私たちの“仮想空間”を守ろう!
〜ゲームで狙われる子どもたち〜
(2024年・加Fathom Film Group)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー
ネットは無法地帯であるという自覚が
必要ではないだろうか
メタバース(仮想空間)で作られた仮想的な空間に出入りすることでエンタテイメントを提供するという類のゲームが人気らしい。日本ではマインクラフトなんかが人気のようだ。世界レベルで見ると、ロブロックスというゲームが大人気だという。
こういうメタバース空間では、子どもから大人まで誰でも身元を隠した状態でいろいろな活動を行うことができるらしいが、当然その中には悪しき動機で入ってくる悪い大人たちがいて、未成年ユーザーを騙したり、あるいは極端な過激思想を植え付けたりすることも行われている。こういう事例は他のSNSでも大きな問題として取り上げられているが、SNS同様、サービスプロバイダは、それに対してろくに対策を行わない。そのため実質的に野放し状態になっており、未成年の被害者は拡大し続ける。中にはメタバース空間から現実空間に移行し、誘拐や脅迫が行われるケースもある。このドキュメンタリーでも15歳の少女の誘拐事件が取り上げられていたが、無法地帯化したネット空間が犯罪の温床になるのは、当たり前っちゃあ当たり前。

このドキュメンタリーに登場するのは、ロブロックスで被害に遭った女性たちで、何ら対策を取ろうとしないロブロックス当局に対して、児童保護のための規制を設けるよう働きかけを行っている。案の定ろくに取り合ってもらえないが、その過程でこの問題に関心を持っている議会議員などとも知り合い、連帯して活動していくことを誓うというところでドキュメンタリーは終わる。なお、例の誘拐犯人はやがて検挙され、15年の懲役が科されたという。
ネット社会が野放しでろくに対策を取られていない無法地帯になっており、この状況はあらゆるネットサービスに共通で、一種のネット文化と言っても良いのかも知れない。結局のところ、そういう人々に善意を求めたところで、そう簡単にものごとが改善されることはないのだ。むしろ、特に未成年に対しては、こういった無法地帯に安易に近づかないことを徹底する方が方策として適切なのではないかと感じる。「ネット上の倫理」という、ありそうでないものに期待しても無駄なのではないかと、このドキュメンタリーを見ながらあらためて感じたのだった。
★★★☆参考:
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