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竹林軒出張所

chikrinken.exblog.jp

2019年 08月 04日 ( 1 )

『まんが道』(3)〜(15)(ドラマ)

まんが道 (3)〜(15)(1986年・NHK)
原作:藤子不二雄
脚本:大久保昌一良
演出:安江進、森平人
出演:竹本孝之、長江健次、冨士眞奈美、天地総子、磯崎洋介、蟹江敬三、小倉一郎、木原光知子、イッセー尾形、久米明、玉川良一、中村明美、犬塚弘、桜井センリ、江守徹、ケーシー高峰、渡辺寛二

それでも「熱い青春が心地良い」

b0189364_19514863.jpg ドラマ版の『まんが道』第1話、第2話の続き。全15回がやっと終わった。今回、BSトウェルビというチャンネルで週に2話ずつ放送されたわけだが、途中放送されない週が多く、そのために終わるまで3カ月もかかった。前回も書いたが、元々の『銀河テレビ小説』枠では1日1話が月曜日から金曜日まで放送され、3週間ですべての回が終わっている。今回の放送では、間が3週間空いた回もあり、真面目に取り組んでいるのか疑問に感じる。通販番組ばっかりやっていないで、特にドラマは、しっかり枠を確保した上で放送したらどうだと言ってやりたくなる。なお、第15話の終了後に『まんが道 青春編』の第1話が放送され、これから同じ枠にこの『青春編』が放送されるが、次回はなんと1カ月後ということで、こうなると連続ドラマではなくほとんど単発ドラマである。この間、野球中継が放送されるようだ。どうしても野球中継をやりたいんだったら、野球のない時刻にドラマを放送したらどうだと思うが、しょせんは埋め草という発想なんだろう。
 それはともかく、ドラマ自体はなかなか面白く、主人公の満賀道雄(藤子不二雄Aがモデル:竹本孝之)と相棒の才野茂(藤子・F・不二雄がモデル:長江健次)が、高校卒業後、就職を経て、いよいよマンガ家になるべく上京するという運びになる。就職については、満賀道雄が地元の立山新聞に縁故入社で入り記者になるが、才野茂の方は肉体労働に馴染めずすぐに辞めてしまう。それでも二人ともマンガを描き続け、投稿したり、あるいはマンガ雑誌から注文を受けたりし、半年後(実際は2年後らしい)に上京を決意。東京では手塚治虫(江守徹)やトキワ荘にいた寺田ヒロオ(渡辺寛二)、マンガ雑誌の記者などに会い、いよいよマンガ家になるべく決意を固めるのである。
b0189364_19514451.jpg ストーリーは単純だが、しかし主人公の背景がしっかり描かれるため、重層的ではある。また当時のマンガ界の様子も丁寧に描かれ、このあたりが実話を基にした話の強みと言える。実際、トキワ荘グループが出てきた頃の日本のマンガ界は、言ってみれば黎明期であり、当時のことを記憶している人々も少なくなっている。割合最近のことであるにもかかわらず、状況が忘れ去られてしまうということは意外にあるもので、この日本マンガ黎明期についてもそれは当てはまる。ただ、当時のことを安孫子素雄が『まんが道』で描き残し、しかも他のマンガ家たちもマンガに残している他、関係者もそれに刺激を受けたせいか文章で残しているため、当時の様子はかなり詳しいところまで窺える。惜しむらくはトキワ荘自体が壊されたことである(当時存続運動もあった)が、最低限、人々の記憶、記録に止められれば良しとすべきなのかも知れない。そういった意味でこの『まんが道』は資料としても大変貴重である。ドラマ化したのも、映像として残すという意味で重要であり、実はこのドラマを見たトキワ荘の近所の方が、トキワ荘の跡地にモニュメントを作ったりするきっかけになったらしい。その後、この活動がトキワ荘復興プロジェクトに発展し、とうとう2020年に近所の公園(南長崎花咲公園)にトキワ荘が復元されることになったという。
 ドラマは、前にも書いたが「熱い青春が心地良い」作品で、何度見ても心が熱くなる。演出がやや単純なきらいはあるが良いドラマだと感じる。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『まんが道 (1)、(2)(ドラマ)』
竹林軒出張所『夢追い漫画家60年 (100年インタビュー)(本)』
竹林軒出張所『トキワ荘青春日記―いつも隣に仲間がいた…(本)』
竹林軒出張所『トキワ荘の青春(映画)』
竹林軒出張所『まんが トキワ荘物語(本)』
竹林軒出張所『トキワ荘の時代―寺田ヒロオのまんが道(本)』

by chikurinken | 2019-08-04 06:50 | ドラマ