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竹林軒出張所

chikrinken.exblog.jp

2018年 05月 07日 ( 1 )

『ジェルミナル』(映画)

ジェルミナル(1993・仏)
監督:クロード・ベリ
原作:エミール・ゾラ
脚本:クロード・ベリ、アルレット・ラングマン
出演:ルノー、ジェラール・ドパルデュー、ミュウ=ミュウ、ジュディット・アンリ、ジャン・カルメ、ジャン=ロジェ・ミロ

自然主義黎明期の作品

b0189364_17121414.jpg エミール・ゾラの代表作『ジェルミナール』の映画化作品。1993年製作の仏製映画で、製作費に35億円投じた大作だそうだ。
 1860年代のフランスの炭坑での、悲惨な労働者の生活と労働が描かれる自然主義の作品で、内容はそのために非常に暗く重い。主人公である流れ者の元技師、エチエンヌ(ルノー)が、ある炭坑に流れ着いて仕事を得るが、そこの経営者が労働者の待遇を理不尽に改悪する。エチエンヌの主張を受け入れた労働者たちはストライキを打つが、ストが泥沼化し長期化する……、というふうにストーリーは流れていく。万国の労働者と協力して資本家の横暴に対応すべきというような論も出てきて、何やらプロレタリア文学みたいな様相さえ呈してくる。実際にここで描かれる労働者の状況は過酷で、19世紀であればこういった状況が起こっても不思議はない。20世紀日本の炭鉱労働者の似たような実体についても、あれやこれやの文学、映画などの芸術作品で描かれているわけで、そういう点では目新しさは感じない。もっともこの『ジェルミナール』が、そういった作品の元祖であることは容易に想像できるが。
 映画では、炭坑のさまざまな設備や、労働者たちの生活圏がリアルに再現されており、金をかけていることは窺われる。演出は正統的で、いかにも文学作品の映画化といった趣である。原作自体それなりに人気のある作品なので、手を入れる必要がなかったのかどうだか知らないが、奇を衒った部分もなく、映画自体はきわめてオーソドックスな印象がある。
 なお、この作品の主人公、エチエンヌは、同じゾラの『居酒屋』に登場する子どもであり、『ジェルミナール』はその後日談という位置付けだそうである。ゾラは、こういった一連の作品群(ルーゴン・マッカール叢書)で当時のフランス下層社会の悲惨さをこれでもかという具合に描き出した。その社会的影響はすさまじく、結果的に自然主義が全世界に広がることになる。
 全20巻で構成されるルーゴン・マッカール叢書を読んでいくというのも大変な作業であるため、前にも書いたが、僕自身はなるべく映画やドラマで見てみようと思っている。ゾラ原作の映画についても、今回は『居酒屋』『嘆きのテレーズ』に続いて3作目で、本当はもっとたくさん見たいと思っているんだが、映画やドラマ自体、そんなに数があるわけではない。いや実際にはあるのかも知れないが、日本ですぐに見るというわけには行かないようである。『獣人』については、ジャン・ギャバン主演の有名な映画があるが、他の作品については寡聞にして知らない。存在するのならばぜひ見てみたいと思っている。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『居酒屋(映画)』
竹林軒出張所『嘆きのテレーズ(映画)』
竹林軒出張所『レ・ミゼラブル (1)〜(4)(ドラマ)』

by chikurinken | 2018-05-07 07:11 | 映画