ、どちらも舞台が海で、しかもスタッフがかなり共通しているんで(DVDのジャケットもそっくり)、もしかしたら合わせ技で2本まとめて作ったのかも知れない。
 『白鯨』については、以前グレゴリー・ペックがエイハブ船長を演じている1956年作の映画をテレビで見たことがあるが、エイハブ船長の狂気ばかりが強調されているようであまり良い印象は持たなかった。このドラマ版では、エイハブ船長は多少狂気がかってはいるが、しかし行動に整合性がとれていて、船員たちとの葛藤もしっかり描かれている。また、詩的な表現もところどころにあり、原作の味がかなり残されているのではないかと感じた(原作は読んでいないので詳細はわからない)。
b0189364_18193495.jpg それに何より、帆船や海、クジラなどの映像表現が素晴らしく、非常にリアルな映像が展開され、それがこのドラマの大きな魅力になっている。CGを多用しているのではないかと思うが、CG映像に往々にして見られるような違和感はほとんどない。また当時の風俗がしっかりと描かれているなど、細かい部分にも目が行き届いていて、ドラマ化作品としてはかなり水準が高いのではないかと感じる。何よりインパクトのある表現が随所にあって、そういう一つ一つのシーンが記憶に残る。そういう意味でも、優れた映像化作品と言えるのではないかと思う。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『クロムウェル 英国王への挑戦(映画)』
竹林軒出張所『レ・ミゼラブル (1)〜(4)(ドラマ)』
竹林軒出張所『チャタレイ夫人の恋人(1993年ドラマ版)(ドラマ)』

by chikurinken | 2018-07-20 07:49 | ドラマ

『新十郎捕物帖 快刀乱麻』(25)(ドラマ:音声のみ)

新十郎捕物帖 快刀乱麻
第25話 空手の約束は空手形
(1973年・朝日放送)
演出:西村大介他
原作:坂口安吾
脚本:佐々木守他
出演:若林豪、池部良、花紀京、河原崎長一郎、植木等、野川由美子、尾藤イサオ、志摩みずえ

音声だけでも十分楽しめます

b0189364_928133.jpg 1973年に朝日放送系列で放送された『新十郎捕物帖 快刀乱麻』第25話「空手の約束は空手形」の音声がYouTubeにアップロードされており、今回時間ができたので聴いてみた。
 前にも書いたが、『新十郎捕物帖 快刀乱麻』は、最終回以外映像が残っておらず、よほどのことがない限り見ることはできない。ところが、かつて第21話「鳥と鳥とをとりちがえ」と第23話「唐獅子牡丹に血汐がボタン」の音声がYouTubeで公開されていたことから、これを聴くことができ、音声だけでも雰囲気は味わえるということがわかった。ただしどちらも、ドラマの中の一部であったため(第23話の方はわずか4分35秒)、本当に「雰囲気のみ」という感じである。ところが、前の2話をアップロードしていたのと同じ人(ASKDFHJOEIHというお方)が、その後、第25話もアップロードしたようで、今回聴いたのはこれということになる。しかもこの25話については、ほぼ全編収録されている。間のCMも入っているというおまけ付きで、今聴くと当時のCMも非常に新鮮である。ただ音声だけであるため、ほとんどラジオドラマみたいなものである。
 ストーリーは基本的に殺人事件の謎解きに終始するが、それを繋ぐ人物関係がなかなかコントめいていて楽しい。中でも勝海舟(池部良)、泉山虎之介(花紀京)、海舟の愛人である小糸(志摩みずえ)の掛け合いが秀逸である。おそよ(野川由美子)とそれを取り巻く中年男たち(花紀京、河原崎長一郎、植木等)の関係性も面白い。こういうところがこのドラマの一番の魅力だったんだろうとあらためて感じた。
 それから名物のストップ・モーションもあり(竹林軒出張所『内田喜郎と快刀乱麻』を参照)、もちろん画像は見ることができないが、登場人物が「バンザーイ」と叫ぶシーンで笛が鳴って、ドラマが停止し、佐藤慶の「万歳」についての解説が入る。なんでも「万歳」は元々「まんさい」と読まれていて、「ばんざい」と読むようになったのは、仮名垣魯文の『高橋阿伝夜刃譚』に「万歳」と書いて「ばんざい」とフリガナが付けられているのが最初で、これが我が国の「ばんざい」の始まり。この読みが一般化したのは帝国憲法発布式典のときからで、ちなみに「まんさい」を「ばんざい」と読むようにしたのは外山正一博士の発案だというような豆知識が披露される。ウーン、勉強になる。
 いずれにしても、終始楽しい雰囲気が漂っており、ミステリーで、ともすればおどろおどろしくなるようなストーリーでありながら、少し抜けた三枚目的な人物が緩和剤になって、面白い味を醸し出している。それに舞台が明治時代というのもユニークである。すでに映像も残っていないんであるから、これなどリメイクに持って来いの素材だと思うがどうだろう。もちろん、今の時代に合うかとか今の視聴者がこれを楽しめるかとか、そういったことについては、当方は一切関知しないからそのつもりで。
★★★☆

