記事は葬らせない
連帯するジャーナリストたち
(2024年・蘭VPRO)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー
民主主義は息も絶え絶え
ジャーナリストが殺害されたり逮捕されたり拉致されたりするケースが世界中で増加しているが、そのような場合、彼らが追及してきた問題が闇に葬り去られることになる。そもそもジャーナリストの殺害や逮捕はそれが目的なのである。そこで、ジャーナリストの殺害・逮捕などが起こったときに、それまでの取材を他の記者が引き継げるよう、世界中のジャーナリストを連帯させようという動きが出てきた。
これを始めたのがフランスのジャーナリスト、リシャールで、フォービドゥン・ストーリーズ(Forbidden Stories)という団体を立ち上げることで、世界中のジャーナリストに連帯を呼びかけた。もちろん連帯は簡単ではなく、最大の障害はジャーナリスト自身の意識だったというから面白い。
それでもフォービドゥン・ストーリーズの活動が活きているケースもあり、このドキュメンタリーで取り上げられているアゼルバイジャンでのメディア関係者の逮捕では、彼らが追っていたアリエフ大統領の不正について世界中の他の記者たちが継続取材し、大統領選挙の前にそれに関する記事を各国で発表するということも行っている。

ジャーナリストの命が危険に曝されるということ自体、民主主義にとって大変な危機ではあるが、そういう状況が増えている上、フェイクニュースがはびこっている現在、その存在の重要性について我々は再認識する必要がある。一方で、ジャーナリストとは名ばかりの、権力に取り入る似非「ジャーナリスト」が増えているのも現在の日本の状況である。民主主義は世界中で息絶え絶えになっていると感じるのは僕だけではあるまい。
★★★☆参考:
竹林軒出張所『追跡“ペガサス”(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『ウィキリークスを追う(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『パナマ文書(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『それでもなぜ戦場に行くのですか(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『騙されてたまるか 調査報道の裏側(本)』竹林軒出張所『「南京事件」を調査せよ(本)』竹林軒出張所『本日の歌「軽薄なジャーナリスト」』