ブログトップ | ログイン

竹林軒出張所

chikrinken.exblog.jp

2018年 12月 20日 ( 1 )

『ヒトラーの子どもたち』(ドキュメンタリー)

ヒトラーの子どもたち
(2017年・仏Gedeon)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー

支配者候補生養成、もとい養育施設

b0189364_18481722.jpg ナチスが、純粋アーリア人の支配層を作るために新生児を集めて育てる施設がドイツおよび周辺国に存在した。これが「レーベンスボルン」という施設で、この施設では、アーリア系ドイツ人の若い男(親衛隊の兵士など、既婚者もいる)を招待し、そこに常駐する看護婦との間に子どもを産ませるという方法で新生児を増やしたという。この計画の一端が近年明るみに出たらしいんだが、それを紹介するドキュメンタリーがこれ。
 計画自体はナチスの愚かさが反映されているようなもので、ナチスの虐待や虐殺の歴史に比べると可愛いものに映る。そのため愚かな計画であるとは思いつつ、あまり目を引くような要素がない。
 この凡庸なドキュメンタリーの救いは後半で、この施設で生まれた新生児がその後どうなったかが(1人だが)明らかになる。この施設で生まれたその男性は現在70代後半になっており、その男性の話によると、母は幼少時からこの施設のことは一切語らなかったため(ナチスに関係していたことで迫害を受けることを恐れていたらしい)、自身の幼少時のことがわからずじまいだった。ところが母が死んだ後、遺品の中からこの施設の秘密に関わる記録が出てきた。同時に、この施設を調べているジャーナリストとも出会うことになって、自分がこの施設で生まれたことを知ったという。戦後、母子家庭の中で苦しい生活を送っていたが、それでも母がこの施設についてひた隠しにしていたことが回想されて、母の思いを今になって知るのである。本人は、母の相手(つまり父に当たる人だが)がSS(親衛隊)のメンバーでないことを信じているが、実際はSSのメンバーであったことが有力である(写真も残っている)。
 この男性を追うことで、戦争が個人の中に落とした影が表現されていて、このあたりがこのドキュメンタリーの目玉である。ただ先ほども言ったように、この施設については特別な感慨が湧かなかったため、ドキュメンタリー自体についてもあまり面白味を感じなかったというのが本当のところである。
★★★

参考:
竹林軒出張所『映像の世紀 第1集〜第4集(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『新・映像の世紀 第3集(ドキュメンタリー)』

by chikurinken | 2018-12-20 07:47 | ドキュメンタリー