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竹林軒出張所

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2015年 03月 29日 ( 1 )

『ヤンキー原発閉鎖 5年の記録』(ドキュメンタリー)

ヤンキー原発閉鎖 〜米・バーモント州 5年の記録〜
(2014年・米Turning Tide Productions/NHK)
NHK-BS1 BS1スペシャル

b0189364_10173298.jpgアメリカの原子力事情
ケーススタディ1


 アメリカ、バーモント州にあるヤンキー原発は、福島第一原発と同型の老朽化した原子炉(GEのマークI)を持つ。建造からすでに40年経っており、本来であれば廃炉になるんだが、その所有者であるエンタジー社は運転延長を決めた。一方これに反対する周辺住民は、議会を動かして、運転延長の撤回を決議させた。ところがこれに対してエンタジー社が「議会に運転延長について決定する権限はない」として訴訟を起こし、結果的にエンタジー社の主張を認める判決が出され、運転延長が決定的になった。そんなときに発生したのが福島第一原発の事故で、これにより風向きが変わる。その後、住民の運動が功を奏したこともあって、結局当初の案どおり廃炉が決定した。このいきさつを5年間に渡って追い続けたのがこの番組である。
 映像に映し出されるのは、日本とまったく同じような光景で、住民の主張や質問に対して木で鼻をくくったような態度で臨む電力会社という構図は変わらない。反対運動を行う住民に警察が圧力を加えるなどの図式も同じ。また、原発の運転と利害を同じくする住民による原発礼賛運動まであり、所は違えども行われていることはほとんど同じ。唯一普通と違うのは、地方の行政と議会が原発にノーの意志を示した点である(まあ日本でも議会や行政が反対の意思表示をしたケースがあるにはある)。
 このヤンキー原発については、これまでもたびたび放射能漏れを起こしていて、近隣の河川にも放射性物質を垂れ流してきたのは有名で、地下の配管も相当老朽化しているらしい。電力会社の方も地下配管の状態については正確に把握していないようだが、それでも資本の原理で、金になる財産はちょっとぐらい危なくても使い続けたいという意識が働くようだ。だが、その危険の度合いがそこいらの通常の施設と違うのが原発である。こういった単純な思考にノーが突きつけられたのは、たとえアメリカの話でも大変結構なことである。とは言え、これからとりかかる廃炉作業は向こう数十年続くことになり、悪夢は簡単には終わらないのである。番組の最後に追加された、廃炉後も苦難は続くというメッセージはなかなかシビアで、原発の特徴がしっかりと映し出されていた。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『原子力大国 アメリカ(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『原発廃炉は可能か? 〜計画とその現実〜(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『原子力“バックエンド”最前線(ドキュメンタリー)』
by chikurinken | 2015-03-29 10:18 | ドキュメンタリー