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竹林軒出張所

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2018年 11月 27日 ( 1 )

『毎日がアルツハイマー』(映画)

毎日がアルツハイマー(2012年・NY GALS FILMS)
監督:関口祐加
撮影:関口祐加
出演:関口宏子、関口祐加(ドキュメンタリー)

あるお年寄りを取り巻く家族の記録

b0189364_18070520.jpg 老齢の親が、ある日突然認知症に……というケースは今ではまったく珍しい事例ではなくなり、いつ身の回りで起こってもおかしくはない出来事になった。そのためもあり、現在、認知症を扱ったドキュメンタリーや本は増えてきている。この映画もそういったドキュメンタリーで、ある映画監督が、自身の母の変わっていく様子をカメラに収めるという当事者目線の作品である。
 このドキュメンタリーに登場する「母」は監督の母親であり、二世帯住宅に住んでいる。2階には監督の妹家族が住んでおり、母親は1階に一人暮らししている。母親の夫(つまり監督の父)は10年前に他界。こういう状況で、娘でありこの映画の監督でもある関口祐加は、この母の様子がおかしいという話を妹から聞く。要するに認知症の症状が出始めたということなんだが、この話を聞いて、オーストラリア、シドニー在住の娘(つまり監督ね)は日本への移住、つまり母との同居を決意する。実はシドニーには息子が1人いるんだが、仕方がないので、この息子は別れた夫に預けることになった(このあたりの事情はよくわからないが)。
 母に寄り添うように母の様子を撮影していくと同時に、その母の周辺、つまり自身の家族の周辺もあわせて撮影対象になる。母が少しずつずれていく様子も当然描かれ、こういう映像は正直見ていて辛く、見るこちら側も戸惑ってしまうんだが、本編に登場する精神科の新井先生の言葉、「認知症であっても問題があるのは脳の5%だけで、認知症になっても一瞬一瞬はまとも。ただ時間の継続の中でそれが続かないだけ」という言葉がいくらか救いになる。
 作者のツッコミが随所で字幕として出てくるなど、全体にユーモアが漂う作りになっており、そのあたりがこの作品の大きな特徴である。ただ基本は映像日記みたいな内容であり、極論すれば、あるお年寄りを取り巻く家族の記録というような映画である。もちろん作者の問題意識やメッセージ性は伝わってくるんで、それだけで終わっていないのは確かだが。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『いま助けてほしい 〜息子介護の時代〜(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『野田明宏先生のファンの皆様へ』
竹林軒出張所『老人漂流社会(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『エンディングノート(映画)』

by chikurinken | 2018-11-27 07:06 | 映画