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竹林軒出張所

chikrinken.exblog.jp

2009年 10月 08日 ( 1 )

『セーフティネット・クライシス vol.3』(ドキュメンタリー)

セーフティネット・クライシス vol.3 しのびよる貧困 子どもを救えるか
(09年・NHK)
NHK総合 NHKスペシャル
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 OECD(経済協力開発機構)の調査によると、日本の子どもの貧困率は14.3%と、OECDの平均を上回っているそうだ。しかも所得の再分配後にも貧困率が悪化しているという(OECD加盟国で日本だけらしい)。数字は確かにひどい状況を示唆するが、しかし現実感という点では、なかなか説得力を持つに至らない。そのため、そこらあたりの実態をドキュメンタリーという形で明らかにするという試みは非常に重要である。実際僕も数字では知っていたが、現状を突きつけられると少しばかりショックを受ける。これほどまでとは思いもよらなかった。
 この番組では、子どもを取り巻くいくつかのケースが取り上げられている。食べる物がなく何も食べずに登校する小学生、病院に行けないため登校後保健室に直行する小学生、学費が払えない高校生、小さい子どもを保育園に預けられず働くことができない母子家庭の母親……。どれも悲惨な状況で、自分の子ども時分(貧しい昭和の時代だが)でもこんなにひどくなかったんじゃないかと思う。そう考えると今の子ども達は不憫である。
 この番組は、このドキュメンタリーの部分と有識者の対論の部分を交えながら進行していく。対論の部分は正直不要ではないかと思った。経済人代表はスカタンなことばかり言うし、専門家の大学教授もなんだか澱んでいて進行の邪魔になっているような……。ただ、反貧困ネットワークの事務局長が簡潔な言葉で現状を報告していたのはわかりやすくて良い。それから民主党の議員(厚生労働大臣政務官)が、他のメンバーの問いかけに対して真摯に回答していたのも好感が持てた。ただこういう部分は、ドキュメンタリーの部分に混ぜて、編集してもまったく差し支えない。このような対論形式は最近NHKで多いようだが、無駄に時間を使うだけで全体的な締まりが悪くなると思う。
 で、番組では、このようなひどい日本の現状に対する回答として、フィンランドのケースを紹介していた。フィンランドでも20年ほど前は今の日本のように、社会、ひいては子ども達に過酷な状況を強いていたが、その後政治改革により、子どもが優遇される環境を築いた。社会も活性化し安定化したという。番組としてこういう方向性を推奨しているということで、いわば問題提起から回答までができあがってしまっている。ということであれば、あの対論は何だったんだろうということになる。
 ともあれ、番組の形式は別として、インパクトもあり、しかも明快なビジョンも示せているという点で、ドキュメンタリーとしては及第点である。また、民主党の議員が示した前向きな姿勢も心地良かった。今後の政策に期待しようという気持ちにさせてくれる。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『子どもの未来を救え(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『母ちゃんのごはん(ドキュメンタリー)』

by chikurinken | 2009-10-08 21:45 | ドキュメンタリー