ブログトップ | ログイン

竹林軒出張所

chikrinken.exblog.jp

2019年 07月 23日 ( 1 )

『ロデオ 民主主義国家の作り方』(ドキュメンタリー)

ロデオ 民主主義国家の作り方
(2018年・エストニア/フィンランドTraumfabrik / Kinocompany)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー

素人が政治をゼロから作り直す……

b0189364_19471164.jpg もしあなたが一国の政治をいきなり任されたら……、しかも劇的に環境が変わりつつある国の政治を……というドキュメンタリー。
 バルト三国(エストニア、リトアニア、ラトビア)は、第二次大戦中にソビエト連邦に併合され、以後50年以上に渡りソ連の一部になるが、ソ連の民主化に伴い、1990年にいち早くソ連からの独立を果たす。このニュースは当時日本にも届いており、一般の日本人にとっては快哉事だったが、当事者側にとってはそれほど簡単ではなかった。言ってみれば、それまで他所に委ねていた行政機能を自分たちですべてやり直さなければならないわけで、人材も必要、技能も必要、予算も必要になる。
 エストニアでは、独立に当たって総選挙が行われ、マルト・ラールという32歳の若者の民主政党がいきなり第一党に選ばれて、自動的にこのマルトが首相に選ばれてしまう。政治の経験などまったくない彼らが、いきなり突きつけられる難題を解決しながら、内政、外交を担当しなければならなくなった。なにしろ、それまでソ連に物流、行政の多くを依存していたため、ソ連との関係を断った途端にいきなり物資がなくなり、予算もなくなる。新政府は、最初から大変なものを背負わされるハメになる。
 そうは言いながらも、素人政治ながらなんとかやっていたが、それでも資金がないのはいかんともしがたい。そんな折に行政府にソ連のルーブルが埋蔵金として残されていることがわかる。新政府は、これを秘密裏にドルに換金して流用するというアクロバットで、資金面の難局を乗り切ってしまうのだが、後にこれが発覚し、それが原因でマルトは首相の座から追われることになる。このあたりの政治の難局をロデオにたとえて、それを乗りこなすための奮闘が紹介されるのがこのドキュメンタリーである。
 このマルト・ラール、端から見ているとババを掴まされたようなものだが、素人が政治の舵取りを行うために奮闘する姿の描写はなかなか新鮮で、その辺りがこのドキュメンタリーの魅力である。ただし少々説明不足の印象があり、わかったようでわからないような箇所が多かったのも事実。外国からの支援はなかったのかとか、どの程度外国に頼ったのかとかは気になるところだったが、そのあたりはよくわからないままで終わってしまった。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『ソビエト連邦のコマーシャル王(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『こうしてソ連邦は崩壊した(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『ベラルーシ自由劇場の闘い(ドキュメンタリー)』

by chikurinken | 2019-07-23 06:46 | ドキュメンタリー