ブログトップ | ログイン

竹林軒出張所

chikrinken.exblog.jp

カテゴリ:ドラマ( 218 )

『阿修羅のごとく パートⅡ』(1)〜(4)(ドラマ)

阿修羅のごとく パートⅡ (1)〜(4)(1980年・NHK)
演出:和田勉、富沢正幸
脚本:向田邦子
出演:八千草薫、加藤治子、風吹ジュン、露口茂、いしだあゆみ、佐分利信、荻野目慶子、菅原謙次、三條美紀、大路三千緒、宇崎竜童、萩尾みどり、深水三章

もはやほとんど連続ドラマである

b0189364_18214278.jpg 1979年にNHKで放送された『阿修羅のごとく』の続編。『阿修羅のごとく』は、あれはあれで完結していたので、続編が必要かとどうかは微妙なところではあるが、必要でなくても好評であれば作るのがドラマのあり方。というわけで、何だか連続ドラマみたいなノリで、パートⅡが作られた(ようだ)。
 いろいろな設定は前のところからそのまま踏襲されており、同じようなゴタゴタがパートⅡでも続く。違いと言えば四女(風吹ジュン)夫妻がにわか金持ちになっている点で、それが原因で三女(いしだあゆみ)との間でいろいろゴタゴタする。姉妹ってのはめんどくさいなと思わせるようなストーリー展開である。
 キャストは概ね一緒だが、次女(八千草薫)の夫と娘が変わっている。前回は夫は緒方拳だったが今回は露口茂で、そのために軽さが軽減し、雰囲気が大幅に変わった。ほとんど「ヤマさん」である。娘は、名前が出る前の若々しい荻野目慶子が演じていて、なかなか新鮮である。相変わらず宇崎竜童が好演だが、四姉妹の演技も非常に自然で、前作以上に魅力を増している。向田邦子らしい面白いセリフもあって、ドラマとしてこなれてきているような印象がする。このシリーズも第1シリーズ同様、まだまだ続きそうな勢いで、向田邦子、もしかしたらパートⅢも書くつもりでいたのか(『パートⅢ』はないようだ)。やはり音楽とタイトルバック、そしてタイトル自体が秀逸で、このドラマの独特の雰囲気を規定している。このあたりは前シリーズと同様であるが、今回は各回のタイトルもなかなか面白味があって良かった。そういうところも含め、やはり「こなれた」という印象が強い。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『阿修羅のごとく(ドラマ)』
竹林軒出張所『阿修羅のごとく(映画)』
竹林軒出張所『胡桃の部屋 (1)〜(3)(ドラマ)』
竹林軒出張所『あ・うん (1)〜(4)(ドラマ)』
竹林軒出張所『思い出トランプ(ドラマ)』
竹林軒出張所『寺内貫太郎一家 (22)(ドラマ)』
竹林軒出張所『花の名前 向田邦子漫画館(本)』

by chikurinken | 2018-06-15 07:21 | ドラマ

『終りに見た街』(1982年版)(ドラマ)

終りに見た街(1982年・テレビ朝日)
演出:田中利一
原作:山田太一
脚本:山田太一
出演:細川俊之、中村晃子、なべおさみ、菊地優子、山越正樹、酒井晴人、ハナ肇、樹木希林、蟹江敬三

