ブログトップ | ログイン

竹林軒出張所

chikrinken.exblog.jp

2018年 10月 18日 ( 1 )

『オレの宇宙はまだまだ遠い』(本)

オレの宇宙はまだまだ遠い
益田ミリ著
幻冬舎

裏側から見た『すーちゃんの恋』

b0189364_17583281.jpg 『すーちゃん』シリーズ第5弾はまだ出ていないと前回書いた(竹林軒出張所『すーちゃんの恋(本)』参照)が、実はこの本、『すーちゃんの恋』の続き……とは言えないが、スピンオフの話である。したがって『すーちゃんの恋』の後に続けて読むと楽しめる。第5弾ではないにしても、第4.5弾ぐらいの位置付けになるのではないかと思う。
 どういうことかというと、『すーちゃんの恋』に出てきてすーちゃんが恋をする相手、地味な土田さんが主人公で、土田目線で話が展開する。その中ですーちゃんとの出会いも出てくるため、裏側から見た『すーちゃんの恋』というような立ち位置である。この土田という人も、すーちゃん同様、周りの人々に優しく、自己犠牲を厭わないようなタイプの、「ロハス的」とでも言えそうな(そんな言葉はないが)好人物である。毎日を一生懸命過ごしながらも、こんな自分で良いのかというような哲学的自問を繰り返すのは、すーちゃん同様。がんばれ若者!などと励ましたくなる素朴な存在である。
 また、すーちゃんがいなくなった後のカフェの変容にもついても利用者の目線(土田の視点)で触れられていて、少しホッとする。他にもあちこちに工夫があって、著者の益田ミリも本人役(?)として話の中に現れるという趣向もなかなか面白いと思う(少しやり過ぎな感じはあるが)。さらには、主人公が書店員であるために、話の中でいろいろな本が紹介されていくんだが、これも楽しい工夫である(巻末にそれぞれの本の一覧まである)。
 本書の最後に付いている番外編は、『すーちゃんの恋』にあった番外編と同様のシチュエーションを土田の立場から描いていて、これもあの本と比較するとなかなか楽しい。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『すーちゃん(本)』
竹林軒出張所『結婚しなくていいですか。(本)』
竹林軒出張所『どうしても嫌いな人(本)』
竹林軒出張所『すーちゃんの恋(本)』
竹林軒出張所『ふつうな私のゆるゆる作家生活(本)』

by chikurinken | 2018-10-18 07:58 |