参考:
YouTube『快刀乱麻 第25話 空手の約束は空手形 前半』
YouTube『快刀乱麻 第25話 空手の約束は空手形 後半』
竹林軒出張所『「快刀乱麻」を聴く』
竹林軒出張所『内田喜郎と快刀乱麻』
竹林軒出張所『明治開化 安吾捕物帖(本)』

by chikurinken | 2018-07-02 07:33 | ドラマ

『おいしいコーヒーのいれ方Ⅰ』(ラジオドラマ)

おいしいコーヒーのいれ方Ⅰ〜キスまでの距離〜
(1997年・NHK)
NHK-FM 青春アドベンチャー
演出:千葉守
原作:村山由佳
脚色:佐藤ひろみ
出演:内田健介、長谷川真弓、大高洋夫

気恥ずかしくて聴いてられない

b0189364_09044638.jpg ラジオドラマを紹介している某サイトで非常に高い評価が付いていたために聴いてみた。ちなみにこのサイトでの『日本の異様な結婚式について』の評価はかなり低かったため、『日本の異様な結婚式』をはるかに超えるという(もちろん個人的な評価ではあるが)ラジオドラマに関心を持ったわけである。それにこのドラマ自体一般に人気があるようで、YouTubeでも公開されている。今回時間があったため、良い機会だと思って聴いてみたのだった。
 原作は、村山由佳という人のライトノベル(!)で、ストーリーははなはだありきたり。主人公の高校生が、年上のいとこ(美女)と同居するハメになり、当初は親戚かと思っていたが実は二人に血のつながりがなかったというふうに話が進む。その後、主人公はこの美女とあれやこれやあって恋愛関係になるという展開で、ストーリーを聴くと、我々世代は思わず苦笑してしまうような、おそろしく使い古されたご都合主義の素材であった。また演出も(若者の恋愛を描くということもあり)はなはだ気恥ずかしいもので、中高生ならいざ知らず、我々のようなオヤジにはどうにもこれはいただけない。もう少し抑えた演出でなければ聴くに堪えないという代物である。
 僕が今回聴いたのは1時間ちょっとに編集されたバージョンで、前後の部分を削ってうまいこと編集してあった素材だが、元々これはNHK-FMの『青春アドベンチャー』の枠で全5回で放送されたものらしい。放送当時これを聴いていたとしても、さすがに第1回を聴いてから第2回以降も続けて聴きたいとは決して思わなかっただろうと思う。ドラマや映画の感じ方なんか要するに人それぞれであり、他人が高い評価を付けたからといってそれが僕にとってあるいは万人にとって面白いとは限らないということ、今回、そのことにあらためて気付かされることになった。ラノベとか恋愛ものとか、恥ずかしいものとかが好きな人には良いだろうが、僕みたいなすれっからし人間には決して受け入れられない作品である。
★★★

参考:
竹林軒出張所『さらば国分寺書店のオババ(ラジオドラマ)』
竹林軒出張所『日本の異様な結婚式について(ラジオドラマ)』

by chikurinken | 2018-06-30 09:05 | ドラマ

『阿修羅のごとく パートⅡ』(1)〜(4)(ドラマ)

阿修羅のごとく パートⅡ (1)〜(4)(1980年・NHK)
演出:和田勉、富沢正幸
脚本:向田邦子
出演:八千草薫、加藤治子、風吹ジュン、露口茂、いしだあゆみ、佐分利信、荻野目慶子、菅原謙次、三條美紀、大路三千緒、宇崎竜童、萩尾みどり、深水三章