「終りに見た夢」じゃなかったのか

b0189364_21054014.jpg 山田太一のファンタジー小説をドラマ化した作品。脚本も山田太一。
 この作品は、1982年にテレビ朝日で作られたものだが、リメイク版が2005年に同じ局で作られており、僕はかつてそちらで見た(竹林軒出張所『「早春スケッチブック」、「夕暮れて」など(ドラマ)』参照)。内容は、両方でほとんど同じという印象で、キャストや映像、道具立てが違っているくらいではないかと思う。キャストについても、当然それぞれで異なるが、どちらも同じようなキャラクターで一貫しており、このあたりは脚本家の意向がかなり働いていると見た。しかしこれだけ完璧に作り直すんだったら、あまりリメイクの意味はないんじゃないかなどと逆に考えたりする。もっともこの82年版『終りに見た街』の映像が残っているかどうかはわからないわけで、残っていないんだったら、こういう類のリメイクの意味あいは十分あることになる。しかし82年という時代を考えれば残っているような気がする。なんせ当時は家庭用ビデオデッキが流通していたんだから。今回見たのも、YouTubeにアップロードされていたもので、元々は家庭用デッキで録画されたもののようである。画質はかなり悪いが、現実にテレビ朝日が山田ドラマをDVDなどの形式で発売していないし放送もしないんだから、仕方がない。見れるだけありがたいというものである。
 先ほども言ったように、前に見たリメイク版とかなり似ているため、取り立てて違う感想はないのだが、しかし今回見てみた感じでは、前回見たときのような解釈で良いのか、少しわからなくなった。というのも、ラストシーンが、中間部(つまり戦時中のシーン)からそのまま継続して流れているため(主人公の髪型、格好などが共通している)、大どんでん返しオチではなくなる。そうすると、一種のパラレル・ワールドみたいな意味あいになるのか。2005年版でラストシーンがどうなっていたかあまり憶えていないのでなんだが、そのあたりがよくわからない。クエスチョンがいろいろと残る作品だった。個人的には、大どんでん返しオチにして「終りに見た街」ならぬ「終りに見た夢」にした方が絶対に面白いとは思うが。リメイク版を見たとき唯一最後のオチで救われたような作品だったのに、今回それが欠けていると感じたため、面白さも中位なり……という感じで終わってしまった。何より、疑問ばかりが頭の中に残って大層気分が悪い。
1982年度テレビ大賞優秀番組賞受賞
★★★

参考:
竹林軒出張所『「早春スケッチブック」、「夕暮れて」など(ドラマ)』
竹林軒出張所『山田太一のドラマ、5本』
竹林軒出張所『続・山田太一のドラマ、5本』

by chikurinken | 2018-06-14 07:05 | ドラマ

『日本の異様な結婚式について』(ラジオドラマ)

NHK-FMふたりの部屋
『気分はだぼだぼソース』より
日本の異様な結婚式について (1)〜(10)
(1982年・NHK)
原作:椎名誠
脚本:津川泉
演出:大沼悠哉
出演:伊武雅刀、佐々木允、島津冴子

トモコ、しやーわせ。チクリンは?

b0189364_18454184.jpg 以前、このブログ(竹林軒出張所『さらば国分寺書店のオババ(ラジオドラマ)』を参照)で「『日本の異様な結婚式について』の方ももう一回聴いてみたいが、現状ではYouTubeにはない。」と書いたが、最近、このラジオドラマ版『日本の異様な結婚式について』がYouTubeにアップロードされた。この情報をくださったのはガッテムさんというお方で、なんでもラジオドラマ『さらば国分寺書店のオババ』をアップロードした人だということ。ブログで当方のことを知ったらしく、メール経由で『日本の異様な結婚式について』が出てるヨと教えてくれた。しかも第2話が欠けているという情報まで。さらに言えば、第2話を聴ける方法まで教えてくれた(音声はそちらの方がクリアだった)。何から何までありがたい。ブログをやっていて良かった、つくづく良かったと思う春の日の午後三時。この場を借りてあらためてお礼を申し上げます。本作をYouTubeにアップロードしてくれた「永遠製作所」という方にもお礼を。
 そういうわけで、あの『日本の異様な結婚式について』を35年ぶりに聴くことができたのだった。もちろんこれも原作はすでに読んでいて、原作自体は、『かつをぶしの時代なのだ(本)』のところで書いたようにあまり良い印象はなかった。だからと言って、このラジオドラマの価値が下がることはないのだ。元々、このラジオドラマが僕自身にとっての椎名誠の始まりだったのであるからして。
 さてこのドラマは、『気分はだぼだぼソース』の後半部、「日本の異様な結婚式について」を15分×10回で放送するというもので、出演は伊武雅刀、佐々木允、島津冴子の3人、脚本も津川泉ということでラジオドラマ版『さらば国分寺書店のオババ』とほとんど同じである。出演の女性役が島津冴子に変わったところが異なるが、この人、大変素晴らしい演技で、伊武雅刀の怪演と相まって、ドラマのデキは極上である。特に結婚当事者の男女、ヨシオとトモコが、「トモコ、しやーわせよ。ヨシオは?」、「ヨシオもしやーわせ。トモコは?」、「トモコもしやーわせよ。ヨシオは?」と続くこのくだりは最高である。尚その後、椎名誠役の伊武雅刀が「いいかげんにしろっ!」などと続けるのも良い。このあたりだけでも10回ぐらい聴きたい。
 何だか最近、「もいっかい聴きたい、見たい」と思っていたものが、インターネットのおかげか、結構聴いたり見たりできるようになってきて、思い残すことが少なくなってきた。もしかして僕自身の終わりが近いってことか? YouTubeには『快刀乱麻』第25話の音声版もアップロードされたようで、まだ聴いていないがこちらも楽しみである。
★★★★

