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竹林軒出張所

chikrinken.exblog.jp

2018年 04月 05日 ( 1 )

『エルドアン “スルタン“への道』(ドキュメンタリー)

エルドアン 〜“皇帝(スルタン)”への道〜
(2016年・仏ARTE G.E.I.E / ALEGRIA PRODUCTIONS)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー

タイトルは興味を引くが
内容が伴っていない


b0189364_18233185.jpg トルコの現大統領であるエルドアンの来し方を描くドキュメンタリー。
 エルドアンと言えば非民主主義的な政策を次々に実行している男として有名で、このドキュメンタリーの主眼も当然そのあたりに置かれている。ただやや一方的な価値観で強引に描き出しているという印象が拭えず、どうしてもヨーロッパ対イスラムみたいな視点が挟まってきて、価値観闘争みたいになってしまう。もう少し人道的な見地を押し出すべきではなかったかと思う。
 また、エルドアンがイスタンブール市長からトルコの首相、その後大統領まで上り詰めた過程や、イスラム的な価値観をトルコ中に押し付けようとしていることは伝わってきたが、この人の立ち位置がもう一つわかりにくい。たとえば2016年に軍によるクーデター騒ぎが発生しており結局鎮圧に成功してはいるが、軍に正義があるのかエルドアンに正義があるのかが見えてこない。番組ではエルドアンに問題があるかのような描き方になっているが、しかし普通に考えると軍事クーデターに正当性があるとは思えない。もちろん、かといってエルドアンが正義の人だとも思えない。実際のところ、エルドアン自身は国民の権利を抑圧する政策を続けている。そういうことを考えると、少なくとも西側の価値観からすると歓迎されない存在だし、実際に国内にも弾圧される人々や被害者が出ている(この番組によると、クルド人政党に対するテロ事件などもエルドアン側が実行したものとして描かれている)。だがその割に国民からはそれなりに支持されているようで、そのあたりの真相が全然見えてこないのである。
 問題がある政治家であることはわかるが、核心の部分が描ききれていないために、非常に中途半端なドキュメンタリーで終わってしまっている。素材が面白いだけに、結果がはなはだ残念というドキュメンタリーになった。
★★★

参考:
竹林軒出張所『プーチンの道(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『スターリンの亡霊(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『暴かれる王国 サウジアラビア(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『ベラルーシ自由劇場の闘い(ドキュメンタリー)』

by chikurinken | 2018-04-05 07:23 | ドキュメンタリー