もはやほとんど連続ドラマである

b0189364_18214278.jpg 1979年にNHKで放送された『阿修羅のごとく』の続編。『阿修羅のごとく』は、あれはあれで完結していたので、続編が必要かとどうかは微妙なところではあるが、必要でなくても好評であれば作るのがドラマのあり方。というわけで、何だか連続ドラマみたいなノリで、パートⅡが作られた(ようだ)。
 いろいろな設定は前のところからそのまま踏襲されており、同じようなゴタゴタがパートⅡでも続く。違いと言えば四女(風吹ジュン)夫妻がにわか金持ちになっている点で、それが原因で三女(いしだあゆみ)との間でいろいろゴタゴタする。姉妹ってのはめんどくさいなと思わせるようなストーリー展開である。
 キャストは概ね一緒だが、次女(八千草薫)の夫と娘が変わっている。前回は夫は緒方拳だったが今回は露口茂で、そのために軽さが軽減し、雰囲気が大幅に変わった。ほとんど「ヤマさん」である。娘は、名前が出る前の若々しい荻野目慶子が演じていて、なかなか新鮮である。相変わらず宇崎竜童が好演だが、四姉妹の演技も非常に自然で、前作以上に魅力を増している。向田邦子らしい面白いセリフもあって、ドラマとしてこなれてきているような印象がする。このシリーズも第1シリーズ同様、まだまだ続きそうな勢いで、向田邦子、もしかしたらパートⅢも書くつもりでいたのか(『パートⅢ』はないようだ)。やはり音楽とタイトルバック、そしてタイトル自体が秀逸で、このドラマの独特の雰囲気を規定している。このあたりは前シリーズと同様であるが、今回は各回のタイトルもなかなか面白味があって良かった。そういうところも含め、やはり「こなれた」という印象が強い。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『阿修羅のごとく(ドラマ)』
竹林軒出張所『阿修羅のごとく(映画)』
竹林軒出張所『胡桃の部屋 (1)〜(3)(ドラマ)』
竹林軒出張所『あ・うん (1)〜(4)(ドラマ)』
竹林軒出張所『思い出トランプ(ドラマ)』
竹林軒出張所『寺内貫太郎一家 (22)(ドラマ)』
竹林軒出張所『花の名前 向田邦子漫画館(本)』
竹林軒出張所『父の詫び状(本)』

by chikurinken | 2018-06-15 07:21 | ドラマ

『終りに見た街』(1982年版)(ドラマ)

終りに見た街(1982年・テレビ朝日)
演出:田中利一
原作:山田太一
脚本:山田太一
出演:細川俊之、中村晃子、なべおさみ、菊地優子、山越正樹、酒井晴人、ハナ肇、樹木希林、蟹江敬三

「終りに見た夢」じゃなかったのか

b0189364_21054014.jpg 山田太一のファンタジー小説をドラマ化した作品。脚本も山田太一。
 この作品は、1982年にテレビ朝日で作られたものだが、リメイク版が2005年に同じ局で作られており、僕はかつてそちらで見た(竹林軒出張所『「早春スケッチブック」、「夕暮れて」など(ドラマ)』参照)。内容は、両方でほとんど同じという印象で、キャストや映像、道具立てが違っているくらいではないかと思う。キャストについても、当然それぞれで異なるが、どちらも同じようなキャラクターで一貫しており、このあたりは脚本家の意向がかなり働いていると見た。しかしこれだけ完璧に作り直すんだったら、あまりリメイクの意味はないんじゃないかなどと逆に考えたりする。もっともこの82年版『終りに見た街』の映像が残っているかどうかはわからないわけで、残っていないんだったら、こういう類のリメイクの意味あいは十分あることになる。しかし82年という時代を考えれば残っているような気がする。なんせ当時は家庭用ビデオデッキが流通していたんだから。今回見たのも、YouTubeにアップロードされていたもので、元々は家庭用デッキで録画されたもののようである。画質はかなり悪いが、現実にテレビ朝日が山田ドラマをDVDなどの形式で発売していないし放送もしないんだから、仕方がない。見れるだけありがたいというものである。
 先ほども言ったように、前に見たリメイク版とかなり似ているため、取り立てて違う感想はないのだが、しかし今回見てみた感じでは、前回見たときのような解釈で良いのか、少しわからなくなった。というのも、ラストシーンが、中間部(つまり戦時中のシーン)からそのまま継続して流れているため(主人公の髪型、格好などが共通している)、大どんでん返しオチではなくなる。そうすると、一種のパラレル・ワールドみたいな意味あいになるのか。2005年版でラストシーンがどうなっていたかあまり憶えていないのでなんだが、そのあたりがよくわからない。クエスチョンがいろいろと残る作品だった。個人的には、大どんでん返しオチにして「終りに見た街」ならぬ「終りに見た夢」にした方が絶対に面白いとは思うが。リメイク版を見たとき唯一最後のオチで救われたような作品だったのに、今回それが欠けていると感じたため、面白さも中位なり……という感じで終わってしまった。何より、疑問ばかりが頭の中に残って大層気分が悪い。
1982年度テレビ大賞優秀番組賞受賞
★★★