参考:
YouTube『日本の異様な結婚式について1』
竹林軒出張所『さらば国分寺書店のオババ(ラジオドラマ)』
竹林軒出張所『かつをぶしの時代なのだ(本)』
竹林軒出張所『「快刀乱麻」を聴く』

by chikurinken | 2018-06-12 07:45 | ドラマ

『阿修羅のごとく』(1)〜(3)(ドラマ)

阿修羅のごとく (1)〜(3)(1979年・NHK)
演出:和田勉、高橋康夫
脚本:向田邦子
出演:八千草薫、いしだあゆみ、加藤治子、風吹ジュン、緒形拳、佐分利信、大路三千緒、菅原謙次、宇崎竜童、三條美紀

向田邦子の出世作
特異な世界を持つドラマ


b0189364_17075206.jpg 1979年にNHK『土曜ドラマ』の「向田邦子シリーズ」として放送されたドラマ。当時からかなり話題になっており、言ってみれば向田邦子の名前が世に出た作品ではないかと思う。
 初回放送時僕は見ていないが、当時からかなり話題になっていたことは記憶にあり、特にテーマ音楽が特異で(ドラマを見ていないにもかかわらず)メロディが永らく記憶に残っていた。トルコの陸軍行進曲の「ジェッディン・デデン」という曲なんだが、よくこの曲を選んだなというようなかなり毛色の変わった曲である。タイトルの「阿修羅のごとく」とこの曲でこのドラマの成功は約束されたようなもので、この2つがドラマの性格、雰囲気を特徴付けている。ちなみにこの曲、『トルコの軍楽』というCDで聞くことができる。
 ストーリーは、ホームドラマの延長で、さして大きな事件は起きない。ただ、当時の一般的なホームドラマのように毒にも薬にもならないような軽ーい話ではなく、人の中の闇が明らかにされるようなちょっと毒を含んだような話(ということは毒にはなっているわけだ)で、あまり愉快になるような話ではない。主人公は4人姉妹で、彼女らの70歳の父親に不倫相手がいたということが発覚することから話が始まる。一方でそれぞれの4人姉妹も恋愛問題を抱えており、そのうち3人の恋愛は不倫と関係していて、四者四様の不倫問題があぶり出されていくというストーリー。
 このドラマ、20年ほど前に一度見ているが、ストーリーはほとんど忘れていたのだった。とは言え、身辺描写みたいなものが主で、ドラマチックな展開が少ないことを考えると、それも十分納得がいく。今回もいずれ近いうちにストーリーは忘れるかも知れないが、印象的なシーンやセリフがあるため、そういうものは頭に残るんではないかと思う。そういう意味では、このドラマ、ストーリーを超えた(つまりストーリーだけに留まらない)ドラマということで、やはりテレビドラマとしてはかなり特異な存在である。それは間違いない。
b0189364_17084715.jpg キャストは、今考えると超豪華で、しかも芸達者な役者ばかりである。中でも(当時まだ俳優というよりミュージシャンだった)宇崎竜童が好演で、ベテラン俳優を相手に丁々発止の見事な演技を展開している。セリフについては、(男には気が付かない)女性的視点が際立ったようなものが多く、男の目からは(少なくとも僕の目からは)なかなかセリフの魅力に気が付かない。セリフでストーリーを前にどんどん動かしていくというより、世間話みたいなセリフが非常に多く、セリフの面白さがわからなければ退屈するかも知れない。そういう点でも女性的な感じがする。家事や食事のシーンが多いのも向田作品に特有で、そういうことを考え合わせると、女性受けが良いドラマではないかと思う。前見たときは、あまり良さがわからなかったし、今もどの程度、このドラマの女性的感性の魅力に気付いているか(我ながら)疑問である。いずれにしても、向田邦子自体、ドラマ史の中ではかなり特異な存在であることは間違いあるまい。
★★★☆

