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竹林軒出張所

chikrinken.exblog.jp

2018年 07月 18日 ( 1 )

『カルトの思い出』(本)

カルトの思い出
手持望著
エンターブレイン

反カルト・キャンペーンのマンガ

b0189364_19191252.jpg カルト宗教を信じて、街宣活動をやったり怪しげな品物を売ったりしていた著者(現在マンガ家らしい)による体験記マンガ。これも一種のエッセイ・マンガである。
 このマンガの主人公の望太郎(著者の分身)は、高校生の頃、「神聖革命PPP教」の「刈人P夫(カルトピーオ)」氏のことをたまたま雑誌で知り、刈人の講演会に出席する。そこで出会った雑誌編集者の鈴木に誘われ、この教団に入ることになる。その後、疑問を持ちながらも教団の方針に従い、活動に積極的に関わるようになる。同時に刈人氏の言葉に絶対的に帰依するような人格になってしまう。だがその後、教団内部の矛盾にも気づき始め、刈人氏に対して疑念が生じるようになって、やがてこの教団と距離を置くようになる。その後は、マンガのアシスタントをやっていたが、自身がカルト信者だった過去となかなか向き合えないでいた。しかしあることをきっかけに、元信者だった自分自身の手で、カルト宗教の内情を描くべきと考えるようになる。こういういきさつで描かれたのがこのマンガであり、内容もそれに沿ったものである。
 僕自身は「1999年に日本が巨大地震で壊滅し、その隙を縫ってクーデターを起こす」などという主張のこのカルト宗教については一切知らなかったし、マンガでもすべて仮名を使っているため本当のところはよくわからないが、Amazonのレビューによると「銀河皇朝軍」(その後いろいろと名前を変えるが)すなわち「ザイン」がこれに当たるということらしい。確かにこの主宰者の伯壬旭という人はかつて「1994年6月24日、東京にマグニチュード9、震度8の大地震が起きる。その後は富士皇朝が全権を掌握する」と主張していたらしい(ウィキペディア情報)。またウィキペディアの「かつて小学館から発行されていたオカルト誌『ワンダーライフ』は、編集長を始めとするスタッフがザインの会員であり、小島の意見を肯定的かつ大々的に取り上げていたため、事実上ザインの機関誌となっていた。」という記述も、この本の内容と合致する。「PPP」や「P夫」のPは、ザインが好んで使っている「Z」との繋がりかと思うが、これも定かではない。
 マンガ自体は、表紙からわかるように、非常にシンプルで記号のような絵ではあるが、内容がしっかり描かれているんでこれはこれで良いかとも思う。もっとも著者の手持望という人、現在はプロのマンガ家なんで、それを考えると絵が手抜きと言えなくもない。もちろんこのマンガは元々(おそらく反カルト・キャンペーンの目的で)ウェブで描いたものであるため(営利目的ではないわけだから)そのあたりは目をつぶるべきなのかも知れない。それに何より、内容がわかりやすい。普通に読んでいると気付きにくいが、コマ割りなどには確かにプロらしい配慮があって、非常に読みやすいのは確かである。
 カルトにはまるということがどういうことなのかよくわかるという点で、著者の目的は十分に達成されているわけで、その一点だけでも十分に価値のある本になっている。少なくともオカルト誌『ワンダーライフ』よりは、はるかに有用で価値がある。これだけは確か。
★★★

参考:
竹林軒出張所『よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話(本)』
竹林軒出張所『未解決事件File. 02 オウム真理教(ドキュメンタリー)』

by chikurinken | 2018-07-18 07:18 |