参考:
竹林軒出張所『「早春スケッチブック」、「夕暮れて」など(ドラマ)』
竹林軒出張所『山田太一のドラマ、5本』
竹林軒出張所『続・山田太一のドラマ、5本』

by chikurinken | 2018-06-14 07:05 | ドラマ

『日本の異様な結婚式について』(ラジオドラマ)

NHK-FMふたりの部屋
『気分はだぼだぼソース』より
日本の異様な結婚式について (1)〜(10)
(1982年・NHK)
原作:椎名誠
脚本:津川泉
演出:大沼悠哉
出演:伊武雅刀、佐々木允、島津冴子

トモコ、しやーわせ。チクリンは?

b0189364_18454184.jpg 以前、このブログ(竹林軒出張所『さらば国分寺書店のオババ(ラジオドラマ)』を参照)で「『日本の異様な結婚式について』の方ももう一回聴いてみたいが、現状ではYouTubeにはない。」と書いたが、最近、このラジオドラマ版『日本の異様な結婚式について』がYouTubeにアップロードされた。この情報をくださったのはガッテムさんというお方で、なんでもラジオドラマ『さらば国分寺書店のオババ』をアップロードした人だということ。ブログで当方のことを知ったらしく、メール経由で『日本の異様な結婚式について』が出てるヨと教えてくれた。しかも第2話が欠けているという情報まで。さらに言えば、第2話を聴ける方法まで教えてくれた(音声はそちらの方がクリアだった)。何から何までありがたい。ブログをやっていて良かった、つくづく良かったと思う春の日の午後三時。この場を借りてあらためてお礼を申し上げます。本作をYouTubeにアップロードしてくれた「永遠製作所」という方にもお礼を。
 そういうわけで、あの『日本の異様な結婚式について』を35年ぶりに聴くことができたのだった。もちろんこれも原作はすでに読んでいて、原作自体は、『かつをぶしの時代なのだ(本)』のところで書いたようにあまり良い印象はなかった。だからと言って、このラジオドラマの価値が下がることはないのだ。元々、このラジオドラマが僕自身にとっての椎名誠の始まりだったのであるからして。
 さてこのドラマは、『気分はだぼだぼソース』の後半部、「日本の異様な結婚式について」を15分×10回で放送するというもので、出演は伊武雅刀、佐々木允、島津冴子の3人、脚本も津川泉ということでラジオドラマ版『さらば国分寺書店のオババ』とほとんど同じである。出演の女性役が島津冴子に変わったところが異なるが、この人、大変素晴らしい演技で、伊武雅刀の怪演と相まって、ドラマのデキは極上である。特に結婚当事者の男女、ヨシオとトモコが、「トモコ、しやーわせよ。ヨシオは?」、「ヨシオもしやーわせ。トモコは?」、「トモコもしやーわせよ。ヨシオは?」と続くこのくだりは最高である。尚その後、椎名誠役の伊武雅刀が「いいかげんにしろっ!」などと続けるのも良い。このあたりだけでも10回ぐらい聴きたい。
 何だか最近、「もいっかい聴きたい、見たい」と思っていたものが、インターネットのおかげか、結構聴いたり見たりできるようになってきて、思い残すことが少なくなってきた。もしかして僕自身の終わりが近いってことか? YouTubeには『快刀乱麻』第25話の音声版もアップロードされたようで、まだ聴いていないがこちらも楽しみである。
★★★★

参考:
YouTube『日本の異様な結婚式について1』
竹林軒出張所『さらば国分寺書店のオババ(ラジオドラマ)』
竹林軒出張所『かつをぶしの時代なのだ(本)』
竹林軒出張所『「快刀乱麻」を聴く』
竹林軒出張所『新十郎捕物帖 快刀乱麻 (25)(ドラマ:音声)』
竹林軒出張所『『おいしいコーヒーのいれ方Ⅰ』(ラジオドラマ)』

by chikurinken | 2018-06-12 07:45 | ドラマ

『阿修羅のごとく』(1)〜(3)(ドラマ)