追記:
 この時代のドラマの特徴だが、例によってドラマ内で何度も鳴る(当時の)電話の音がけたたましい。だが、電話の呼び出し音が「ジェッディン・デデン」の最初の音と同じ音程で、もしかしてそういう発想でこの曲を選んだのかと勘ぐってしまった。なお電話は、このドラマではかなり重要なモチーフになっている。

参考:
竹林軒出張所『阿修羅のごとく パートⅡ (1)〜(4)(ドラマ)』
竹林軒出張所『阿修羅のごとく(映画)』
竹林軒出張所『胡桃の部屋 (1)〜(3)(ドラマ)』
竹林軒出張所『あ・うん (1)〜(4)(ドラマ)』
竹林軒出張所『思い出トランプ(ドラマ)』
竹林軒出張所『寺内貫太郎一家 (22)(ドラマ)』
竹林軒出張所『花の名前 向田邦子漫画館(本)』

by chikurinken | 2018-05-05 07:07 | ドラマ

『あ・うん』(1)〜(4)(ドラマ)

あ・うん (1)〜(4)(1980年・NHK)
演出:深町幸男、渡辺丈太
脚本:向田邦子
出演:フランキー堺、杉浦直樹、吉村実子、岸本加世子、志村喬、岸田今日子、池波志乃、殿山泰司

ライターの作家性が存分に発揮されたドラマ

b0189364_22010329.jpg 向田邦子の代表作ドラマ。1980年にNHKの『ドラマ人間模様』の枠で放送された。向田邦子は少し前にNHKで『阿修羅のごとく』を発表しており、この作も『阿修羅のごとく』と同様に作家性の強い作品である。当時シナリオライターの作家性が重要視され始めた時代で、エンタテイメントのみではない、こういった文学的な作品も頻繁に放送されるようになっていた。
 文学的な要素は各回の副題にも反映されており、第一回「こま犬」、第二回「蝶々」、第三回「青りんご」、最終回「弥次郎兵衛」と象徴的なタイトルが並んでいる。優れた作家が自身の書きたいものを書けるというこういった環境があることは、単に作家側だけでなく、視聴者側にとっても大変ありがたいことで、文学的要素を持つこういったドラマが作れない昨今の状況は大変寂しい限りである。
 とはいうものの、エンタテイメントの要素がかくも少ないと、連続で見続けるというのが少々苦痛で、今回BSでまとめて放送されたものを録画して見たんだが、全部見終わるのにかなり時間がかかったのだった。見ていて面白いし質が高いのもよくわかるが、続きを見ようという食指が動かない。僕は放送時にこのドラマを見ていないが、たとえ第1回目を見ていたとしても、おそらく続けて見なかったんじゃないかと思う。
 向田はその後、TBSでもこういった単発ドラマを続けて発表していくんだが、こういった作品についても、DVDで見られる環境にはあるが実際のところなかなか見ようという気にならない。向田作品自体が、あまり僕の好みではないのだろう。評価はするが好みは別ということである。
b0189364_22011369.jpg さてこのドラマ、娘の視点による昭和初期(昭和十年代)のとある家族の肖像を描くもので、そのあたりは後のTBSの単発ドラマ群とも共通するテーマである。父(フランキー堺)、それからその父と異常なほど仲の良い男(杉浦直樹)の関係と、その父の友人が実は母(吉村実子)に思いを寄せているというような人間関係が描かれる。まさに「人間模様」のドラマである。同時に山師の祖父(志村喬)が出てきて家族を翻弄する他、主人公の娘自身も帝大の学生と付き合うようになるなど、家族模様が少しずつ動いていく様子が、非常に細やかに描かれていく。娘の視点であるため、ナレーションは娘役の岸本加世子が行っているが、ため息交じりみたいな切ない語り口で実に良い味を出している。岸本加世子は演技も秀逸で、このドラマの大きな魅力になっている。演技については他の面々も同様に上質で、ドラマの最高水準と言える。この時代のドラマのすごさがよくわかるというものである。
b0189364_22022123.jpg 全編バロック音楽が流れるが、テーマ曲はあの暗い「アルビノーニのアダージョ」。このドラマの雰囲気を規定している。この音楽の暗さがこのドラマに合っているかどうかは何とも言えないが、岸本加世子の語りも同じような雰囲気なので、作り手側はこういった雰囲気を求めていたのではないかと思われる。
 なおこの『あ・うん』だが、1989年に映画化されて、主役の3人を板東英二、高倉健、富司純子が演じた(監督:降旗康男)。もっともあれは翻案に失敗したひどい作と言える。僕は映画版しか見ていなかったために、ドラマ版も今まであまり見る気になれなかったが、ドラマ版の方が断然優れている。だが優れていたとしても、好きかどうかは先ほども言ったようにまた別の話なのである。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『阿修羅のごとく(ドラマ)』
竹林軒出張所『阿修羅のごとく パートⅡ (1)〜(4)(ドラマ)』
竹林軒出張所『寺内貫太郎一家 (22)(ドラマ)』
竹林軒出張所『思い出トランプ(ドラマ)』
竹林軒出張所『胡桃の部屋 (1)〜(3)(ドラマ)』
竹林軒出張所『阿修羅のごとく(映画)』
竹林軒出張所『花の名前 向田邦子漫画館(本)』

