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竹林軒出張所

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『昭和16年夏の敗戦』(ドキュメンタリー)

シミュレーション 〜昭和16年夏の敗戦〜 前編後編
(2025年・NHK)
NHK-総合 NHKスペシャル

取るに足りない安いドラマ

『昭和16年夏の敗戦』(ドキュメンタリー)_b0189364_20204998.jpeg 太平洋戦争開戦直前の1941年の夏に、日米戦をシミュレートして展開を予測する機関が首相直属で設けられたという。それが「総力戦研究所」という機関で、各方面の専門家が集まり、権力者に遠慮することなく自由闊達に議論し、来るべき日米戦の戦況を予測しようという主旨だったらしい。そしてその様子をドラマで再現し、一部ドキュメンタリーを加えたのがこのNHKスペシャル。
 総力戦研究所の予測は、帝国日本必敗というもので、石油生産のある南部仏印を軍部の目論見通り占領しても、数年で石油エネルギーが枯渇し(補給路の確保ができないため)、やがて国内の食料生産もままならなくなり、国が滅ぶという結論を出していたらしい、このドキュメンタリーによると。ドラマ部分では、開戦時の首相、東条英機もそれを踏まえた上で開戦したのだという描き方をしていた。
『昭和16年夏の敗戦』(ドキュメンタリー)_b0189364_20205359.jpeg 原作は猪瀬直樹の『昭和16年夏の敗戦』という本らしいが、しかし、こういう事実があったからと言って、だから何なんだという程度の感想しか沸かない。このドラマでは、主人公が経済の専門家で、総力戦研究所の中心人物(「影の首相」役)という設定で、しかも身内が軍部によって犠牲になり、自分自身もかつて憲兵に拷問を受けたということになっていたが、拷問の描写以外、あまり入ってくるものがなかった。スーパーマンがすべてを解決した(予測していた)みたいなドラマにしたかったのかも知れないが、ドラマだと言って歴史を書き換えるわけに行かず、何だかショボイ結末になった。演出も大げさで、さして見るべきものがあったわけではない。僕自身はこのNHKスペシャルを見て、放送の意義や企画の優劣などについて思いを馳せる結果になったのだった。
★★★

参考:
竹林軒出張所『日本軍兵士 アジア・太平洋戦争の現実(本)』
竹林軒出張所『昭和史 1926-1945(本)』
竹林軒出張所『1942 大日本帝国の分岐点(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『映像の世紀プレミアム 21(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『コミック昭和史 第1巻、第3巻、第4巻(本)』
竹林軒出張所『大阪激流伝(ドキュメンタリー)』

by chikurinken | 2025-10-27 07:20 | ドキュメンタリー
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