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竹林軒出張所

chikrinken.exblog.jp

2018年 10月 13日 ( 1 )

『長い道』(本)

長い道
こうの史代著
双葉社

道≒すず

b0189364_19482828.jpg のんびりおっとりした若い女性「道」が、遊び人の若い男「荘介」と、親同士が飲み屋の席で約束したせいで結婚することになった。その結果、道が荘介の家に転がり込むことになる。まったく道が好みではないために結婚に乗り気ではない荘介と、なぜかわからないがそのまま居着いてしまう道との奇妙な同居生活が続く……それが1話3〜4ページで完結するというマンガがこれ。元々は雑誌に連載していたもので、なんでも著者の最初の非4コマ・マンガの連載だったそうで、反響もあまりなかった(つまり制約も少なかった)ために自由に楽しく描いた作品だそうな。このマンガ自体も、道同様、何だかのんびりおっとりしている。
 主人公の道は、同じ著者の『この世界の片隅に』の主人公「すず」と非常によく似たキャラクター設定で、少し抜けていて誰からも愛されるような人物像である。道の独特の性格に荘介も徐々に惹かれていくというか情が湧いていくというか、そういう流れになるが、設定自体がかなり荒唐無稽であるため、わかったようなわからないような雰囲気が最後まで漂う。
 回によっては、タッチが変わっていたり、あるいはまったくセリフなしで話を進めていたりしており、「自由に楽しく描いた」というのが窺える。ただセリフなしの回は、物語の挿絵が並んでいるような感じで、内容がわかりにくいところも多い。
 話は(やや変わってはいるが)新婚生活を描いており、『この世界の片隅に』と似た感じの雰囲気もある(特に主人公がほぼ同じだし。もちろん夫のキャラはちょっと違う)。それに登場人物の中には意地悪な小姑まで出てきて、このあたりも『この世界の片隅に』同様。『長い道』を戦中の環境に置き換えたのが『この世界の片隅に』だという見方もできるかも知れない。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『貧乏まんが(本)』
竹林軒出張所『この世界の片隅に(映画)』

by chikurinken | 2018-10-13 07:48 |