ブログトップ | ログイン

竹林軒出張所

chikrinken.exblog.jp

『“アメリカ改革”の深層』(ドキュメンタリー)

イーロン・マスク “アメリカ改革”の深層
(2025年・NHK)
NHK-総合 NHKスペシャル

Make Idiots Great Again

『“アメリカ改革”の深層』(ドキュメンタリー)_b0189364_08220170.jpg イーロン・マスクの「アメリカ改革」を追うドキュメンタリー。
 トランプ政権が発足すると、なぜか知らんが、イーロン・マスクがトランプの周囲に居座り、既成の機関・制度を好き勝手に切り刻んできた。アメリカの制度では、数人の人間によるこういう身勝手な「改革」が許されているのか本当のところは知らないが、トランプが立て続けに出す「大統領令」にも驚くが、このマスクの「改革」にも驚いたのだった。こんな制度だったら、権力を握った一部の人間が好き勝手に独裁できるわけで、実際にアメリカがナチスドイツにあっという間に変貌したような状況に驚くと同時に呆れてしまうのだ。
 今回のマスクの「改革」については、トランプ政権内で発足した政府効率化省(DOGE)という組織が指揮を執っているということだが、この政府効率化省自体、実態がよくわかっておらず、言わば謎の組織である。そういう組織の担当者を名乗る数名の人間がいきなり既存の機関に乗り込んできて、この機関はすべて廃止と宣言し、職員を全員職場から追い出してしまうというのだから恐れ入る。まるでヤクザの地上げで、法的な手続きとか社会正義とかを一切越えた手法で、こういうことが許されるようであれば、その社会は近代文明社会として立ちゆかなくなるのではないかと思う。ましてや政治の執行側が合法性を欠いた行為をするというのだからお話しにならない。
『“アメリカ改革”の深層』(ドキュメンタリー)_b0189364_08215662.jpg このドキュメンタリーでは、トランプ政権にすり寄っているライトテック(右寄りのテクノロジー企業のトップ)という人々が登場し、自分たちが政権を取るチャンスと息巻いていたが、よくよく話を聞いてみると、彼らの言い分は、規制を取っ払って税金を収めず好き勝手にやりたいということのようである。発想が近視眼的であるだけでなく非常に幼稚で、こういう連中が好き勝手なことをすれば、社会は本当に崩壊してしまうだろう。
 いずれにしても、僕には、アメリカ社会が大混乱と崩壊に向かっているように見え、20世紀に生まれたパックスアメリカーナ神話はいよいよ崩壊の瀬戸際に瀕しているように思える。民主派の揺り戻しでトランプ政権を葬らなければ、内戦すら起こり得るのではないかと感じてしまう。とち狂ったアメリカ政治と社会を映し出した現地レポートで、『国際報道2025』あたりの1コーナーのレポートを番組として独立させたものではないかと推測するが、全体的によくまとまっていてわかりやすいドキュメンタリーだった。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『シリコンバレー その知られざる顔(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『"新富裕層" vs. 国家 〜富をめぐる攻防〜(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『“チェーンソー”改革の現在地(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『“強欲時代”のスーパースター(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『ドナルド・トランプのおかしな世界(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『嘘と政治と民主主義(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『華氏119(映画)』

by chikurinken | 2025-08-21 07:21 | ドキュメンタリー
<< 『傭兵たち』(ドキュメンタリー) 『1945 終戦』(ドキュメン... >>