by chikurinken | 2018-05-03 07:00 | ドラマ

『総天然色ウルトラQ』(15) 他(ドラマ)

総天然色ウルトラQ 15、16、17、26、28
(1966年・2012年・TBS)
演出:中川晴之助、野長瀬三摩地、円谷一、満田かずほ
脚本:山田正弘、金城哲夫、千束北男、小山内美江子
出演:佐原健二、桜井浩子、西條康彦、江川宇礼雄、渡辺文雄、浜田寅彦、野村昭子、二瓶正也

着色技術に驚嘆

b0189364_18171666.jpg 以前この項で書いたカラー版『ウルトラQ』を見てみた(竹林軒出張所『色づくQ』を参照)。前に書いたのが2011年10月だからあれから7年近く経つんだが、こういう事実があったことを先日ふとしたきっかけで思い出して、ついにその現物を見てみたというわけ。
 今回見たのは、DVD2枚分で、第15話「カネゴンの繭」、第16話「ガラモンの逆襲」、第17話「1/8計画」、第26話「燃えろ栄光」、第28話「あけてくれ!」の5本。それぞれの作品はかつて見たことがあるものばかりだと思う(記憶が定かでないものもある)が、ストーリーやドラマの作りは(今見ると)結構デタラメなものもある。
 「カネゴンの繭」はかなり有名な回でこれまで数回見た記憶があるが、単純なプロットのドラマで、ストーリーもかなり行き当たりばったり、間も悪いと問題点は多い。それでも着想と(カネゴンという)キャラクターが秀逸であるため、『ウルトラQ』の代表作になっているという、そういう作品である。『ウルトラQ』シリーズの中でもキャストが豪華な方で、渡辺文雄、浜田寅彦、野村昭子、二瓶正也らが出演している。このシリーズにいつも登場する淳ちゃんや一平君、由利ちゃんは出てこず、完全に独立した作品になっている。
 「ガラモンの逆襲」は取るに足りないいい加減なストーリーの話、「1/8計画」は夢オチでどちらも冴えない。ただ「燃えろ栄光」は、リアリティはあまりないが、少し考えさせるような奥行きがある。それは「あけてくれ!」も同じで、こちらについてはシナリオがよくできていると感じる。おそらく『ウルトラQ』随一ではないかと思う。ちなみにシナリオ担当はあの小山内美江子である。なお「あけてくれ!」は本放送の時に放送されなかったといういわく付きの回で、確かに怪獣は出てこず子どもにはわかりにくいかも知れないが、ショートショートみたいなオチがあって非常にうまくまとまっている。
 さて、今回カラー版を見たのであるから、一番問題にすべきはカラー化のグレードということになる。で、カラー化はどうかというと、これが非常によくできていて、かなり自然であったのだった。少なくとも意識しなければ、これが人工的なカラー化ということにも気付かないんじゃないかというようなデキで、カラー化としては十分成功の部類ではないかと思う。これに伴って『ウルトラQ』の価値も一層上がることは間違いない。それでもモノクロでなければ気分が出ないなどという頑固な人は、モノクロ版を見ればよろしい。幸いモノクロ版もDVDが出ているようだ。だがこのカラー版『ウルトラQ』は、かつて『ウルトラQ』を見ていた世代にも勧めたい逸品であるのは間違いない。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『色づくQ』
竹林軒出張所『デジタル・リマスターでよみがえる名作(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『カラーでよみがえる第一次世界大戦(ドキュメンタリー)』

