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竹林軒出張所

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『プーチンと西側諸国』(4)〜(5)(ドキュメンタリー)

プーチンと西側諸国
第4回 “侵略戦争”の衝撃

第5回 不信と報復の連鎖
(2024年・英Brook Lapping Productions/Zinc Television)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー

これも貴重な映像史料

『プーチンと西側諸国』(4)〜(5)(ドキュメンタリー)_b0189364_08384940.jpg 『プーチンと西側諸国』はこれまで第1回から第3回まで放送されたが、その後第4回と第5回も放送されたようで、あいにく見逃していた(番組表に同じタイトルで表示されるため紛らわしい)。だが今回再放送されたことから、見ることができた。ウクライナ戦争開始後から2024年に至るまでが、西側諸国のウクライナ支援という視点から紹介される。前回のシリーズ作品同様、西側諸国の首脳や外交担当者、国連事務総長までがインタビューを受けており、外交的な側面から当時の状況を振り返るドキュメンタリーである。
 2022年2月にロシアがウクライナに侵攻を始めたとき、西側諸国は驚きながらもウクライナが一方的に蹂躙されて終わると見ていたようだ。武力と兵力の差が圧倒的であったためだが、ウクライナが対決する姿勢を示し、西側諸国に支援を要請したことから状況は少しずつ変わっていく。ただロシアの優勢は変わらず、ウクライナがロシアに対峙するのは無理という見方が支配的であったため、西側も支援を渋るのだった。ウクライナのゼレンスキー大統領自身が、積極的に各国に働きかけ、西側諸国も少しずつ軍事支援に応じるようになるが、いずれウクライナが負けるという見方が強かったことから、やはり支援は微々たるものだった。
『プーチンと西側諸国』(4)〜(5)(ドキュメンタリー)_b0189364_08384575.jpg だがウクライナが善戦し、ゼレンスキー大統領も各国首脳に直接会って支援を呼びかけたりしたことから、徐々に西側諸国も支援強化に動き出し、ドイツのレオパルト戦車まで供与されることになった。さらにクリミア大橋を破壊するなどウクライナ側からも攻勢を強めると支援が増えることになった。食糧輸出の問題(ロシア産、ウクライナ産の食糧が輸出されなくなると世界が食糧不足になる)やポーランドへのロシアのミサイル攻撃疑惑(戦争が拡大する恐れがあった)、プーチンの核兵器使用の脅しなど、さまざまな問題が発生しながらも、西側諸国は自国の利害を優先しながらウクライナ支援を行うという状況が続いており、それが現在の状況に至るというわけだ。各国は中国に働きかけて停戦交渉を提案させるなどしたが、結局は場当たり的で大きな進展はなく、いまだに戦闘状態は続いている。
 それぞれの国にロシアとの間にいろいろな利害があることから、足並みを揃えることができない西側諸国の有り様というものが、かつての政権担当者の口から語られるため、前回作品同様、資料的な価値は非常に高い。同時に、核兵器を保有する軍事大国が侵略行為を行った場合の対処の難しさもよくわかるようになっている。このドキュメンタリー作品も、前回のシリーズ同様、後世に残すべき映像史料と言えるだろう。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『プーチンと西側諸国(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『第三次世界大戦はもう始まっている(本)』
竹林軒出張所『プーチンの道(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『プーチン 戦争への道(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『ウクライナ軍事支援(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『オリバー・ストーンONプーチン(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『ワグネル 影のロシア傭兵部隊(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『プーチン政権と闘う女性たち(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『混沌のウクライナ(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『ウクライナ侵攻が変える世界(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『戦時下の大統領 ゼレンスキー(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『軍事侵攻・緊迫の72時間(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『禁じられたモスクワ(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『インサイド・ロシア(ドキュメンタリー)』

by chikurinken | 2025-01-22 07:38 | ドキュメンタリー
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