上を向いて歩こう(1962年・日活)
監督:舛田利雄
脚本:山田信夫
音楽:中村八大
出演:坂本九、浜田光夫、高橋英樹、吉永小百合、芦田伸介、渡辺トモコ、平田大三郎、梅野泰靖、嵯峨善兵
余計なことをせず
明朗快活歌謡映画にすべきだった
流行歌をテーマにした日活の若者向け映画ということで、
『二人の銀座』みたいな明朗歌謡映画を期待していたが、暴力的なシーンや犯罪シーンが多く、脳天気に楽しめるような、気持ちの良い映画ではなかった。そういう意味で僕にとってかなりの期待外れだった。もちろん社会の底辺を描くような自然主義的なアプローチがあっても良いが、その点でも中途半端で、最後は適当にお茶を濁して明朗映画に無理やり持っていったという強引なストーリーになっていた。そういう意味でもまったくいただけない。
主人公の2人(坂本九、浜田光夫)が、少年鑑別所から脱走して、そのまま刑事で(おそらく)保護観察官の男(芦田伸介)に助けられて保護されるなどというプロットだが、あまりにリアリティがなさ過ぎて、いきなり見ようという気力を削いでしまう。で、そこから2人が、それぞれやりたいことを実現するために頑張って生きていこうとするわけだが、そこに半グレの暴力集団が関わり、しかもそのボス(高橋英樹)にもなんだか家庭の事情があったりして、かつては例の保護観察官の世話になっていたなど、プロットがこんがらがりすぎで整理されていないという印象。ストーリーの中にいろいろ持ち込みすぎという印象で、もう少し単純にしなければ、90分の映画として成り立たないのではないかと感じる。
途中、坂本九が『あの娘の名前はなんてんかな』とか『上を向いて歩こう』とかを歌うシーンも当たり前のようにあるが、とにかく映画全体にまとまりがないため、どの歌も浮いていてまったく印象的ではない。はっきり言うと、脚本も演出もダメな失敗作と言って良いのではないかと思う。今回坂本九没後40年ということでNHK-BSで放送されたものを見たんだが、かなり失望した。いっそのこと単純な明朗快活歌謡映画にしてくれたら良かったのにとさえ思う。
★★参考:
竹林軒出張所『すりかえ(ドラマ)』竹林軒出張所『カラーでよみがえる夢であいましょう(放送)』竹林軒出張所『二人の銀座(映画)』竹林軒出張所『愛と死をみつめて(映画)』