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竹林軒出張所

chikrinken.exblog.jp

2019年 01月 12日 ( 1 )

『完全密着 消えた物証を追え』(ドキュメンタリー)

完全密着 消えた物証を追え
(2018年・英True Vision)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー

英国での捜査の負の部分が明るみに

b0189364_16084990.jpg 『完全密着 凶悪犯を捕まえろ』の続編みたいな位置付けのドキュメンタリー。製作会社も同じ。
 今回は、香港出身の老夫婦宅に数人の押し込み強盗が入り、老婦人が暴行を受けたあげく、いろいろな金目のものが盗まれたというケース。暴行を受けた老婦人はその後、取調中に体調不良を起こし、結局そのまま死んでしまう。そのため捜査当局は、今回の事件を殺人事件として認定し、捜査を始める。
 この事件は初動捜査が遅かったようで、そのために物証が見つからず、いたずらに日数ばかりが経過した。しかも近在では、中国系移民を狙った同じような強盗事件が立て続けに起こっている。それにもかかわらず警察が積極的に動かない(ように見える)ため、中国系移民コミュニティの中にも警察に対する不信感が出てきているという始末である。
 捜査は当初なかなか進んでいなかったが、防犯カメラの映像分析が手がかりになって進展する。この家から盗まれた外国紙幣が換金されている場面がショッピングモールの監視カメラに映されており、そこから彼らが使用している自動車が判明。自動車の持ち主が割り出され、結果として一人の若者が拘束される。ただし拘束期間として1日しか認められていないため、容疑者を逮捕したにもかかわらずほとんど何の成果も上げることができなかった。それからまたしばらくして共犯と見られる被疑者が逮捕されるが、こちらも自白は得られず。取調室内の映像が紹介されるが、容疑者はすっとぼけた応答をしていて、見ているこちら側は少々イライラする。容疑者の見た目は監視カメラ映像の姿にかなり似ていて、しかもいかにもギャング然としているため、彼らが犯人であることは容易に推察されるが(本当のところはわからないが)、取り調べは一向に進展しない。結局、彼らも拘束期間が切れて釈放される。このような事情により、この事件はいまだに未解決のままで、英国の捜査の限界が見えてくる結果になった。
 日本の警察・検察システムが良いとは決して思わないが、しかし少なくとももう少し容疑者の拘束期間を確保しないと、わかるものもわからないのではないかと感じる。英国の検挙率が高くないというのも、こういう映像を見るとわかるような気がするんだが、だからと言って日本のように無実の人間の検挙率が高いのも非常に由々しき問題ではある。それは明らかだが、要は程度問題である。
 今回もう一つ驚いたのが、街に設置されている監視カメラの多さで、それが前のドキュメンタリー『完全密着 凶悪犯を捕まえろ』のケースでは容疑者逮捕に繋がったわけだが、しかしそれにしても容疑者のほとんどの挙動が捉えられていたことを考えると空恐ろしさも感じる。(犯罪に関係ない)普通の市民であってもその挙動が映像として捉えられることには変わりなく、使いようによっては相当危険なツールになるのではないかという危惧を持った。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『完全密着 凶悪犯を捕まえろ(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『DNA捜査最前線(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『FBIおとり捜査の現実(ドキュメンタリー)』

by chikurinken | 2019-01-12 07:08 | ドキュメンタリー