阿修羅のごとく (1)〜(3)(1979年・NHK)
演出:和田勉、高橋康夫
脚本:向田邦子
出演:八千草薫、いしだあゆみ、加藤治子、風吹ジュン、緒形拳、佐分利信、大路三千緒、菅原謙次、宇崎竜童、三條美紀

向田邦子の出世作
特異な世界を持つドラマ


b0189364_17075206.jpg 1979年にNHK『土曜ドラマ』の「向田邦子シリーズ」として放送されたドラマ。当時からかなり話題になっており、言ってみれば向田邦子の名前が世に出た作品ではないかと思う。
 初回放送時僕は見ていないが、当時からかなり話題になっていたことは記憶にあり、特にテーマ音楽が特異で(ドラマを見ていないにもかかわらず)メロディが永らく記憶に残っていた。トルコの陸軍行進曲の「ジェッディン・デデン」という曲なんだが、よくこの曲を選んだなというようなかなり毛色の変わった曲である。タイトルの「阿修羅のごとく」とこの曲でこのドラマの成功は約束されたようなもので、この2つがドラマの性格、雰囲気を特徴付けている。ちなみにこの曲、『トルコの軍楽』というCDで聞くことができる。
 ストーリーは、ホームドラマの延長で、さして大きな事件は起きない。ただ、当時の一般的なホームドラマのように毒にも薬にもならないような軽ーい話ではなく、人の中の闇が明らかにされるようなちょっと毒を含んだような話(ということは毒にはなっているわけだ)で、あまり愉快になるような話ではない。主人公は4人姉妹で、彼女らの70歳の父親に不倫相手がいたということが発覚することから話が始まる。一方でそれぞれの4人姉妹も恋愛問題を抱えており、そのうち3人の恋愛は不倫と関係していて、四者四様の不倫問題があぶり出されていくというストーリー。
 このドラマ、20年ほど前に一度見ているが、ストーリーはほとんど忘れていたのだった。とは言え、身辺描写みたいなものが主で、ドラマチックな展開が少ないことを考えると、それも十分納得がいく。今回もいずれ近いうちにストーリーは忘れるかも知れないが、印象的なシーンやセリフがあるため、そういうものは頭に残るんではないかと思う。そういう意味では、このドラマ、ストーリーを超えた(つまりストーリーだけに留まらない)ドラマということで、やはりテレビドラマとしてはかなり特異な存在である。それは間違いない。
b0189364_17084715.jpg キャストは、今考えると超豪華で、しかも芸達者な役者ばかりである。中でも(当時まだ俳優というよりミュージシャンだった)宇崎竜童が好演で、ベテラン俳優を相手に丁々発止の見事な演技を展開している。セリフについては、(男には気が付かない)女性的視点が際立ったようなものが多く、男の目からは(少なくとも僕の目からは)なかなかセリフの魅力に気が付かない。セリフでストーリーを前にどんどん動かしていくというより、世間話みたいなセリフが非常に多く、セリフの面白さがわからなければ退屈するかも知れない。そういう点でも女性的な感じがする。家事や食事のシーンが多いのも向田作品に特有で、そういうことを考え合わせると、女性受けが良いドラマではないかと思う。前見たときは、あまり良さがわからなかったし、今もどの程度、このドラマの女性的感性の魅力に気付いているか(我ながら)疑問である。いずれにしても、向田邦子自体、ドラマ史の中ではかなり特異な存在であることは間違いあるまい。
★★★☆

追記:
 この時代のドラマの特徴だが、例によってドラマ内で何度も鳴る(当時の)電話の音がけたたましい。だが、電話の呼び出し音が「ジェッディン・デデン」の最初の音と同じ音程で、もしかしてそういう発想でこの曲を選んだのかと勘ぐってしまった。なお電話は、このドラマではかなり重要なモチーフになっている。

参考:
竹林軒出張所『阿修羅のごとく パートⅡ (1)〜(4)(ドラマ)』
竹林軒出張所『阿修羅のごとく(映画)』
竹林軒出張所『胡桃の部屋 (1)〜(3)(ドラマ)』
竹林軒出張所『あ・うん (1)〜(4)(ドラマ)』
竹林軒出張所『思い出トランプ(ドラマ)』
竹林軒出張所『寺内貫太郎一家 (22)(ドラマ)』
竹林軒出張所『花の名前 向田邦子漫画館(本)』
竹林軒出張所『父の詫び状(本)』

by chikurinken | 2018-05-05 07:07 | ドラマ

『あ・うん』(1)〜(4)(ドラマ)

