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竹林軒出張所

chikrinken.exblog.jp

2016年 01月 03日 ( 1 )

『柿右衛門 はてしなき旅路』(ドキュメンタリー)

柿右衛門 はてしなき旅路 〜ヨーロッパが愛した日本の美(2003年・NHK)
NHK-BSプレミアム ハイビジョンスペシャル

柿右衛門の価値がよくわかる

b0189364_8205672.jpg 故・十四代目酒井田柿右衛門が登場して、柿右衛門窯や柿右衛門様式の赤絵磁器(以下「柿右衛門」と表記する)をあわせて紹介するドキュメンタリー。また十四代目がイギリスやドイツに飛び、「柿右衛門」にゆかりの地を訪問する。
 柿右衛門様式は、濁手(にごしで:「米のとぎ汁」と形容される白い地肌)の上に赤などの色で上絵を付ける技法の磁器で、17世紀中頃に初代柿右衛門が完成させた。その後濁手の技法が途絶えるが、十二代目と十三代目が復興して今に至る。
 十四代目は人間国宝にも認定され、柿右衛門窯を再興させるため方々に尽力していて、ヨーロッパのゆかりの地にも過去何度も足を運んでいる。ヨーロッパのゆかりの地というのは、かつて柿右衛門様式の磁器を一生懸命収集した貴族の館や、柿右衛門様式を取り入れようとして磁器製作に励んだマイセンなどで、実は「柿右衛門」、ヨーロッパ諸国で非常に高く評価されている。
 初代柿右衛門の時代から「柿右衛門」は国内で人気を得ただけでなく、オランダにも東インド会社を通じて輸出された。その後、オランダからヨーロッパ各地に送られ、その美しさゆえに王侯貴族が宝物の類として買い集めるようになった。一方で自身でこういった磁器を作りたいと考えた王侯もあり、そうして苦心の末に独自の磁器を完成させたのがマイセンやデルフトである。マイセンについては、当初から「柿右衛門」の写しから始めたようで、あの余白の多い独特のデザインが当初からコピーされている。今でもマイセンでは「柿右衛門」が原点になっているらしい。
b0189364_820431.jpg とは言うものの、柿右衛門窯は初代からずっと繁栄していたわけではなく、苦しい時代が大分続いたようで、現在のような繁栄はごく最近の復興によるところが大きいようだ。現在は、結構大規模な工房が構えられ、しかも完全分業で運営されていて(これもこのドキュメンタリーで紹介される)見ていて少々驚いたほどである。十四代目も現在の技術、品質を次の世代に伝えるべく手を尽くしていて、その様子が画面に映し出されていた。
 この番組自体は「柿右衛門」の紹介がメインの教養ドキュメンタリーであるが、今まで名前でしか知らなかった世界が細かく紹介されていたため非常に勉強になった。今後焼物を見ていく上で大いに参考になる。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『曜変天目を現在に(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『幻の名碗 曜変天目に挑む(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『マイセン 幻の磁器の城(ドキュメンタリー)』
by chikurinken | 2016-01-03 08:21 | ドキュメンタリー