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竹林軒出張所

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『ウクライナ軍事支援』(ドキュメンタリー)

ウクライナ軍事支援 武器供与の代償
(2024年・仏Première Lignes Télévision)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー

ものごとは一筋縄ではいかない

『ウクライナ軍事支援』(ドキュメンタリー)_b0189364_18373143.jpg ウクライナ戦争にあたって欧米各国からウクライナに軍事支援が行われているのは周知の事実だが、その背景には当然のことながらさまざまな動きがあり、そこにはさまざまな問題も生じてくる。そういった諸問題を紹介するのがこのドキュメンタリー。
 ロシアの侵攻が始まって、ヨーロッパ諸国が軍事支援を表明したが、実際に武器が供与されるまでにはかなりの時間がかかる。そのために、ウクライナ側は当初深刻な兵器不足に悩まされ、そのために、武器や兵器を大量に抱える軍事国家、ロシアによる侵略を招くことになった。そもそも国レベルの行動ということになると、さまざまな手続きが当然必要になり、どうしても速やかに動けないというのはどの国にも共通する問題である。こういうった理由で、支援の第一段階として、ウクライナおよびヨーロッパ諸国は、兵器の調達を、中古兵器の在庫を持っている武器商人に頼ることになる。こうして武器商人つまり「死の商人」が暗躍することになり、その結果、兵器市場が活況を呈してきて、兵器の価格も今や高騰しているというのだ。
『ウクライナ軍事支援』(ドキュメンタリー)_b0189364_18373589.jpg 一方で、ヨーロッパ諸国も、ロシアの侵略を目の当たりにして防衛産業に力を入れ始めるという現実があり、ヨーロッパの兵器製造業も好景気に沸くことになる。現在各国の政府が防衛予算を増やしているが、当然、それに伴い武器・兵器が増産されることになって、世の中に出回る武器・兵器も増えてくる。結果的にそういった兵器による被害者も増えることになり、それが我々の将来に禍根を残すというわけである。
 そしてロシア側は、そのことでヨーロッパ諸国を非難し、それが結果的に世界中にテロや紛争を広げ、戦争被害をまき散らすことに繋がると主張する。もっともそれはロシアの兵器産業についても言えることである(実際ロシア製の兵器は世界中の紛争地で使用されている)。さらには、ロシアのスパイ(おそらくFSBの人間)が、ウクライナに送られる兵器を調達している武器商人に対して脅迫を行うなどということも実際に起こっているらしく、英国のある武器商人がその事実について証言していた。
『ウクライナ軍事支援』(ドキュメンタリー)_b0189364_18373981.jpg ウクライナに対するロシアの一方的な侵略が容認できないのは当然だが、その裏にはさまざまな問題が存在し、それがまわりまわって我々の未来に暗い影を落とす原因にもなりうるということが、このドキュメンタリーの主張である。ものごとはなかなか一筋縄ではいかないということが、この事例からもよくわかる。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『プーチンと西側諸国(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『プーチンと西側諸国 (4)〜(5)(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『第三次世界大戦はもう始まっている(本)』
竹林軒出張所『プーチンの道(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『プーチン 戦争への道(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『ワグネル 影のロシア傭兵部隊(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『混沌のウクライナ(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『ウクライナ侵攻が変える世界(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『戦時下の大統領 ゼレンスキー(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『軍事侵攻・緊迫の72時間(ドキュメンタリー)』

by chikurinken | 2025-06-09 08:47 | ドキュメンタリー
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