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竹林軒出張所

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2015年 06月 22日 ( 1 )

『マリア・カラス vs. レナータ・テバルディ』(ドキュメンタリー)

マリア・カラス vs. レナータ・テバルディ(2014年・仏Ma Drogue a Moi)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー

「悪魔 vs. 天使」という図式がわかりやすい

b0189364_8301894.jpg 伝説のオペラ歌手マリア・カラスと歌姫レナータ・テバルディがかつてライバル関係だったというエピソードを取り上げたドキュメンタリー。
 マリア・カラスは、生前セレブとのつきあいや億万長者オナシスとの恋愛などさまざまなスキャンダルがあったこともあり、オペラファン以外でも名前が知られている。それにパゾリーニの映画『王女メディア』では主演も果たしているし、音源についても「伝説」扱いである。個人的には、カラスの声がだみ声であるため、彼女の歌唱にあまり魅力を感じたことはないが、しかし20世紀声楽界における最大のビッグネームであるという点では、ほとんどの人に異存がないだろう。
 そのカラスが、イタリア人歌手、レナータ・テバルディとライバル関係だったというのは、僕にとっては少々意外な事実であった。元々オペラの殿堂、ミラノスカラ座では、カラスがデビューした時点でテバルディの方がすでに花形だったらしいが、その座を狙っていたのがカラス。テバルディの歌唱は「天使の歌声」とも呼ばれ、しかも優等生的なイメージもあったため、あちこちで騒ぎを起こしたカラスとは正反対であった。しかし、カラスもスカラ座でテバルディの代役を務めた頃から徐々に人気を獲得していき、スカラ座ではテバルディ派とカラス派が、サッカーの応援団さながら場内、場外でトラブルを起こすまでになった。マスコミやスカラ座の関係者までがそれに加担するようになるが、テバルディはそういう状態のスカラ座に嫌気がさしてニューヨークのメトロポリタン歌劇場を主舞台にするようになった。
b0189364_830485.jpg 一方のカラスは、当時100kg近くあった体重を落とし声楽のトレーニングも積むなどして、名実ともにスカラ座のプリマになるが、オナシスと愛人関係になって、やがて不摂生がたたり歌が歌えなくなる。オナシスとも破局になり引退。
 一時期、テバルディに激しく敵対していたカラスもその後テバルディに接近し和解するが、このドキュメンタリーではそのあたりまで描かれていた。基本的に幼少期から親子関係に問題があったカラス、理想的な親子関係だったテバルディというような関係性を強調するなど、「悪魔」と「天使」のような描き方が特徴的だった。過去、マリア・カラスのドキュメンタリーや伝記映画(『永遠のマリア・カラス』)なんかも見ているが、どれもスキャンダル中心であるため、オナシスとの関係以外あまり印象に残っていない。このドキュメンタリーのように、スキャンダルだけではなく音楽界でのカラスにスポットを当てると、リアルなカラス像に接近できるような気がする。アプローチの方法としてはなかなか良い。
★★★

参考:
竹林軒出張所『森麻季……いろっぽくて良い』
竹林軒出張所『椿姫ができるまで(映画)』
竹林軒出張所『キング牧師 vs. マルコムX(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『スティーブ・ジョブズ vs. ビル・ゲイツ(ドキュメンタリー)』
by chikurinken | 2015-06-22 08:32 | ドキュメンタリー