妖怪人間ベム (1)、(2)(1968年・第一動画)
原作:さかいさぶろう
脚本:A・L・C・A
演出:柳田灸次郎他
出演:小林清志、森ひろ子、清水マリ
正義の異体という設定がユニーク
YouTubeで『妖怪人間ベム』が後悔されていたため、第1話と第2話のみ見てみた。このアニメは、元々1968年に放送されたもので、その後何度も再放送されているため、何度か見ているので、それほどの新鮮さはない。毎回冒頭に流される、妖怪人間が生まれるまでのエピソードは懐かしく感じる。ナレーションは「それはいつ生まれたのか誰も知らない。暗い音のない世界で1つの細胞が分かれて増えていき3つの生き物が生まれた。彼らはもちろん人間ではない。また動物でもない。だがその醜い身体の中には正義の血が隠されているのだ。その生き物、それは人間になれなかった妖怪人間である。」というもので、子ども心に科学的な雰囲気やおどろおどろしさ(妖怪人間が蠢いたりする)を感じたものである。ちなみに僕は「細胞」という言葉をこのシーンを通じて覚えたのだった。

ストーリーの骨子は、妖怪人間の3人(ベム、ベラ、ベロ)が、その恐ろしい力で、悪い人間をやっつけるという勧善懲悪ものだが、舞台がなんとなくヨーロッパ的な雰囲気だったり、不気味さが漂う背景描写だったりして、今見ても少し斬新な印象がある。第1話と第2話を見る限り、荒唐無稽でご都合主義的ではあるが、当時の子ども向けアニメや実写ドラマは大体そういうものだったので、それはそれで良い(大人向けのドラマでさえ多くはそうだった)。
アニメの絵が単純で動きも乏しいが、ストーリーにはそれなりに緊迫感があり、また不気味なシーンもちょくちょく出てくるため見ていて飽きることはない。続けて見ようという気にはならないが、今でもそれなりに需要はあるのかも知れない。ただし、そのストーリー上、現在では差別的とされている表現が必然的に多数出てくるため、テレビで再放送というケースは考えにくい。そういういきさつがあるせいか、その後何度かリメイクされ、実写版まで作られたようである。実写版を作ったのは、『怪物くん』まで実写化した日本テレビで、それについては前にも触れているため、そちらを参照されたい(
竹林軒出張所『リメイクもういらん党宣言』参照)。
★★★参考:
竹林軒出張所『リメイクもういらん党宣言』