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竹林軒出張所

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2019年 01月 03日 ( 1 )

「反復練習が上達を生む」の実証 - 『ひたすら一万回』

 テレビの正月特番がことごとくつまらないものばかりになって久しいが、毎年1つや2つは見るべきものはあるもので、今回も1つあったのでそれをご紹介。
b0189364_15394330.jpg テレビ東京系列の『ひたすら一万回』という番組がそれで、元日の深夜(厳密には1月2日)に放送された1時間半のバラエティ番組である。テレビ東京系列の新しいバラエティ番組は、とりあえず夜中に放送してみて、好評だったら継続、それからゴールデンに……というパターンが多いが、この番組などはまさにそのパターンに収まりそうな素材である。
 番組の冒頭にブルース・リーの言葉「私は1万種類の蹴りを1回ずつ練習した人は恐れないが、1種類の蹴りを1万回練習した人は恐れる」が引用され、1万回を実行したときに見えてくる景色はどういうものになるのか……というテーマがこれに続く。これを検証するために、ある民家を「1万回ハウス」という名前でしつらえ、このハウスで、さまざまなことについて1万回の試行をやってみるというというのがこの番組の主旨になる。
 最初に登場したのは書道で1万回練習するとどの程度上達するかという検証で、「永遠」という字を延々と書いていくというもの。トライするのは字が下手な自称キャスターの女性で、途中2回だけ先生が手本を示したが、後はひたすら書いていくだけ。ただし何枚も続けて書いていると、当然手首などに障害が出てくるんで、こうやって連続でやるというのは方法論としては理想的ではないが、しかしそれでも1万枚目が相当な上達を示しているのは明らか……という結果になった。なお「永遠」という字だが、書道で必要なさまざまなテクニックが凝縮されているらしく、練習素材としてピッタリということであった。
b0189364_15394738.jpg もう一つ興味深かったのが、野球経験のないド素人(芸人)がバットの素振りを1万回やるとどうなるかという検証。これもさすがに1万回やると身体のあちこちに障害が出てくるが、一方でスウィングの形はそれなりにさまになってくる。そして最後に元阪神タイガースの井川投手のストレートを打ってみるというトライアルを実施するわけだ。なんとなくかつての『探偵!ナイトスクープ』風の構成ではあるが、何でも反復すると上達する、反復が上達の第一歩という基本事項を例証してみせるこの2つの実験は非常に興味深かった。
 他にもおっぱい1万回揉み(これでバストアップするか)、ギャンブル一点買い1万回(これで最終的にプラスになるか)、餅を1万回つくとどうなるか、コーラを1万回振るとどうなるかなど、いかにもバラエティ番組向きのくだらない検証も行われた。それぞれそれなりに面白く、結果も面白いものにはなったが、内容や結果に興味を引かれるというものではなかった。
 マルコム・グラッドウェルの著書『天才! 成功する人々の法則』に「どんな分野でも一流になるには10,000時間の修養が必要」という記述があったが、この番組は、それを実証してみせる結果になっており、そういう意味で実に面白い企画だったと言える。番組作りもこなれていて、決して飽きさせない工夫が随所に施されている。おそらくゴールデンに進出してもそれなりに人気を集めるのではないかと思うが、いかんせん、1万回の実験材料を集めるのがかなり難しいのではないかと予測できる。今回の放送も、ギャンブルとか餅とかは結構「無理から」企画で、面白くはあるがナンセンスである。これを週単位でやるとなるとかなり厳しくなるのではないか、結局ネタ切れになってきて、早々に今の『ナイトスクープ』状態になってしまうのではないかということが簡単に予想できる。年に1回ぐらいだったら何とかなるかなーという印象。是非、また来年もやってくれ。

参考:
竹林軒出張所『天才! 成功する人々の法則(本)』
竹林軒出張所『アドリブの相乗効果 - 「YOUは何しに日本へ?」が面白い』
竹林軒出張所『日本世間噺体系テレビ版』

by chikurinken | 2019-01-03 15:40 | 放送