by chikurinken | 2018-03-28 07:16 | ドラマ

『アンナチュラル』(10)、(11)(ドラマ)

アンナチュラル エピソード10、11(2018年・TBS)
演出:竹村謙太郎、塚原あゆ子
脚本:野木亜紀子
出演:石原さとみ、松重豊、窪田正孝、井浦新、市川実日子、伊武雅刀、薬師丸ひろ子、国広富之

期待しただけにガッカリ
展開までもアンナチュラル


b0189364_17164320.jpg 少し期待を持って見ていた『アンナチュラル』、エピソード10とエピソード11で完結した。
 エピソード8までは見ていないため細かいところはわからないが、毎回ほぼ完結する小さいエピソードが取り上げられながら、最終的に大きいエピソードに合流するという形式だったのではないかと思う。そしてその大きいエピソードが10、11で完結するという按配になっている。ただし、猟奇的犯人の大量殺人という結果に落とし込んで、悪い奴を1人設定して、それですべてを終わらせるというのはあまりに安直。また、井浦新演じるやや暴力的なチーム・メンバーが、秘密を握る記者に襲いかかり、テトロドトキシンを無理やり注射するとかいう展開もデタラメも良いところで、見ていてバカバカしくなる。きわめて不自然展開と言わざるを得ない。タイトルが「アンナチュラル」だからと言って、展開までアンナチュラルにしなくてもよかろうに。
 また最後の公判でのミコト(石原さとみ)の証言も浅はかである。こういうあたりで良しとする製作者には疑問を感じる。レベルの低さすら感じてしまう。
 また、ドラマの中で使われるいろいろなエピソードがどうにもありきたりで、こちらもマイナス要因である。結局は(案の定)石原さとみの魅力だけが唯一の見所という寂しいドラマになってしまった。期待が大きかっただけに失望感も大きい。
★★★

参考:
竹林軒出張所『アンナチュラル (9)(ドラマ)』
竹林軒出張所『ジェネラル・ルージュの凱旋 (1)〜(12)(ドラマ)』

by chikurinken | 2018-03-26 07:16 | ドラマ

『アンナチュラル』(9)(ドラマ)

アンナチュラル エピソード9(2018年・TBS)
演出:竹村謙太郎
脚本:野木亜紀子
出演:石原さとみ、松重豊、窪田正孝、井浦新、市川実日子、ミッキー・カーチス、伊武雅刀、薬師丸ひろ子

