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竹林軒出張所

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2018年 02月 07日 ( 1 )

『イノさんのトランク』(ドキュメンタリー)

イノさんのトランク 黒澤明と本多猪四郎 知られざる絆
(2012年・NHK)
NHK-BSプレミアム

本多猪四郎への挽歌

b0189364_18340192.jpg 『七人の侍』の監督、黒澤明と、『ゴジラ』の監督、本多猪四郎がきわめて仲が良かったということを紹介するドキュメンタリー。
 この2人、東宝の同期の助監督であり、助監督時代から親しく付き合っていた。ただその後、本多猪四郎が6年間従軍したため、黒澤の方が先に映画監督デビューを果たす。本多が戦後復員したときには、監督の口はもはやないということで退社も促されたらしいが、その後、運良く監督に昇格でき、しかも作品もヒットしたため、ドル箱監督になっていく。また東宝の新路線である特撮映画にも関わるようになるが、その後、定年で東宝を退社した。このように本多猪四郎については、どちらかというとサラリーマン監督のイメージがあるが、人間的には温厚で懐の深い人だったという。
 黒澤明との関わりは、従軍中に手紙をやりとりしたり(黒澤からは便せん23枚に渡る手紙が届いている)、若い頃お互いに励まし合ったりした間柄で、本多の妻である本多きみも、黒澤とは若い頃から同僚だったこともあり親しかった。このドキュメンタリーは、おそらく本多きみの著書である『ゴジラのトランク』が基になっていると考えられるが、早い話が黒澤明と本多猪四郎の友情物語である。
 映画ファンにとっては興味深い内容もあるかも知れないが、割合平凡な内容で、「だからどうした」という印象もなきにしもあらず。ただ黒澤晩年の映画に、本多猪四郎が助監督として付いていることがやけにあって「監督として名のある人がなぜ助監督?」と感じていただけにそのあたりのいきさつがわかったのは収穫と言えるか。要するに黒澤が、すでに引退していた懇意の本多に映画製作を手伝ってもらったというのが真相だということで、とは言え実際に、わがままな黒澤と周りのスタッフ、キャストとの間を積極的に取り持つなど大きな働きをしていたようだ。このドキュメンタリーは、本多猪四郎の仕事を再評価する挽歌と言えるかも知れない。
★★★

参考:
竹林軒出張所『ゴジラ(映画)』
竹林軒出張所『モスラ対ゴジラ(映画)』
竹林軒出張所『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ(映画)』
竹林軒出張所『マタンゴ(映画)』
竹林軒出張所『美女と液体人間(映画)』
竹林軒出張所『ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦 ! 南海の大怪獣(映画)』

by chikurinken | 2018-02-07 07:33 | ドキュメンタリー