北齊(1953年・青年ぷろだくしよん)
監督:勅使河原宏
脚本:吉川良
出演:加藤嘉(ナレーション)
歴史認識に違和感
葛飾北斎の作品を紹介する教養映画。これもなかなか見ることができない作品だが、現在YouTubeで公開されている。
なかなか見れない作品には違いないが、見る価値があるかはまた別の話。勅使河原宏の初監督作品ということで興味を惹かれたが、内容は至って単純で見どころはないに等しい。しかも「武士階級に虐げられる庶民」という歴史観で一貫しており、失政続きの幕府政治にあって葛飾北斎が人間不審になったなどという「独断的な」解釈まで施されている。そういう点で歴史認識にかなりの違和感を感じる。製作当時の時代的な背景もあるので致し方ないところではあるが、どうにも身勝手な歴史観に不愉快さを感じる。

映像は、北斎の作品をアップで映したものばかりがランダムに続き、なぜか知らないが、時代がかなり異なる芭蕉の句まで画面に大きく映し出されて読み上げられたりもする。画面に映し出される北斎作品は面白いものが多いが、モノクロで画面が荒い上、後ろで流される独断的なナレーションが腹立たしく感じる。正直、今改めて見るほどの価値はなかったなと思う。
★★☆参考:
竹林軒出張所『ホゼー・トレス(映画)』竹林軒出張所『おとし穴(映画)』竹林軒出張所『砂の女(映画)』竹林軒出張所『他人の顔(映画)』竹林軒出張所『利休(映画)』竹林軒出張所『豪姫(映画)』竹林軒出張所『北斎漫画(映画)』竹林軒出張所『北斎漫画を読む 江戸の庶民が熱狂した笑い(本)』