今後も期待を持てる昨今では珍しいドラマ

b0189364_20333358.jpg 今TBSで放送中の法医学ドラマ。ドラマで法医学の問題を扱うというのもなかなか意欲的で結構。ただし法医学の問題については、10年ばかし前にフジテレビで『チーム・バチスタ』シリーズを割と長くやっていて、原作者の海堂尊の主張(日本で病理解剖があまり行われないことから、犯罪性があっても自然死として扱われてしまうことが多い、そのためもっと積極的に病理解剖を行うべき!というもの)もそのときドラマを通じて結構全国に(僕を含めて)知れ渡ったわけで、そのことを勘案すると新鮮さは中ぐらいである。ただTBSは現在、日本の検挙後有罪率が異常に高いことをテーマにしたドラマ『99.9』まで放送しており、意欲的であることには変わりない。内容についてはとりあえず置いとくが。
 で、この『アンナチュラル』だが、こちらは内容についても割合よくできていると感じた。特に前半、割合退屈しそうな箇所でカットを短くつないでリズム感を出すなど、製作側に工夫が見られる。そのため見ていて非常に小気味良く感じた。演出も全体的に手堅く、シナリオもよくできている。原作ものかと思ったがオリジナル脚本のようで、その点も評価できると思う。ただし、しようがないと言えばしようがないんだが、登場人物がどれもこれも作り物的で浅いという印象は否めない(今のドラマにそこまで期待するのは無理なのだろうか)。
 そうは言っても全体的によくできたドラマであることは確かで、主演の石原さとみも魅力的。窪田正孝が演じている役も(性格付けがありきたりではあるが)味のある登場人物ではある。今後も見続けるかどうかはわからないが、期待を持てる昨今では珍しいドラマである(とは言ってもすでに半分以上終わっているようだが)。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『アンナチュラル (10)、(11)(ドラマ)』
竹林軒出張所『ジェネラル・ルージュの凱旋 (1)〜(12)(ドラマ)』
竹林軒出張所『ジェネラル・ルージュの凱旋(ドラマ) まだ途中だが』
竹林軒出張所『ナイチンゲールの沈黙(ドラマ)』
竹林軒出張所『アリアドネの弾丸 (1)〜(11)(ドラマ)』

by chikurinken | 2018-03-11 20:33 | ドラマ

『寺内貫太郎一家』(22)(ドラマ)

寺内貫太郎一家 第22話(1974年・TBS)
演出:久世光彦
脚本:向田邦子
音楽:井上堯之、大野克夫
出演:小林亜星、悠木千帆、西城秀樹、浅田美代子、加藤治子、梶芽衣子、左とん平、由利徹、横尾忠則、篠ひろ子、藤竜也

絶好調時の向田邦子作品

b0189364_18173182.jpg 懐かしの『寺内貫太郎一家』が、BSトウェルビとかいうよくわからない放送局で再放送されていたので見てみた。僕が子どもの頃も毎週見ていたし、学校でもかなり話題になっていた作品で、悠木千帆(後の樹木希林)のばあちゃんが沢田研二のポスターに向かって「ジュリー!」と叫ぶ毎週恒例のシーンは、かなりブームになって、多くの子供達がマネしていた。
 昔は確かに面白いと思って見ていたが、今見るとまた違った感想が沸くのでは……と思って今回見てみたわけだが、正直言って、コントとバラエティとドラマを混ぜ合わせてごった煮にしたようなドラマで、何じゃこりゃと思いながら見ていたのだった。だがそのうち、当たり前のように思えることが幸せ、当たり前のように存在している人が実は大切だ……というようなメッセージが伝わってきて、演出はともかく、かなりよくできたシナリオであるように思えてきた。
 実際に久世光彦の演出については、アドリブがかなり混ぜられるようなものだったらしく、山田太一はそのせいで彼とぶつかったらしいが、向田邦子はその辺は特に気にしなかったと見える。実際、このドラマには随所にアドリブめいた箇所がある。そのためにコントやバラエティみたいな様相を呈してくる。それによって面白くなる場合もあるが(実際当時はそういう部分が受けていたわけだし)、完成度はそれに伴って下がることになる。とは言っても、今回見た第22話については、先ほども言ったようにシナリオが非常に優れていて、とりとめのないゴチャゴチャした展開が、最後に実にスッキリした形で収束することになっていた。お見事としか言いようがない。最後の方のシーンでマドンナの浅田美代子が屋根の上で「幸せの一番星」を歌うのも毎度の定番だったが、結果的に静かな収束を象徴するような演出になっており、良い効果が出ていると言える(ただしギターを弾くふりはみっともないと思う)。そういったあたりがこのドラマの魅力だったのだと今回あらためて思った。
 他にもタイトルデザインが横尾忠則だったり、しかも横尾忠則がチョイ役で出演していたりして、別の面白さもある。音楽の担当が、井上堯之、大野克夫、岸部修三(岸部一徳)というのも贅沢である、今思うと(要は井上堯之バンドのメンバーたちなんだが)。キャスト陣もかなり豪華で、当時人気が出たのも頷ける……そういう1本だった。とは言え、見るのはこの1本だけで良いかなとも思った。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『阿修羅のごとく(ドラマ)』
竹林軒出張所『あ・うん (1)〜(4)(ドラマ)』
竹林軒出張所『思い出トランプ(ドラマ)』
竹林軒出張所『花の名前 向田邦子漫画館(本)』
竹林軒出張所『胡桃の部屋 (1)〜(3)(ドラマ)』
竹林軒出張所『阿修羅のごとく(映画)』
竹林軒出張所『ちょっと愛して…(ドラマ)』

