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竹林軒出張所

chikrinken.exblog.jp

2016年 01月 07日 ( 1 )

『ワイルドジャパン 魔法にかけられた島々』(ドキュメンタリー)

ワイルドジャパン 魔法にかけられた島々
(2015年・BBC、NHK)
NHK-BSプレミアム

アジアのガラパゴス

b0189364_738498.jpg BBCとNHKが共同製作した日本の自然紀行ドキュメンタリー。
 日本にずっと住まわっていると気が付かないが、日本の自然環境はよその国の水準から見ると特異なんだそうだ。考えてみれば大陸から離れているんで、ガラパゴス島みたいな状況が生まれてもきわめて自然ではある。そのうえ島が南北に長くて山岳地帯が多いとなれば、植生も多岐に渡るということになる。火山も多いしね。この番組によると、何でも世界の火山の10%が日本にあるらしい。そりゃあ地震も多かろうというもの。
 また、紅葉が赤と黄色になって、さらに針葉樹の緑が混ざっている景観も独特だと以前聞いたことがある。これは植生が豊かで広葉樹が多いためだが、広葉樹の種類は世界で一番多いとこの番組で言っていた。
 そういう自然景観を北海道から南西諸島に至るまで追いかけるのがこの番組なわけだが、元々は「本州編」、「北海道編」、「南西諸島編」の3本の番組だったようで、このドキュメンタリーは言ってみればそのおいしいとこ取りである。このシリーズのテーマになっているのは、人と自然との関わり、あるいは生物同士の関わりで、たとえば人工物である田んぼが干潟のような役割をしていて、多くの生物の住処になっているとか、あるいは海藻の養殖場所が(つまり海底だが)多くの海洋生物の産卵場所になっているなど、人と自然が何となく共生している環境が紹介されている。この「何となく」というのは日本人である僕の感覚だが、里山や里海が実は環境保全に貢献しているというのは近年になって明らかになったのであって、日本人の多くは同様の感想を持つのではないだろうかと思う。また奈良の鹿や北海道の漁師とワシとの関係なども人と動物の共生の例として取り上げられていた。知床で作業中の漁師たちのすぐそば(十数メートル程度まで)にヒグマが寄ってきている映像は日本人から見ても衝撃的である。漁師の話によると、当初は怖いんでハンターを雇ったりして追い払っていたんだが、人間から何もしなければヒグマの方も何もしてこないことがわかったんで今は放っているということだ。
b0189364_7384126.jpg 他に動物同士の共生関係も紹介される。屋久島の猿と鹿、海中のソウジウオと他の魚などが共生している映像は目新しいものでしかも美しい。屋久島の猿が鹿にまたがっている映像は驚愕であった。また南西諸島編に登場してくるウミヘビ取りのお婆さん(カミンチュと呼ばれている)が、ダイコンでも拾うような感じで、猛毒を持つウミヘビを捕まえていた映像も衝撃的である。あまりに衝撃的だったのでここに記しておく。
 高精細カメラや空撮などを駆使した映像はどれも素晴らしいもので、非常に見応えがある。映し出される素材も目新しいものが非常に多い。馴染みのある事物であっても英国人の視点が盛り込まれているため、切り口が新鮮である。1時間半に凝縮されていたのも個人的には良かった。続編が出たら是非見たいと思う。
★★★★

参考:
竹林軒出張所『里海 SATOUMI 瀬戸内海(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『秩父山中 花のあとさき ムツばあさんの秋(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『地方発ドキュメンタリー(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『タイマグラばあちゃん(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『田んぼにトキが舞いおりる(ドキュメンタリー)』
by chikurinken | 2016-01-07 07:39 | ドキュメンタリー