ブログトップ | ログイン

竹林軒出張所

chikrinken.exblog.jp

『プーチンの“標的”にされた男』(ドキュメンタリー)

解毒 プーチンの“標的”にされた男 前編後編
(2024年・英Passion Pictures、PASSION FEATURES、蘭Bellingcat)
NHK-BS BS世界のドキュメンタリー

生命をつけ狙われることの恐怖

『プーチンの“標的”にされた男』(ドキュメンタリー)_b0189364_20254255.jpg 「オープンソースの調査報道」機関、ベリングキャット竹林軒出張所『ベリングキャット(ドキュメンタリー)を参照』のロシア担当、クリスト・グローゼフは、その独特のジャーナリスト的嗅覚で、これまでロシアの多くの不正を暴いてきた。ナワリヌイ毒殺未遂(竹林軒出張所『プーチン政権と闘う女性たち(ドキュメンタリー)』を参照)やマレーシア航空機撃墜事件の真相を暴いたのも彼だという。ロシア当局にとっては煩わしい存在になっており、プーチン政権は、こういう人間については当たり前のように抹殺しようとする。これまでも数多くのプーチンの政敵(あるいはプーチンにとって都合の悪い人間)が、国の内外を問わず、「秘密警察」FSBによって抹殺されてきているのは有名な話である。
『プーチンの“標的”にされた男』(ドキュメンタリー)_b0189364_20253426.jpg 実際グローゼフについても、ロシア当局から指名手配され、身柄が狙われ始めたのである。他国の人間を指名手配リストに掲載するというのも一般的な国際感覚ではあり得ない話だが、常識が通らないのが今のロシア。実際にこれまでも多くの人々を抹殺してきているわけで、決して脅しではないということはグローゼフ自身が一番よくわかっている。
 生命をつけ狙われるようになったグローゼフは、母国オーストリアに戻れなくなり米国に滞在することになった(オーストリアにFSBの工作員が潜んでいるためである)。それでも家族に累が及ぶ可能性もあり、それが懸念材料になっていたため、ヨーロッパに帰る方法を模索していたが、その矢先、特に親密だった父親が謎の死を遂げるという事件が発生する。グローゼフはいよいよ死の恐怖が身近に迫っていることを実感するが、一方でこうしてドキュメンタリー作品に登場することでロシアの非道を訴えているわけで、そのあたりはある意味、ジャーナリスト精神の現れとも言える。
『プーチンの“標的”にされた男』(ドキュメンタリー)_b0189364_20253824.jpg この作品、元々は90分弱の映画作品(『Antidote』)で、それが今回、2回に分割されて『BS世界のドキュメンタリー』枠で放送されたわけだが、なかなか重厚な作品に仕上がっていた。『BS世界のドキュメンタリー』では、こういう放送形態を時々とっているが、分割することについては否定的な意見もあるかも知れないと思いつつ、存在すら知らなかった作品について見る機会を与えてくれたという点では非常にありがたい取り組みだと思う。こういう取り組みは、今後も続けていってもらいたいと切に思う。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『ベリングキャット(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『KGBの刺客を追え(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『プーチン政権と闘う女性たち(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『プーチンの道(ドキュメンタリー)』

by chikurinken | 2025-11-03 07:25 | ドキュメンタリー
<< 『伝説的トークショーの5日間』... 『大阪激流伝』(ドキュメンタリー) >>