by chikurinken | 2018-03-09 07:17 | ドラマ

『風雲児たち 蘭学革命篇』(ドラマ)

風雲児たち 蘭学革命(れぼりゅうし)篇(2017年・NHK)
演出:吉川邦夫
原作:みなもと太郎
脚本:三谷幸喜
音楽:荻野清子
出演:片岡愛之助、新納慎也、村上新悟、迫田孝也、岸井ゆきの、長野里美、山本耕史、草刈正雄

『解体新書』事始め

b0189364_18260557.jpg みなもと太郎のマンガ『風雲児たち〜蘭学革命篇〜』が原作のドラマ。
 みなもと太郎の原作自体が、おそらく杉田玄白の『蘭学事始』を下敷きにしていると考えられ、そのためか同じようなストーリーが他の小説でも取り上げられていて、ストーリー自体はそれほど奇抜なものではない。にしても『解体新書』が作られるまでの話は非常に面白い題材で、前野良沢と杉田玄白との関わり合いなどはまことに話になる素材である。みなもと太郎はギャグマンガの人で、マンガのタッチもそういうものであるが、このドラマについてはギャグマンガみたいな騒々しさはなく、割合普通のドラマになっている。脚本は三谷幸喜だが、オーソドックスな作りで、三谷節みたいなものも出てこない。したがって題材自体をじっくり楽しめるようになっている。このあたりはポイントが高い。
b0189364_18261079.jpg ただし、途中、杉田玄白がヤクザ野郎たちに襲われ、どこからともなく現れた林子平(『海国兵談』の著者)がそれを助けるみたいなシーンがあったが、話の流れにまったく関係なく、言ってみれば無意味なシーンであり、なぜこのようなシーンを入れたのか見当が付かない。また、工藤平助(『赤蝦夷風説考』の著者)が主人公たちに絡んでくるのもまったく必然性がなく、高山彦九郎(寛政の三奇人の一人)についても同様。ただし高山彦九郎の存在はドラマと直接関わりがなかったため、遊びのシーンになっていて、アクセントとしてそれなりに良い味があった。また平賀源内(山本耕史)と田沼意次(草刈正雄)の存在はなかなか異色で、従来の歴史観とは若干違うが面白い扱いになっている。草刈正雄は、少し前に放送された『幕末グルメ ブシメシ!』と同じような役回りで、その辺を意識したキャスティングだったのかも知れない。
 ドラマは割合平凡であったが、ストーリー自体が非常に興味深い内容で、前野良沢の偉業がよくわかる上、江戸の蘭学事情についても知ることができる。『蘭学事始』を読んでみたくなった。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『蘭学事始(本)』
竹林軒出張所『幕末グルメ ブシメシ!(1)〜(6)(ドラマ)』
竹林軒出張所『天地明察 (上)(下)(本)』

by chikurinken | 2018-01-30 07:25 | ドラマ