あ・うん (1)〜(4)(1980年・NHK)
演出:深町幸男、渡辺丈太
脚本:向田邦子
出演:フランキー堺、杉浦直樹、吉村実子、岸本加世子、志村喬、岸田今日子、池波志乃、殿山泰司

ライターの作家性が存分に発揮されたドラマ

b0189364_22010329.jpg 向田邦子の代表作ドラマ。1980年にNHKの『ドラマ人間模様』の枠で放送された。向田邦子は少し前にNHKで『阿修羅のごとく』を発表しており、この作も『阿修羅のごとく』と同様に作家性の強い作品である。当時シナリオライターの作家性が重要視され始めた時代で、エンタテイメントのみではない、こういった文学的な作品も頻繁に放送されるようになっていた。
 文学的な要素は各回の副題にも反映されており、第一回「こま犬」、第二回「蝶々」、第三回「青りんご」、最終回「弥次郎兵衛」と象徴的なタイトルが並んでいる。優れた作家が自身の書きたいものを書ける、こういった環境があるということは、単に作家側だけでなく、視聴者側にとっても大変ありがたい有意義なことで、文学的要素を持つこういったドラマが作れない昨今の状況ははなはだ寂しい限りである。
 とはいうものの、エンタテイメントの要素がかくも少ないと、連続で見続けるというのが少々苦痛で、今回BSでまとめて放送されたものを録画して見たんだが、全部見終わるのにかなり時間がかかったのだった。見ていて面白いし質が高いのもよくわかるが、続きを見ようという食指が動かない。僕は放送時にこのドラマを見ていないが、たとえ第1回目を見ていたとしても、おそらく続けて見なかったんじゃないかと思う。
 向田はその後、TBSでもこういった単発ドラマを続けて発表していくんだが、こういった作品についても、DVDで見られる環境にはあるが実際のところなかなか見ようという気にならない。向田作品自体が、あまり僕の好みではないのだろう。評価はするが好みは別ということである。
b0189364_22011369.jpg さてこのドラマ、若い娘の視点で、昭和初期(昭和十年代)のとある家族の肖像を描くというもので、そのあたりは後のTBSの単発向田ドラマ群とも共通するテーマである。父(フランキー堺)、それからその父と異常なほど仲の良い男(杉浦直樹)の関係と、その父の友人が実は母(吉村実子)に思いを寄せているというような人間関係が描かれる。まさに「人間模様」のドラマである。同時に山師の祖父(志村喬)が出てきて家族を翻弄する他、主人公の娘自身も帝大の学生と付き合うようになるなど、家族模様が少しずつ動いていく様子が、非常に細やかに描かれていく。娘の視点であるため、ナレーションは娘役の岸本加世子が行っているが、ため息交じりみたいな切ない語り口で実に良い味を出している。岸本加世子は演技も秀逸で、このドラマの大きな魅力になっている。演技については他の面々も同様に上質で、テレビ・ドラマのレベルでは最高水準と言える。この時代のドラマのすごさがよくわかるというものである。
b0189364_22022123.jpg 全編バロック音楽が流れるが、テーマ曲はあの暗い「アルビノーニのアダージョ」。このドラマの雰囲気を規定している。この音楽の暗さがこのドラマに合っているかどうかは何とも言えないが、岸本加世子の語りも同じような雰囲気なので、作り手側はこういった雰囲気を求めていたのではないかと思われる。
 なおこの『あ・うん』だが、1989年に映画化されて、主役の3人を板東英二、高倉健、富司純子が演じた(監督:降旗康男)。もっともあれは翻案に失敗したひどい作と言える。僕は映画版しか見ていなかったために、ドラマ版も今まであまり見る気になれなかったが、ドラマ版の方が断然優れている。だが優れていたとしても、好きかどうかは先ほども言ったようにまた別の話なのである。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『父の詫び状(本)』
竹林軒出張所『阿修羅のごとく(ドラマ)』
竹林軒出張所『阿修羅のごとく パートⅡ (1)〜(4)(ドラマ)』
竹林軒出張所『寺内貫太郎一家 (22)(ドラマ)』
竹林軒出張所『思い出トランプ(ドラマ)』
竹林軒出張所『胡桃の部屋 (1)〜(3)(ドラマ)』
竹林軒出張所『阿修羅のごとく(映画)』
竹林軒出張所『花の名前 向田邦子漫画館(本)』

by chikurinken | 2018-05-03 07:00 | ドラマ