日曜劇場 にっぽんのパパ(1970年・北海道放送)
原作:小松左京
脚本:岩間芳樹
演出:船越一幸
出演:フランキー堺、八千草薫、佐山泰三、亀田秀紀、金井大、村井洋
『北の国から』リアル版 小松左京原作(『木静かならんと欲すれど……』 )の日曜劇場。原作が小松左京ということでSFかと思ったがさにあらず。非常にユニークな展開の日常的な物語だった。
東京に住む家族がこの物語の中心人物だが、彼らの名前も奮っていて、それぞれ「パパ」、「ママ」、「一郎」、「二郎」となっている。この一家が、夏休みを利用して、北海道にある知人の開拓村を訪れることになった。その知人というのが、その開拓生活に見切りをつけてその村を脱出した人で、今は空き家となったその家を自由に使って良いと手紙で伝えてきたのだった。なおその知人が、その開拓村の最後の住人だったため、今はその開拓村には誰も住んでいない。
そういう状況で当地を訪れる一家だったが、周囲に何もないため開拓民のようなサバイバル生活を始めることになる。だが、パパが思いの他こういうサバイバル生活を堪能し、家族もそんなパパの姿に尊敬の念を抱く。当初は2週間程度の予定だったが、ここに長く住み続けたいというパパの希望を受け入れ、数カ月そこで暮らし続けるというようなストーリーである。
『北の国から』の原形のような物語だが、しかし結論は大きく異なり、かなり現実的な終わりを迎える。非常に良くできたストーリーと感じる。演出もしっかりしていて、原作の面白さを十分に引き出している。フランキー堺の「パパ」、八千草薫の「ママ」もリアルな存在で、すばらしい質感を引き出している。当時40前の八千草薫が非常に美しく、しかも都会的なマダムの姿からモンペ姿や野良姿まで披露しており、とても魅力的である。ある意味、「八千草薫劇場」と言っても良いような演出で、演出担当者の思い入れが伝わってくるような作品である。
今あまり見る機会はない作品だが、ぜひ公開の機会を増やしてもらいたい秀作である。
★★★★参考:
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