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竹林軒出張所

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2017年 10月 26日 ( 1 )

『あわわのあはは 徳島タウン誌風雲録』(本)

あわわのあはは 徳島タウン誌風雲録
住友達也著
西日本出版社

ハイパーな行動力に脱帽

b0189364_19034950.jpg 移動スーパー「とくし丸」の創業者、住友達也氏の半生。
 地元徳島で高専を卒業して、フリーター生活、1年間の米国生活を経て、再び徳島に戻り、資金もないのにタウン誌を作ることを決意。自身の四畳半の安アパートで『あわわ』という名のタウン誌を創刊する。その後この『あわわ』がヒットを飛ばし、数年後には自社ビルを建設、第2、第3の雑誌(『ASA』、『SALALA』など)を創刊するまでになる。
 そんな折、地元徳島の吉井川に可動堰建設の話が持ち上がり、行政によって一方的かつ高圧的に進められていくその計画に疑問を持つ。地元民の意向を住民投票で問うべきと考え、同じような考えを持つ人々と手弁当で住民投票の実施を目論む。行政による嫌がらせを受けながらも、結局住民投票を実現し、しかも過半数の可動堰反対票を得ることに成功。その後、住民投票でこのような結果が出たにもかかわらずその結果をないがしろにして計画を進める県知事に対し、今度は知事選で対立候補をぶつけるなどという住民運動を展開して、最終的に可動堰計画の撤回を勝ち取ることになる。
 ただし著者はその過程で、『SALALA』の経営から追われることになる(可動堰住民投票運動への参加がスポンサーの意向に添わなかったため)。また、運動とは直接関連していないようだが、『あわわ』の運営からもきれいに引退する。
 ド素人であるにもかかわらず雑誌を作ることを決意し、しかもそれを成功させ、その上住民運動まで展開してこちらも成功させた。著者の向こう見ずさ、熱意、バイタリティにはまったく恐れ入るが、本人にとってはやりたいことに手を染めてきただけということらしい。変に老成した我々のような人間にはなかなかできない。若気の至りとも言えなくはないが、このような「若気の至り」であれば、多くの若者にぜひやっていただきたいものである。
 その後著者は「とくし丸」を事業として始めるに至るんだが、これについては本書では扱われていない。その後の「とくし丸」奮戦記みたいな本もいずれ書いてほしいものである。
 本書は、このように一種のサクセス・ストーリーではあるが、何をやるのも部活の延長みたいな雰囲気が漂っていて、どの活動も実に楽しそうである。著者の人間的な魅力も随所に現れていて、読んでいて心持ちが良い。読後、快い疲労感みたいなもの(読むこちらは何もしていないわけだが)が漂ってくるのも良い。本の作りが丁寧なのは『ねてもさめてもとくし丸』と共通である。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『ねてもさめてもとくし丸(本)』

by chikurinken | 2017-10-26 07:03 |