EXPO' 70 地方自治体館 世界の広場のなかで
(1970年・日本映画新社)
企画:日本万国博覧会地方公共団体出展準備委員会
製作:日本映画新社
ドキュメンタリー
大阪万博を回顧する
1970年に開催された日本万国博覧会(通称「大阪万博」)の短編記録映画。地方自治体館を中心に、各パビリオンや施設、観客などを俯瞰的に紹介していく。まさに「万博の記録」である。
大阪万博は、開催当時、夢のような空間としてマスコミで喧伝されたため、当時の子どもたちにとっては何としても現地に行って見てみたい存在であったが、僕は地方在住であった上、家が貧しかったせいで、行くことができなかった。とは言ってもその影響は僕にとって大きく、いろいろなパビリオンの形と名前を覚えては、雑誌や本を通じて仮想的に現地に赴いたような気になっていたのだった。まさに大阪万博は当時の子どもたちにとって夢の存在だったのだ。
そういうこともあって、今でも大阪万博の記録映像があれば見てみたいと感じてしまう。先日図書館で
『EXPO OSAKA 1970』というDVDを見つけたが、そういう背景があったため、借りて見てみたというわけである。なおその後国内で開かれた博覧会や万博には一切関心は涌かず、毎度冷ややかな視線を送っていたが、今回開かれている大阪・関西万博については、開催の動機が不純な上、問題が多発しているなど、まったくもって「恥のイベント」であるとしか思えない。日本の国際イベント開催能力も随分地に落ちたものだと感じてしまうような有り様で、もういい加減こういうばかばかしいイベントに手を出すのはやめたらどうだと真剣に思う。それは2020東京オリンピックにしてもそうで、夢よもう一度で60・70年代のイベントを再現しようとするのは、あまりにも愚かすぎる。札幌オリンピックまで開催しようという動きがあるらしいが、今の権力者たちの愚かさは、想像以上と言うしかない。

閑話休題。大阪万博は「人類の進歩と調和」をテーマに、新しいテクノロジーや世界と国内の文物を紹介するイベントで、この映画でもその一端を垣間見ることができる。アメリカ館やソ連館の他、有名どころのパビリオンも一応紹介されているが、この映画の目玉はなぜか地方自治体館である。

このパビリオンは名前すら知らなかったが、展示物や中央広場で繰り広げられる日本各地の民俗芸能などは、今見ても興味深いと感じる。展示にも工夫が見られ、大阪万博の水準の高さを物語っている。同時に、大阪万博の負の側面、観客が多すぎて行列が絶えないというような点もしっかり紹介されている。このあたりも好感が持てる。「人類の進歩と調和」というテーマを今聞くと、少しばかり白々しさを感じるが、国際イベントとしては、この大阪万博、良いできだったのではないかと思う。大阪・関西万博や2020東京オリンピックとは大違いである。
★★★☆参考:
竹林軒出張所『東京1970(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『日本万国博(映画)』竹林軒出張所『昭和ちびっこ広告手帳(本)』竹林軒出張所『テレビが映したスポーツ60年-3(ドキュメンタリー)』