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竹林軒出張所

chikrinken.exblog.jp

2014年 06月 21日 ( 1 )

『飢餓海峡』(映画)

飢餓海峡(1965年・東映)
監督:内田吐夢
原作:水上勉
脚本:鈴木尚也
音楽:富田勲
出演:三國連太郎、左幸子、伴淳三郎、高倉健、藤田進、加藤嘉、風見章子

『砂の器』にやけに似ている

b0189364_8104334.jpg 映画関係者の評価が高い映画で、こちらとしても期待が大きかったが、正直ちょっと期待外れだった。
 先入観も予備知識もまったくない状態で見たので、どんな映画か知らなかったが、松本清張風の推理ものだった。松本清張風だけに社会状況もそこに絡ませるんだが、ストーリー自体は『砂の器』によく似ている。ちなみに原作は『砂の器』の2年後、映画版については松竹の『砂の器』の9年前ということになる。また原作者の水上勉も、当初松本清張に傾倒して推理小説を書いていたそうで、僕自身彼は純文学系統だと思い込んでいたためそちらもちょっと意外だった。しかしこの『飢餓海峡』と『砂の器』の類似性を見るとさもありなんという印象を受ける。
 映画の序盤は、犬飼多吉(三國連太郎)、杉戸八重(左幸子)、弓坂刑事(伴淳三郎)を別々に追っていくため少しばかり散漫な印象を受けるが、後半ではこれが1本の線に集約されていき、散漫な印象は消える。プロットはよく練られている。演出は割合ありきたりで、ご都合主義的な箇所も多い。特に重要なシーンでご都合主義が見え隠れすると途端に白けてしまう。数少ない見所は三國連太郎の演技で、テレビドラマ『赤い運命』の島崎の原点がここにある。僕は少年時代に『赤い運命』の島崎に恐怖した経験があるので(竹林軒『放送時評:新「赤い運命」の島崎直子役の女優』参照)、この映画の三國連太郎にもすごみを感じた。
 全体で3時間を超える大作映画だが、途中かなり退屈した。推理ものだってことがわかっていたら、こんなに一生懸命見ることはなかったなと今にして思う。
★★★

参考:
竹林軒『放送時評:新「赤い運命」の島崎直子役の女優』
竹林軒出張所『雁の寺(映画)』
竹林軒出張所『五番町夕霧楼 (63年版)(映画)』
by chikurinken | 2014-06-21 08:11 | 映画