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竹林軒出張所

chikrinken.exblog.jp

2014年 04月 04日 ( 1 )

『Love MEATender(ラブ ミートエンダー)』(ドキュメンタリー)

Love MEATender(ラブ ミートエンダー)
〜どれだけ肉を食べ続けるのか〜

(2011年・ベルギーAT-Production/R.T.B.F)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー

家畜達もやさしく愛して

b0189364_8393897.jpg 食肉の消費量がかつてないほど増えており、しかもそれが不自然な方法で生産されていることを(静かに)告発するドキュメンタリー。
 世界の食肉生産量は現在かつてないほど増えており、それに伴ってさまざまな問題があちこちで出てきている。食肉用の家畜が利潤第一で生産されるため、密飼いやケージ飼いが行われ、まさしく動物がもの扱いされる。非衛生的な環境であるため当然のことながら病気は蔓延し、健全な状態とは言いがたい環境になる。同時に、食肉生産の増加は飼料の増大を伴うため、食料生産の農地が飼料生産に使われるようになって、食料生産自体が減ることになる。さらに家畜の成育には大量の水が必要になるため、水資源の不足も懸念される上、その糞尿により、広域にわたって水をはじめとする環境汚染を引き起こしている。
 そもそもこういった食肉の現代的な集約的大量生産方法が不自然なのであり、それがあちこちにいびつな形で悪影響を及ぼしているわけだが、実はこういった環境負荷は、現状で精算されていないというのが実情なんである。環境をいくら破壊してもすべてほとんどそのままで、その処理はこの後の世代に委ねられているわけで(この辺は原子力産業の構図とよく似ている)、そういうことを考えると、現在の食肉生産は、同時に多大な借金を生み出していると考えることができるらしい。このドキュメンタリーの試算によると、こういった環境負荷をすべて金額に換算すると、現在5ドルで売られているハンバーガーは、本来であれば200ドルで売らなければならないことになるという。これには、食肉の過剰摂取によって引き起こされる疾病に対する医療費も含まれるわけだが、こういう歪んだ食肉生産を止めて、これまでの健全な形態に戻そうよというのがこのドキュメンタリーの主旨ということになる。そしてこのような新たな流れを作り出すのが、消費者である我々の志向なんであって、現在のいびつな食肉生産を意識した上で食べものを選ぼうという主張である。
 紹介される映像もショッキングなものからユーモラスなものまで多岐に渡り、しかもところどころに楽しいアニメーションが挟まれているなど、演出にも工夫が見られる。主張も非常に明確でありながら押しつけがましさがなく、説得力がある。
 この番組を見た人が1人でも意識を変えることがあればこのドキュメンタリーに価値があるということになるんだろうが、もっともそういう人はもうすでに生活を見直しているとも考えられる。僕自身ももうすでに肉を食べなくなって10年近くになる。
★★★★

参考:
竹林軒出張所『いのちの食べかた(映画)』
竹林軒出張所『フード・インク(映画)』
竹林軒出張所『ありあまるごちそう(映画)』
竹林軒出張所『罠師 片桐邦雄・ジビエの極意(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『100マイルチャレンジ 地元の食材で暮らす(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『食について思いを馳せる本』

by chikurinken | 2014-04-04 08:40 | ドキュメンタリー